更新日:2025年12月23日
「自毛植毛に興味があるけど、手術への不安や費用が気になる」とお悩みの方もいるかもしれません。自毛植毛は自分の毛髪を移植することで自然な見た目を取り戻せる治療法です。拒絶反応が起こりにくく、半永久的に生え変わり続けるというメリットがある反面、費用が高額な点がデメリットです。この記事では、自毛植毛の種類や手術の流れ、術後の注意点などを解説します。自毛植毛を検討されている方はぜひ参考にしてみてください。
自毛植毛とは、自分の後頭部や側頭部の毛髪を皮膚組織ごと採取し、薄毛や抜け毛が気になる部分に移植するAGA(男性型脱毛症)の治療法です。以下では、自毛植毛の特徴や効果、自毛ではなく人工毛を使う場合の植毛について解説します。
自毛植毛は、前頭部や頭頂部などAGAの影響を受けにくい箇所から自分の毛髪を皮膚組織ごと移植する方法です。生きている毛髪を移植するため、成功すれば生着して成長し、カットやカラーなどもできます。採取するのは自分の毛髪のため、拒絶反応や副作用が起こりにくい治療方法です。
ただし、自毛植毛は内服薬や外用薬の治療による効果が不十分でほかに手段がなく、豊富な経験と技術を持つ医師が施術する場合に限り推奨されます。まずは治療薬の服薬・使用を試した上で、自毛植毛を検討することが一般的です。
自毛植毛と人工毛植毛の違いは、移植する毛髪の素材です。自毛植毛は自分の毛髪を移植するのに対し、人工毛植毛は人工毛を使用します。人工毛は合成繊維でできており、人体にとって異物であるため、拒絶反応や炎症を起こすリスクがあります。
手術費用は自毛植毛よりも安い傾向があるものの、自毛植毛が通常の毛髪として成長するのに対し、人工毛植毛は免疫反応により脱落するため、定期的なメンテナンスが必要になります。
メンテナンスに費用がかかり続けることや拒絶反応のリスクを考えると、自毛植毛のほうが推奨されることが多い傾向があります。
自毛植毛の費用は、移植の範囲や毛髪の本数、施術方法によって異なります。費用はグラフト数(移植する毛髪の単位)によって計算され、1グラフトあたり300〜2,000円程度です。1,000グラフトでカバーできる面積は、成人男性の手のひらのおよそ1/4〜1/3ほどです。薄毛を全体カバーするのに必要な価格は、一般的に30万〜150万円ほどとなるでしょう。
また、クリニックによっては追加のオプション治療や特殊な技術を用いる場合に、追加の費用が発生することがあります。
なお、自毛植毛は美容目的の治療に分類されるため、健康保険は適用されず、全額自己負担となります。分割払いやローンが利用できるクリニックもあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
AGA治療の費用相場は、「AGA治療の費用相場はどれくらい?保険が適用されるかについても解説」の記事でも解説しています。
自毛植毛にはさまざまなメリットがあります。具体的なメリットは以下のとおりです。
自分の組織のため拒絶反応や副作用が起こりにくい
移植後の毛髪は成長し生え変わる
何度も通院する必要がない
自然な仕上がりのヘアデザインが可能になる
自毛植毛は自分自身の毛髪を使用するため、薬剤を使用した治療による肝機能障がいや性機能障がいなどの副作用の心配がありません。
さらに、自毛植毛が成功すれば毛髪は生着して成長し、半永久的に髪が生え変わり続けます。カットやカラー、パーマなども可能で、自由にヘアスタイルを楽しめるでしょう。
一度の施術で治療が完了し、通院の手間がかからないこともメリットの1つです。AGAで薄毛になった箇所のほかにも、けがで毛髪が生えてこなくなった部分や、元々毛髪が生えていなかった部分への移植も可能です。
自毛植毛にはメリットがある一方で、デメリットもあります。具体的なデメリットは以下のとおりです。
保険適用外のため費用が高額になる
ドナーを採取した部分に傷跡が残る可能性がある

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
毛髪が生着し生えそろうのに時間がかかる
必ずしも生着するわけではない
十分な経験と技術のある医師の施術を受ける必要がある
副作用が生じる可能性はゼロではない
自毛植毛は美容目的の治療に分類されるため、健康保険が適用されず、全額自己負担となります。また、ほかのAGA治療法に比べると、自毛植毛は費用が高額になる恐れがあります。
移植するドナーの選定から採取方法、植毛するデザイン、角度や密度の調整など、医師の経験と技術が結果に大きく影響するため、クリニック選びも重要です。また、拒絶反応や副作用が起こる可能性は低いものの、ゼロではないことを理解しておきましょう。
自毛植毛を検討する際には、これらのデメリットも医師と十分に確認し、理解した上で判断することが大切です。
ここでは、自毛植毛手術の事前の流れと、手術当日の流れをそれぞれ解説します。なお、あくまで一例のため、実際の流れはクリニックで確認しておくことが大切です。
自毛植毛手術の事前の流れは以下のとおりです。
受付の際に問診票を記入したのち、医師による薄毛の進行状態やドナーの状態、健康状態などの確認が行われます。また、施術のリスクや費用、術後の経過などについても説明を受けることになるでしょう。
その後、自分の状態や希望に合った治療計画が立てられ、移植する毛髪の本数や範囲が決定されます。不安な点や疑問点は事前に質問し、納得した上で手術を受けることが大切です。
手術当日の主な流れは以下のとおりです。
当日の体調の確認や会計を済ませ、手術室で移植箇所のマーキングや採取箇所の刈り上げを行います。そのあと、各工程で適時麻酔を挟みつつ移植元となるグラフトを採取し、採取したグラフトを移植先へ移植します。
術後は洗髪をしたのち、ガーゼと包帯で固定して完了です。抗生物質や痛み止めなどが処方されるので、医師の指示に従って服用しましょう。
自毛植毛手術後のダウンタイムは、過ごし方にも気を付けましょう。術後1週間ほどは、なるべく刺激を与えないよう、霧吹きなどで髪を濡らして洗います。また、頭皮がこすれると移植した髪が抜ける恐れがあるため、固めの枕の使用が推奨されています。
体が温まると、施術箇所に赤みが出る恐れがあるので、長時間の入浴や運動は控え、ドライヤーも冷風を使用するようにしましょう。
術後1週間ほど経つころには移植した毛髪が安定し、移植箇所と採取箇所の傷跡がある程度回復します。傷跡が回復すれば、シャンプーや入浴、運動、飲酒などもできるようになります。
術後2週間ほどで激しいスポーツやサウナなどもできるようになり、普段どおりの生活が行えるようになるでしょう。
なお、術後2〜3ヶ月ごろになると、移植した毛髪が抜け落ちる現象が起こる場合があります。それ以降は移植箇所から細い産毛の発毛が始まり、成長するにつれて太く伸びていきます。
自毛植毛の施術は、毛髪を皮膚組織ごと採取し、AGAの症状がある部分に植毛する流れで行います。自毛植毛の主な施術方法は、以下の3種類です。
FUE法
FUT法
ニードル法
FUE法とFUT法の違いは毛髪の採取方法にあり、移植の方法は共通しています。これら2つの方法とニードル法は、移植の方法が異なります。それぞれについて、特徴やメリット・デメリットを見ていきましょう。
FUE法(Follicular Unit Extraction)は、パンチブレードと呼ばれる器具を用いて、植毛するための自毛を毛包ごと1株ずつ採取する方法です。毛髪は1つの毛穴から1~4本生えており、この毛穴は「株」または「グラフト」という単位で数えられます。
採取した自毛は、移植する頭皮の箇所にメスで切り込みを入れ、ピンセットで1株ずつ移植します。後述するFUT法に比べると、高度な技術が必要で費用も高額です。しかし、メリットとして術後の痛みが少ないことや、直径1mm以下の小さなパンチを使用するため採取部分の傷跡が目立ちにくいことが挙げられます。自毛の採取は医師が手作業で行う方法に加えて、ロボットが行う「ロボット植毛」と呼ばれる方法もあります。
FUT法(Follicular Unit Transplantation)は、約10~20cmの帯状にメスで皮膚ごと自毛を切り取って採取する方法です。採取後は1株ごとに切り分け、FUE法と同様にメスで切り込みを入れて1株ずつ移植します。
頭皮を切り取ることで毛髪を採取するため、術後の痛みが強いことや採取部分の傷跡が目立ちやすいことがデメリットです。ただし、FUE法よりも費用を抑えられる点や広範囲の薄毛治療に向いている点がメリットだといえるでしょう。
ニードル法は、移植時に専用の植毛針を用いて、穴開けと植え込みを同時に行う方法です。毛髪を植毛針にセットして頭皮に刺し、毛髪を押し出すことで植毛を行います。1本1本を手作業で行うため、角度の調整がしやすく自然な仕上がりを期待できることや、傷跡が目立ちにくいことがメリットです。
一方で、針にセットできる細い毛でなければ移植できません。費用が高額で時間もかかるため、大量の植毛には不向きな方法といえます。
自毛植毛は効果的な治療法ですが、すべての方に適しているわけではありません。ほかにも内服薬の服用や外用薬の使用、メソセラピー、レーザー照射などの治療方法もあります。
以下にそれぞれの特徴をまとめました。
| AGA治療法 | 特徴 |
|---|---|
| 内服薬 | AGAを引き起こす原因である、テストステロンがDHTに変換されることを薬剤で防ぎ、脱毛を抑える |
| 外用薬 | 頭皮に塗布することで血流を改善し、毛髪の成長を促進させる |
| メソセラピー | 頭皮にAGAの治療薬や髪の栄養素を注入することで頭皮への直接的なアプローチをする |
| レーザー照射 | 特定波長のレーザーを頭皮に照射することよって、毛母細胞の活性化や血流改善を促し、毛髪の成長を促進させる |
自分に合った治療法を探すには医師に相談するのがおすすめです。近年は、オンライン診療サービスを利用して、通院せずに薄毛の相談や治療薬の処方を受けることも可能になっています。自宅や好きな場所から受診できるため、通院の時間と手間が省けるほか、夜間に受け付けているクリニックもあるため、近くにAGAクリニックがない方や忙しい方におすすめです。
自毛植毛は、自分の髪を移植するため拒絶反応のリスクが低く、生着すれば自然な仕上がりで半永久的に生え続けるというメリットがあります。しかし、自毛植毛は30〜150万円程度と費用が高額で、保険適用外であるといったデメリットもあります。
また、術後1週間ほどは体を温めないよう、長時間の入浴や運動は控え、ドライヤーも冷風を使用するなど気を遣わなければなりません。
自毛植毛にはFUE法・FUT法・ニードル法など複数の施術方法があり、それぞれ特徴が異なるため、自分の状態や希望に合わせて選択することが大切です。
また、医師の技術によって仕上がりに差が出ることがあるので、クリニック選びも慎重に行いましょう。具体的には、複数のクリニックでカウンセリングを受け、医師の経験や技術、施術実績などを確認した上で判断するのがおすすめです。
自毛植毛以外のAGA治療法として、内服薬や外用薬などの薬物治療、メソセラピー、レーザー照射などがあります。オンライン診療などを活用しつつ、自分に最適な薄毛治療法を見つけましょう。