更新日:2025年05月26日
女性の脱毛症には、びまん性脱毛症や円形脱毛症、休止期脱毛などがあります。女性の脱毛症は、加齢による女性ホルモンの変化やストレス、生活習慣の乱れなどによって引き起こされます。セルフケアで改善が見込めることもありますが、改善しない場合は医療機関での治療が効果的です。
本記事では、女性に生じやすい脱毛症の種類や原因、対処法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
ここでは、女性に生じやすい脱毛症を解説します。主な脱毛症は、以下の8つです。
それぞれ確認しましょう。
びまん性脱毛症は、女性の脱毛症の中でも多い脱毛症です。びまん性脱毛症の「びまん」には「一面に広がる」という意味があり、髪全体のボリュームがなくなるのが特徴です。
ストレスやホルモンバランスの乱れ、不規則な生活習慣などが原因といわれています。特定の原因によるものではなく、複数の原因が絡み合って生じるケースが多いのも特徴です。
円形脱毛症は、円形や楕円形に髪の毛が抜ける脱毛症を指します。ゆっくりと症状が進行するのではなく、突然髪の毛が大量に抜け落ちるのが特徴です。年齢や性別にかかわらず誰でも発症しうる脱毛症ですが、女性に多い傾向があります。
円形脱毛症の種類は、以下の5つです。
円形脱毛症は、ストレスが原因というイメージが強い人もいるかもしれません。しかし、実際にはさまざまな原因によって引き起こされます。具体的な原因は、自己免疫疾患やアトピー、女性ホルモンの減少などです。
休止期脱毛症とは、通常のヘアサイクルが乱れることで生じる脱毛症です。
通常髪の毛は、数年成長したあとに自然に抜け落ち、同じ毛穴から新しい髪の毛が生えてきます。これをヘアサイクルと呼び、大きく成長期・退行期・休止期の3段階に分類されます。休止期脱毛症は、本来であれば成長を続けるはずの髪の毛が、何らかの原因により急速に休止期に移行することで生じる脱毛症です。
休止期脱毛症は、ストレスや感染症、内科的疾患、薬の服用、過度なダイエットなど、さまざまな原因によって引き起こされます。誘因となる出来事から発症まで2〜3ヶ月ほどかかるため、原因に心当たりがない方も少なくありません。
脂漏性脱毛症とは、皮脂の過剰分泌で毛穴が塞がり、炎症を起こすことで生じる脱毛症のことです。脂漏性脱毛症は、放置すると脂漏性皮膚炎を発症し、激しいかゆみや痛みを引き起こすことがあります。
脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰分泌が主な原因です。皮脂の分泌量を増やさないよう、脂質や刺激物の摂り過ぎは避けるようにしましょう。
粃糠性脱毛症とは、大量のフケが毛穴を塞ぎ、炎症を起こすことで生じる脱毛症のことです。髪の毛全体が薄くなり、かゆみや乾いたフケを伴います。
粃糠性脱毛症の原因は、頭皮トラブルです。シャンプーやヘアケア剤が肌にあっていないなど、ヘアケアの方法が間違っていると、頭皮環境が悪くなって粃糠性脱毛症を引き起こす可能性が高くなります。
敏感肌の方は、頭皮も敏感です。肌に優しいシャンプーやヘアケア剤などを選び、負担をかけない頭皮ケアを心がけましょう。
分娩後脱毛症(産後脱毛症)とは、出産してから2〜3ヶ月ほど経ったころに生じる脱毛症のことです。妊娠中は女性ホルモンが増加しますが、出産すると分泌量が元に戻ります。分娩後脱毛症は、妊娠・出産期の女性ホルモン分泌量の急激な変化によって生じるものです。
発症時期や抜け毛の程度には個人差がありますが、通常、半年〜1年ほどで落ち着くため、それほど心配する必要はありません。
疾患や薬の服用も、脱毛症を引き起こします。脱毛症を引き起こす疾患は、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能異常症、膠原病、亜鉛欠乏症などです。
薬の中でも抗がん剤は、成長期の髪の毛にダメージを与え、大量の抜け毛を引き起こします。また、抗がん剤以外の薬でも髪の毛が抜け落ちることがありますが、服用を中止することで、自然な回復を見込めるでしょう。
牽引性脱毛症は、髪を結んだときに負担となる前髪の生え際や、こめかみなどの髪の毛が薄くなる脱毛症です。いつも同じように髪の毛を結んでいると、長時間引っ張られ、負担がかかる箇所が徐々に薄くなる恐れがあります。
牽引性脱毛症を防ぐには、こまめにヘアスタイルを変えることや、強く結ばないように心がけることが大切です。
女性の脱毛症の主な原因は、以下の4つです。
それぞれの原因について解説します。
脱毛症の原因の一つは、加齢による女性ホルモンの変化です。女性は年齢を重ねると、エストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは生殖器官の働きを促し、肌や髪の潤いをもたらすホルモンです。
更年期になると、エストロゲンの分泌量が急激に減少します。そのため、髪の毛が細くなったり、抜け毛が増えたりする可能性が高まります。
ストレスも女性の脱毛症を引き起こす原因の一つです。継続的にストレスを感じると、交感神経の働きが活発になり血管が収縮します。血管が収縮することで血液の流れが悪くなり、頭皮や髪の毛に十分な栄養が行き届かなくなります。十分な栄養が行き届かないと、健康な髪の毛が育ちづらくなるでしょう。
生活習慣の乱れも、女性の脱毛症を招く原因です。睡眠不足や喫煙、食生活の乱れ、過度なダイエットなどは、ホルモンバランスを乱し、髪の毛の成長に悪影響を及ぼします。
特に睡眠不足は、髪の毛の成長を阻害する大きな要因です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、細胞の新陳代謝を促して美髪を育みます。睡眠不足や、良質な睡眠が取れないような場合は、十分に成長ホルモンが分泌されません。
そのほか、タバコのニコチンも髪の毛の大敵です。ニコチンは血管を収縮させるため、血行が悪くなり、必要な栄養が頭皮に行き届かなくなる恐れがあります。食生活の乱れや過度なダイエットは、栄養不足を招いて薄毛・抜け毛を引き起こしてしまうでしょう。
女性の脱毛症の原因の一つは、誤ったヘアケアです。洗浄力の強いシャンプーでゴシゴシ洗ったり、1日に2回以上シャンプーしたりすると、頭皮に負担がかかります。
ほかにも、カラーやパーマのしすぎも頭皮にダメージを与えるため、脱毛症の原因となる可能性があります。
女性の脱毛症を改善する方法には、以下の5つが挙げられます。
それぞれの対処法を解説します。
生活習慣を整えることは、脱毛症の改善に効果的です。栄養バランスの取れた食事や適度な運動、良質な睡眠は、健康な髪の毛を育てるために欠かせません。
食事面では、タンパク質・亜鉛・鉄分・ビタミン類などを積極的に摂取しましょう。大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンと似た働きをするため、特に更年期の女性におすすめです。
女性の脱毛症を改善するには、ヘアケアを見直すことも大切です。シャンプーは、マイルドな洗浄力のアミノ酸系を選ぶとよいでしょう。
土台となる頭皮を清潔に保つことは重要ですが、自身の髪の毛を清潔に保ちたいことを理由に、1日に何度もシャンプーをするのは逆効果です。シャンプーは1日1回にとどめ、すすぎ残しがないようきれいに洗い流します。シャンプー後は、コンディショナーで髪の毛を保護しましょう。
入浴時や睡眠前に頭皮マッサージをするのも一案です。頭皮の血行が促進され、栄養が頭皮のすみずみにまで行き渡りやすくなります。
ストレスを発散し、溜め込まないことも女性の脱毛症の予防・改善のために大切です。過度なストレスは、脱毛症の原因になるだけでなく、心身の健康に悪影響を及ぼします。
深呼吸する・散歩する・ゆっくり湯船につかるなど、簡単に取り入れられるストレス発散法を実践してみましょう。趣味を楽しんだり信頼できる人に悩みを話したりするのも有効です。
さまざまな対処法を試してみても改善が見られない場合、医療機関で治療するのも一つの方法です。女性の脱毛症は、複数の原因が絡み合っている場合があり、セルフケアでは改善が見られないことが多くあります。
医療機関であれば、それぞれの症状や体質にあった治療が望めます。脱毛症で悩んでいる場合、医療機関で治療したほうが、早い改善が見込めるでしょう。
脱毛症で悩んでいる方におすすめなのが、オンライン診療の活用です。脱毛や薄毛といったデリケートな悩みの場合、医療機関に行くのは気が引ける方も多いでしょう。オンライン診療であれば、人目を気にせず医師に相談ができます。
オンライン診療は、時間や場所にとらわれず診療を受けられる点もメリットです。基本的に薬は自宅に配達してもらえるため、わざわざ薬局に出向く必要もありません。仕事で忙しい方にもおすすめです。
女性の脱毛症には、びまん性脱毛症や牽引性脱毛症などさまざまな種類があります。脱毛症の原因は、加齢による女性ホルモンの変化やストレス、生活習慣の乱れなどです。脱毛症を改善するには、規則正しい生活習慣やストレス発散を心がけましょう。
セルフケアで改善が見込めない場合は、医療機関で治療するほうが早い改善が期待できます。人目が気になり、医療機関での治療をためらう方におすすめなのがオンライン診療です。
オンライン診療であれば、自宅にいながら都合のよい時間に診療が受けられます。基本的に薬は自宅に配達されるため、薬局まで出かける必要もありません。「忙しくてなかなか医療機関に行けない」という方も、ぜひ利用してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)