更新日:2026年10月23日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「AGAの治療薬にはフィナステリドとデュタステリドがあるけど、違いが分からない」とお困りの方もいるかもしれません。どちらも抜け毛予防効果が期待されるAGA治療薬ですが、作用する範囲や費用などに違いがあります。薄毛の進行状況や体質などに合わせて治療できるよう、医師の診断のもとで薬を選択することが大切です。
フィナステリドとデュタステリドはどちらもAGA(男性型脱毛症)治療の代表的な治療薬です。両者の違いを理解しておくことで、治療を始めやすくなります。まずは、薬が作用するメカニズムについて詳しく見ていきましょう。
フィナステリドとデュタステリドは、どちらも抜け毛の原因物質を作る酵素の働きを抑えることで、薄毛の進行抑制が期待できるという共通の仕組みを持っています。AGAは、体内のテストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼの働きにより、より強力な脱毛作用を持つDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されることで進行します。
フィナステリドもしくはデュタステリドを服用することで、5αリダクターゼの働きを阻害し、頭皮内のDHT濃度を低下させることが可能です。これにより、髪を育てる毛包の縮小が抑えられ、抜け毛の減少や、髪の軟毛化を抑えることが期待できます。
5αリダクターゼにはI型とII型の2種類が存在し、フィナステリドは主に前頭部や頭頂部に多く分布するII型のみを阻害します。一方で、デュタステリドはII型に加えて、全身の皮脂腺や側頭部、後頭部などに分布するI型も阻害することが可能です。
フィナステリドとデュタステリドを同時に服用することは、原則禁止とされています。 併用できない理由は、治療薬が5αリダクターゼを阻害するという同じ作用機序を持つためです。作用が重複することから、副作用のリスクが高まる可能性があるため注意が必要です。
AGA治療において、増毛効果はフィナステリドよりもデュタステリドの方が高いといわれています。その理由は、薄毛の原因物質であるDHTの生成を、デュタステリドの方がより広範囲で抑えられるためです。具体的には、フィナステリドが阻害するのはII型の5αリダクターゼのみですが、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。 もしフィナステリドを継続的に服用しても変化が感じられない場合は、医師と相談のうえデュタステリドへの切り替えを検討する選択肢もあります。 ただし、すべての人にデュタステリドが適しているわけではありません。AGAの進行状況や体質に応じて、どちらの薬を使用するかを医師と相談して決めましょう。
フィナステリドとデュタステリドは、いずれも副作用が起こる可能性があります。主な副作用を以下の表にまとめました。
| 副作用の項目 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 生殖器系 | 性欲減退、勃起機能不全、射精障害 | 性欲減退、勃起機能不全、射精障害 |
| 肝機能 | 肝機能障害、黄疸 | 肝機能障害、黄疸 |
| 乳房 | 乳房肥大、乳房痛 | 乳房肥大、乳房痛 |
| 精神神経系 | 抑うつ症状 | 頭痛、抑うつ症状、めまい、味覚障害 |
| その他 | 発疹、瘙痒症 | 発疹、瘙痒症 |
フィナステリドの添付文書によると、フィナステリドの副作用の発現頻度は、リビドー減退が1~5%未満、勃起機能不全や射精障害、精液量減少が1%未満、そのほかは頻度不明です。 一方、デュタステリドの添付文書によると、デュタステリドの副作用は、性機能不全が1%以上、抑うつ症状は1%未満、それ以外は頻度不明となっています。 服用中に体調の変化や気になる症状が現れた場合は、自己判断せず、早めに医師へ相談しましょう。
参考: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」
フィナステリドとデュタステリドの服用方法は共通しており、1日1回、食前・食後を問わず決まった時間に水かぬるま湯で服用します。 女性(特に妊婦)の経皮吸収のリスクや、成分の吸収率を安定させる観点から、錠剤の分割はせず、そのまま服用しましょう。 飲み忘れた場合、次回の服用まで十分時間がある場合は気付いた時点で1回分を服用します。次回の服用時間が近い場合、忘れた分は服用せず、次回分を通常どおり服用してください。2回分を一度に服用することはやめましょう。
フィナステリドとデュタステリドの注意点は下記のとおりです。
それぞれについて解説します。
AGA治療薬は主に肝臓で代謝・分解されるため、肝臓に持病がある方は事前に医師へご相談ください。 フィナステリドは肝機能障害患者を対象とした臨床試験が行われておらず、慎重な投与判断が求められます。また、デュタステリドの場合、重度の肝機能障害がある方は血中濃度が過剰に上昇するおそれがあるため禁忌とされています。
国内の臨床試験は20歳以上の男性を対象に行われたため、20歳未満の人に対する安全性や有効性は確立されていません。また、フィナステリドは女性に対する適応がなく、デュタステリドは女性の服用が禁忌です。
特に妊婦や妊娠の可能性がある女性が成分を取り込むと、男性胎児の生殖器官などの正常な発達に影響を及ぼすリスクがあり、フィナステリド・デュタステリドのどちらも服用禁忌とされています。成分は皮膚からも吸収されるため、割れた錠剤や破損した薬に触れないよう注意が必要です。
フィナステリドやデュタステリドを服用していると、前立腺がんのスクリーニング検査に用いられる「血清PSA(前立腺特異抗原)」の数値が約40%〜50%低下することが分かっています。 そのため、検診の数値を正しく評価するには、実際の測定値を「2倍」にした値を目安にすることが一般的とされています。がんの見落としを防ぐため、検査を受ける際は服薬中である旨を必ず医師に伝えてください。
参考: 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」
フィナステリドとデュタステリドの服用を検討する際は、入手経路や費用について理解しておくと安心して治療を始めやすくなります。安全に治療を進めるために、治療薬の入手方法と、費用の目安を見ていきましょう。

海外からの個人輸入や通販サイトで治療薬を購入できる場合もありますが、医療機関を通じた処方と異なり、品質管理の状況が確認できない場合があります。個人で入手した治療薬で万が一健康被害が生じた場合、公的な救済制度の対象外となるため注意が必要です。治療を検討する場合は、医師の診断のもとで処方を受けましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
| 治療薬 | 先発品(1ヶ月) | ジェネリック(1ヶ月) |
|---|---|---|
| フィナステリド | 約6,000〜10,000円 | 約3,000〜5,000円 |
| デュタステリド | 約9,000〜11,000円 | 約5,000〜8,000円 |
クリニックによって異なるものの、フィナステリドの先発品は1ヶ月で約6,000円〜10,000円、ジェネリック医薬品は3,000円~5,000円程度が目安です。一方、より広範囲に作用するデュタステリドは、先発品で約9,000円〜11,000円、ジェネリック医薬品で約5,000円〜8,000円が相場です。薬代だけでなく、診察料や検査代、配送料などを事前に確認しましょう。長期的な服用が必要なAGA治療では、予算に合わせた手段を医師と相談して選択することが治療の継続につながります。
ここでは、AGA治療薬に関するよくある質問についてFAQ方式で回答します。
フィナステリドとデュタステリドはどちらが早く効果が出ますか?
フィナステリドとデュタステリドにおいて、効果が出る早さに大きな差はありません。どちらの薬でも、服用開始から3ヶ月ほどで変化を感じ始める場合があります。しかし、薬の成分が体質に合うかどうかには個人差があり、効果の有無を正しく判定するにはどちらも6ヶ月以上の継続的な服用が推奨されています。効果を感じられなかったとしても自己判断で服用をやめず、まずは6ヶ月程度を目安に医師の指示のもと服用を継続しましょう。
フィナステリドとデュタステリドは、ミノキシジルと併用できますか?
フィナステリドやデュタステリドは、ミノキシジルと併用することが可能です。ミノキシジルはフィナステリドやデュタステリドとメカニズムが異なるためです。
ただし、それぞれの薬には副作用が起こるリスクがあります。自分の体質や健康状態に合わせて、医師の管理のもとで適切に使用していくことが大切です。
安全に治療を進めるためにも、薬の組み合わせを医師に相談しましょう。
フィナステリドとデュタステリドで薬の切り替えはできますか?
医師の管理・指導のもとであれば、薬を切り替えることは可能です。切り替えた場合でも、ヘアサイクルの関係から効果を実感するまでに6ヶ月程度の継続服用が必要とされています。
毛髪の状態や薬との相性、変化を確認しながら、医師と相談して慎重に判断することが大切です。
フィナステリドとデュタステリドは、抜け毛の原因となるDHTの生成を抑えるという共通の作用機序がありますが、阻害する5αリダクターゼの範囲が異なります。デュタステリドのほうが毛髪数の増加において変化が大きい可能性が示唆されていますが、効果には個人差がある点に留意しましょう。また、副作用のリスクや費用にも違いがあるため、薄毛の進行状況や体質に合わせて、医師の診断のもとで薬を選択することが大切です。 自己判断でそれぞれの治療薬を併用したり、個人輸入で入手したりすることは避け、医師へ相談しながら治療を検討してください。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル0.1mg ザガーロカプセル0.5mg 製造販売承認申請書添付資料」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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