レバクリ

更新日:2024年07月10日

女性のびまん性脱毛症について原因と改善策、治療法を解説

この記事のまとめ
  • びまん性脱毛症とは、髪の毛が全体的に薄くなる症状である
  • びまん性脱毛症の原因は、加齢やホルモンバランスの乱れである
  • びまん性脱毛症の治療方法には、低用量ピルの服用とミノキシジルの使用がある

年齢を重ねて、髪が薄くなってきたと悩む女性もいるでしょう。髪が全体的に薄くなる疾患に、びまん性脱毛症があります。男性よりも女性に多く、若い女性にも起こりうる疾患です。特徴として、髪の毛のボリュームが減ったり、髪の毛が細くなったりすることが挙げられます。

本記事では、びまん性脱毛症について、その特徴や原因、改善策を解説します。また、治療方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

びまん性脱毛症の概要

ここでは、びまん性脱毛症について、主な症状や原因をご紹介します。抜け毛が増えて不安と感じる方は、まずはびまん性脱毛症がどのような症状なのかを確認しましょう。

びまん性脱毛症とは?

びまん性脱毛症とは、抜け毛が徐々に増えて全体的に髪が薄くなる症状のことです。びまん性脱毛症の「びまん」には、「一面に広がる」という意味があります。

びまん性脱毛症の特徴は、男性型脱毛症(AGA)のように部分的に髪が薄くなり始めるのではなく、髪全体のボリュームが減ることです。「以前のようなボリュームを感じられない」「分け目が目立ってきた」と感じたときには、症状が進行しているケースも少なくありません。びまん性脱毛症は、年齢を重ねた方だけでなく、若い女性も発症する場合があります。

脱毛症は、大きく「びまん性脱毛」と「パターン型脱毛」の2つに分類されますが、女性の薄毛の多くがびまん性脱毛症です。一方で男性に起こるAGAは、主に頭頂部や生え際から薄くなるのが特徴で、パターン型に分類されます。

びまん性脱毛症の主な症状

びまん性脱毛症の主な症状は、次のとおりです。

  • 髪の毛が大量に抜ける
  • 髪の毛のボリュームが減る
  • 分け目が目立つ
  • 短い髪が増える
  • 地肌が薄く見える
  • 髪が細くなる
  • 髪のコシやハリがない

上記の症状がある方は、びまん性脱毛症の可能性があると考えられます。びまん性脱毛症を発症すると髪全体のボリュームが感じられなくなり、地肌が透けて見える場合があります。また、髪の毛自体が細くなり、コシやハリがなくなるのも特徴のひとつです。そのため、以前のようなヘアスタイルが決まらず、悩む方もいるでしょう。

びまん性脱毛症になる原因

びまん性脱毛症になる原因には、次の3つが挙げられます。

  • ホルモンバランスの乱れ
  • 加齢
  • 頭皮環境の悪化

それぞれの原因を確認しましょう。

ホルモンバランスの乱れ

びまん性脱毛症の原因のひとつに、ホルモンバランスのが乱れがあります。女性ホルモンが減少すると、相対的に男性ホルモンが多い状態になります。この現象が、薄毛につながります。

偏った食生活や睡眠不足、精神的なストレスによりホルモンバランスの乱れが生じると、髪の成長を促す女性ホルモンのエストロゲンの分泌に異常をきたし、びまん性脱毛症の原因となります。

ただし、過度なダイエットや出産による一時的な薄毛は、びまん性脱毛症ではありません。このような症状は一時的なもので、通常、数ヶ月経つと元に戻ります。

加齢

びまん性脱毛症は、主に加齢が原因と考えられています。30代後半頃からびまん性脱毛症に悩む方が多いのは、加齢によってエストロゲンの分泌が減るためです。エストロゲンが減ると、ヘアサイクル(髪が生えて抜け落ちるまでの周期)が乱れ、髪が成長する前に抜けてびまん性脱毛症の原因となります。

頭皮環境の悪化

頭皮環境の悪化も、びまん性脱毛症の原因の一つです。頭皮が不衛生だったり、間違ったヘアケアやカラー・パーマなどにより頭皮に負担がかかると、びまん性脱毛症を発症しやすくなります。

びまん性脱毛症の5つの改善策

ここでは、びまん性脱毛症の改善策を5つ説明します。「髪のボリュームが減ってきた」「髪の分け目が目立ってきた」と感じる方は、以下の改善策を試してみてください。

1.食生活の改善

びまん性脱毛症の一つの改善策として、食生活の改善が挙げられます。健康な髪の毛を育てるためには、十分な栄養が必要です。髪の毛の原料となるのはおもにたんぱく質のため、鶏ささみや豆腐、マグロ、卵、牛乳、ヨーグルトなどを積極的に食事に取り入れ、良質なたんぱく質を摂ることを心がけましょう。

髪の毛の主成分を合成するときに必要となる、亜鉛も欠かせません。亜鉛は、牡蠣や豚レバー、赤身牛肉、カシューナッツ、卵などに多く含まれています。また、頭皮環境を整えるビタミンB群も不可欠です。玄米やマグロなどを積極的に食事に取り入れましょう。

ただし、髪の毛に良いものだからと、同じ食材ばかりを食べるのはおすすめできません。バランスのよい食事をとることで、健康な髪が育ちやすくなります。

2.生活習慣の改善

びまん性脱毛症を改善するためには、生活習慣の改善も大切です。極端なダイエットをしていたり偏った食生活を送ったりしていては、髪の毛に十分な栄養が行き渡りません。

飲酒や喫煙も、髪の毛に悪影響を与える要因です。お酒はたしなむ程度であれば問題ありませんが、過度な飲酒は、髪の毛だけでなく身体にも悪影響を及ぼします。

髪の毛を育むには身体が健康であることも大切だと念頭に置き、生活習慣を改善しましょう。

3.質の良い睡眠をとる

健やかな髪の毛を育てるためには、質の良い睡眠をとることも大切です。髪の毛を育てる成長ホルモンが分泌されるのは、寝ている間です。とくに、入眠後3時間以内に、多くの成長ホルモンが分泌されるといわれています。つまり、寝入ったときから3時間の睡眠をいかに良質な睡眠にするのかが、カギとなります。

寝る前には、スマートフォンやパソコンの使用を控えるとともに、軽いストレッチやヨガを行ってリラックスできる時間を設けてみましょう。入眠を促すアロマオイルやお香などを利用するのもひとつの手です。

4.ストレスを溜めない

びまん性脱毛症を改善するには、ストレスを溜めないことも大切です。ストレスは、ホルモンバランスを崩す要因になりえます。

ストレスを溜めないように、自分なりの発散方法を持っているとよいでしょう。友人と話す、散歩するといった自分の好きな活動をすることで、ストレス解消を図れます。

5.頭皮環境を整える

頭皮環境を整えることで、びまん性脱毛症の改善が期待できます。

シャンプーやコンディショナーを刺激の少ないものに替えたり、洗いすぎやすすぎ残しに気をつけたりするなど、まずはヘアケアを見直してみるのがおすすめです。とくにシャンプーの洗浄力は、界面活性剤の種類によって異なります。頭皮のことを考えるのであれば、洗浄力が穏やかで頭皮に優しいアミノ酸系シャンプーを使うのが安心です。

また、入浴時や睡眠前に頭皮マッサージを行うことで、頭皮の血行を促進できます。血行がよくなれば、栄養を髪の毛に行き渡らせることが可能です。

びまん性脱毛症の治療方法

ここでは、びまん性脱毛症の治療方法を2つ紹介します。上述した改善策を試しても改善しない場合は、病院で受診して下記の治療を行いましょう。

ミノキシジルを使用して発毛を促す

びまん性脱毛症の治療方法の一つに、ミノキシジルという発毛を促す治療薬を用いる方法があります。ミノキシジルは、AGA治療薬としても用いられる薬です。ミノキシジルには内服薬と頭皮に塗布する外用薬の2つのタイプがありますが、国内で認可されているのは外用薬のみです。

ミノキシジルは、毛細血管を広げて血液の流れをスムーズにし、毛母細胞(髪の毛を作り出す細胞)に栄養を届きやすくして髪の成長を促す働きがあります。また、毛母細胞の分裂を促し、発毛を促進する作用もあります。

ミノキシジルの外用薬は頭皮だけに塗布するため、全身への影響は少ないとされていますが、下記のような副作用が生じることがあります。

  • 初期脱毛
  • 頭皮のかゆみ・かぶれ
  • 頭痛

初期脱毛は、治療開始の初期段階で見られる一時的な脱毛です。個人差はありますが、ミノキシジルを使い始めてから2週間~8週間ほどで起こるとされています。初期脱毛の段階で使用をやめてしまうと効果を実感できないため、初期脱毛が見られた場合でも継続して治療を行いましょう。

ほかにも、頭皮のかゆみや頭痛といった症状があらわれる場合があります。気になる症状があるときは、治療を続けるべきかを医師に相談するのがおすすめです。

通常、ミノキシジルの効果を感じられるのは、使用し始めてから6ヶ月ほど経ってからです。しばらく使い続けなければ効果を得られないため、気になる副作用が生じた場合を除き最低でも6ヶ月ほどは使用を継続してみましょう。

低用量ピルを服用してホルモンバランスを整える

びまん性脱毛症の治療方法として、低用量ピルの服用によりホルモンバランスを整える方法があります。低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが配合された薬です。

低用量ピルは飲み始めたタイミングで頭痛や吐き気などの副作用が出ることがありますが、1~3ヶ月ほど服用を継続することで、ホルモンバランスが安定し、症状は落ち着くとされています。また、低用量ピルは血栓症のリスクをわずかに高めることから、服用できるのは基本的に40歳までとされています。

低用量ピルには様々な種類があるため、髪の毛やその他お悩みに応じて使い分ける必要があります。そのため、ピルの内服をするかにあたっては医師に相談をすることがおすすめです。

まとめ

びまん性脱毛症とは、男性のAGAとは異なり、抜け毛が徐々に増えて髪が全体的に薄くなる症状を指します。髪の毛のボリュームが減ったり、髪自体が細くなったりするのが特徴です。びまん性脱毛症の原因は、加齢やホルモンバランスの乱れ、頭皮環境の悪化だと考えられています。

びまん性脱毛症の改善策には、生活習慣や食生活の改善、ストレス発散、頭皮環境の改善などが挙げられます。びまん性脱毛症の治療方法として挙げられるのは、低用量ピルの服用やミノキシジル外用薬の使用です。

びまん性脱毛症かもしれないと悩んでいる方は、医師に相談してみてはいかがでしょうか。レバクリではオンライン診療を行っており、場所や待ち時間を気にせず診察が受けられます。診察料は無料のため、びまん性脱毛症について相談したい方はぜひ利用してみてください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会