更新日:2025年10月30日
「髪の毛に必要なビタミンは?」「ビタミン摂取による髪の毛への効果は?」と気になっている方もいるかもしれません。髪の毛の健康のために摂取したいビタミンとして、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEが挙げられます。
本記事では、薄毛対策に効果的な栄養素や食べ物について解説します。薄毛が気になるときに避けたい食べ物や飲み物、見直すべき食生活のポイントも紹介するので、参考にしてください。
栄養バランスの乱れは、薄毛や抜け毛を引き起こす要因の一つです。髪の毛はヘアサイクル(髪が生えてから成長し、抜け落ちて再び生えるまでの周期)を繰り返しており、健康な髪の毛が育つには十分な栄養が必要です。
しかし、食生活の偏りや過度な食事制限によって栄養バランスが乱れると、毛根への栄養供給が滞り、髪の毛の成長が妨げられます。その結果、髪が細くなったり抜け毛が増えたりして薄毛が進行する原因になります。健康な髪を育てるためには、日々の食事からバランスよく栄養を摂取し、ヘアサイクルや頭皮環境を整えることが大切です。
髪の毛によいとされる栄養素には、以下の例が挙げられます。
それぞれの栄養素について見ていきましょう。
ビタミンAは、細胞の新陳代謝を促進し、健康的な髪の毛の成長をサポートする栄養素です。とくに、毛母細胞を活性化させる働きがあり、髪にハリやコシを与えるのに役立ちます。頭皮の乾燥を防ぐ効果も期待でき、健やかな頭皮環境を維持できるでしょう。
しかし、ビタミンAは摂取量に注意が必要な栄養素です。過剰に摂取すると、かえって抜け毛が増える可能性があるほか、皮膚の乾燥や体調不良を引き起こすこともあります。また、妊娠中の女性は胎児への影響を考慮し、過剰摂取は避けなければなりません。
ビタミンB群は、髪の毛の成長に欠かせない栄養素の一つで、毛根へ必要な栄養を届ける働きをします。中でもビタミンB6は、髪の毛の成長を司る毛母細胞の増殖を促し、健康な髪を育てるのに役立つビタミンです。また、ビタミンB群の摂取により皮脂の分泌を適切にコントロールすることで、過剰な皮脂による毛穴の詰まりや炎症を防ぎ、抜け毛のリスクを減らす効果も期待できます。
ビタミンCは、髪の土台となる毛根を強化して、薄毛対策につながる栄養素です。髪の弾力やツヤを保つために欠かせない「コラーゲン」の生成を促す働きもあり、体内でビタミンCが不足すると抜け毛のリスクが高まります。
また、抗酸化作用があるため、疲労回復効果も期待できます。疲れやストレスがたまると血流が悪くなり、毛根へ十分な栄養が届かなくなるおそれがあるでしょう。ビタミンCを積極的に摂ることで血流の悪化を防ぎ、髪の毛の成長をサポートできます。
ビタミンEは、血流を促進する働きを持っています。血流が悪いと、髪の毛の成長に必要な酸素や栄養が届きづらくなるでしょう。ビタミンEを摂取することで、毛根への栄養供給がスムーズになり、健康的な髪の毛の成長を促します。
ビタミンEは、抗酸化作用が高いことも特徴です。酸化ストレスによる頭皮の炎症を抑えることで、健康な髪の毛の成長をサポートします。
髪の健康を維持するために欠かせない栄養素の一つが、タンパク質です。髪の主成分であるケラチンはタンパク質から作られており、髪の強度やハリ・コシの維持に影響を与えます。
体内においてタンパク質は臓器や筋肉の修復に優先して利用されるため、摂取量が不足すると髪や頭皮まで十分に供給されず、抜け毛や薄毛が進行する可能性があります。また、タンパク質の不足により頭皮のターンオーバーが正常に行われなくなることで、乾燥やフケの原因にもなりかねません。
健康な髪を育てるためには、肉・魚・大豆製品・卵・乳製品など、良質なタンパク質をバランスよく摂取することが大切です。
亜鉛は、髪の毛の成長に欠かせないミネラルの一つです。細胞の新陳代謝を促し、毛母細胞の分裂を活性化することで、健康な髪の毛の成長をサポートします。また、髪の主成分であるケラチンの合成にも関与しており、不足すると髪が細くなったり、抜け毛が増えたりするリスクがあります。
亜鉛は体内で生成されないため、食事から摂取しなければなりません。クエン酸やビタミンCと組み合わせると吸収率が高まるため、柑橘類などと一緒に摂取するとよいでしょう。
髪の毛によい栄養素を豊富に含む食べ物は、以下のとおりです。
上記の食材を意識的に食事に取り入れつつ、特定の食べ物に偏らずに、さまざまな食べ物をバランスよくとることを意識しましょう。
卵は、髪の健康を支える栄養素が豊富に含まれた食べ物の一つです。タンパク質をはじめ、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンD、ビタミンE、亜鉛など、髪の毛の成長に必要な栄養素が含まれています。
ただし、卵を食べる際には調理方法に注意が必要です。生卵の白身には「アビジン」という成分が含まれており、育毛に必要な「ビオチン」と結合してビオチンの働きを妨げます。アビジンは熱に弱く、加熱調理することでこの影響を避けられるため、ゆで卵や目玉焼き、スクランブルエッグなど加熱した状態で食べましょう。
豆腐や納豆、豆乳などに含まれるタンパク質は、髪の主成分であるケラチンの材料となり、健康な髪の毛の成長を助けます。また、大豆製品に含まれる「イソフラボン」には、「5αリダクターゼ」という酵素の働きを抑える作用があるとされています。
5αリダクターゼは、AGA(男性型脱毛症)の進行に関わる酵素です。5αリダクターゼの働きによって、男性ホルモンの一種であるテストステロンが「ジヒドロテストステロン(DHT)」に変換されると、ヘアサイクルが乱れて薄毛が進行します。大豆製品を適切に摂取することで、5αリダクターゼの働きが抑えられ、AGAによる薄毛の進行抑制につながる可能性があると考えられています。
緑黄色野菜は、髪の毛の成長をサポートするビタミンやミネラルを豊富に含む食べ物です。髪の主成分であるタンパク質を効率よく活用するためには、ビタミンやミネラルの摂取が重要で、緑黄色野菜はそれらの栄養素をバランスよく含んでいます。
たとえば、ほうれん草はビタミンB群や鉄分が豊富です。鉄分の吸収を高めるビタミンCも含まれており、髪の毛の成長に必要な栄養素の相乗効果を期待できます。また、抗酸化作用のあるβカロテン(ビタミンA)やビタミンEを豊富に含むトマトやかぼちゃもおすすめです。
ビタミンB群やビタミンCは水溶性のため、スープや煮込み料理にして摂取すると、栄養素を無駄なく摂取できます。
昆布・ワカメ・ひじき・もずく・めかぶ・海苔などの海藻類も、ミネラルやビタミンを豊富に含む食べ物です。
とくに、海藻類に豊富に含まれるヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモンの生成を助け、新陳代謝を活発にする働きがあります。また、髪の毛を構成するケラチンと結合しやすい性質を持つクロロフィルaが海藻類に含まれており、髪の強度を高める役割を果たします。
髪の毛の成長をサポートする栄養素や食べ物がある一方で、過剰摂取によって薄毛のリスクを高める食べ物や飲み物もあります。髪の健康を守るためには、どのような食べ物を控えるべきかを知ることも大切です。薄毛のリスクを減らし、健やかな髪を育てるために避けるべき食べ物・飲み物について解説します。
高脂質・高カロリーな食事は、髪の健康を損なう可能性があるため控えましょう。とくに揚げ物やスナック菓子、加工食品などに多く含まれる飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を過剰摂取すると、身体に炎症が生じて毛根に悪影響を及ぼしかねません。また、脂質の多い食事によって皮脂の分泌が活発になると、毛穴詰まりの原因にもなります。
さらに、高カロリーな食事を続けていると肥満になり、血流の悪化やホルモンバランスの乱れを招くなど、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすおそれがあるでしょう。
薄毛が気になる場合に避けたい食べ物の一つが、インスタント食品やファストフードです。これらの食べ物には塩分が多く含まれているため、過剰に摂取すると血圧が上昇し、血液の循環が悪化します。その結果、頭皮への血流が減少し、毛根に十分な栄養が届かなくなることで、抜け毛の原因となります。また、塩分の過剰摂取は体内の水分バランスを崩し、髪の乾燥やパサつきを引き起こす要因にもなるため注意が必要です。
さらに、インスタント食品やファストフードには食品添加物が多く含まれており、中には髪の健康に必要な栄養素を阻害する成分もあります。たとえば、フィチン酸やポリリン酸は、髪の毛の成長に欠かせない亜鉛の吸収を阻害する可能性があるため、過剰に摂取すると薄毛を助長する要因になりかねません。
アルコールの過剰摂取は、薄毛のリスクを高める恐れがあります。バランスのとれた食事を意識していても、アルコールの摂取量が多いとビタミンB群や亜鉛の吸収が妨げられる可能性があります。また、アルコール飲料に含まれる糖質の過剰摂取は血糖値の急激な変動を招き、血流の悪化につながりかねません。
アルコールを摂取するときは、適量を意識しましょう。日本酒は180ml、焼酎は100ml、ビールは500mlが1日の目安量です。
薄毛対策として何を食べるか意識することも大切ですが、食べるタイミングなども気を付けましょう。ここからは、具体的な食生活の見直しポイントについて解説します。
就寝前の食事は、できる限り控えましょう。睡眠中は髪の毛の成長を促すために頭皮へ十分な血液が行き渡るのが理想的ですが、就寝前の食事によって血流が消化器官に偏ると、髪の毛の成長に必要な栄養や酸素の供給が妨げられます。とくに、入眠から約2時間後は成長ホルモンの分泌が活発になるとされており、薄毛が気になる場合は就寝前の食事は避けたほうがよいでしょう。
また、就寝前に食事をとると脂肪を蓄積しやすくなり、肥満になると皮脂の分泌が過剰になって頭皮環境の悪化につながることもあります。薄毛予防のためには、遅くとも寝る3時間前までに食事を済ませましょう。
ダイエットに取り組むときは、過度な食事制限は控えましょう。 食事の量を極端に減らすと、髪の毛の成長に必要な栄養素が不足し、毛根や頭皮に十分な栄養が行き渡らなくなるためです。
健康的な減量を目指すなら、食事の栄養バランスを意識しながら摂取カロリーを減らすのがポイントです。また、「野菜から食べる」「糖質を摂りすぎない」「良質なタンパク質をしっかり摂る」といった工夫をすることで、健康的にダイエットを進められます。
髪の毛の健康を守るためには、バランスの取れた食生活が欠かせません。 髪の毛の成長を支える栄養素として、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、タンパク質、亜鉛が挙げられます。バランスのとれた食事を意識しつつ、これらの栄養素を豊富に含む卵や大豆製品、緑黄色野菜、海藻類を積極的に摂取すると、髪のハリやコシの維持をサポートでき、薄毛予防につながります。
一方で、高脂質・高カロリーな食事やアルコールの過剰摂取は、頭皮の血流を悪化させたり髪の毛の成長に必要な栄養素の働きを阻害したりするおそれがあります。就寝直前の食事や過度な食事制限も、髪の毛の成長に悪影響を及ぼすため避けましょう。
レバクリでは、AGA治療薬のオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)