更新日:2023年12月22日
若白髪がある人は将来はげないという噂を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。実際に若白髪のある方で、本当にはげないのか気になっている方も多いでしょう。
そこで本記事では若白髪がある人は将来はげないのかについて解説し、白髪と薄毛の原因や対策方法についても紹介します。
「若白髪の人は将来はげない」という噂には医学的根拠はありません。白髪の原因と薄毛の原因は直接的な関係がなく、それぞれの発症原因は全くの別物です。
ただし、主な原因は別物ですが、それらの症状を増悪させる環境要因にはある程度共通する要素が多いのも事実です。ここでは、それぞれの発症原因と対策などについて紹介していきます。
若白髪の原因は、主に髪の黒色色素であるメラニン色素を生成する、メラノサイト(色素形成細胞)の活性が何らかの原因で低下してしまうことにあります。
メラノサイトは毛髪組織のもととなる毛母細胞に隣り合って存在しており、毛母細胞が分裂して頭髪が作られる際に、メラノサイトで生成したメラニン色素が毛乳頭細胞に取り込まれることで、頭髪が黒色になります。
メラノサイトの活性が低下する要素はいくつか存在し、ストレスや偏った食生活、睡眠不足、遺伝的影響などが挙げられます。
過度なストレスを受けると、血管の収縮や拡張を制御している自律神経が乱れ、頭皮の血行が悪くなります。頭皮の血行が悪くなると細胞の分裂やメラニン色素の材料となる栄養素が届きにくくなるためメラノサイトの活性が低下します。
また、自律神経は内臓の機能の調節も行っているため、自律神経の乱れによって食べ物からの栄養の吸収と消化も十分に行えなくなってしまいます。このため、ストレスが頭髪の成長の阻害や頭皮環境の悪化による白髪や薄毛を引き起こす要因となります。
偏った食生活を送っていると、細胞の材料となるタンパク質や脂質、細胞のエネルギーとなる糖質、メラニン色素を生成するのに必要なビタミンが不足するため、メラノサイトの活性が低下します。ビタミンでは、細胞の増殖に関わるビタミンB群、細胞の活性化に関わるビタミンC、血行促進効果のあるビタミンEなどが必要とされています。
毛母細胞やメラノサイトは、成長ホルモンの分泌によって細胞分裂や活性が促進されます。成長ホルモンのほとんどが睡眠中に分泌されるため、睡眠不足が起きると成長ホルモンによる細胞の分裂と活性化が十分に促されず、頭髪に必要なメラニン色素が十分生成されず若白髪が発生します。
医学的に解明されているわけではありませんが、若白髪は遺伝も影響するとされています。家族に白髪の多い方がいる場合は、若白髪が発生する可能性が高いかもしれません。
はげ(AGA)の主な原因は男性ホルモンです。男性ホルモンの中でも活性の高いジヒドロテストステロンが、前頭部や頭頂部に特異的に発現している男性ホルモン受容体に結合することで、脱毛や軟毛化を引き起こします。ジヒドロテストステロンはテストステロンを材料にして、前頭部や頭頂部に特異的に発現している5αリダクターゼII型によって生成されます。
AGAの原因となる男性ホルモンや男性ホルモン受容体、5αリダクターゼII型の発現量には、遺伝的影響が大きく関係しています。そのため、AGAや薄毛の家族歴がある方は症状を発症しやすいことが分かっています。
そのほかにも、AGA発症に関わる環境的要因として、白髪と同様にストレスや偏った食生活、睡眠不足などが挙げられます。ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、血流が悪化することによって毛髪の成長に必要な栄養素が不足してしまいます。また、偏った食事によって髪の成長に必要な栄養素が不足することもAGAの進行につながるでしょう。睡眠不足も、成長ホルモンの分泌不足につながり、毛母細胞の分裂が進まず、AGAの症状悪化が起こります。
AGAについて詳しく知りたい方は、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」も参考にしてみてください。
若白髪とはげの原因は別ですが、それぞれの症状を進行させる要因には、共通しているものがあります。増悪因子として生活習慣の乱れによる影響が大きいため、生活習慣を改善することで若白髪とはげのどちらの症状も改善できる可能性があります。
ここでは、若白髪とはげの対策方法について解説します。
頭髪も体の一部であり、健全な成長のためには十分な栄養を摂る必要があります。ただし、栄養をひたすら多く摂取すれば良いというわけではなく、それぞれ必要な栄養素をバランスよく摂取する必要があります。
まず、黒い髪のもととなる毛母細胞とメラノサイトの増殖・分裂のためには、細胞の材料となるタンパク質が必要です。また、それらの細胞の増殖と分裂を活性化させるためにはビタミンB群、ビタミンCなどが必要とされます。
また、ミネラルはメラニン色素を作る際に重要な栄養素です。メラニン色素は、アミノ酸の1種であるチロシンが、チロシナーゼという酵素によって変換されることで生成されます。このチロシナーゼの活性に必要なのが亜鉛や鉄分、銅などのミネラルです。白髪が気になる人はサプリメントなどでミネラルの摂取補助を行うと良いでしょう。
また、頭髪全体の健全な成長のためには、過度な脂質や糖質の摂取は控え、魚や肉類などからのタンパク質や野菜を中心としたバランスの良い食生活をするのがおすすめです。
ストレスは若白髪やはげの原因となるため、ストレスをためないようにしたり、適度にストレスを発散したりすることが重要となります。
ストレスを発散する方法としては、定期的に運動したり趣味の時間を作ったりすることがおすすめです。また、入浴時は湯船にゆっくりつかったり、十分な睡眠時間と質の確保を行ったりするのも良いでしょう。また、ストレス緩和に効果的なGABAなどが配合されたサプリメントや健康食品も販売されているので、ストレス発散する方法が思い浮かばない方は、サプリメントを使用してみるのもいいかもしれません。
十分な睡眠時間と睡眠の質を確保するのも若白髪やはげの対策として効果的です。頭髪や細胞の増殖を促進する成長ホルモンは殆どが寝ている間に分泌されます。また、睡眠不足はストレスが溜まる原因にもなってしまうため、朝起きたときに眠気が残らない程度の十分な睡眠時間と、良好な睡眠の質を維持することが重要です。
十分な睡眠時間と良好な質の睡眠を確保するためには、下記の行動がおすすめです。
就寝の際は脳の興奮を取り除くためにカフェインの摂取を控え、電気を暗くして寝ることが重要です。また、睡眠の導入を促すため、就寝の1〜2時間前に入浴時し湯船にゆっくり浸かってリラックスしたり、起床時に日光にあたり体内時計をリセットしたりするのも、質の高い睡眠を継続することにつながります。
定期的に運動を行うのも白髪や薄毛の対策として効果的です。定期的な運動習慣によって成長ホルモンの分泌が促進されたり、ストレス発散の効果が得られたりします。また、運動によって全身の血行が促進されるため、頭髪の健全な成長が促され、頭皮環境の改善などの効果があります。
また、運動を行った後にプロテインを摂取するのもおすすめです。頭髪の成長に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが摂取できるため、頭髪の健全な成長を助けることが可能です。
はげ(薄毛)が心配な人は、AGAクリニックで受診することをおすすめします。
ここまで若白髪やはげの対策として生活習慣の改善を主に取り上げてきましたが、これらはあくまで症状の緩和や改善効果を見込むものであり、根本的な治療とは言えません。 はげの根本治療のためには専門機関における医師の診断と治療が必須となります。特に男性が発症しやすいAGA(男性型脱毛症)は、早期受診と早期治療が非常に重要です。
AGAクリニックで受診すれば、医師による問診・視診・触診などによってAGAかどうかの診断が行われ、AGAと診断されると専用の治療薬が処方されます。
治療薬としては、AGAの原因となる前頭部や頭頂部でのジヒドロテストステロンを生成する5αリダクターゼの阻害薬や、頭皮の血行促進効果や毛母細胞の活性化作用があるミノキシジル外用剤などが使用されます。 このように、医学的見地に基づいた治療が行われるため、生活習慣を改善することよりも、はげの治療に大きな効果が期待できます。
AGA治療薬については、「AGA治療薬の種類・効果・副作用について、ガイドラインに基づいて解説」でも詳しく解説しています。
今回は若白髪がある人は将来はげないという噂について解説しました。白髪ができる原因とはげになる原因はそれぞれ別物ですが、それらの症状を悪化させる環境的要因には共通するものがあります。日々の生活習慣に少し気を付けるだけで若白髪やはげを予防できる可能性があるので、白髪やはげで悩んでいる人は、生活習慣の見直しをしてみると良いでしょう。
また、はげに悩んでいる方はAGAを発症している可能性が高いです。AGAは早期治療が重要な疾患のため、はげが気になっている方はAGAクリニックで受診することがおすすめです。