更新日:2024年07月19日
短い毛が抜けるのはなぜ?抜け毛の原因と対策を紹介
- 短い毛が抜ける原因は、脱毛症・ストレス・生活習慣の乱れである
- 短い毛が抜けるときの対策には、バランスの良い食事や運動、良質な睡眠が有効
- AGAが原因で短い毛が抜ける場合、治療薬で抜け毛を抑制できる
「最近、短い毛が抜ける…」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。健康な人でもある程度の抜け毛はあり、正常なヘアサイクルによる抜け毛の場合は心配はありません。しかし、細く短い毛が大量に抜ける場合は注意が必要です。
本記事では、健康的な髪の状態や短い毛が抜ける原因、抜け毛の対策を解説します。どのような対策を取ればよいか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
抜けてしまった毛をチェックしよう
健康的な髪の毛でも、抜け毛はおきます。正常なヘアサイクル(髪が成長してから抜けるまでの周期)による抜け毛であれば、心配はありません。しかし、短い毛が多く抜ける場合は注意が必要です。まずは、以下のポイントで抜け毛をチェックしてみてください。
- どのような状態(太さや長さ)か
- どのくらいの量(本数)か
抜け毛をチェックすると、問題のある抜け毛なのか、そうでないのかがおおよそ判別できます。
どのような状態(太さや長さ)か
はじめに、どのような状態の髪の毛が抜けているのかを確認してみましょう。枕や使ったあとのヘアブラシ、浴室などをよく観察してみてください。
太さや長さが重要なポイントです。また、毛根(毛穴に埋まっていた髪の根元部分)の状態も髪の毛の状態を判断するのに役立ちます。
頭皮トラブルが生じている場合、次のような特徴を持った抜け毛が多くなります。
- 髪が細く短い
- 毛根が黒くなっている
- 毛根に皮脂がついている
- 毛根が細長い
- 毛根がギザギザしている
- 毛根がない
上記に当てはまる抜け毛が増えている場合は、注意が必要です。
どのくらいの量(本数)か
どのくらいの量が抜けているのか、本数のチェックも大切です。健康的な頭皮でも、通常、1日に50〜100本ほど髪の毛が抜け落ちます。季節や生活習慣によっても抜け毛の量は変わりますが、大量に抜けるようになった場合は気をつけてチェックを続けてみましょう。
健康的な髪の状態とは?
髪質の変化がわかるよう、健康的な髪の毛の状態を知っておくことも大切です。ここでは、正常な抜け毛の特徴や健康的なヘアサイクルについてお伝えします。
正常な抜け毛の特徴
正常な抜け毛とは、次のような髪の毛です。
- 毛根が丸く、ふくらみがある
- 毛根に半透明の膜がついている
健康的な髪の毛が抜けた場合、毛根には半透明の膜(毛根鞘)がついています。皮脂も似た形状をしていますが、皮脂は半透明ではなく白くベタベタしており、よく見ると違いがわかります。
頭皮トラブルが生じている場合は、毛根が黒くなっていたり、そもそも毛根がなかったりするのが特徴です。抜けてしまった毛をよく観察することで、髪の毛や頭皮の状態を把握することが可能です。
健康的なヘアサイクルの目安
ヘアサイクルとは、髪の毛が生え変わる周期のことです。髪の毛には寿命があり、一定期間がすぎると自然に抜け落ちます。その後、同じ毛根から新しい毛が生えてくる仕組みです。
抜け毛があるのは正常なことであり、髪の毛が抜けたからといって、すぐに心配する必要はありません。ただし、抜け毛の状態やどのくらいの周期で抜けるのかは重要なポイントです。
ヘアサイクルは、成長期・退行期・休止期の3段階に分けられます。各段階のおおよその期間や特徴は、次のとおりです。
ヘアサイクル | 期間 | 特徴 |
---|---|---|
成長期 | 約2〜6年間 | 髪が成長する期間で、早期・中期・後期の3段階に分けられる |
退行期 | 約2〜3週間 | 成熟した毛が抜け落ちるまでの準備期間 |
休止期 | 約3〜4ヶ月 | 新しい毛を育てる準備期間 |
上記が正常なヘアサイクルで、ヘアサイクルが乱れると次のような症状が生じます。
- これから育つはずだった若い毛の成長が止まる
- 成長途中の若い毛が成熟する前に抜ける
- 古い毛が抜けたあと、新しい毛が生えない
このようなヘアサイクルの乱れが、薄毛につながります。ただし薄毛になる原因はほかにもあるため、気になる場合は自己判断せず、病院で診てもらうのがおすすめです。
1日の平均的な抜け毛の本数
健康的なヘアサイクルの人であっても、ある程度の抜け毛があります。1日の平均的な抜け毛は、50〜100本ほどです。
抜け毛の本数は季節によっても異なり、抜け毛が多くなる夏から秋であれば、200本ほどが抜け落ちます。これは、紫外線や暑さによる一時的なものです。冬場になり、抜け毛が少なくなるようであれば心配はありません。
ただし、あきらかに抜け毛が多かったり、抜け落ちた毛が短く細かったりする場合は、後述するAGA(男性型脱毛症)の初期症状である可能性があるため注意しましょう。
短い毛が抜ける原因とは?
短い毛が抜ける原因として、下記の3つが挙げられます。
- 脱毛症
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
抜け毛の原因がわかると、どのような対策を取ればいいのかがわかるでしょう。
脱毛症
短い毛が抜け落ちる原因として、以下の3つの脱毛症が挙げられます。
- AGA
- ひこう性脱毛症
- 円形脱毛症
それぞれ確認していきましょう。
AGA
短い毛が抜ける原因として、AGAがあります。AGAは、思春期以降の男性であれば誰でも発症しうる脱毛症です。頭頂部や生え際から髪の毛が薄くなっていくのが特徴で、進行性のため治療しなければ脱毛が進みます。
AGAは、男性ホルモンであるジヒドロテストステロンが、男性ホルモン受容体のアンドロゲンレセプターと結びついて起こります。遺伝的な要素が強く、親族に薄毛の方がいると、薄毛になる可能性が高いでしょう。
AGAの大きな特徴は、次のとおりです。
- 抜け毛の本数が急激に増える
- 力を入れなくても毛が抜ける
- 細く短い毛が抜ける
AGAは早期に適切な治療を開始することで、薄毛の進行を抑制できます。
ひこう性脱毛症
短い毛が抜ける原因に、ひこう性脱毛症があります。頭皮の角質異常が原因で、かゆみやフケを伴うのが大きな特徴です。ひこう性脱毛症は、年齢や性別に関係なく起こります。
ひこう性脱毛症を引き起こす主な原因は、次のとおりです。
- 合わないヘアケア用品の利用
- ストレス
- ホルモンバランスの乱れ
- アレルギー
症状が進むと、頭皮が赤くなったりかゆみが出たりします。ステロイドや抗真菌薬、ビタミン剤などで治療します。
円形脱毛症
抜け毛の原因として知られるものに、円形脱毛症があります。円形脱毛症も、年齢や性別に関係なく誰にでも起こりうる病気です。
円形脱毛症は、髪の毛の一部が円形または楕円形に抜け落ちることが特徴で、抜け毛の様子から「10円はげ」ともいわれています。髪の毛だけでなく眉毛やまつ毛、体毛などが脱毛するケースもあります。
原因は明確になっていませんが、自己免疫疾患が関わっているのではないかと考えられています。脱毛が複数の箇所にわたっていたり、広範囲だったりする場合は早期の治療が必要でしょう。重症化すると治療が長期化しやすく、再発を繰り返しやすいのも円形脱毛症の特徴です。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症も短い毛が抜ける原因の一つです。脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌により生じます。乳児から大人まで、幅広い年齢層に起こるのが特徴です。
脂漏性脱毛症では、大量の皮脂が分泌されて頭皮環境が悪くなり、抜け毛だけでなく頭皮ニキビや湿疹、かさぶた、赤みといったさまざまな症状が出ます。症状が進むと、ベタベタとしたフケが出たり、顔や背中にまで炎症が広がったりするでしょう。
脂漏性脱毛症は、ステロイドや抗真菌薬での治療が効果的です。同時に、生活習慣の見直しやストレスの解消も大切であるとされています。
ストレス
ストレスも抜け毛の原因になります。ストレスには精神的ストレスや身体的ストレスがありますが、いずれも自律神経の乱れを招く要因です。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、強いストレスがかかると交感神経が優位に働きます。交感神経は血管を収縮させ、副交感神経は血管を拡張させるのが特徴です。
ストレスがかかり交感神経が優位な状態になると、血管の収縮が続き、血流が悪くなります。このような状態では、髪に必要な栄養素が行き届きません。栄養が足りないと、健康な髪が育たず抜け毛が多くなる恐れがあります。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れも、抜け毛を引き起こします。生活習慣の乱れには、おもに次の3つが挙げられます。
- 過度な喫煙や飲酒
- 運動不足
- 睡眠不足
それぞれの原因について詳しく解説します。
過度な喫煙や飲酒
過度な喫煙や飲酒は、抜け毛の原因になります。とくにタバコに含まれるニコチンは、血管を収縮させたりビタミンCを破壊したりする作用があり、頭皮にとって悪影響です。
先述のとおり、髪を育むための栄養は、血管を通して頭皮に運ばれます。そのためニコチンにより血管が収縮すると、十分な栄養が行き届かなくなります。また、ビタミンCは美髪を育む大切な栄養素で、このビタミンCが破壊されると、健康的な髪の毛が育ちません。
喫煙だけでなく過度な飲酒も、髪に悪影響を及ぼします。なぜなら髪の毛の成長に必要なタンパク質やビタミン類、ミネラル類などの栄養素が、アルコールを分解するために消費されてしまうからです。
運動不足
運動不足も抜け毛を引き起こす原因になります。運動不足は、筋力低下や心肺機能の衰えを招きます。筋力や心肺機能が衰えると、血流が悪くなり、十分な栄養を頭皮に運ぶことができません。
頭皮環境を整えるためには、バランスのよい食事で栄養を摂ることも大事ですが、摂取した栄養素をしっかりと頭皮に届けるための体づくりも必要です。
睡眠不足
睡眠不足は、抜け毛や薄毛の要因となります。睡眠中に分泌される成長ホルモンには、髪の成長や頭皮の修復を促す働きがあります。成長ホルモンはとくに眠りが深いノンレム睡眠時に多く分泌されるため、良質な睡眠が取れないと、髪の成長や頭皮の修復がうまくいきません。
さらに、睡眠不足はストレスや疲労の蓄積にもつながります。健康的な髪・頭皮環境をつくるためにも、しっかり睡眠を取り、心や体を整えることが大切です。
短い毛が抜けるのを防ぐ8つの対策
ここでは、短い毛が抜けるのを防ぐ対策を8つ解説します。「短い毛が抜けるのが不安」という方は、ここで紹介した内容を参考に少しずつ生活を見直してみてください。
1.バランスのよい食事を心がける
短い毛が抜けるのを防ぐためには、バランスのよい食事をとることが大切です。とくに、美髪を育むのに欠かせない栄養素とおすすめの食材は、次のとおりです。
- タンパク質:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品
- ビタミン類:野菜・果物・ナッツ類・豚肉
- ミネラル(亜鉛):レバー・牡蠣
- シスチン:鶏肉・大豆製品
- メチオニン:鶏肉・牛肉・魚介類・乳製品・大豆製品
- コラーゲン:手羽先・牛スジ・鮭・うなぎ
- イソフラボン:大豆製品
1回の食事で全てをまんべんなく摂取することは難しいですが、髪の成長にどのような栄養素が必要なのかを理解し、できる限り摂取するよう心がけるだけでも違ってくるでしょう。
一方、ファストフードやインスタント食品、揚げ物など、脂質の多い食事は皮脂の過剰分泌を招くため注意が必要です。また、ケーキやお菓子などに多く含まれる砂糖は、タンパク質の吸収を阻害する働きがあり、髪の成長によくありません。間食する場合は、フルーツやナッツ類がおすすめです。
2.喫煙や飲酒を控える
細くて短い毛が抜けるのを防ぐために、喫煙や飲酒を控えることが大切です。ただし、急に喫煙や飲酒をやめるのは難しいため、無理なく少しずつ減らしていくとよいでしょう。
喫煙や飲酒の量を減らしつつ、ビタミンCやタンパク質、ビタミン類、ミネラルなど、髪の成長や頭皮環境の改善に必要な栄養素を積極的に摂るようにしてください。
喫煙や飲酒を控えるのが難しいと感じる場合は、禁煙外来など専門家の力を借りるのも一つの方法です。
3.良質な睡眠をとる
短い毛が抜けるのを防ぎ、健康的な髪を育むためには、良質な睡眠が欠かせません。良質な睡眠を取ることで成長ホルモンが分泌され、髪の成長を促します。
睡眠の質を高めるためには、就寝前にリラックスすることが大切です。ぬるま湯のお湯にゆっくりつかったりストレッチをしたりし、心と体を休める習慣を取り入れてみてください。
また、寝る前にパソコンやスマートフォンを使うと交感神経が優位になって寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりするため、できるだけ使用しないようにしましょう。
4.適度な運動を取り入れる
短い毛が抜けるのを防ぐためには、適度な運動を取り入れるのもおすすめです。運動することで血流がよくなり、栄養が髪に行き渡りやすくなります。
駅や職場ではなるべく階段を利用する、ながらストレッチで体をほぐすなど、無理のない範囲で生活に運動を取り入れると長続きします。時間のあるときに、ジョギングやウォーキングなどで汗をかくのもよいでしょう。
5.ストレスを発散する
ストレスを発散することも、短い毛が抜けるのを防ぐのに役立ちます。生活のすべてのストレスを取り除くのは難しいため、適度にストレスを発散することが重要です。
趣味に没頭する、体を動かす、友達と話すなど、自分なりのストレス発散法を探してみてください。
6.正しいヘアケアをする
正しいヘアケアも、短い毛が抜けるのを防ぐために有効です。頭皮に汚れがつまると、フケやかゆみ、抜け毛の原因となります。頭皮を清潔に保つためにも、シャンプーできれいに汚れを洗い流しましょう。
ただし、1日に何度もシャンプーしたり頭皮を強くこすったりすると、かえって頭皮環境の悪化を招いてしまいます。シャンプーは1日1回程度にし、指の腹で優しく洗うことを心掛けてください。シャンプーのあとは自然乾燥すると頭皮・髪のトラブルを招く恐れがあるため、ドライヤーでしっかりと根元から乾かすことを忘れないようにしましょう。
7.頭皮マッサージで血流をよくする
頭皮マッサージも抜け毛対策に効果的です。頭皮マッサージをすることで、頭皮の血流がよくなります。
マッサージをする際は、頭皮全体を動かすように意識することが大切です。爪を立てずに、指の腹で頭全体をやさしく動かしてください。頭皮マッサージは、頭皮環境を整えるだけでなく、リラックス効果も得られるのでおすすめです。
8.治療薬を服用する
短い毛が抜ける原因がAGAの場合は、治療薬を服用することで症状の進行を抑えられるでしょう。AGAのおもな治療薬は、以下のとおりです。
- プロペシア(フィナステリド)
- ザガーロ(デュタステリド)
- ミノキシジル
プロペシアとザガーロは内服薬で、ミノキシジルは外用薬(塗り薬)です。ミノキシジルの成分が含まれる外用薬はドラッグストアや薬局で購入できますが、プロペシアとザガーロは医師の処方が必要です。
AGAの進行度や体質によって服用・使用する治療薬は異なるため、医師に相談しながら自分に合う治療薬を選びましょう。
大量の抜け毛が続くときは?
大量の抜け毛が1週間以上続くときは、医療機関で受診するのがおすすめです。とくに短い毛が大量に抜けるときは注意が必要です。
医療機関で受診して原因を特定し、早期治療を行うことで症状が悪化するのを防げます。抜け毛が気になるときは、症状が進行する前に医師に相談しましょう。
まとめ
健康な方でもある程度の抜け毛はありますが、短い毛が大量に抜ける場合は注意が必要です。とくに細く短い毛が抜ける場合、AGAを発症している可能性があります。抜け毛が気になる場合は、抜けた髪の毛の状態や量をチェックしましょう。
抜け毛予防には、バランスのよい食事をとったり、飲酒や喫煙を控えたりするのが効果的です。また、適度な運動で血流をよくし、良質な睡眠をとることも大切です。それでも抜け毛が止まらない場合は、治療を検討するとよいでしょう。
抜け毛の治療薬を服用・使用したい場合、クリニックで受診しましょう。レバクリでは、AGAのオンライン診療をおこなっており、場所や時間を気にせず診察が受けられます。診察料は無料のため、抜け毛が気になる方は利用してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会