更新日:2025年05月26日
年齢を重ねると気になってくるのが、薄毛や抜け毛をはじめとする髪の毛のトラブルです。そういった症状に対して有効なのが、薄毛治療薬の1つであるミノキシジルです。医療用だけではなく市販薬としても購入できるため、ミノキシジルでの治療を検討する方も少なくないでしょう。
そこで本記事では、ミノキシジルの治療効果や効果が出るまでの期間、副作用、使用する際の注意点について解説します。
「ミノキシジル」という名称は、商品名ではなく、薬に含まれる有効成分名です。今では薄毛治療薬として使用されるミノキシジルですが、実は他の病気を治療する薬として開発されていた経緯があります。
ここでは、ミノキシジルの開発経緯や特徴について見ていきましょう。
ミノキシジルは、1979年にアップジョン社(現在のJohnson&Johnson社)が高血圧治療薬として開発した有効成分です。高血圧治療薬として服用した方に対して多毛や発毛などの副作用が現れたため、調査を行ったところ、ミノキシジルに発毛促進効果があることが判明しました。そこで、ミノキシジルを薄毛の治療薬として研究を進めることになり、1980年代にミノキシジル配合の発毛剤が発売されました。
日本においても、ミノキシジルは薄毛に悩む男性向けの一般用医薬品の成分として販売されています。1999年に大正製薬からミノキシジルを1%配合した外用薬が発売されたのが、始まりです。
ミノキシジルには内服薬と外用薬があります。ただし、内服薬は国内では市販されていません。その理由は、副作用が多く、自己判断で薬を服用するリスクが大きすぎると考えられているためです。
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、ミノキシジルを主成分とする高血圧治療薬Lonitenには重篤な副作用があるとし、薄毛治療目的での使用は避けることと推奨しています。また、内服薬のミノキシジルの個人輸入には、偽物のミノキシジルが紛れているなど、健康トラブルや金銭トラブルのリスクがあります。
一方、外用薬のミノキシジルは市販薬として販売されており、日本国内でも手軽に購入できます。ただし、ミノキシジルを配合する市販薬は第一類医薬品に分類されるため、クリニックまたは薬剤師のいる薬局でなければ購入できません。また、日本で市販されているものは、ミノキシジルの濃度が最大でも5%までと規定されています。さらに高濃度の薬を手に入れたい場合には、クリニックへの相談が必要です。
自身の薄毛の悩みに対して、ミノキシジルが有効なのか気になる方もいるでしょう。また、ミノキシジルがどういった仕組みで作用するのか知りたい方もいるかもしれません。
ここからはミノキシジルが作用する「AGA」「壮年性脱毛症」とはどういった症状かを解説し、ミノキシジルが作用する仕組みについてお伝えします。
ミノキシジルは、脱毛症のなかでも「壮年性脱毛症」と呼ばれる、30〜50代に多く見られる脱毛症に効果を発揮する薬剤です。壮年性脱毛症は「AGA(男性型脱毛症)」とも呼ばれています。
壮年性脱毛症やAGAは、男性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れることにより、薄毛が進行する病気です。
AGAでは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼと呼ばれる体内の酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換されます。DHTがアンドロゲンレセプターに作用すると、脱毛因子と呼ばれるTGF-βが生成され毛母細胞の増殖を抑制したり、軟毛化を引き起こしたりします。その結果、薄毛や抜け毛といったAGA症状が現れるのです。
ミノキシジルの作用については、十分に解明されていない部分もあります。髪の毛を作り出す役割を担う毛包に直接作用し、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することで活性化させると考えられています。
高血圧治療の効果をもつミノキシジルには、血流を促進する働きがあるとされます。血管が広がり、血流が促されると、栄養や酸素が細部まで届き髪の成長が期待できるでしょう。
ミノキシジルは使ったからといって、すぐに効果が現れるわけではありません。「数日使ってみたけど効果が現れなかった」場合でも、継続して使用しましょう。
どのくらいの期間ミノキシジルを使用すれば効果が現れるのか、具体的に見ていきましょう。
ミノキシジルには、血行促進によって発毛シグナルを促す効果があります。徐々にヘアサイクルを整え、薄毛や抜け毛を治療する薬剤です。ヘアサイクルの周期は、約2年〜6年と個人差があります。
ミノキシジルでの治療は、最低でも3~6ヶ月は使用を続けましょう。途中で使用をやめてしまうと、発毛効果が十分に得られないまま治療を終えてしまうことになります。
ミノキシジルの効果を高めるためには、生活習慣の見直しも必要です。乱れた食生活や過度なストレス、運動不足、睡眠不足などの生活習慣は血行を悪化させ、ミノキシジルの血行促進効果を阻害してしまいます。
バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけ、適度にストレスを解消しましょう。
ミノキシジルは薬である以上、副作用が起きるリスクは避けられません。しかし、副作用の特徴を知って早期発見・早期対処ができれば、副作用の重篤化を防ぐことができます。
ミノキシジルの外用薬・内服薬における副作用に関する特徴は、下表のとおりです。
ミノキシジル外用薬による副作用の特徴 | ミノキシジル内服薬による副作用の特徴 |
頭皮のかゆみや発疹、かぶれなど使用部位の皮膚障害が多く見られる。 | 血圧低下や動悸、めまいなど循環器系の副作用が起きることがある。肝機能障害にも注意が必要。 |
ミノキシジルの副作用について、外用薬と内服薬に分けて解説します。
リアップX5・リアップ5の「再審査報告書」によると、ミノキシジル外用薬の副作用発現率は8.82%と報告されています。代表的な副作用として、以下の症状があげられます。
また、突発性難聴やアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用も報告されている反面、年齢や既往歴、合併症などが関係するものであり、発現頻度も極めて低い状況です。これらのことから、ミノキシジル外用薬は比較的安全性が高いといえます。
安全性が高いとはいっても、副作用が気になる方もいるでしょう。副作用を起こさないように使用するポイントは、のちほど解説します。
ミノキシジル内服薬は直接体内に取り入れるため、全身に関与する副作用のリスクが高いのが特徴です。ミノキシジル内服中は、以下の副作用に注意が必要です。
とくに血圧が不安定な人や、心臓疾患のある人は持病を悪化させることもあるため、服用する前にかかりつけ医に相談しておきましょう。
また、ミノキシジルには肝機能に影響を与える可能性があります。肝機能障害の副作用は、頻度の高い副作用ではありません。しかし、重篤化すると肝不全につながる可能性があるため、定期的な血液検査を受けましょう。
ミノキシジルを使用するときには、いくつかの注意点があります。注意点を守らずに使用すると、うまく効果が現れなかったり、副作用のリスクが高くなったりするでしょう。
ここからは、ミノキシジルを使用する際の注意点を解説します。
ミノキシジルを使用するときは、用法用量を守りましょう。ミノキシジル外用薬を20歳以上の男性が使用する場合、1日に2回使用してください。有効成分の量が一定となるように、8時間程度の間隔を開けて、朝と晩に塗布しましょう。薬を塗った後は、頭皮を軽くマッサージするとより効果的です。
1回に使用する量は、商品によって異なります。多く使用したからといって、効果が上がるわけではないため、指示された使用量を守りましょう。また、薄毛が気になる部分だけに使用し、傷や湿疹があるところには塗らないようにしてください。
ミノキシジルを使用するときは、他の薬との併用に注意する必要があります。
ミノキシジル外用薬を使用している間は、他の育毛剤や外用剤との併用は避けましょう。頭皮のかぶれや発疹など、皮膚トラブルの原因となる可能性があります。
ミノキシジル内服薬には、併用禁忌薬があります。市販の痛み止めや風邪薬に配合されるイブプロフェンやED薬、片頭痛治療薬のイミグランなどです。さらに血圧に作用する薬も、ミノキシジルと併用することで効果に影響を与える可能性があります。
服用中の薬がある場合には、併用してもよいか医師や薬剤師に相談しましょう。
フィナステリドは、ミノキシジルと同様にAGA治療に用いられる内服薬です。ミノキシジルは発毛を促すのに対し、フィナステリドは薄毛を予防しAGAの進行を遅らせます。ミノキシジルと違い、性欲減退や男性機能低下などの副作用が報告されているため、服用の際は注意が必要です。
また、併用するとAGAの治療効果をより高めるといわれています。フィナステリドは市販されていないため、処方を受けるには医師の診断が必要です。通販サイトを利用した個人輸入は、医薬品そのものが正規品であるか怪しいケースも多く、おすすめできません。トラブルのリスクが高いため、利用を避けた方がよいでしょう。
ミノキシジルの内服薬を個人輸入することには、リスクが伴います。ミノキシジルは、クリニックまたは薬剤師のいる薬局で購入しましょう。
オンライン診療であれば、自分の都合のよい時間に医師の診断を受けられ、薬も購入できます。仕事で忙しい人やクリニックへ足を運ぶことに抵抗がある人も、安全性の高いAGA治療薬を購入できるため、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ミノキシジルは発毛効果が期待できるAGA治療薬の1つです。
日本国内ではミノキシジル内服薬は市販されていない一方、外用薬はクリニックや薬剤師のいる薬局で購入できます。安全性が高く、発毛効果が見込める方法として、ミノキシジルでの治療を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、外用薬を購入する場合でも、年齢や既往歴によっては医師や薬剤師への相談が必要となるケースもあります。オンライン診療であれば、自分の都合に合わせて医師の診察を受けられます。通院する時間がない人や、クリニックに足を運ぶのに抵抗がある人でも気軽に利用できるのが特徴です。
レバクリでは、AGAのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)