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更新日:2024/03/14

5αリダクターゼとは?AGAとの関わりや抑制する方法について解説

この記事のまとめ
  • 5αリダクターゼはI型とII型がある
  • 5αリダクターゼI型は全身の皮脂腺に分布し、活性度が高いとニキビができやすい
  • 5αリダクターゼII型は前頭部や頭頂部に分布し、AGAの発症に関わる
  • みかんの皮やノコギリヤシに含まれる成分が、5αリダクターゼを抑制する
  • 5αリダクターゼを抑制する医療用医薬品がある

AGA(男性型脱毛症)について調べていると、「5αリダクターゼ」という単語を目にすることがあるでしょう。5αリダクターゼは、AGAの発症に関わりがあり、5αリダクターゼの活性を抑えることがAGAによる薄毛進行を防ぐ1つの方法となります。この記事では、5αリダクターゼについて詳しく解説するとともに、5αリダクターゼを抑制する食品やサプリメント、医薬品についても紹介していきます。

5αリダクターゼとは

5αリダクターゼは、男性ホルモンの一種であるテストステロンを、ジヒドロテストステロンに変換する酵素です。5αリダクターゼにはI型とII型の2種類があります。

5αリダクターゼによって生成されるジヒドロテストステロンは、AGAや前立腺肥大症の発症に関与しているとされており、近年研究が進んでいます。

ジヒドロテストステロンについて詳しく知りたい方は、「ジヒドロテストステロンとは?AGAとの関係性や抑制する方法を解説」も参考にしてみてください。

5αリダクターゼI型

5αリダクターゼI型は、全身の毛乳頭細胞や皮脂腺に分布している酵素です。特に側頭部と後頭部の皮脂腺に多く存在します。5αリダクターゼI型は皮脂の分泌量に影響を与え、活性度が高いとニキビができやすいといわれています。

5αリダクターゼII型

5αリダクターゼII型は主に前頭部や頭頂部に分布している酵素です。5αリダクターゼI型よりもII型のほうがAGAの発症に関与していると考えられています。AGA治療では5αリダクターゼII型を阻害することで、軟毛化・短毛化を予防する方法が多くとられます。

5αリダクターゼとAGAの関わり

AGAの発症要因であるジヒドロテストステロンは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが5αリダクターゼと結びつくことで生成されます。

生成されたジヒドロテストステロンは、男性ホルモン受容体に結合することで、さまざまな効果を発揮します。筋肉や骨にある男性ホルモン受容体に結合したときは、筋肉や骨や体毛の成長促進を行いますが、前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に発現している受容体に結合した際は、毛髪の成長抑制を引き起こしAGAを発症します。

AGAの人に、U字・M字・O字はげと呼ばれる脱毛のタイプが多いのは、毛髪の成長を抑制する男性ホルモン受容体が、前頭部や頭頂部に多く発現しているためです。

また、5αリダクターゼの活性度や男性ホルモン受容体の発現量・発現部位は遺伝が大きく関係しているため、AGAになりやすい人とAGAになりにくい人がいます。自身の両親の家系にAGAの既往歴がある人がいれば、自身もAGAになる可能性は高いと言えます。

5αリダクターゼの抑制方法

ここでは、5αリダクターゼを抑制する食品やサプリメント、医療用医薬品などについて説明していきます。

5αリダクターゼを抑制する食べ物やサプリメント

日常生活の中で5αリダクターゼを抑制するには、特定の食べ物を食べたり、市販されているサプリメントを服用したりすると良いでしょう。5αリダクターゼの抑制効果があるとされる食品にはみかんや大豆、サプリメントではノコギリヤシの抽出エキスが挙げられます。

みかん

みかんの皮に含まれるd-リモネンと呼ばれる成分には、5αリダクターゼの阻害作用があるとされています。

d-リモネンはみかんの皮に多く含まれているため、皮を剥いてみかんを食べるだけではそれほど多く摂取できません。皮ごとジャムにするなどして摂取すると良いでしょう。

大豆

大豆に含まれるイソフラボンは、5αリダクターゼの活性を抑え、AGAの原因となるジヒドロテストステロンや、前立腺肥大症などの原因となるPAS(Prostate Specific Antigen=前立腺特異抗原)の生成を抑制するという報告がされています。

大豆は日本人にとってなじみ深い食材です。普段の食事にも取り入れやすい食材なので、豆腐やみそ汁などを普段の食事に多く取り入れてみるのが良いでしょう。

参考:国立研究開発法人 国立がん研究センター「血中イソフラボン濃度と前立腺がん罹患との関連について

ノコギリヤシ

ノコギリヤシは、ヤシ科のハーブの一種です。ノコギリヤシの抽出エキスには、βシトステロールとオクタコサノールなどが含まれており、これらの成分によって5αリダクターゼの活性が抑制されると考えられています。

実際にノコギリヤシの抽出エキスを定期的に摂取した人は、AGAの改善が見られたという報告があります。ノコギリヤシのサプリメントは日本でもドラックストアなどで販売されているため、比較的入手しやすいです。気になる方は使ってみるのも良いかもしれません。

ノコギリヤシの効果について詳しく知りたい方は、「ノコギリヤシは薄毛やはげの改善効果がある?効果や副作用を解説!」も参考にしてみてください。

参考:National Library of Medicine「A randomized, double-blind, placebo-controlled trial to determine the effectiveness of botanically derived inhibitors of 5-alpha-reductase in the treatment of androgenetic alopecia

5αリダクターゼを抑制する薬

5αリダクターゼを抑制するには、日本国内で承認されている5αリダクターゼ阻害薬を服用する方法もあります。たとえばフィナステリドは、5αリダクターゼII型を阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑制することで、AGAによる薄毛進行を抑えられる薬です。

ほかにも、デュタステリドという薬は、5αリダクターゼI型とII型の両方を阻害することできます。ただ、AGAでは5αリダクターゼII型による脱毛が見られることが多いので、副作用が比較的少ないフィナステリドを使用することが多いでしょう。

フィナステリドやデュタステリドは医療用医薬品で市販では購入することができず、AGAの専門クリニックで医師から処方してもらう必要があります。これらの薬を使ってAGAの治療を行いたい方は、専門機関に受診することをおすすめします。

AGAの治療薬については、「AGA治療薬の種類・効果・副作用について、ガイドラインに基づいて解説」でも詳しく解説しています。

まとめ

今回は5αリダクターゼとAGAの関係や5αリダクターゼを抑制する食べ物・サプリメント・医療用医薬品について説明しました。5αリダクターゼを抑制する食べ物には、みかんの皮や大豆などがあります。5αリダクターゼを抑制する薬はフィナステリドやデュタステリドで、これらは医師の処方箋が必要です。

少しでも薄毛が気になったり、自分はAGAではないかと感じたりしている方は、早めに専門クリニックを受診することで症状が悪化する前に治療を始められます。クリニックに直接行く以外にも、手軽に診療を受けられるオンライン診療もあるので、検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会