更新日:2025年05月26日
サウナブームにより利用者が増えているサウナは、発汗をうながすことにより健康増進を図るものです。しかし、その熱さから「サウナに入るとはげるのでは?」「AGAにつながるのでは?」という声も聞くようになりました。
サウナは、髪の毛にとって必ずしも良いものではありませんが、正しく入れば育毛効果を得られる可能性もあります。本記事では、サウナに入るとはげるといわれる理由や正しい入り方、正しくサウナに入ることによる育毛効果について解説します。
サウナと薄毛には少なからず関係性があります。その理由として、以下の3つが挙げられます。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
サウナに入るとはげるといわれる理由として、高温によるダメージが挙げられます。サウナ室の温度は80~120℃と、日常生活ではありえない高温です。髪の毛は高温に弱く、濡れた状態であれば60℃、乾いた状態でも80℃でダメージを受けてしまいます。
サウナ室に長時間入れば髪の毛のダメージが蓄積され、枝毛や切れ毛が増加してきます。その結果、髪の毛の状態が悪くなり、抜け毛や薄毛にもつながるでしょう。
乾燥によるバリア機能の低下も、サウナに入るとはげるといわれる理由に挙げられます。高温とともに、サウナ室の特徴として挙げられるのは乾燥です。髪の毛には水分が含まれており、水分があることによってバリア機能が保たれています。
しかし、サウナ室の乾燥により髪の毛の水分が蒸発した場合、髪の毛のバリア機能を保てません。その結果、髪の毛がダメージを受けやすくなり、高温によるダメージと同様に枝毛や切れ毛が増加し、抜け毛や薄毛につながってしまいます。
汗による毛穴のつまりも、サウナに入るとはげるといわれる理由です。サウナ室は高温のため、大量の汗をかきます。汗をかくと毛穴が開き、汚れや老廃物が排出されます。この効果は身体にとって悪いことではありません。
しかし、排出された汚れや老廃物を洗い流さなければ、毛穴に輩出した汚れや老廃物が詰まってしまいます。毛穴が詰まると髪の毛が生えてくる場所がなくなり、抜け毛や薄毛につながってしまいます。
サウナには大きく分けてドライサウナとミストサウナがあり、温度や湿度の違いから、髪の毛への負担も異なります。ここでは、それぞれのサウナの特徴や髪の毛への影響について解説します。
日本で多いタイプのドライサウナは、サウナ室をサウナストーブで加熱して高温にすることにより、発汗を促すものです。身体を温めることを目的としているため、70℃以上の高温になっており、高いと120℃のサウナもあります。
髪の毛がダメージを受けはじめる温度は、濡れた状態であれば60℃です。ドライサウナに長時間入れば髪の毛への負担は大きくなります。そのため、ドライサウナを利用する際は髪の毛のケアが欠かせません。
ミストサウナは、蒸気で湿度を上げて発汗をうながすサウナです。ミストサウナの温度は40~50℃前後が基本で、ドライサウナのように高温ではありません。湿度が高いこともミストサウナの特徴です。
そのため、高温や乾燥による髪の毛へのダメージが少なくなります。髪の毛へのダメージを気にするのであれば、ミストサウナの利用がおすすめです。
サウナとAGAには関係性はありません。AGAの主な原因は、悪玉男性ホルモン「DHT(ジヒドロテストステロン)」の生成です。サウナに入ったからといって、DHTが増加するわけではありません。
AGAは治療しなければ進行するため、AGAが疑われる場合はサウナの利用をやめるのではなく、早めに治療を受ける必要があります。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
サウナではげないためには、正しく入ったうえで、ケアを怠らないことが大切です。特に、ドライサウナは高温や乾燥といった髪の毛にダメージを与えやすい環境となっているため、注意する必要があります。ドライサウナの正しい入り方は以下のとおりです。
ここでは、手順ごとのポイントについて解説します。
サウナに入る前に、水分補給は欠かせません。1回のサウナで失われる水分は、平均で300~500mlといわれています。サウナの乾燥は、髪の毛のバリア機能を低下させる可能性があります。そのため、300~500mlの水分を摂ったうえでサウナに入ることが大切です。
銭湯によっては、冷水器が設置されているところもあるでしょう。繰り返しサウナに入る場合は、冷水器の水をこまめに摂取することもポイントです。
水分補給をしたら、サウナ室に入る前にシャワーを浴びます。サウナ室はさまざまな人が利用する密室空間です。
身体が汚れていたり臭いがしたりする状態で入室した場合、ほかの利用者が嫌悪感を持ってしまうかもしれません。マナーとして、シャワーを浴びて身体を綺麗にした状態で入室しましょう。
また、シャワーにより身体の皮脂を落とせば、汗もかきやすくなります。マナーとサウナ効果向上の2つの面でも、サウナ室に入る前のシャワーは欠かせません。
ただし、何度もシャンプーする行為は、毛髪や頭皮にダメージを与える可能性があります。そのため、サウナ前のシャワーではシャンプーを使わずお湯で汚れを洗い流したり、毛髪と頭皮に優しいシャンプーを利用したりしましょう。
サウナ室に入るときは、髪の毛や頭皮を保護しましょう。髪の毛を保護せずにサウナ室に入った場合、髪の毛や頭皮を守る水分が蒸発してしまい、ダメージを受けてしまいます。
そのため、サウナ室に入る前に湿ったタオルを頭に巻いたり、サウナハットをかぶったりするなど、髪の毛や頭皮を保護しましょう。
ヘアオイルを塗るのも、ひとつの方法です。ミストサウナや蒸し風呂に入り、髪の毛に潤いを与えたうえでサウナ室に入るのも良いでしょう。
サウナの基本的な入り方は、サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことです。サウナから出る時間は6~12分が目安といわれています。ただし、我慢してのぼせてしまっては、髪の毛どころか身体全体に悪影響です。汗の量や体調と相談しながら出る時間を見極めましょう。
サウナ室から出たら、かけ湯やシャワーで汗を流して水風呂へ入ります。水風呂に入ることにより、開いた毛穴が引き締まるとともに血管が収縮し、血行が促進されます。水風呂は、1~2分を目安に入りましょう。
水風呂の後は外気浴です。外気浴をすることにより、身体の緊張をほぐし、リラックスできます。外気浴の目安は5~10分です。サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことにより、細胞が活性化し、血行促進効果が高まります。
サウナから上がったら、再び洗髪しましょう。サウナで汗をかくと、毛穴が開き、汚れや老廃物が排出されます。シャンプーせずに上がった場合、頭皮の毛穴が詰まったり、雑菌が繁殖してしまったりする可能性があります。
そのため、サウナ後にもシャンプーをして頭皮の汚れを落とすことが大切です。ただし、強い力で擦るように洗ってしまった場合、必要な皮脂まで落としてしまい、乾燥や炎症を引き起こす恐れがあります。
そのため、シャンプー時は優しく丁寧に汚れを洗い流しましょう。シャンプーは、頭皮に優しいアミノ酸系のものがおすすめです。ヘアパックやトリートメントをすれば、髪の毛に水分を与えられます。
サウナ後は水分補給を忘れてはいけません。サウナ前と同様に、300~500mlの水分を補給しましょう。サウナで汗をかいたことにより、塩分やビタミンCを失っています。そのため、ミネラルウオーターよりも、電解質の入ったスポーツドリンクを摂ると良いでしょう。
サウナは、間違った方法で入れば薄毛につながる可能性がある一方、正しく入れば間接的な育毛効果が期待できます。育毛効果が期待できる理由として挙げられるのは、以下の4つです。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
サウナに正しく入ることにより、血行促進による頭皮環境の改善効果が期待できます。老廃物が頭皮に残った場合、髪の毛への栄養の吸収を妨げたり、血流が悪化したりするため、抜け毛につながる可能性があります。
しかし、サウナで汗をかけば、頭皮の皮脂や汚れが取り除かれ、頭皮を清潔に保つことが可能です。頭皮を清潔に保てる以外にも、サウナに入ることにより、以下のような変化が身体に起こります。
これらの変化は、直接的な育毛効果があるわけではありません。あくまでも栄養を髪の毛に届けられる環境を作ることにより、間接的な育毛効果を得られるものです。血行促進効果を高めるためには、サウナの出入り回数が重要です。
サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことにより、サウナの出入り回数を増やせ、間接的な育毛効果を得られます。ただし、サウナの出入り回数が多ければ良いわけではありません。自分の負担にならないように、サウナに入ることが大切です。
サウナ・水風呂・外気浴は、3セットを目安に繰り返すと良いでしょう。
サウナによる育毛効果として、自律神経の調整による髪の毛の正常な成長を促進できる効果が挙げられます。
抜け毛や薄毛の原因のひとつとして挙げられるのが、ストレスです。ストレスにより自律神経が乱れた場合、血管が萎縮されて髪の毛に栄養が行きわたらず、抜け毛や薄毛につながるケースがあります。
サウナの正しい入り方は、サウナ・水風呂・外気浴を繰り返すことです。この3つは、自律神経に対して以下のような働きがあります。
副交感神経は血管を膨張する働きがある一方、交感神経は血管を収縮する働きがあります。そのため、サウナ後に水風呂に入れば、血管の膨張と収縮を強制的にうながします。外気浴は活発になった自律神経を整えるために欠かせません。外気浴でリラックス状態になれば、血管の動きを休ませられます。
サウナ・水風呂・外気浴の繰り返しで自律神経を調整できれば、身体的な効果だけでなく、精神的なストレスも和らぎ、髪の毛の正常な成長を期待できるでしょう。
良質な睡眠による成長ホルモンの分泌も、サウナによる育毛効果に挙げられます。髪の毛の成長には、成長ホルモンが欠かせません。睡眠には浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」があり、90分を目安に交互に繰り返している状態が正常な睡眠です。
成長ホルモンは、「ノンレム睡眠」時に分泌されています。ノンレム睡眠の時間が短ければ、成長ホルモンの分泌が少なくなり、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすかもしれません。良質な睡眠をとり、ノンレム睡眠の時間を増やすことが、髪の毛の成長にとって重要といえます。
良質な睡眠をうながすのが、サウナ・水風呂・外気浴の交代浴です。サウナで芯から温まれば体温が上がりますが、水風呂に入ることにより下がります。その後の外気浴で体温が調整されていくものの、血行促進により身体の表面は温かく感じるはずです。
体温の上げ下げが発生することにより、心地よい疲労感を得られるとともに、身体の芯からの温かさは残ります。この状態で睡眠に入れば深い眠りに入れ、良質な睡眠を期待できます。
ヒートショックプロテインが増加することも、サウナによる育毛効果のひとつです。人間は、年齢とともに毛穴の奥のコラーゲンが少なくなり、毛包が小さくなります。
毛包が小さくなれば、髪の毛を生成する細胞の働きも悪くなります。そのため、育毛には毛穴の奥のコラーゲンの増加が欠かせません。
コラーゲンを増やす働きを助けてくれるものが、ヒートショックプロテインです。ヒートショックプロテインとは、細胞の損傷を防ぐタンパク質のひとつのことで、免疫力の向上や代謝の促進だけでなく、毛穴の奥にある毛母細胞が分裂して髪の毛の生成を促進する働きを持っています。
サウナに入ると、高温により体内にあるタンパク質が損傷しますが、その際に増加するのがヒートショックプロテインです。
増加したヒートショックプロテインは、毛穴の奥のコラーゲンの増加を助けます。サウナで温まることによりヒートショックプロテインが増加すれば、間接的に育毛促進につながります。
ただし、長時間サウナに入った場合、熱による髪の毛のダメージの方が大きくなるため、ヒートショックプロテインでの修復が追いつきません。そのため、サウナの入りすぎは悪影響になることを覚えておきましょう。
サウナと薄毛には少なからず関係性があり、高温や乾燥によるダメージや、汗による毛穴のつまりといった影響は、抜け毛や薄毛につながる恐れがあります。
サウナには、ドライサウナとミストサウナがあり、高温や乾燥といった髪の毛にダメージを与えやすい環境となっているのはドライサウナです。
ただし、正しくサウナに入れば、血行促進や自律神経が調整され、間接的な育毛効果を得られます。正しいサウナの入り方は以下のとおりです。
サウナに入っているときではなく、前後のケアが頭皮の環境に影響するため、ケアを怠らないようにしましょう。
サウナは、間違った入り方をすれば抜け毛や薄毛になる可能性があるものの、AGAとの関係性はありません。AGAは治療しなければ進行してしまうため、AGAの症状が疑われる場合は、早めに治療を受けましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)