更新日:2025年05月26日
前頭部の薄毛は、多くの人が悩む症状の一つです。前頭部の薄毛の原因には、遺伝的な要因や不規則な生活習慣、過度なストレスなどが関係しています。とくに、前頭部の薄毛は「AGA(男性型脱毛症)」と密接に関連しており、その症状や治療法を理解することが重要です。
本記事では、前頭部の薄毛の原因と症状、AGAとの関係性、治療法について解説します。
前頭部の薄毛には、さまざまなパターンがあります。生え際がM字型に見えたり、そり込みの深さが広がってきたりすることが特徴です。この状態は「M字ハゲ」と呼ばれます。
前頭部の脱毛が進行すると、初めは両サイドの生え際が後退し、やがて中央部分の髪の密度も薄くなっていきます。さらに進行すると、M字の切り込み部分が頭頂部に達し、最終的にはU字型(U字ハゲ)になることもあります。
前頭部の薄毛は、男性が直面しやすい悩みの一つでしょう。この症状は単なる加齢現象ではなく、多くの場合、AGA(男性型脱毛症)と密接に関連しています。
前頭部の薄毛とAGAの関係を理解することは、適切な対策を講じる上で非常に重要です。AGAによる薄毛は、早期に発見し適切な治療を開始することで、その進行を遅らせて改善を図れます。ここでは、AGAの特徴や前頭部の薄毛との関連性、またAGAかどうかを判断するポイントについても解説します。
AGA(男性型脱毛症)は、主に男性ホルモンと遺伝が関与する脱毛症です。AGAでは、髪の成長期が短くなり、髪の毛が通常よりも早く抜け落ちます。AGAによる薄毛・脱毛は、とくに頭頂部と前頭部において顕著です。
頭頂部では髪が薄くなり、全体的にボリュームが減少します。AGAは基本的に進行が遅く、初期には髪のハリやコシが失われ、次第にうぶ毛のような細い毛に変わります。脱毛の進行に気づかないうちに症状が悪化するため、進行の過程で気づくことが多いようです。
前頭部の薄毛がAGAかどうかを判断するためには、まず鏡を使って薄毛の進行度合いをチェックしましょう。AGAの場合、前頭部や頭頂部の毛髪が細くなり、密度が低下します。
次に、頭皮の色や状態を観察します。AGAは、頭皮の炎症を伴わない脱毛症です。発赤やかゆみがある場合は、他の皮膚疾患の可能性が考えられます。
また、過去の写真と現在の頭皮状態を比較することで、時間経過による変化を確認できます。髪の分け目が広がっていたり、ヘアラインが後退していたりする場合、AGAの可能性が高いかもしれません。
さらに、抜け毛の本数も一つの目安です。通常、1日50〜100本の抜け毛は正常ですが、それを大幅に超える場合はAGAの可能性があります。
ただし、これらの自己判断には限界があるため、最終的な診断と治療計画には医師の診察が不可欠です。
前頭部の薄毛「AGA」の原因は複数存在します。そのなかでも、遺伝的要因や不規則な生活習慣、過度なストレスが主な原因です。以下で、それぞれ解説します。
AGAの発症には、遺伝が大きく関わります。AGAになりやすい遺伝子を持つ人は、そうでない人に比べて薄毛になりやすい傾向があります。
たとえば、AR遺伝子は男性ホルモンの受容体を作るための遺伝子ですが、この遺伝子に含まれる特定の配列の繰り返し回数には個人差があります。この回数が少ない人は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすいため、AGAを発症しやすい傾向があります。
また、男性ホルモンの代謝に関わる酵素の遺伝子にも個人差があります。酵素の活性度が高い人は体内のジヒドロテストステロン(DHT)の量が増加し、AGAのリスクが高まるおそれがあるでしょう。
不規則な生活習慣は、AGAの進行を加速させる要因です。とくに、食生活の乱れと睡眠不足は髪の健康に大きな影響を与えます。栄養バランスの悪い食事が続くと、髪の成長に必要な栄養素が不足し、薄毛の原因となりかねません。
睡眠不足は頭皮の血流を悪化させ、毛髪に必要な栄養が行き届かない一因です。また、髪の成長に必要な成長ホルモンは、入眠後3〜4時間の深いノンレム睡眠の間に多く分泌されます。寝る前のストレッチや規則正しい食生活、就寝前のカフェイン摂取を控えるなど、よい睡眠に入れるよう工夫しましょう。
過度なストレスは、AGAの発症や進行に大きな影響を与える要因の一つです。ストレスが長期間続くと、自律神経やホルモンバランスが乱れ、毛髪の成長サイクルに悪影響を及ぼします。
とくに注目すべきは、ストレスによって分泌されるコルチゾールというホルモンです。このホルモンには、毛髪の成長を抑制する作用があるとされます。日常的にストレスを感じている人は、前頭部の薄毛が進行するリスクが高くなるかもしれません。
前頭部の薄毛が気になり始めたら、諦める前にできることから始めましょう。生活習慣の見直しや頭皮マッサージなど、今日から実践できる改善策を紹介します。
前頭部の薄毛を改善するためには、まず生活習慣を見直すことが重要です。栄養バランスの整った食生活を意識し、とくに髪の健康に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルを適切に摂取しましょう。これにより、髪の成長をサポートし、薄毛の進行を防ぐ効果が期待できます。
また、十分な睡眠時間を確保することも大切です。質の高い睡眠はホルモンバランスを整え、髪の成長と修復を促進します。
頭皮マッサージは、前頭部の薄毛改善に効果的な方法の一つです。頭皮をマッサージすることで血行が促進され、毛根に栄養が届きやすくなります。毛髪の健康維持や発毛促進につながるため、頭皮マッサージは有効な薄毛対策といえるでしょう。
比較的簡単に始められるため、日常のケアに取り入れることがおすすめです。
前頭部の薄毛治療には、クリニックでの治療が有効です。治療法として、発毛効果の高い成分を頭皮に直接注入する「注入治療」や男性ホルモンの働きを抑制する内服薬の服用、頭皮に塗布して発毛を促す外用薬の使用などがあります。
薄毛の治療方法について以下で見ていきましょう。
注入治療は、発毛を促進するための薬剤を頭皮に直接注射する方法です。「メソセラピー」や「幹細胞成長因子注入」といった治療法があります。メソセラピーでは、極細の注射針を使用し、治療薬や栄養成分を頭皮に注入します。一方、幹細胞成長因子注入は、細胞の成長や分裂を促すためのタンパク質を注入する方法です。注入治療では、痛みを軽減するために麻酔薬を使用することもあります。
注入治療は、効果が見られるまで複数回の施術が必要です。注入した部分のみ症状が改善されるため、広範囲の治療には高額な費用がかかると考えられます。
注入治療のメリットは、薬剤を直接頭皮に届けられる点です。しかし、痛みや高額な費用がデメリットといえます。
クリニックでのAGA治療には、内服薬がよく用いられます。代表的なものに「フィナステリド」「デュタステリド」「ミノキシジル」があります。
フィナステリドとデュタステリドは、AGAの原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する薬です。薄毛の進行を抑える効果が期待できます。
ミノキシジルは、頭皮の血行を促進することで発毛を促す薬です。髪の毛を生やす効果が期待できるでしょう。
フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった内服薬は薄毛改善効果が期待できる一方で、副作用のリスクも伴います。服用を始める前に副作用について把握し、医師に相談しながら適切な治療計画を立てることが大切です。
前頭部の薄毛といった脱毛症治療に用いられる代表的な薬剤に、液状の塗り薬である「ミノキシジル」があります。頭皮に直接塗布することで毛母細胞を刺激し、細胞分裂を活発にするのが特徴です。早ければ治療開始から3か月で薄毛の改善が見られる場合もあります。
ミノキシジルはドラッグストアなどでも購入できますが、薄毛の原因を把握して効果的に治療するためにも、医師の診察を受けて使用するとよいでしょう。
「忙しくて通院するのは大変」という方は、オンライン診療を利用することで、医師に相談しながら自分に合った治療を行えます。自宅で診察を受けられるため、通院の負担や時間を削減できるでしょう。
前頭部の薄毛は、多くの方が抱えやすい悩みですが、その原因や進行にはさまざまな要因が関係しています。とくに「AGA(男性型脱毛症)」との関係が深く、遺伝的な要因や生活習慣、ストレスなども発症や進行に影響を与えます。AGAは進行性であり、放置すると薄毛が悪化するため、早期の対応が大切です。
前頭部の薄毛を改善するためには、まず生活習慣の見直しが基本です。バランスのとれた食事や十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、髪の健康をサポートできます。また、頭皮マッサージも血行を促進し、毛根に栄養を届けやすくするため効果的です。
前頭部の薄毛が気になる方は、クリニックでの治療も検討してみましょう。注入治療や内服薬の服用、外用薬の使用など、個々の状態に応じて適切な治療を行えます。
レバクリでは、AGAのオンライン診療を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)