更新日:2026年07月02日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
抜け毛が増えて薄毛に悩んでいる方は、ジヒドロテストステロン(DHT)というホルモンが影響しているかもしれません。これはテストステロンが酵素によって変換された物質で、髪の成長を妨げる要因になります。この記事では、ジヒドロテストステロンが増える原因や、抑制するための食事や睡眠などの対策を分かりやすく解説します。仕組みや対処法を理解し、適切なAGA対策を行うためにも、ぜひ参考にしてみてください。
ジヒドロテストステロン(DHT)は男性ホルモンの一種である「テストステロン」が、5αリダクターゼという酵素の働きによって変化した物質です。年齢や成長の段階に合わせて、男性の体に不可欠な役割を果たしています。 たとえば、母親のお腹の中にいる胎児期においては、男性の外性器を形成するサポートを行い、思春期を迎えると、声変わりや体毛の発達といった二次性徴を促す働きがあるのです。さらに成人期以降は、筋肉量や骨格の維持などに貢献する一方で、皮脂の分泌や前立腺肥大などに関与する可能性が示唆されています。 このように、ジヒドロテストステロンは男性の成長過程から成人後の健康に至るまで、生涯を通じて重要な役割を持つホルモンといえるでしょう。
参考:国民生活センター「AGA治療、植毛」
テストステロンとジヒドロテストステロン(DHT)は、どちらも男性ホルモンの一種ですが、その特性と働きに違いがあります。
| 特徴 | テストステロン | ジヒドロテストステロン |
|---|---|---|
| 生成過程 | 精巣や副腎で生成される | テストステロンから5αリダクターゼにより変換される |
| 主な働き | 筋肉量や性機能の維持 | 胎児期の男性器形成、思春期の男性化、皮脂分泌促進 |
| 過剰時の影響 | イライラしやすくなる、肌荒れなど | 薄毛(AGA)の進行、皮脂の過剰分泌、においの変化、前立腺肥大など |
テストステロンは精巣や副腎で生成される物質で、筋肉量や性機能の維持に必要です。思春期にはテストステロンの分泌が増え、筋肉を増加させたり、声変わりを起こしたりします。 一方、ジヒドロテストステロンは、テストステロンから5αリダクターゼにより変換される物質で、頭髪や前立腺など特定の部位に作用する男性ホルモンです。ジヒドロテストステロンの活性度はテストステロンよりも強力といわれています。
薄毛を引き起こす主な要因は、ジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞に存在するアンドロゲンレセプターと結合することです。 遺伝的にジヒドロテストステロンに対する感受性が高い毛包では、ジヒドロテストステロンがアンドロゲンレセプターと結合すると、髪の成長を抑制するFGF-5やTGF-βという遺伝子が活性化します。FGF-5はヘアサイクルの成長期を短縮し、TGF-βは毛根を縮小させる因子であるため、この2つの作用により髪が細く短くなり、やがて薄毛となるのです。
ジヒドロテストステロン(DHT)の過剰な生成は薄毛を加速させる要因の一つです。ジヒドロテストステロンが体内で増加する主な原因には、日々の生活習慣と遺伝的な要素の両方が関係しています。
日常の生活習慣はジヒドロテストステロンの増加量に影響を与える要素の一つです。特に、日々の食生活において亜鉛が不足すると、ジヒドロテストステロンの低下につながります。
ジヒドロテストステロンとAGAの関係には、遺伝的な体質が深く影響しています。 テストステロンをジヒドロテストステロンに変換する5αリダクターゼの活性度は、基本的に遺伝によって決まるためです。ジヒドロテストステロンの活性が高い人は、同じテストステロンレベルの人より多くのジヒドロテストステロンが生成されます。 また、毛包が敏感に反応する場合は早期から薄毛が進行しやすい傾向があります。父親や祖父が若くして薄毛になった場合、同様の遺伝子を受け継いでいる可能性があるでしょう。 遺伝的要素は変えられないものの、遺伝的なリスクがある場合も生活習慣の改善によって薄毛の進行を遅らせることは可能です。
ジヒドロテストステロン(DHT)の生成量や影響の受けやすさには個人差があります。以下の特徴に当てはまる場合、体内でジヒドロテストステロンが活発に働いている、あるいはジヒドロテストステロンに対する感受性が高い可能性があります。
ただし、これらは絶対的な指標ではありません。必ずしもすべての特徴を持っていなくてもAGAが進行することもあるため、上記の特徴に当てはまらないからといって安心せず、薄毛が気になった際は専門のクリニックを受診することをおすすめします。
家族や親族に薄毛の人がいる場合、遺伝によってジヒドロテストステロンの影響を強く受けていることが考えられます。これは、ジヒドロテストステロンを作り出す酵素の働きやすさや、それを受け取る受容体の感度が遺伝で受け継がれるためです。特に母方の親族に薄毛の人が多いケースでは、AGAを発症しやすい体質を引き継いでいることも少なくありません。 遺伝的に酵素の活性が高かったり、ホルモンへの感受性が強かったりすると、若い時期から抜け毛が進行しやすくなる傾向があります。
ジヒドロテストステロンは皮脂腺を刺激する作用もあるため、体毛が濃いことに加えて、顔や頭皮がベタつきやすいといった特徴を持つケースも少なくありません。 このように、体毛の濃さや肌のベタつきはジヒドロテストステロンの分泌量が多いことを示すサインの一つといえるでしょう。
筋トレによってテストステロンの分泌が増えると、それに伴ってジヒドロテストステロンへと変換される量も増加しやすくなります。 ただし、「筋トレをすると薄毛になる」というわけではありません。適度な運動は血流を改善し、むしろ健康維持に役立ちます。
食事と生活習慣の改善だけでジヒドロテストステロンの生成を抑制するのは難しいでしょう。生活習慣の改善が健康に良いことは間違いありませんが、AGAに対しては医学的アプローチと併用することをおすすめします。 ここでは、日常生活で実践できるジヒドロテストステロンの抑制法を3つ紹介します。
食事は体内のホルモンバランスに影響するため、ジヒドロテストステロンの抑制にも役立つ可能性があります。 ジヒドロテストステロンの生成を抑える働きが期待できる栄養素を意識的に摂取しましょう。また、ノコギリヤシなどのハーブ類もジヒドロテストステロンの抑制効果が期待できる食品です。 バランスの良い食事を心掛け、特定の食品に偏らない栄養摂取が長期的な頭皮の健康につながるでしょう。サプリメントに頼り過ぎず、まずは日々の食事から改善していくことをおすすめします。
良質な睡眠とストレス解消はホルモンバランスを整え、ジヒドロテストステロンの生成を抑制するために不可欠です。厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、6~8時間程度の睡眠が推奨されています。 睡眠の質を向上させるためには、光・温度・音に配慮した快適な睡眠環境を整えることや、適度な運動習慣を身につけることなどが大切です。深い睡眠をとることで成長ホルモンの分泌が促され、頭皮の健康回復にも寄与します。 瞑想やヨガ、深呼吸法などのリラクゼーション技術を日常に取り入れることで、ストレスレベルを下げられるでしょう。趣味の時間を確保したり、自然の中で過ごす時間を作ることもジヒドロテストステロンの抑制に効果的です。
参考:厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」
適切な運動は全身の血行を促進し、ホルモンバランスを整えるのに役立ちます。 有酸素運動を行うことで全身の血流を改善し、頭皮への栄養供給を促進するからです。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版」によると、1日60分、8,000歩以上の歩行が推奨されています。 筋力トレーニングについては、週2〜3日行うことが大切です。全身の筋肉をバランス良く鍛えることを心掛けましょう。前述のとおり、過度な高強度トレーニングは一時的にテストステロンレベルを上昇させる場合があります。適度な運動であれば全身の健康維持に役立つため、無理のない範囲内でトレーニングを行うことが大切です。
参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版」
自分でできるセルフケアを続けても十分な改善が見られない場合は、専門家の助けを借りることを検討しましょう。特に、薄毛の進行が早い場合や家族に薄毛の方が多い場合は、早めの対応がおすすめです。 近年では、オンライン診療サービスの普及によりAGAの診断や治療が以前より手軽になっています。オンライン診療は仕事の休憩時間や退勤後に専門医の診察を受けられるのが特徴です。 オンライン診療の主なメリットとして、通院の手間や時間が省けることやプライバシーが守られること、医師による定期的なフォローアップが容易であることなどが挙げられます。特に「薄毛の悩みは人に知られたくない」と感じる方もいるため、オンライン診療は心理的なハードルが低いといえるでしょう。
ここでは、ジヒドロテストステロン(DHT)に関するよくある質問にFAQ方式で回答します。
ジヒドロテストステロン(DHT)が多いと顔に出る?
ジヒドロテストステロンが多いと、顔に変化が出ることがあります。具体的には皮脂の分泌が増えるため、ニキビやテカリが目立つようになるのが特徴です。ジヒドロテストステロンには皮脂腺を刺激する性質があるため、体内で増えることで肌の脂っぽさを引き起こしやすくなります。
さらに、影響は顔の見た目だけでなく体臭にも現れることがあり、においが強くなるケースも少なくありません。
ジヒドロテストステロン(DHT)を減らす運動はある?
ジヒドロテストステロンを直接的に減らす特定の運動はありません。何か特定の運動をすることによって、このホルモン自体を狙って減少させることは難しいとされているからです。しかし、体を動かすことが全く意味を持たないわけではありません。
たとえば、適度な有酸素運動を取り入れることで、体内のホルモンバランスを整える効果は期待できます。
ジヒドロテストステロン(DHT)は、男性の体を作るために不可欠なホルモンですが、AGAを引き起こす要因でもあります。ジヒドロテストステロンはテストステロンから酵素によって変換されて生成され、毛乳頭の受容体と結びつくことで髪の成長期を短くしてしまうのが特徴です。 ジヒドロテストステロンが増える背景には、遺伝的な要素や生活習慣の乱れが関わっています。対策としては、亜鉛などの栄養が含まれるバランスの良い食事や良質な睡眠、適度な運動を心掛けて体内のバランスを整えることが大切です。しかし、セルフケアだけで生成を抑えることは難しいため、薄毛が気になる場合は専門家に相談することをおすすめします。AGAは進行性の脱毛症なので、早めの対策を行いましょう。
国民生活センター「AGA治療、植毛」 厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 成人版」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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