更新日:2024年10月30日
フィナステリド(プロペシア)は妊活中も服用できる?注意すべき副作用とは
- フィナステリド(プロペシア)は妊活中も服用できる
- フィナステリドの副作用である男性機能の低下は、妊活に影響を及ぼす可能性がある
- 女性はフィナステリドを服用したり、触れたりしてはいけない
- 妊活を行う際は、フィナステリドの服用を中止してから1ヶ月は空けよう
妊活中にフィナステリドを服用したいが、「赤ちゃんに悪影響を与えてしまったらどうしよう」「妊娠しづらくなることもあるのだろうか…」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、フィナステリドが妊活に及ぼす影響について解説します。妊活中にフィナステリドを服用する場合に注意すべき副作用や、その他のAGA治療薬の妊活への影響も解説するので、妊活中にAGA治療を行いたい方は参考にしてみてください。
フィナステリド(プロペシア)は妊活中も服用できる
フィナステリド(プロペシア)は妊活中も服用できます。
フィナステリドの成分は、妊娠中や妊娠の可能性がある女性の体内に入ると、男性胎児の生殖器に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。しかし、プロペシアの添付文書によると、男性脱毛患者がフィナステリドを1日1回6週間服用した際に、精液中に溶け出した成分の量は、投与量の0.00076%であったとされています。これは、男性胎児の生殖器の発育に影響しないとされる量なのです。
とはいえ、精液にフィナステリドの成分が溶け込むのは極微量であってもゼロではなく、男性胎児に完全に悪影響を及ぼさないとは言い切れません。そのため、レバクリでは、基本的に妊活をしている方に対してはフィナステリドの処方を行っておりません。
参考:オルガノン株式会社「プロペシア錠0.2mg プロペシア錠1mg」
フィナステリド服用中に注意すべき副作用
フィナステリドには、副作用の1つとして男性機能の低下があり、この症状が妊活に影響を及ぼすことがあります。
男性機能の低下の具体的な症状には、下記があります。
性欲の減退
フィナステリドの服用によって、性欲の減退が起こることがあります。性欲が減退することで、性行為に消極的になり、妊活に影響が出る可能性があるのです。プロペシアの添付文書によると、発症頻度は1~5%未満とされています。
フィナステリドによって性欲が減退する原因ははっきりとわかっていませんが、フィナステリドが男性ホルモンに働きかける作用を持つことが原因であると考えられています。この作用によって、性欲の増進に関わるテストステロンの分泌量に影響を与える可能性があるのです。
ED(勃起障害)
フィナステリドを服用することで、EDになることもあります。プロペシアの添付文書によると、発症頻度は1%未満とされているため、発症するのは極稀であると言えます。EDを発症すると、十分な勃起が得られなかったり、勃起が維持できなくなったりするため、妊活に影響を与える可能性があるといえるでしょう。
EDの発症原因は、性欲の減退と同様にはっきりとわかっていませんが、フィナステリドの作用によって、勃起を促すのに必要なテストステロンが不足することが原因と考えられています。
精液量の減少
フィナステリドの服用によって、精液量が減少することもあります。発症頻度は、EDと同様に1%未満とされており、極めて稀に起こる症状です。
そもそも、自然妊娠を叶えるには、十分な量の精液が射精されることが必要とされています。精液量が減少してしまうと、妊娠する確率が低くなり、男性不妊を引き起こす可能性があるのです。
参考:オルガノン株式会社「プロペシア錠0.2mg プロペシア錠1mg」
女性がフィナステリドを取り扱う際は注意が必要
女性がフィナステリドを取り扱う際は注意が必要です。前述したように、妊娠中や妊娠の可能性がある女性の体内にフィナステリドの成分が入ると、お腹の中にいる赤ちゃんが男の子だった場合、生殖器の発育に異常を起こす可能性があるためです。さらに、フィナステリドは、女性に対する安全性が証明されていない薬でもあるためです。
女性がフィナステリドを取り扱う際は、錠剤を飲むことも触ることも避けましょう。フィナステリドは、口からだけでなく、皮膚からも体内に吸収されます。錠剤は基本的にコーティングされているため、通常の取り扱いにおいては有効成分に直接触れることはありませんが、錠剤が割れたり砕けたりしていると危険なので、女性は決して触らないようにしましょう。
参考:厚生労働省「プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について」
フィナステリドの服用をやめてから1ヶ月は性行為を控えよう
妊活をするためにフィナステリドの服用を休止する場合は、性交渉は服用中止から1ヶ月は空けるようにしましょう。フィナステリドの成分が血液や精液の中から完全になくなるまで1ヶ月はかかるとされているためです。
さらに、海外の研究では、フィナステリドの服用を中止した後に、精子濃度や精子の運動率が改善したという調査結果もあります。精子の数が多く、活発度が高いと、妊娠につながりやすくなります。
参考:ScienceDirect「Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters」
その他のAGA治療薬の妊活への影響
日本で厚生労働省から認可を受けているAGA治療薬は、フィナステリドのほかにも、デュタステリドやミノキシジルがあります。
ここでは、フィナステリド以外のAGA治療薬が及ぼす妊活への影響について解説します。
デュタステリド(サガーロ)の場合
デュタステリドは、フィナステリドと同様に脱毛を抑制する効果が期待できる薬です。フィナステリドとデュタステリドはどちらも5αリダクターゼの働きを阻害する作用を持っています。しかし、フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型のみを阻害するのに対し、デュタステリドは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型両方を阻害します。
海外の臨床試験によると、デュタステリドの服用による総精子数や精液量、精子運動率の変化は、それぞれ23%、26%、18%だったとされています。この値はいずれも、臨床的に影響があるとされる30%に至らないため、デュタステリドは妊活中に服用しても妊娠に影響はないとされています。
ただし、フィナステリドと同様に、デュタステリドを服用した際にも、副作用として性欲減退や勃起機能不全(ED)が起こる可能性があります。デュタステリドはフィナステリドより作用が強いことから、副作用の発現率がわずかながら高いというデータもあるため、性欲や勃起力に自信がない方は、妊活中のデュタステリド服用は控えるのがおすすめです。
参考:医薬品医療機器情報提供ホームページ「デュタステリドカプセル0.5mgAV「日医工」」
ミノキシジルの場合
ミノキシジルは発毛を促進する効果が期待できる薬です。ミノキシジルには、頭皮に直接塗布する外用薬と、錠剤タイプの内服薬があります。このうち、厚生労働省から認可を受けているのは外用薬のみですが、クリニックによっては医師の管理のもとで内服薬を処方しているところもあります。
ミノキシジルは外用薬と内服薬、どちらも妊活に影響はないとされています。なぜなら、ミノキシジルの作用は、血管を拡張する作用であり、男性ホルモンへの影響が生じないためです。
また、フィナステリドやデュタステリドのように、性欲減退や勃起機能不全(ED)の副作用も報告されていないため、妊活中に使用しても問題ありません。
まとめ
フィナステリドは、妊活中に服用しても基本的に妊娠に問題はないとされています。しかし、フィナステリドの副作用には男性機能の低下があり、性欲の減退やEDなどの症状によって、妊活に影響を及ぼす可能性があるので注意が必要です。
また、フィナステリドと同様の作用を持つデュタステリドにも、男性機能を低下させる副作用が生じる可能性があるので注意しましょう。一方で、ミノキシジルには、男性ホルモンに影響する作用がないため、妊活中に使用していても問題ないとされています。
レバクリでは、EDのオンライン診療サービスを行っています。複数の治療薬の中から症状にあったプランを医師が提案しますので、自分に合ったプランで治療を進めていきたい方はぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会