更新日:2025年05月26日
抜け毛がひどく悩んでいる人もいるでしょう。抜け毛には正常な抜け毛と異常な抜け毛があるため、自分がどちらに該当するのか理解しておくことが重要です。
本記事では、抜け毛のメカニズムや8つの原因について解説します。あわせて、抜け毛の対策・予防法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。気になる場合は、専門医への相談もあわせて検討しましょう。
人の髪の毛は、ヘアサイクルと呼ばれる生え替わりの周期によって、発毛・脱毛を繰り返します。
ヘアサイクルは、成長期・退行期・休止期の3つです。成長期で2〜6年かけて髪の毛が成長し、退行期では2〜3週間かけて髪の成長が止まります。その後、3か月ほどの休止期を経て、髪が自然と抜け落ちていくのが一般的な流れです。
その後、しばらくすると再び発毛します。しかし加齢やストレス、ホルモンバランスの乱れによってヘアサイクルのバランスが崩れることで、抜け毛を引き起こしてしまいます。
抜け毛には正常な抜け毛と異常な抜け毛の2種類があるため、自分がどちらのパターンの抜け毛なのかを把握することが重要です。
正常な抜け毛の場合は、前述したようなヘアサイクル(2〜6年)で髪の毛が成長し、自然と脱毛していきます。また、正常な抜け毛の場合は、1日の抜け毛の数は50〜100本程度です。
<見分け方>
正常な抜け毛かどうかを見極めるには、抜け毛の長さや太さをチェックしてみてください。毛根が白くふっくらしていていれば正常です。
また、毛根にはかたまり(ゼリー状の)が付着しています。毛根鞘は頭皮と毛髪とをつなぐ接着剤のような役割を担い、毛根を毛根鞘がうっすら包み込んでいる状態であれば、正常な状態だといえるでしょう。
何かしらが原因となってヘアサイクルが乱れると、成長期が短縮されることがあります。100本以上抜け毛がある場合は、異常な抜け毛といえるでしょう。
<見分け方>
異常な場合、毛根が細くて弱々しい見た目なのが特徴です。毛根がギザギザしていたり、ふくらみがなかったりする場合は、髪の成長に悪い影響が出ている恐れがあります。
また、1本1本の髪の毛が細かったり、やわらかい、急に抜け毛が増えた、髪質が変化したと感じるといったような人は、早めに対策するようにしましょう。
なぜ抜け毛は起こるのでしょうか?主な抜け毛の原因は、次の8つです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
加齢とともに、毛包と呼ばれる皮膚組織が小さくなります。毛包の役割は、頭皮の内側で毛根を生成したり、髪の毛が抜けないように保護したりすることです。しかし、加齢によって毛根の機能が低下すると、髪の毛が十分に成長できないまま脱毛してしまうため、抜け毛が増えてしまいます。
加齢を止めることは不可能なため、ある程度抜け毛が増えるのは仕方のないことと理解しておきましょう。
特定の病気や疾患も、抜け毛の原因です。抜け毛の原因となる病気・疾患には、次のようなものがあります。
早めの治療が望ましいものも存在するため、それぞれの症状や対処法についてはしっかり理解しておくことが重要です。
AGAとは、「AndrogeneticAlopecia」の略で、男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)のことを指します。生え際や頭頂部の毛髪が薄くなるのが特徴で、成人男性特有の進行性の脱毛症です。男性ホルモンの影響や遺伝が主な原因だといわれています。
AGAは放置したままだと進行していく可能性があるので、早めの治療が大切です。
円形脱毛症とは、皮膚の免疫に異常が起きることで発症する脱毛症です。円形型の脱毛斑が頭部に現れるのが特徴で、重症化すると全身に脱毛が及ぶ場合もあります。
初期症状として、頭部に地肌が見える部分ができたり、爪に小さなでこぼこができたりするといった症状があらわれます。ただし、円形脱毛症はわからないことが多い病気で、人によって必要な治療などは異なります。自分自身でケアするのではなく、医師による適切な治療を受けることが望ましいでしょう。
脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が盛んな部位に発症し、皮むけや赤みなどを引き起こす病気です。髪が抜けるのと同時にフケが多かったり大きなフケが出たりする、頭皮が赤く炎症を起こしているといった症状がある場合、脂漏性皮膚炎が疑われます。
脂漏性皮膚炎を引き起こす原因には、発汗やビタミン不足のほか、マラセチアというカビが関係することもあります。日頃からビタミンB群を多く含む食材を積極的に摂るようにし、脂質・香辛料・糖分・アルコールなどを控えることが望ましいでしょう。
初期状態であれば、こまめな洗髪・食生活の見直しなどで症状を抑えられます。重症化すると湿疹ができたり、抜け毛がさらに多くなるため、はやめに医療機関を受診しましょう。
遺伝的な要素も、抜け毛の原因のひとつです。遺伝子は、髪の毛の成長サイクルや脱毛症の可能性に影響を与えることがわかっています。そのため、親や近親者で抜け毛・薄毛に悩んでいる人がいる場合、将来的に同じ状況になる可能性が高くなるといえるでしょう。
家族に薄毛の人がいる場合は、早めに予防策をとることをおすすめします。
ストレスも抜け毛の原因のひとつです。ストレスにより自律神経が不安定になり、ホルモンバランスが乱れます。ホルモンバランスが乱れると皮脂分泌を促すため、頭皮のベタつきや抜け毛、フケなどの頭皮トラブルを招く恐れがあるため注意しましょう。
また、ストレスを感じている間は心身が緊張状態にあり、血管が収縮して血流が悪化してしまいます。血流が悪くなると育毛が阻害され、抜け毛の恐れも高まってしまうため、なるべくストレスを溜め込まないようにするようにすることが重要です。
食生活の乱れや睡眠不足、運動不足、過度な飲酒など生活習慣の乱れも、抜け毛が増加する原因といわれています。なかでも、生活習慣でとくに注意すべきなのが高脂質な食事です。
2021年に発表された東京大学医科学研究所「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明」では、脱毛症の発症に高脂肪食の摂り過ぎや遺伝性の肥満が関連するとの結果が報告されています。脂質の多い食べ物を高頻度で摂取する人は、そうでない人に比べて毛包の働きが低下しやすいことが明らかにされました。
そのほか、睡眠の質も髪の成長に影響を与える要素です。睡眠中は育毛を促す成長ホルモンが多く分泌される一方で、睡眠の質が低下すると成長ホルモンの分泌が阻害されます。抜け毛の増加につながると考えられているため、しっかりと睡眠時間を確保するようにしましょう。
参考:東京大学医科学研究所「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明」
皮膚に日焼けなどのトラブルを起こす紫外線は、頭皮にも悪影響を及ぼします。日常的に頭皮に紫外線をうける環境で過ごした場合、頭皮は乾燥して硬くなり、毛髪が育ちにくい環境になりがちです。抜け毛を防ぐのであれば、紫外線対策もしっかり行いましょう。
誤ったシャンプー・ヘアケアも、抜け毛の原因です。とくに、次のようなことに心当たりがある場合は、習慣の見直しを行いましょう。
シャンプー時に爪を立てて洗ったり、シャンプーのすすぎ残しがあったりすると、頭皮がダメージを受けてしまいます。1日に複数回の洗髪や洗浄力の強いシャンプー剤の使用は、必要以上に皮脂を洗い流してしまい、頭皮が乾く原因になります。頭皮の乾燥は、頭皮環境の悪化や皮脂の過剰分泌につながります。抜け毛の増加を招く恐れがあるため、注意しましょう。
髪の毛や頭皮に影響のあるヘアスタイルやパーマ、カラーリングも抜け毛を引き起こす原因となるため注意しましょう。
髪の毛を引っ張るようなヘアスタイルを長時間続けていると、頭皮がダメージを受けてしまい、髪が弱くなったり細くなったりする恐れがあります。これは牽引性脱毛症と呼ばれるもので、毎日同じ位置で髪を結んだり、ヘルメット・帽子を着用したりする習慣のある人に多く認められるのが特徴です。髪を結ぶ習慣がある人や日常的にヘルメット・帽子を着用する人は、習慣を見直してみましょう。
また、パーマやカラーリングも、使用する薬剤や頻度によって髪や地肌が傷み、抜け毛が増える原因になります。そのほか、ワックスやジェル、ヘアスプレーなどの整髪料も髪の毛に影響を及ぼす恐れがあるため、使用した場合はしっかりとシャンプーをし洗い流すことを心掛けてください。
最後に、抜け毛の対策・予防法を4つ紹介します。
抜け毛が気になる場合は、ここで紹介する方法を試してみてください。
抜け毛の原因となるストレスを溜め込まないようにしましょう。ストレスを管理することは、抜け毛対策はもちろん、心身の健康にとっても重要です。
以下のようなことを心掛けて、リフレッシュをしましょう。
ストレスは血流を悪化させる原因になるため、日頃から対策をして頭皮の血流改善に努めましょう。
生活習慣の改善も、抜け毛対策として効果的です。たとえば、適度な運動をすれば頭皮に栄養や酸素を運ぶ末梢血管の血流がよくなります。睡眠のリズムを整えたり、ストレス緩和に役立ったりと、全身の健康維持にも役立つでしょう。
また、髪の毛や頭皮によい栄養素を積極的に摂ることも重要です。髪の毛は、主にタンパク質で構成されています。健康な頭皮環境を育むためには、タンパク質や亜鉛、鉄分などを摂るようにしましょう。
栄養素と役割については、次のとおりです。
睡眠不足も髪の成長に悪影響を及ぼします。質のよい睡眠をしっかり取ることが大事です。
正しいシャンプーの仕方を理解することも大切です。次の手順に従って、正しいシャンプー方法を身につけましょう。
洗髪後は、ドライヤーでしっかり乾かすようにしてください。毎日のシャンプーの仕方を見直すだけで、抜け毛改善は十分見込めます。
AGAや円形脱毛症などの病気が原因の場合は、適切な治療をうけることで改善が期待できます。症状が改善せず気になる方は、医師に相談してください。
近場で通える病院がない、中々仕事が休めず時間が取れないといった場合は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。オンライン診療であれば、その他にも以下のようなメリットがあります。
抜け毛を大別すると、正常な抜け毛と異常な抜け毛の2種類があります。まずは、自分がどちらのパターンの抜け毛なのかを把握することが重要です。
抜け毛の原因には加齢やストレス、遺伝などさまざまな要素が考えられます。なかでも、病気が原因の場合は、治療を早期に始めることで高い効果を期待できるため、早めの受診がおすすめです。
忙しくて時間が取れないという人は、オンライン診療を検討してみてはいかがでしょうか。通院する手間がなく、時間や場所にとらわれずに診察を受けられる点がメリットです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)