更新日:2025年05月26日
抜け毛は男性だけではなく、女性にとっても悩みの一つとなることがあります。適切な対策を取るには、女性の抜け毛の原因について知ることが大切です。
本記事では、女性の抜け毛によくある原因を年代別に紹介します。加えて、年代を問わず抜け毛を招く原因にも触れます。日常生活の中で実践できる対策方法も紹介するため、ぜひ改善に役立ててください。
女性は年代ごとにライフステージが変わり、ホルモンバランスも変化します。以下では、女性の年代別に抜け毛の原因を見ていきましょう。
20代女性における抜け毛の原因として考えられるものは、以下の通りです。
就職して間もない20代は、慣れない仕事や環境の変化にストレスを抱えてしまうものです。10代から仕事をしてきた人は、20代で責任のあるポジションにつき、また違ったストレスを感じている場合もあるでしょう。20代で結婚・出産をした方は、環境の変化や子育てによるストレスも考えられます。こうしたストレスは、抜け毛の一因となりえます。
カラーやパーマは強い薬剤を使う場合も多く、髪や頭皮に負担を与えます。容姿を気にして食事制限するなどのダイエットにより、栄養不足となる場合も少なくありません。帰宅が夜遅くなり就寝時間が遅くなる、食事時間が不規則になるなど、生活習慣の乱れも抜け毛を引き起こす原因です。
30代女性における抜け毛の原因として考えられるものは、以下の通りです。
30代も、妊娠・出産などの環境の変化や子育て、仕事などのストレスを抱えがちです。仕事では20代よりも責任のあるポジションになっていることや、子育てとの両立を図る必要があるなど、日々忙しくしている方は多いでしょう。中には、親の介護が始まる方もいるかもしれません。
また、30代ではホルモンバランスの乱れを感じる方や、出産してから体質が変化したと感じる方もいるでしょう。白髪染めを始める人も増えるため、髪や頭皮へのダメージも起こりやすい年代です。年齢に伴うこうした変化が、抜け毛の原因となることが考えられます。
40代女性における抜け毛の原因として考えられるものは、以下の通りです。
40代は、30代に引き続き仕事や子育てなどに忙しい年代です。子どもがある程度大きくなり、乳幼児の頃とは違った悩みを抱える方もいるかもしれません。
40代頃を境に、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが減少し始めます。エストロゲンの減少によって髪が細く柔らかくなったり、うねりが出たりするなど、髪質が変化することも多いようです。
40代は、肌や髪における新陳代謝のサイクルが遅くなる年代でもあります。乾燥や血行不良など、頭皮環境の悪化も起こりやすくなるでしょう。
50代女性における抜け毛の原因として考えられるものは、以下の通りです。
40代後半から50代にかけては、疲労感やのぼせなど更年期の症状が出る方が多くなります。閉経によってエストロゲンはほぼ分泌されなくなるため、抜け毛や薄毛が気になりやすい年代です。更年期はイライラ・不安などの精神的なストレスや、冷え性などの悩みを抱えやすく、髪や頭皮にも影響を及ぼすと考えられます。甲状腺疾患や膠原病など、抜け毛を伴う病気の発症リスクも高まるとされています。
60代以降における女性の抜け毛の原因として考えられるものは、以下の通りです。
60代になると更年期の症状が落ち着いたと感じる方が多い一方で、エストロゲンの分泌は少ないため抜け毛が続く方もいるようです。乾燥や身体の機能低下に伴う冷え・血行不良など、頭皮環境のトラブルが起こりやすい状態が続きます。
年齢を重ねることで、食事量が減る方もいるでしょう。その結果、髪に必要な栄養が不足することも考えられます。
抜け毛の原因には年齢ごとに傾向がある一方で、年齢を問わず抜け毛を引き起こす要素もあります。それぞれについて、以下で見ていきましょう。
食事や睡眠などの生活習慣が乱れると、髪や頭皮の不調が起こりやすくなります。過度なダイエットや暴飲暴食、偏食など、極端な食生活は身体だけでなく髪にも悪影響です。不規則な睡眠習慣や睡眠不足なども、健康な髪を育てる成長ホルモンの分泌に悪影響を及ぼし、正常なヘアサイクルを妨げてしまいます。
髪の成長には、エストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンが重要です。エストロゲンはつやのある健康的な髪を保ち、プロゲステロンは太く長い髪に育てます。女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンは、40代頃から減少し始めるのが一般的です。しかし、なんらかの影響でホルモンバランスが乱れた場合は、年齢を問わず抜け毛につながる恐れがあります。
また、産後3か月頃から1年頃にかけて抜け毛が見られる「分娩後脱毛症」も、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが急激に減少することで起こる症状です。
毎日のケアやヘアスタイルが抜け毛を招く場合もあるでしょう。たとえば、清潔に保ちたいという理由により洗浄力の強いシャンプーを使うと、必要な皮脂も落としてしまうため、乾燥を招いたり、乾燥を防止しようと皮脂の過剰分泌が起こったりします。
また、カラーやパーマによって髪や頭皮にかかる負担が、抜け毛につながることも少なくありません。ポニーテールやお団子ヘアなど、髪を引っ張るヘアスタイルを日常的にしている場合も、抜け毛を引き起こす場合があります。
髪や頭皮に当たる紫外線も、ダメージのもとです。紫外線によってダメージを受けると、頭皮の乾燥や髪のパサつきを招きます。強い紫外線によって頭皮に炎症を起こすと、毛根にも悪影響を与える恐れがあるため、注意が必要です。
以下では、日々実践できる抜け毛の対策方法を6つ紹介します。できることから実践して、大切な髪を守りましょう。
髪は食べたものから作られるため、バランスのよい食生活が大切です。髪の材料となるタンパク質をはじめ、亜鉛や鉄分、ビタミン類などをバランスよく摂りましょう。「髪に良いから」という理由で特定の食材を過度に摂るのではなく、全体を考えてさまざまな栄養素を摂ることが大切です。
髪の成長に必要な女性ホルモンと似た働きをする、イソフラボンの摂取も効果的です。納豆や豆腐、豆乳、きなこなどを意識して摂るようにしましょう。
シャンプーの仕方や選び方、ドライヤーを使った乾かし方など、日々のヘアケア方法を見直すことも対策の1つです。
シャンプーは適量を手に取り、爪を立てずに指の腹で優しく洗います。同時に、頭皮をマッサージすることもおすすめです。頭皮に合わないシャンプーを使用するのは避け、すすぎ残しがないようしっかりと洗い流しましょう。シャンプーをする前にブラッシングを行うと、髪のもつれをほぐし、ホコリなどの汚れを落とせます。
お風呂上がりにはしっかりとタオルドライし、根元からドライヤーをあてます。髪や頭皮から10~15cm離して、熱風が1か所に当たらないよう動かしながらあてましょう。乾いてきたら温風を弱めて軽くセットし、最後は冷風をあてて仕上げるとヘアスタイルをキープできます。
質の高い睡眠を十分にとることも、髪の健康には必要です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、身体だけでなく髪の成長や新陳代謝を促進します。就寝時間や起床時間はできる限り毎日一定にし、規則正しい睡眠習慣を作りましょう。寝る前にスマートフォンやパソコンを触ることは避け、スムーズに就寝できるよう気をつけることも大切です。
髪や頭皮を紫外線から守るために、帽子や日傘などを使いましょう。紫外線の量は夏に多いものの、冬や曇りの日でも降り注いでいます。屋外に出る際は、季節や天気を問わず注意が必要です。
食事で摂った栄養を髪に行き渡らせるためには、適度な運動をして血行を良くすることが大切です。とくに、ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。通勤や通学で歩く時間を増やすなど、日常生活に運動をとり入れてみましょう。リラックスできるストレッチや、楽しみながらできるダンスなど、自分の取り組みやすいものを継続的に行うのがおすすめです。
「抜け毛や薄毛が気になる」「しっかり改善したい」という場合は、皮膚科や内科などの医療機関で受診しましょう。乾燥や皮脂の過剰分泌など頭皮環境の悪化に対処することで、抜け毛の改善が期待できます。不安な気持ちや日頃気になっていることを医師に相談することで、精神的に楽になる場合もあるでしょう。近隣にある場合は、薄毛や抜け毛専門のクリニックの受診もおすすめです。
「時間がない」「知り合いに会わないか心配」という方には、オンライン診療を利用するのも選択肢の一つです。家にいながら医師の診察を受けられるため、診療時間内に受診できない方も利用しやすいでしょう。
女性の抜け毛の原因には、ホルモンバランスの影響や生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアなどがあります。心当たりのある原因があるときは一つひとつ対策することで、髪だけでなく身体全体の健康にもつながり、より安心して快適な毎日を過ごせるでしょう。「抜け毛の原因がわからない」「抜け毛・薄毛を効果的に改善したい」といった場合は、クリニックで受診するのがおすすめです。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)