更新日:2025年09月03日
「生え際が後退してきているかも」と感じ、正常な生え際との見分け方が気になっている方もいるかもしれません。正常な生え際は、生えている髪の毛が揃っており、密度が高いことなどが特徴として挙げられます。生え際の後退はストレスにより一時的に髪の毛が抜けて起こる場合もありますが、AGAの場合は早めに治療を行うのがおすすめです。
本記事では、正常な生え際と後退している生え際の見分け方や、生え際が後退する原因について解説します。生え際の後退を予防する方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
生え際が後退していると感じたものの、そもそも正常な生え際はどのような状態を指すのか気になっている方もいるかもしれません。また、ストレスなどによる一時的な脱毛なのか、病気による脱毛で生え際が後退しているのか不安になる方もいると考えられます。
ここでは、生え際の後退を感じたときに確認することや正常な生え際との見分け方を解説します。
生え際が後退しているように見えても、必ずしも恒常的な脱毛により起こっているとは限りません。たとえば、一時的な脱毛に「休止期脱毛症」やストレスなどによる抜け毛があり、このようなケースであれば適切なケアにより健康な髪の毛を取り戻せます。
休止期脱毛症とは、髪の成長サイクルが乱れ、多くの髪の毛が一斉に休止期(髪の成長が止まった状態)に入ることで生じる脱毛症のことです。生活習慣の乱れや過度なダイエットなどにより起こるとされています。
そのほか、季節の変わり目や体調不良時には、一時的に抜け毛が増えて「生え際が後退した」と感じる場合があるでしょう。
しかし、一時的な脱毛ではなく、AGA(男性型脱毛症)により生え際が後退している可能性もあります。AGAは進行性の脱毛症で、治療を行わなければ薄毛が進行し、生え際はさらに後退します。
生え際が後退したと感じる場合、一時的なものなのか、それとも恒常的なものなのかをまずは考えてみましょう。
正常な生え際と後退した生え際との相違点は、以下のとおりです。
チェックポイント | 正常な生え際 | 後退した生え際 |
---|---|---|
生え際の状態 | 揃っている | 部分的に後退している |
毛質 | 太くてしっかりしている | 細くてやわらかい |
密度 | 高い状態 | スカスカの状態 |
頭皮 | やわらかい | 固い |
正常な生え際は、髪の毛が揃っており、密度が高いのが特徴です。毛質も、太くしっかりとしています。また、生え際周辺の皮膚はやわらかく、指で触るとよく動きます。
一方、後退した生え際の場合、生え際の一部分が後退していたり、髪の毛がスカスカに見えたりするのが特徴です。髪の毛が細く密度が低いことで、頭皮が透けて見える場合もあります。
正常な生え際であるか確認する方法として、以下の3つがあります。
自身で行いやすい方法は、鏡に映る現在の生え際と昔の写真を見比べることです。数年前の写真と現在の生え際を見比べると、変化を視覚的に確認できます。鏡で確認する場合は、十分に明るい場所に鏡を置くことがポイントです。前髪を後ろに撫でつけ、正面と左右から確認します。
スマートフォンのカメラを使って、定期的に記録しておくのも一つの方法です。ただし、写真で残しておく場合は、角度や明るさ、髪型などの条件を同一にすることが大切です。
ほかにも、家族や親しい友人に聞いてみるのもひとつの方法です。とくに、AGAの初期段階の場合、自分よりも周りのほうが変化に早く気づくケースがあります。
家族や親戚に薄毛の人がいて、遺伝的に薄毛になる可能性が高い場合は、皮膚科やAGAのクリニックで診てもらうとよいでしょう。生え際が正常であるか不安なときも、医師に診てもらえば勘違いを防ぐことができ、必要に応じて治療をスタートできます。
生え際が後退する原因には、主に以下の4つがあります。
生え際が後退するそれぞれの原因について解説します。
生え際が後退する原因のひとつは、AGA(男性型脱毛症)です。AGAは男性特有の脱毛症で、主に前頭部や頭頂部の髪が徐々に薄くなっていくのが特徴です。遺伝のほか、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)の影響によるものと考えられています。
AGAは、頭頂部から抜け毛が始まる「O字タイプ」と生え際の両側が後退し始める「M字タイプ」、生え際全体が後退する「U字タイプ」の3つに分類されます。
AGAの治療は、内服薬や外用薬といった薬剤の使用が一般的です。AGAの治療を行わずに症状が進行すると、薄毛の範囲が広がって治療期間や費用の負担が大きくなるため、早めに治療を始めることが大切です。
日本人男性の場合、AGAの発症は20代後半から30代が多いとされています。
ストレスによって抜け毛が増えると、生え際が後退する場合があります。とくに、大きな精神的ショックを受けたり、強い緊張状態が続いたりすると、ストレスにより髪の毛が多く抜けることがあるでしょう。
髪の毛が多く抜けたことが、さらなるストレスにつながるといった悪循環に陥ることも少なくありません。心理的負担の大きいストレスには、以下のような出来事が挙げられます。
こういった出来事のあとに抜け毛が増えた場合は、ストレスが原因の可能性があります。ストレスを感じると、自律神経が乱れて血管が収縮し、血行不良になることで栄養が髪の毛に届きづらくなります。ストレスを感じている場合は、意識的に休養をとることが大切です。
生え際の後退は、乱れた生活習慣によっても引き起こされます。喫煙や過度なアルコール摂取、糖質・脂質の多い食生活は血流が悪くなる要因です。
また、睡眠不足も髪の成長に悪影響を与える要因のひとつです。髪の成長や頭皮の新陳代謝には成長ホルモンが関係しており、成長ホルモンは深い眠りについたときに多く分泌されます。
しかし、睡眠不足の場合は成長ホルモンの分泌量が減少するため、健康な髪の毛が育ちにくくなります。
間違ったヘアケアも生え際が後退する原因です。間違ったヘアケアの例として、以下の3つが挙げられます。
頭皮マッサージは血行を促進し、頭皮環境の改善効果が期待できます。しかし、過度にマッサージをしたり、爪を立てておこなったりすると、頭皮を傷つけて頭皮環境が悪くなり、抜け毛・薄毛につながりかねません。
また、薬剤やカラー剤は、頭皮や髪の毛に負担がかかるものです。使いすぎると頭皮の炎症や乾燥、かゆみなどを引き起こし薄毛の原因になるおそれがあります。
そのほか、刺激の強いシャンプー・ヘアケア製品も頭皮に悪影響を与えます。シャンプーやヘアケア製品は、頭皮の健康や清潔を保つうえで役立ちますが、パラベンやシリコン、アルコールなどの成分が含まれているものは刺激を与えやすく、頭皮の乾燥や炎症を招いて抜け毛のリスクを高める可能性があります。シャンプーやヘアケア製品を選ぶ場合は、肌にやさしいものを選びましょう。
生え際の後退を防ぐ対策として、以下の5つが効果的です。
それぞれの内容について解説します。
生え際の後退が気になる場合、生活習慣を整えることが大切です。とくに、以下の5つの対策が効果的です。
喫煙は、健康的な髪の毛の成長を阻害します。タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させるため、血行不良を招いて十分な栄養が頭皮に行き渡らなくなります。
また、過度なアルコール摂取も髪の毛に悪影響を与えるでしょう。アルコールを摂取すると、体内でアセトアルデヒドという物質になり、AGAの原因であるDHTを増加させます。
栄養バランスのよい食事をとることは、髪の毛が正常に成長するために必要です。
質のよい睡眠をとることや定期的な運動も大切です。良質な睡眠を十分に取ることで、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンが多く分泌されます。運動も血流の改善に役立つほか、ストレス解消にも効果的です。
生活習慣を一気に改善するのはハードルが高いと感じる方は、普段よりも30分早く布団に入る、一駅分歩くなど、取り組みやすいことから少しずつ実践しましょう。
正しいヘアケアを行うことも、正常な生え際を取り戻すための一つの方法です。
頭皮マッサージを行う際は、指の腹でやさしくもみほぐしましょう。爪を立てたり、力を入れすぎたりすると、頭皮が傷ついてしまいます。
頭皮を清潔に保つことは大切ですが、過剰なシャンプーは、頭皮の乾燥を招いて頭皮環境が悪化する原因になります。シャンプーは1日1回までにし、スタイリング剤を使った日は丁寧に洗い流しましょう。また、髪の毛を洗ったあとは、自然乾燥ではなくドライヤーで乾かすことも大切です。
生え際が後退し始めたら、発毛剤や育毛剤でケアするのも対策のひとつです。市販の発毛剤には、ミノキシジルを配合したものが多く販売されています。ミノキシジルには発毛を促す働きがあるため、薄毛の改善が期待できるでしょう。
また、育毛剤は、頭皮環境を整え、健康な髪の毛の成長をサポートする効果が期待できます。
生え際の後退を防ぐ対策として、薄毛部分に増毛を行う方法もあります。増毛とは、現在の髪の毛に人工毛をつけて、髪の増量アップを図る方法です。
ただし、増毛は薄毛の根本治療ではなく、一時的な対処法です。また、定期的なメンテナンスが必要になることを念頭に置きましょう。
生え際の後退を防ぐには、皮膚科やAGAのクリニックで治療するのがおすすめです。生え際が正常なのか、それともすでに後退し始めているのかを診てもらい、必要に応じて治療を開始できます。AGA治療の際は、フィナステリドやデュタステリドなどの抜け毛を予防する内服薬や、発毛を促すミノキシジル外用薬を使用するのが一般的です。
AGA治療を行う場合、オンライン診療を受けるのも一つの方法です。オンライン診療であれば、自宅にいながら診察を受けられ、薬は自宅などに配送されるため、負担を減らして治療を行えます。
近くに皮膚科やAGAのクリニックがない方や、治療を周りに知られたくない方にもおすすめです。
正常な生え際の場合、髪の毛が揃って生えて密度が高く、髪は太くしっかりしているのが特徴です。髪が細くて柔らかく、密度が低い状態の場合は後退している可能性があるでしょう。後退している場合は、一時的な脱毛によるものなのか、それとも恒常的なものなのかを考えてみましょう。
生え際が後退する原因には、AGA(男性型脱毛症)やストレス、生活習慣の乱れなどがあります。抜け毛を予防し、生え際の後退を抑制するには、バランスのよい食事や質の高い睡眠をとるなど、生活習慣を見直すことが大切です。生え際の後退が気になりAGAの可能性がある場合は、クリニックで受診しましょう。
レバクリでは、AGAのオンライン診療を行っています。レバクリであれば、自宅にいながらスマートフォンやパソコンを使って都合のよい時間に医師に相談できます。初診料・診察料は無料で、治療薬は自宅などで受け取れます。AGAの可能性があり不安を覚えたら、ぜひレバクリをご活用ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)