レバクリ

更新日:2024年07月19日

自毛植毛の効果とは?施術方法の種類やメリット・デメリットを解説

この記事のまとめ
  • 自毛植毛とは、後頭部や側頭部の毛髪を皮膚組織ごと移植するAGAの治療方法
  • 自毛植毛の主な施術方法は、FUE法・FUT法・ニードル法の3種類
  • 自毛植毛は1回の施術で治療が完了し、移植した毛髪は成長して生え変わる
  • 自毛植毛以外のAGA治療法には、服薬や外用薬の使用、メソセラピー、レーザー照射などがある

薄毛の治療を行うなら、より効果が高い方法を選びたいものです。AGA治療法の一つに自毛植毛があり、効果やメリット・デメリットが気になる方もいるでしょう。自毛植毛は、自分の毛髪を薄毛が気になる部分に移植する治療方法です。

本記事では、自毛植毛の効果や施術の種類、メリット・デメリットを解説します。ほかのAGA治療法もあわせて紹介するので、AGA治療の選択肢を知り、早めに対処しましょう。

自毛植毛とは

自毛植毛とは、自分の後頭部や側頭部の毛髪を皮膚組織ごと採取し、薄毛や抜け毛が気になる部分に移植するAGA(男性型脱毛症)の治療法です。以下では、自毛植毛の特徴や効果を見ていきましょう。自毛ではなく人工毛を使う場合の植毛についても解説します。

自毛植毛の特徴と効果

自毛植毛は、自分の髪を皮膚組織ごと移植する方法です。生きている毛髪を移植するため、成功すれば生着して成長し、カットやカラーなどもできます。自分の毛髪であるため、拒絶反応や副作用が起こりにくい治療方法です。

AGAは男性ホルモンの一種であるテストステロンが、DHT(ジヒドロテストステロン)に変換されることで起こるとされています。毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンは還元酵素の働きにより、DHTに変換されます。DHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモンレセプターと結びつき、発毛を抑制するFGF-5などを生成することがAGAの主な原因です。

男性ホルモンレセプターは前頭部や頭頂部に多く存在します。一方で、後頭部や側頭部は男性ホルモンレセプターが少ないため、DHTの影響をあまり受けません。この特徴を利用して、後頭部や側頭部の毛髪を皮膚組織ごと移植することで、AGAを治療するのが自毛植毛です。

日本皮膚科学会が公表している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(p.9)」(以下:AGA診療ガイドライン)によると、AGAに対する自毛植毛の推奨度は「行うよう勧める」ことを表すB評価となっています。

ただし、内服薬や外用薬の治療による効果が不十分でほかに手段がなく、豊富な経験と技術を持つ医師が施術する場合に限り推奨するとされています。まずは治療薬の服薬・使用を試したうえで、自毛植毛を検討することが一般的です。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

自毛植毛と人工毛植毛との違い

植毛によるAGA治療には、自毛ではなく人工毛を使う方法があります。人工毛は合成繊維でできており、拒絶反応や炎症を起こすリスクがあるため、おすすめの方法ではありません。

前述のAGA診療ガイドライン(p.9)によると、米国では人工毛の移植を事実上禁じているとしており、「行うべきではない」ことを示すD評価となっています。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

自毛植毛の主な種類

自毛植毛の施術は、毛髪を皮膚組織ごと採取し、AGAの症状がある部分に植毛する流れで行います。自毛植毛の主な施術方法は、以下の3種類です。

  • FUE法
  • FUT法
  • ニードル法

FUE法とFUT法の違いは毛髪の採取方法にあり、移植の方法は共通しています。これら2つの方法とニードル法は、移植の方法が異なります。それぞれについて、特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。

FUE法

FUE法は、パンチブレードと呼ばれる器具を用いて、植毛するための自毛を毛包ごと1株ずつ採取する方法です。毛髪は1つの毛穴から1~4本生えており、この毛穴は「株」または「グラフト」という単位で数えられます。

採取した自毛は、移植する頭皮の箇所にメスで切り込みを入れ、ピンセットで1株ずつ移植します。後述するFUT法に比べると、高度な技術が必要で費用も高額ですが、術後の痛みが少ないことや採取部分の傷跡が目立ちにくいことがメリットです。自毛の採取は医師が手作業で行う方法に加えて、ロボットが行う「ロボット植毛」と呼ばれる方法もあります。

FUT法

FUT法は、約10~20cmの帯状にメスで皮膚ごと切り取って植毛する自毛を採取する方法です。採取後は1株ごとに切り分け、FUE法と同様にメスで切り込みを入れて1株ずつ移植します。

頭皮を切り取ることで毛髪を採取するため、術後の痛みが強いことや採取部分の傷跡が目立ちやすいことがデメリットです。ただし、FUE法よりも費用を抑えられます。

ニードル法

ニードル法は、移植時に専用の植毛針を用いて、穴開けと植え込みを同時に行う方法です。毛髪を植毛針にセットして頭皮に刺し、毛髪を押し出すことで植毛を行います。1本1本を手作業で行うため、角度の調整がしやすく自然な仕上がりを期待できることや、傷跡が目立ちにくいことがメリットです。

一方で、針にセットできる細い毛でなければ移植できません。費用が高額で時間もかかるため、大量の植毛には不向きな方法といえます。

自毛植毛のメリット

自毛植毛にはさまざまなメリットがあります。具体的なメリットは以下の通りです。

  • 移植後の毛髪は成長し生え変わる
  • 拒絶反応や副作用が起こりにくい
  • 何度も通院する必要がない
  • 自然な風合いに仕上がる

自毛植毛が成功すれば毛髪は生着して成長し、半永久的に生え変わり続けます。カットやカラー、パーマなども可能で、自由にヘアスタイルを楽しめるでしょう。

一度の施術で治療が完了し、通院の手間がかからないこともメリットの1つです。AGAで薄毛になった箇所のほかにも、けがで毛髪が生えてこなくなった部分や、元々毛髪が生えていなかった部分への移植も可能です。

自毛植毛のデメリット

自毛植毛には多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。具体的なデメリットは以下の通りです。

  • 治療に費用がかかる
  • 毛髪が生着し生えそろうのに時間がかかる
  • 必ずしも生着するわけではない
  • 十分な経験と技術のある医師の施術を受ける必要がある
  • 副作用が生じる可能性はゼロではない

他のAGA治療法に比べると、自毛植毛は費用がかかる傾向があります。費用として、少なくとも数十万円を見積もることになるでしょう。

加えて、移植後すぐに生着するわけではなく、経過を見る必要があります。効果を実感できるまでに半年~1年ほどかかり、即効性のないこともデメリットの1つです。

成功するかどうかは施術を行う医師の技量にも関係するため、クリニック選びも重要です。また、自分の毛髪を移植するため、拒絶反応や副作用が起こる可能性は低いものの、ゼロではないことを理解しておきましょう。

自毛植毛以外のAGAの治療方法

自毛植毛は薄毛の改善効果が期待できる一方で、AGA診療ガイドラインでは他に方法がない場合の選択肢の1つとされています。自毛植毛以外のAGAの治療方法は以下の通りです。

  • 内服薬の服用や外用薬の使用
  • メソセラピー
  • レーザー照射

中でも一般的なのが内服薬や外用薬(塗り薬)による治療です。経過を見ながら他の治療方法を適宜取り入れていきます。それぞれの治療方法について、以下で見ていきましょう。

内服薬の服用や外用薬の使用

内服薬の服用や外用薬の使用はAGAの主な治療方法です。AGAを引き起こす原因は、男性ホルモンであるテストステロンがDHTに変わることです。薬剤によってこの変換を防ぐことで、脱毛を抑えます。

AGAの治療で使われる主な内服薬はプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)で、毎日服用します。いずれも効果や安全性が確認されており、AGAの代表的な治療薬として広く採用されています。AGAの進行度によっては、塗り薬であるミノキシジルを併用することもあります。

メソセラピー

メソセラピーとは、薬剤を頭皮に注入することでAGAを治療する方法です。メソセラピーで注入する薬には、AGAの治療薬の成分のほか、毛髪の栄養となるビタミンや亜鉛などが含まれます。服薬治療では血液によって成分が頭皮に運ばれるのに対して、メソセラピーは頭皮への直接的なアプローチが可能です。

メソセラピーでは注射器や針付きのローラーなどの器具を使って注入します。服薬治療のように毎日行う必要がなく、定期的な施術で効果が期待できる方法です。

なお、毛髪の成長を促す「成長因子」を注入する方法もあります。しかし、AGA診療ガイドライン(p.14,15)によると、有効性が十分に実証された方法ではないとして、「行わない方がよい」とされています。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

レーザー照射

レーザー照射によって、毛髪の成長を促す方法もあります。LEDや低出力のレーザーによるものがあり、痛みが少ないことや、薬剤と併用できる点がメリットです。

AGA診療ガイドライン(p.10)では施術を推奨するB評価であるものの、2024年6月時点で厚生労働省によってAGAへの効果が認められている医療機器はありません。

参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」

まとめ

自毛植毛は、薄毛になりにくい側頭部や後頭部の毛髪を皮膚組織ごと移植する方法で、薄毛改善の効果が期待できます。ただし、施術を行う医師の経験や技術が必要な方法で、他の治療法で十分な効果が得られない場合の選択肢となることを理解しておきましょう。AGAの治療方法は、内服薬の服用や外用薬の使用が一般的です。

レバクリでは、AGAのオンライン診療を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。

診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会