更新日:2026年08月05日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「頭皮マッサージはしないほうがいい」「逆効果で抜け毛が増える」と聞き、迷う方もいるかもしれません。頭皮マッサージはやり方や頻度を誤ると逆効果になることがありますが、正しく行えば間接的に頭皮の健康をサポートするでしょう。 本記事では、頭皮マッサージをしないほうがいいケースと正しいやり方を紹介します。やり過ぎのリスクやマッサージとあわせて行いたいことも説明するので、薄毛が気になる方は参考にしてください。
頭皮マッサージをしないほうがいいケースは、頭皮トラブルが起きている場合です。一方、頭皮トラブルがなく、正しいやり方で行うのであれば、頭皮マッサージを行ってもよいでしょう。正しいマッサージには頭皮の血行を促進する効果があります。
頭皮マッサージは、誤った方法や過度な頻度で行う場合はしないほうがいいといえます。次のような状態に当てはまるときは、頭皮マッサージを控えたほうが無難です。
湿疹や炎症、大量のフケなどの頭皮トラブルが起きている場合は、摩擦や圧迫によって症状を悪化させるリスクがあるため、頭皮マッサージをしないほうがいいでしょう。 また、AGA(男性型脱毛症)の治療薬を使用中の場合は、医師の指示を仰ぐことを推奨します。処方されている薬剤の特性や頭皮のコンディションによって、マッサージの可否やタイミングが異なるため、「マッサージをしても問題ないか、いつ行うべきか」を確認しましょう。
頭皮マッサージには血行を促進する効果が期待できます。ただし、強い力でゴシゴシこすったり、頻繁にマッサージしたりすると頭皮にダメージを与え、かえって薄毛が進む要因になりかねません。 正しいマッサージ方法を把握し、頭皮環境の改善を図って健康な髪を育てましょう。
頭皮マッサージを続けると、頭皮の柔軟性向上、血行促進によるリラックス効果などが期待できます。ただし、薄毛そのものを治す方法ではない点には注意が必要です。
頭皮マッサージに関する小規模研究では、健康な男性9名を対象に、1日4分の標準化頭皮マッサージを約半年間行った結果、毛髪径の増加が報告されています。 ただし、対象者数は少なく、AGA患者を対象にした発毛治療としての有効性を示すものではありません。頭皮マッサージは、発毛治療ではなく補助的なセルフケアとして捉えましょう。
参考:National Library of Medicine 「Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue」
頭皮マッサージによって頭皮が柔らかくなると、髪の毛が自然に立ちやすくなるでしょう。 頭皮が硬くなると、髪の根元に負担がかかり毛幹(皮膚の外に出ている髪の毛)が寝てしまうため、ボリュームを出しづらくなります。
しかし、頭皮マッサージを続けることで血流が促進されると、髪の根元の負担が軽減されて毛幹が立ちやすくなり、全体のボリューム感が増します。結果的に、ボリューム感の変化が期待できるでしょう。
頭皮マッサージには、頭部の筋肉をほぐして血行を促すだけでなく、リラックス効果も期待できます。
参考:National Library of Medicine「Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue」
頭皮マッサージは、正しい方法と頻度で行うことが大切です。やみくもに長く・強く行うと、かえって頭皮を傷めるでしょう。ここでは、無理なく続けられる方法と頻度を紹介します。
頭皮マッサージの流れは、下記のとおりです。
効果的な頭皮マッサージのポイントとしては、爪を立てずに指の腹や手のひらを使うことです。強い圧をかけると、かえって頭皮の筋肉が緊張して逆効果になることもあるため、リラックスできる程度の力を意識しましょう。 また、頭皮の表面のみをこするのではなく、地肌や筋肉などを一緒に動かすことを意識すると効果的です。1回のマッサージを長時間行うのではなく、短時間で無理のない範囲で続けることが推奨されます。
頭皮マッサージの頻度は、数分間を目安に1日1~2回程度です。効果を出したいからと、1日に何度も頭皮マッサージをすると、頭皮や毛髪にダメージを与えて逆効果になりかねません。長時間マッサージをしたり、1日に何度も行ったりすることは避けましょう。
頭皮マッサージをし過ぎることのリスクは、以下のとおりです。
それぞれの内容を解説します。
頭皮マッサージのやり過ぎで頭皮が傷つくと、炎症の原因となる可能性があります。強い力で押したり、爪を立てたりして頭皮の表面に傷がつくと、雑菌が入り込んで湿疹や肌トラブルを引き起こしかねません。また、過度な摩擦は乾燥やかゆみを招く原因にもなり得ます。 炎症やニキビが薄毛の直接的な原因になる可能性は低いものの、頭皮環境の悪化によって、頭皮トラブルにつながるリスクがあることに注意が必要です。
頭皮マッサージのやり方次第では、キューティクルを傷つけ、髪質を悪化させる要因にもなりかねません。髪の最外層を覆うキューティクルには内部を守る役割があるため、過剰な摩擦によってこれが剥がれたり損傷したりすると、切れ毛や枝毛などの毛髪ダメージにつながることがあります。 頭皮環境を良くするためのマッサージが、かえって髪自体の傷みやパサつきを招くおそれがある点には注意が必要です。
頭皮マッサージをする際は、以下の3点に注意しましょう。
それぞれの内容を解説します。
頭皮マッサージは、1日1~2回・数分程度に留めましょう。頭皮マッサージをすればするほど効果が出ると期待して過度に行うと、頭皮や毛根にダメージを与え、発毛や育毛を阻害するおそれがあります。物足りなく感じても、決めた頻度を守って続けることが大切です。
頭皮はデリケートな箇所であるため、爪を立てて頭皮マッサージをすると傷つき、炎症を引き起こすリスクがあります。爪を立てるのではなく、指の腹で優しくもみほぐすことを意識しましょう。正しい方法で頭皮マッサージを行えば、血行促進やリラックス効果が期待できます。
力を入れ過ぎないようにすることも、頭皮マッサージを行う際の大切なポイントです。頭皮マッサージの効果は、刺激の強さに比例するわけではありません。 力を入れ過ぎると頭皮を傷つけ、炎症を引き起こす可能性があります。また、強い摩擦によってキューティクルがはがれると、髪の内部が傷みやすくなり、枝毛や切れ毛の原因にもなるでしょう。 頭皮マッサージは肩や腰のマッサージのように強い力で押すのではなく、指の腹で頭皮全体を動かすイメージで行いましょう。
「手でマッサージするのは指が疲れる」「力加減がよく分からない」という方には、頭皮マッサージ専用のツールを使う方法もあります。ただし、気持ちいいからといって長時間のやり過ぎには注意しましょう。ここでは主なツールを紹介します。
頭皮マッサージャーは、手軽に頭皮を刺激できるツールです。電動タイプやブラシタイプがあり、一定の刺激を均一に与えられます。手で行うより力加減が安定しやすく、毎日の習慣にも取り入れやすい点がメリットです。ただし、強く押し当て過ぎると頭皮を傷めるため、やさしく使いましょう。
非接触振動圧刺激装置は、超音波によって頭皮に触れずに振動の刺激を与える装置です。非接触なため、頭皮への摩擦や擦れによるダメージが発生しません。また、育毛剤を塗布したあとに使っても、薬剤が機械に付着してはがれてしまうことがないのも利点です。
頭皮マッサージだけで薄毛が改善するわけではありませんが、頭皮環境を整えるセルフケアとあわせて行うことで、髪の土台づくりにつながります。ここでは、マッサージとあわせて取り入れたいことを紹介します。
薄毛を改善するなら、頭皮マッサージとあわせて食生活を見直してみましょう。

タンパク質は髪の主成分であるケラチンを作る材料となるため、髪の健康に必要な栄養素です。ただし、ケラチンの合成には亜鉛が必要なので、亜鉛を多く含むレバーや牡蠣、牛肉などもバランス良く取り入れる必要があります。 さらに、これらの栄養素や酸素を毛乳頭まで運ぶために欠かせないのが鉄分です。鉄分は酸素運搬に関わる栄養素で、不足すると髪や全身の健康に影響する可能性があります。 食事の栄養バランスを見直すとともに、髪の成長に役立つ食材を積極的に取り入れることで、髪や頭皮の健康維持に役立てましょう。
スカルプシャンプーを取り入れるのも選択肢の一つです。一般的なシャンプーがツヤや手触りを重視しているのに対し、スカルプシャンプーは頭皮環境を整えることを目的としています。 脂性肌ならスカルプ系、乾燥肌ならアミノ酸系などを選ぶと良いでしょう。ただし、シャンプー自体に脱毛の抑制や発毛の効果はない点は理解しておきましょう。
薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)である場合は、進行を抑制するためには医学的な治療が必要です。AGAの治療は、内服薬・外用薬による治療が主な選択肢になります。 AGAは、男性ホルモンのテストステロンが頭皮の5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、ヘアサイクルの成長期が短くなることで発症します。頭皮マッサージだけでDHTの生成を抑えることはできないため、治療をしなければ薄毛は進行する可能性が高いでしょう。
主なAGA治療薬は次のとおりです。

5αリダクターゼにはl型とll型があり、フィナステリドはll型のみ、デュタステリドは両方を阻害します。5αリダクターゼI型は頭皮全体に分布して主に側頭部や後頭部に多く、II型は主に前頭部と頭頂部に多く存在するとされているため、フィナステリドとデュタステリドでは作用範囲が異なると考えられています。 なお、フィナステリドとデュタステリドは、ともに胎児への影響が示唆されているため、妊娠中または妊娠の可能性がある女性の服用・接触は禁忌です。 ミノキシジルは発毛促進作用を持ちますが、作用機序は完全には解明されていません。血管拡張作用に加え、毛包への直接作用も関与すると考えられています。ミノキシジルの内服薬は2026年6月時点では、日本国内で未承認の薬であるため、あくまで医療機関や医師の管理のもと輸入され、使用されている点に注意が必要です。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」「ザガーロカプセル 添付文書」

セルフケアではAGAの進行は止まらないので、自己判断で様子を見過ぎず、気になり始めた段階で一度医師にご相談ください。また、AGA治療薬は少なくとも半年~1年間を目安に、継続して使用することが大切です。治療中も医師の診察を受け、自己判断で薬の中断や用量調整をしないようにしましょう。
薄毛や抜け毛が気になり始めたら、頭皮マッサージを行いつつ、早めにクリニックに相談することをおすすめします。薄毛や抜け毛の原因がAGAの場合、頭皮マッサージのみを続けても、AGAの進行を完全に止めることは困難です。 AGAは進行性の脱毛症であるため、何もしなければ髪が細くなってきたり、生え際や頭頂部の脱毛範囲が広がったりします。 忙しくてクリニックに通う時間がない方や、対面での診察に抵抗がある方は、オンライン診療の活用も1つの選択肢です。オンライン診療はビデオ通話によって希望の場所で診察を受けられ、薬を配送してもらえるため、負担を減らして薄毛対策を行えます。通院の手間なく治療を始めたい方は、まずは気軽に相談してみましょう。
ここでは、頭皮マッサージに関する疑問について、Q&A形式で解説します。
頭皮マッサージを始めてから抜け毛が増えた気がします。やめたほうがいいですか?
頭皮マッサージ自体に、薬の初期脱毛のような「抜け毛が一時的に増える時期」はありません。抜け毛が増えたと感じる場合は、頭皮マッサージのやり過ぎや力の入れ過ぎなど方法が誤っている可能性があります。
また、AGAが進行している場合は、頭皮マッサージだけで抜け毛の抑制は困難です。マッサージのやり方を見直しても抜け毛が続くときは、自己判断せず医師に相談しましょう。
「頭皮マッサージはしないほうがいい」といわれることがありますが、それは誤った方法や不適切な頻度で行った場合です。正しく行えば頭皮環境を整えるサポートになります。目安は1日1~2回・数分程度で、爪を立てず力を入れ過ぎないことが大切です。やり過ぎると炎症や毛根のダメージ、髪質の悪化につながるため注意しましょう。 ただし、頭皮マッサージで薄毛そのものが治るわけではありません。抜け毛や薄毛の根本的な改善には、AGA治療薬による治療が必要です。薄毛が気になる方は、早めにクリニックを受診することを検討してみてください。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「プロペシア錠 添付文書」「ザガーロカプセル 添付文書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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