更新日:2026年05月14日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「後頭部の髪のボリュームが減ってきて気になる」「ヘアセットすると薄さが目立つ」と悩む方は少なくありません。M字型や頭頂部のはげとは違い、後頭部はげは生活習慣の見直しやセルフケアで改善できる場合があります。本記事では、後頭部はげの6つの種類やAGAとの違い、血行不良やストレスなど5つの主な原因、自宅でできるセルフケアを解説します。
後頭部はげや薄毛には、主に6つの種類があります。原因や症状はそれぞれ異なるため、自分の症状がどのタイプかを知ることが対策の第一歩となります。まずは、自分の頭皮の状態に近いものがどれか見ていきましょう。
円形脱毛症は、自己免疫疾患によって引き起こされる脱毛症です。体内で誤って自分の毛根を攻撃してしまうことで、コイン状の脱毛部分が突然現れます。
再発しやすいのが特徴で、一度治ったように見えても別の場所に再び現れることがあります。治療を続けていても、再発を繰り返すうちに多発型や蛇行型など、治りにくいタイプへと進行する可能性もあります。
特に、ストレスの多い環境下では症状が悪化しやすい傾向があるため、生活習慣の見直しと並行して、早めに専門医を受診することが重要です。
脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌によって引き起こされる「脂漏性皮膚炎」が原因の脱毛症です。皮膚の常在菌であるマラセチアというカビ(真菌)の一種が関わっていると考えられています。
マラセチアは、皮脂に含まれる中性脂肪を遊離脂肪酸へと分解します。この遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、脂漏性皮膚炎を誘発するといわれています。
また、脂漏性皮膚炎が悪化すると、「脂漏性脱毛」や「粃糠性(ひこうせい)脱毛」を併発する可能性があります。粃糠性脱毛は、頭皮に生じたフケが毛穴を塞いで炎症を引き起こし、髪の成長を妨げることで生じる脱毛症です。
圧迫性脱毛症は、帽子やヘルメットの長時間着用など、外部からの物理的な圧力が原因で引き起こされる脱毛症です。毛根に圧力がかかり続けることで、毛髪の成長が阻害されてしまいます。
この症状、遺伝や生活習慣とは関係なく発症するのが特徴です。原因となる圧迫を取り除けば、多くの場合、時間とともに回復していきます。しかし、長期間にわたり圧迫を続けると、永久的な脱毛につながるリスクもあるため注意しましょう。
仕事でヘルメットの着用が必要な方や、頻繁に帽子をかぶる方は、こまめに取り外して頭皮を休ませるなどの対策を取ることが大切です。
瘢痕性(はんこんせい)脱毛症は、毛包が破壊されて傷跡(瘢痕)となり、髪の毛が生えてこなくなる永久的な脱毛症です。
原因は、皮膚疾患や細菌・真菌の感染、やけど、ケガなど多岐にわたります。髪の毛を作る毛包が完全に失われているため、適切な治療を行わなければ、髪が再生することはほとんど期待できません。
放っておくと患部が広がる可能性があるため、早めに皮膚科を受診することがおすすめです。進行を止めるための治療や、状況によっては植毛などの対応が検討されるでしょう。
髪の毛は、根元の毛乳頭が毛細血管から栄養を受け取り、毛母細胞に細胞分裂のシグナルを送ることで正常に成長します。しかし、食生活の乱れや過剰なダイエットなどで栄養不足に陥ると、毛乳頭が髪に送るべき栄養を十分に受け取れなくなるため、薄毛や脱毛につながりやすくなります。
体にとって髪はほかの臓器に比べて優先度が低い部位とされており、栄養不足の影響が髪に現れやすいと言われています。
特に髪の主成分であるタンパク質や、その生成を助けるビタミン、ミネラルなどを、普段の食事でバランス良く摂ることが大切です。
牽引性(けんいんせい)脱毛症は、ポニーテールや三つ編みなど、髪型によって頭皮が一定方向に引っ張られ続けることにより特定の部位に負荷がかかって発症する脱毛症です。女性に多い傾向がある脱毛症ですが、男性もまとめ髪にする習慣がある場合など、髪型によっては起こりうる可能性があります。
長期間にわたり同じ場所に強い力がかかり続けると、毛包の損傷が進み、永久的な脱毛につながる場合もあるため注意が必要です。
牽引による脱毛は、髪型を変えることで自然に回復することが多いようです。たとえば、まとめ髪にせず髪を下ろす日をつくるなど、頭皮を休ませることが大切です。日頃から頭皮に負担の少ない髪型を選ぶなどの対策を心掛けましょう。
後頭部のはげや薄毛に悩んでいる場合、「AGAではないか?」と心配している方もいるかもしれません。結論から言うと、後頭部のみの薄毛の場合、AGAの可能性は低いといえます。
| 部位 | AGAの特徴 | 後頭部はげの特徴 |
|---|---|---|
| 前頭部 | はげやすい | はげにくい |
| 頭頂部 | はげやすい | はげにくい |
| 後頭部 | はげにくい | はげやすい |
| 進行速度 | 徐々に進行 | 症状により異なる |
| 原因 | DHT(男性ホルモン) | 複数の要因(後述) |
AGAは、主に前頭部や頭頂部に症状が現れるのが特徴です。その原因は、男性ホルモンの「テストステロン」と、酵素「5αリダクターゼ」が結合してできる「DHT(ジヒドロテストステロン)」が毛周期を乱すことにあります。
5αリダクターゼは前頭部や頭頂部に多く存在するため、AGAによるはげはこれらの部位から進行するのが一般的です。そのため、後頭部だけが薄毛になっている場合は、AGAとは別の原因を考える必要があるでしょう。
ただし、後頭部だけでなく頭頂部なども薄くなっている場合は、AGAを併発している可能性があるため要注意です。

AGAは進行性のため、「症状が出ているかも」と思ったらすぐにご相談ください。AGAには治療薬があるため、症状の進行を抑えやすくなります。早めの対応で、髪を維持する可能性が高まります。
後頭部はげの原因はさまざまですが、主に5つの要因が考えられます。頭皮の血行不良や生活習慣の乱れ、ストレスなどです。それぞれの原因を知り、効果的な対策を見つけましょう。
後頭部の血行が悪くなると、髪の毛に必要な栄養が十分に届かず、はげや薄毛の原因となります。血行不良の主な原因の一つは、エアコンの風などによる後頭部の冷えです。血管が収縮することにより、血流が悪化します。
また、タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があるため、喫煙も血行不良の原因になります。
生活習慣の乱れは髪の健康に深く関わっており、特に栄養不足、睡眠不足、運動不足、喫煙・飲酒といった要素が大きな影響を与えます。
栄養不足は、髪の成長に必要なタンパク質や亜鉛などが不足し、健康な髪が作られなくなる原因になります。偏った食事や過度なダイエットは注意が必要です。
睡眠不足は自律神経やホルモンのバランスを崩し、血流の悪化を招きます。また、髪の成長に必要な成長ホルモンは深い睡眠中に分泌されるため、質のよい睡眠が不可欠です。
さらに、運動不足は全身の筋力低下を招き、血液循環を妨げることがあります。適度な運動は全身の血流を促進し、頭皮環境の改善に役立ちます。
喫煙や飲酒も、血管を収縮させたり、血流を悪化させたりするため、髪に必要な栄養素が頭皮に届きにくくなります。
ストレスも、後頭部の薄毛やはげに大きな影響を与える要因の一つです。ストレスを感じると全身の血流コントロールを担う自律神経のバランスが崩れ、頭皮の血流が悪化することで薄毛を招く可能性があります。
また、ストレスによる心身の緊張は、首筋や肩の凝りを引き起こし、連動して頭皮が張ることでさらに血流を悪化させます。
ストレスは睡眠の質を低下させ、髪の成長に不可欠な成長ホルモンの分泌量を減らす恐れもあります。成長ホルモンは睡眠が深いときに多く分泌され、細胞の修復や成長をサポートするため、質の悪い睡眠は髪の健康に悪影響を及ぼすでしょう。
皮膚疾患が原因で後頭部のはげが生じることもあります。皮膚炎やアトピー性皮膚炎などが原因で頭皮に炎症が起きると、健康な髪の成長が妨げられます。
また、頭皮のケガややけど、日焼けなどの物理的なダメージが、毛根を傷つけて髪の成長を阻害することも。特に後頭部は自分からは見えにくい部分なので、日焼けなどのダメージに気づきにくいという問題もあります。
これらのダメージが蓄積することで後頭部の頭皮が傷つき、はげや薄毛を引き起こすことがあるため、日頃から頭皮の健康状態に注意を払う必要があります。かゆみや赤み、フケが増えるなどの異変に気づいたら、早めに皮膚科を受診しましょう。
免疫系の異常による自己免疫疾患や、甲状腺の病気も、後頭部の薄毛やはげを引き起こす原因です。自己免疫疾患とは、体が自分の正常な細胞や組織を敵とみなして攻撃してしまう疾患で、円形脱毛症はその代表的な一例です。
また、甲状腺ホルモンには、髪の毛の根元に存在する「毛母細胞」の細胞分裂を活性化し、成長を促す作用があります。そのため、甲状腺に異常が生じ、ホルモンが過剰に分泌されたり不足したりしても、薄毛につながるリスクは高まります。
過剰な分泌は、新陳代謝を必要以上に活発にし、抜け毛を引き起こしやすくなります。また、甲状腺機能低下症などでホルモンが不足すると、代謝や髪の成長サイクルが遅くなるため、薄毛になりやすいと考えられています。
後頭部はげの治療を考える場合、はげや薄毛の種類を正確に診断することが大切です。後頭部はげの種類によって治療方法やアプローチが変わるため、自己判断せずに専門の医師に相談するのがよいでしょう。
特に、AGAを併発している場合は、AGAに対する治療を並行する必要があります。AGAの治療には、5αリダクターゼの働きを抑制する内服薬や外用薬などの医学的治療が効果的です。
| はげの種類 | 主な治療法 |
|---|---|
| 円形脱毛症 | ステロイド外用薬、ステロイド局所注射、内服薬、JAK阻害薬、DPCP療法など |
| 脂漏性脱毛症 | 抗真菌シャンプー、抗真菌外用薬、生活習慣の改善 |
| 圧迫性脱毛症 | 圧迫要因の除去、頭皮環境の改善 |
| 瘢痕性脱毛症 | 進行抑制の早期治療、場合によっては植毛など |
| 栄養障害による脱毛 | 栄養バランスの改善、サプリメント補給 |
| 牽引性脱毛症 | 牽引要因の除去、頭皮環境の改善 |
後頭部はげは原因によっては自然に治る可能性もありますが、より確実に改善するためには適切な治療を受けることをおすすめします。たとえば、円形脱毛症にはステロイド外用薬や内服薬、脂漏性脱毛症では専用シャンプーの使用や抗真菌薬などが用いられます。
後頭部はげを改善するには医師の診察を受けることが理想ですが、日常生活でも実践できるセルフケア対策があります。頭皮マッサージや規則正しい生活、頭皮を清潔に保つ、ストレスケアなど、手軽に始められる方法から取り組んでみましょう。
頭皮マッサージは血行を良くし、髪の成長に必要な栄養素を届けやすくする効果があります。自分では見えにくい後頭部は特に、意識してケアすることが大切です。
マッサージは、指の腹を使って頭皮を優しく円を描くように行います。力を入れすぎず、心地よいと感じる程度の刺激がおすすめです。入浴時や就寝前など、リラックスしているときに行うのが効果的でしょう。
毎日3〜5分程度の短時間でも、継続することで頭皮の血行が改善され、健康な髪の成長環境が整います。また、マッサージするときにオイルなどを使うと、頭皮の保湿にもつながるでしょう。
健康な髪を育てるには、規則正しい生活習慣、特に食生活と睡眠の質を改善することが大切です。食生活では、髪の毛のもとになるタンパク質、タンパク質の代謝サポートや健やかな皮膚環境を保つビタミン、タンパク質の合成をサポートする亜鉛の3つの栄養素が特に必要です。肉や魚、卵、豆類などのタンパク質源、緑黄色野菜や果物などのビタミン源、牡蠣やナッツ類などの亜鉛を含む食品をバランスよく摂りましょう。
また、質のよい睡眠を取ると、三大栄養素と呼ばれる「タンパク質」「炭水化物」「脂質」の代謝を促す成長ホルモンが大量に分泌されます。この成長ホルモンも、髪の主成分であるケラチンというタンパク質の合成に不可欠なため、髪の健康にとって重要です。個人差もありますが、7〜8時間の睡眠を確保するのが良いでしょう。
健康な頭皮環境を維持するためには、適切な頭皮ケアが欠かせません。頭皮の皮脂が残ると毛穴詰まりの原因となり、髪の成長を妨げる可能性があります。
頭皮の皮脂が多い状態が続くと、表皮ブドウ球菌やアクネ菌、マラセチア菌 など常在菌のエサとなり、菌が増殖しやすくなります。その結果、脂漏性皮膚炎などの頭皮トラブルを引き起こし、炎症やかゆみによる刺激で、抜け毛が増えてしまう可能性もあります。
頭皮や髪に負担をかけない洗浄力のシャンプーや、薬用シャンプーなど、自分にとって適切なシャンプーを選ぶことが対策の一つです。また、シャンプー後はしっかりとすすぐことや、濡れた髪を十分に乾かすことも、頭皮環境を正常に保つために大切です。
薄毛対策のためにも、ストレスと付き合う方法を見つけることが大切です。「趣味を楽しむ」「適度な運動をする」「十分に睡眠を取る」など、日頃から意識的にストレスケアを行いましょう。
スマートフォンやパソコンから少し距離を置き、脳を休ませることもおすすめです。特に就寝前にブルーライトを浴びると睡眠の質を下げる原因になるため、寝る前はデジタル機器から離れる時間を作ってみましょう。
また、マインドフルネスやヨガなどのリラクゼーション法を取り入れると、心身のバランスが整い、ストレスのコントロールがしやすくなります。自律神経のバランスが保たれ、頭皮の血行改善にもつながるでしょう。
後頭部のはげに悩んでいる方にとって、根本的な治療と並行して、当面の外見的な悩みを解消することも大切です。後頭部はげは髪型を工夫することでカバーできる可能性があります。
ショートカットやおしゃれ坊主は、すっきりとした印象を与え、薄毛の部分と健康な部分の差が目立ちにくくなるためおすすめです。
また、パーマでボリュームを出すのも一つの手です。軽いパーマをかけると髪に動きが生まれ、薄い部分を目立ちにくくします。特に、トップにボリュームを持たせるスタイリングが良いでしょう。
ただし、こうした対処法はあくまで一時的な解決策です。根本的に解決したい場合は、皮膚科や専門クリニックなど医療機関の受診をおすすめします。プロの診断を受けることで、自分のはげのタイプに合った最適な治療法を見つけられるでしょう。
後頭部はげには、円形脱毛症や脂漏性脱毛症、圧迫性脱毛症など、さまざまな種類と原因があり、症状や原因によって適切な対処法が異なります。
後頭部はげは、AGAとは異なる特徴を持ち、主な原因としては頭皮の血行不良や生活習慣の乱れ、ストレスなどが考えられます。頭皮マッサージによる血行促進や規則正しい生活習慣への改善、頭皮の清潔さの維持、ストレスケアなどのセルフケアが効果的です。
また、髪型の工夫で一時的に隠すことも可能ですが、根本的な解決には専門医への相談が望ましいでしょう。はげ・薄毛の進行具合や原因によって最適な治療法は異なるため、自己判断せずに医師の診断を受けることをおすすめします。
早めの対策と適切なケアで健康な頭皮環境を取り戻し、自信を持てる髪の状態を目指しましょう。
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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