更新日:2025年10月30日
「髪の悩みにはマグネシウムがいい」と聞いたことがある人もいるかもしれません。マグネシウムは血流促進効果があり、頭皮環境の改善を図れるため、適切に摂取することで髪に良い効果があると考えられます。薄毛や抜け毛が気になる方は、マグネシウムをはじめカルシウムやビタミンDなどの栄養素を積極的に摂ることをおすすめします。
本記事では、マグネシウムの髪への効果や体内での働きを紹介します。マグネシウムは、食事だけでなくサプリメントや入浴剤などにより体内に取り込むことが可能です。当記事でご紹介する注意点も踏まえて、意識的にマグネシウムを摂りましょう。
マグネシウムが髪にもたらす主な効果は、次のとおりです。
それぞれについて、以下でみていきましょう。
マグネシウムを十分に摂取することで、頭皮の血行が促進され、必要な栄養が行きわたります。髪を作る毛母細胞に必要な栄養が届くことで、髪の生育を促進すると考えられます。
頭皮の血行がよくなると、頭皮の毛穴のつまりも解消されるでしょう。血流が改善すると、過剰な皮脂の分泌や頭皮の乾燥が防止され、皮脂の量が正常になって新たな毛穴の詰まりも防止できます。
以上のように、マグネシウムの摂取によって頭皮環境が改善され、髪によい効果があると考えられます。
マグネシウムは、髪の主成分であるタンパク質の合成をサポートします。マグネシウムを適切に摂取し、髪の健康を維持することで、ヘアサイクルの正常化に役立つでしょう。ヘアサイクルとは、髪が成長して抜け落ちるまでの周期のことです。
ヘアサイクルには、成長期・退行期・休止期の3つの期間があります。成長期が長ければ髪は太くなり、抜け落ちるまでの期間が長くなります。
ヘアサイクルが乱れて成長期が短くなると、髪が十分に成長しないまま抜け落ちてしまいます。
マグネシウムの適切な摂取により、頭皮環境の改善やヘアサイクルの正常化を図ることができ、抜け毛や薄毛、白髪の防止効果が期待できます。
ヘアサイクルの乱れによって抜け毛の多い状態が続くと、髪全体が薄くなる恐れがあります。また、血行不良や栄養不足などが原因で、白髪が増えることもあるでしょう。
マグネシウムを十分に摂ることで、血行促進や頭皮環境の改善を図れるため、抜け毛や薄毛、白髪といった髪の悩みを改善できる可能性があります。
マグネシウムは、必須ミネラルの1つです。健康や美容に欠かせないものであり、骨や歯を形成したり他の酵素の働きを助けたりしています。
マグネシウムが具体的にどのような働きを持つのか、以下でみていきましょう。
マグネシウムはエネルギーの産生や代謝に関わっており、健康の維持や美容において重要です。
マグネシウムは食品によって取り込まれる栄養素を分解し、エネルギーに変えることを助ける栄養素です。筋肉の収縮や神経系・心機能の維持も、マグネシウムが支えています。
細胞の新陳代謝を促進することも、マグネシウムの働きです。古い角質を排除して皮膚の再生・修復を促進するため、肌を美しく保つ効果もあると考えられています。
マグネシウムの十分な摂取によって、疲労感や倦怠感を軽減することも可能です。マグネシウムが不足すると、手足のしびれやけいれん、集中力の低下などを引き起こすこともあります。
マグネシウムは、骨や歯に多く含まれているミネラルです。体内のマグネシウムの50~60%は骨に含まれています。
マグネシウムが不足すると骨から溶け出して使われるため、骨粗しょう症のリスクが高まります。マグネシウムは歯の表面を覆う硬いエナメル質にも含まれているため、不足すると虫歯のリスクが高まるでしょう。
マグネシウムを十分に摂ることは、身体を支える骨や食事をとるための歯の健康維持のために大切です。
マグネシウムは、そのものが体内で働くだけでなく、体内の酵素の働きを助ける役割も持っています。補因子として、300以上の酵素の働きを助けています。
エネルギー産生だけでなく、免疫機能やホルモンバランス、神経機能、心機能の維持にも関わる重要な栄養素です。日々を健康に過ごすために、マグネシウムの十分な摂取は不可欠です。
マグネシウムは普段の食事やサプリメントで摂取できるほか、入浴剤などによりけい皮吸収することも可能です。どのように摂取できるのか、以下でみていきましょう。
マグネシウムはさまざまな食材に含まれています。日々の食事の中で、マグネシウムを積極的に摂取しましょう。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)ミネラル(多量ミネラル)」によると、マグネシウムの1日あたりの摂取推奨量は、年齢によって以下のように異なります。
| 男性(mg) | 女性(mg) | |
|---|---|---|
| 18~29歳 | 340 | 280 |
| 30~49歳 | 380 | 290 |
| 50~64歳 | 370 | 290 |
| 65~74歳 | 350 | 280 |
| 75歳以上 | 330 | 270 |
| 妊婦 | - | 年齢の推奨量+40 |
マグネシウムを多く含む食品として、以下の例が挙げられます。
たとえば、あおさ100gには約3200mg、干しエビ100gには約520mgのマグネシウムが含まれています。バランスのよい食事を心掛け、マグネシウムだけでなくほかの栄養素も摂取しましょう。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)ミネラル(多量ミネラル)」
食事からマグネシウムを十分に摂ることが難しい場合は、サプリメントを飲むのも一つの方法です。ドラッグストアやオンラインサイトで購入できるものも多いため、手軽にマグネシウムの摂取量を増やせるでしょう。
ただし、サプリメントでのマグネシウムの過剰な摂取は、健康に悪影響を及ぼします。サプリメントの用法・用量を守って摂取しましょう。なお、通常の食事ではマグネシウムの過剰摂取は起こりづらいとされています。
マグネシウムは、食事やサプリメントなど口から摂取するだけでなく、皮膚からも吸収できるミネラルです。
マグネシウムを含む入浴剤を溶かしたお湯につかることで、代謝が促進されて汗をかきやすくなります。その結果、皮膚のターンオーバーを促せるため、美肌効果が期待できます。保湿効果もあるため、乾燥肌の方にもおすすめの方法です。
エプソムソルトは硫酸マグネシウムとも呼ばれ、塩のような見た目をしています。入浴剤として使えるほか、シャンプーやトリートメントに混ぜたり、マッサージに使ったりすることが可能です。
シャンプーやトリートメントに混ぜて使う場合は、エプソムソルトの結晶をしっかり溶かしましょう。シャンプーやトリートメントを洗い流すときのお湯に混ぜることも、使い方の1つです。
マグネシウムを効率的に摂取するには、食材の調理法や他の栄養素とのバランスを考慮することが大切です。サプリメントを活用する場合は、摂りすぎないよう注意しましょう。また、食事などでマグネシウムを摂ることだけでなく、体内から過剰に排出させないという意識も大切です。
それぞれの注意点について、以下で解説します。
マグネシウムを効率的に摂るために、茹でたり水に長時間さらしたりする調理法は避けましょう。食品に含まれるマグネシウムの中には、水に溶けるものもあるためです。
水分ごと食べられる汁物にしたり、茹でる必要がある場合は電子レンジを活用して短時間にしたりすることで、マグネシウムが流出するのを防止できます。
マグネシウムだけでなく、他の栄養素もバランスよく摂ることを意識しましょう。
とくに、カルシウムはマグネシウムと連携して体内で働きます。そのため、マグネシウムの効果を得たい場合はカルシウムもしっかり摂ることが大切です。
また、ビタミンDとマグネシウム・カルシウムを摂取すると、マグネシウムやカルシウムの吸収が促進されます。ビタミンDを多く含む食品は魚類やキノコ類などです。一緒に料理したり、メニューを組み合わせたりして、マグネシウムをしっかりと吸収できる食事を目指しましょう。
サプリメントによるマグネシウムの摂取は、成人の場合は1日あたり350mg以下にとどめましょう。マグネシウムを過剰に摂取すると、下痢や軟便になることがあります。マグネシウムは便秘薬にも含まれており、摂取しすぎると下痢などを引き起こすことのある成分です。
腎機能が低下している人の場合は、高マグネシウム血症につながる恐れもあります。嘔吐や筋力低下、ひどい場合は息苦しさや意識混濁、心停止を引き起こすこともあるため注意しましょう。
体内のマグネシウム量を十分に維持するためには、ストレスの軽減も大切です。ストレスが溜まっていると、マグネシウムの排出が促されたり吸収が妨げられたりします。適度にストレスを解消することで、マグネシウムの過剰な排出を防止できます。
ただし、アルコール飲料や糖分を多く含む食品の摂取によってストレス解消を図ることは避けましょう。こうした飲料や食品を摂ると、マグネシウムの吸収を妨げ、排出を促進してしまいます。
ストレスを解消しながら体内のマグネシウム量を確保する方法としては、適度な運動や十分な睡眠を取ることがおすすめです。
マグネシウムの摂取は、頭皮環境を改善し、健康な髪を育てるための土台作りにつながるため、AGA対策の一つとして有効です。
AGAの治療では内服薬や外用薬の使用が一般的で、治療を行いながらマグネシウムをはじめとする栄養素をバランス良く摂ることで、効果を高めやすくなるでしょう。
マグネシウムには血行促進効果があり、頭皮に必要な栄養が行きわたって頭皮環境が改善し、健康な髪が育ちやすくなると考えられます。その結果、ヘアサイクルが正常化したり、抜け毛や白髪などの髪の悩みが改善したりする可能性があります。
髪や頭皮の状態を良くするだけでなく、体の健康維持や美容面においてもマグネシウムを摂取することは大切です。マグネシウムが不足すると身体に支障をきたすことがあるため、食事やサプリメントで適切な量を摂取しましょう。入浴剤やエプソムソルトを使って、皮膚や髪からマグネシウムを吸収することも効果的です。
髪のお悩みがある方は、マグネシウムを十分に摂取できているか確認するとともに、バランスのとれた食事をとることを心掛けましょう。食生活を改善することは、AGAの治療を行う場合の土台作りにも役立ちます。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)