更新日:2025年10月30日
「頭皮が痛痒い」「頭がかゆいときはどうすればいいの?」と考えている方もいるかもしれません。頭皮が痛痒い場合、皮膚疾患が原因の可能性があります。痛痒い症状が続いているときは、早めに皮膚科を受診するのが得策です。
本記事では、頭皮のかゆみや痛痒い状態が起こる原因と、効果的な対処法について解説します。それぞれの原因に合わせた適切なケアで、健やかな頭皮を取り戻しましょう。
頭皮のかゆみは、日常生活で経験することがある症状の一つです。しかし、そのかゆみが単なる乾燥によるものなのか、それとも何らかの皮膚疾患が原因なのかを自分で判断するのは難しいかもしれません。
「痛痒い」と感じる場合は、炎症が起きている可能性もあるため注意が必要です。ここでは、頭皮のかゆみや痛痒さを引き起こす主な原因について解説します。
頭皮湿疹は、頭部に生じるさまざまな皮膚炎(湿疹)の総称として使われます。原因や症状は多岐にわたり、適切なケアを行うには、それぞれの症状に対する理解が必要です。以下で、代表的な頭皮湿疹の種類について解説します。
接触皮膚炎は、皮膚が特定の物質に触れることで刺激やアレルギー反応を起こし、炎症が生じる症状です。「かぶれ」とも呼ばれ、湿疹・赤み・かゆみ・水ぶくれ・腫れなどが現れることもあります。
頭皮では、シャンプーやヘアカラー、パーマ剤に含まれる成分が原因となることもあるようです。アレルギー反応が起こると、かゆみや炎症を引き起こし、「痛痒い」と感じる場合もあります。
ヘアケア商品を使うたびにかゆみを感じる場合は、体質に合わない成分が含まれている可能性もあるため、使用を控えましょう。
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)は、皮脂の分泌が活発な頭皮に発生しやすい皮膚疾患です。症状として、赤みを伴う湿疹が現れ、湿ったフケや乾燥したフケが出ることもあります。悪化するとフケが固まって厚みを増し、かさぶたのようになる場合もあります。
脂漏性皮膚炎の主な要因は、皮膚に常在する真菌(カビ)の一種であるマラセチアの異常増殖です。マラセチアは皮脂をエサとして増殖し、その過程で生じる遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、炎症を引き起こすと考えられています。
マラセチアの繁殖には、皮脂の分泌バランスの乱れやビタミンB2・B6の代謝異常、ストレス、睡眠不足などが関与しているとされています。
皮脂欠乏性湿疹は、皮脂量が減少し、頭皮の水分が不足することで生じる湿疹です。皮脂には外部刺激から肌を守るバリア機能があります。皮脂分泌が極端に低下すると防御力が弱まり、炎症や湿疹が発生しやすいでしょう。
頭皮の乾燥を引き起こす要因は、空気の乾燥や紫外線、誤ったヘアケア、食生活の乱れ、睡眠不足、ストレスなどです。
乾燥が進むと皮膚に細かいシワができ、角質がフケのようにはがれ落ちます。強いかゆみが伴うこともあり、「痛痒い」と感じるケースもあるでしょう。乾燥した状態で頭皮をかくと、アレルギー反応や感染症のリスクも高まるため注意が必要です。
アトピー性皮膚炎による頭皮湿疹は、乾燥やフケを伴うことが多く、かゆみを引き起こします。アトピー性皮膚炎は、気温や湿度の変化、花粉、汗などによって悪化することもあるため環境因子には注意しなければなりません。
発症の背景には遺伝や体質といった要因だけでなく、ダニやハウスダスト、ストレスなどの外的要因も関与しています。強いかゆみから無意識にかきむしると炎症が悪化する悪循環に陥るため、適切なケアが必要です。
「頭皮が痛痒い」と感じる原因の一つに「あせも」があります。あせもは、汗腺の出口が詰まり、その周辺に汗が溜まることで炎症が起きる症状です。赤みを帯びた小さな発疹ができることも多く、汗をかきやすい部位に発生しやすいでしょう。
あせもは乳幼児に多く見られますが、大人も発症することがあります。夏場だけでなく、冬場の過度な暖房などによっても引き起こされるため注意が必要です。
アタマジラミは頭髪に寄生し、吸血することで強いかゆみや湿疹を引き起こす寄生虫です。成虫は2~4mmほどの大きさで頭髪にしがみつき、幼虫も吸血をします。吸血をしなければ、数日で餓死するでしょう。
感染は頭髪の接触や寝具、タオルの共有を通じて広がります。特に子ども同士が頭を寄せ合って遊ぶことで感染しやすく、家族にも伝染する可能性があるため、注意が必要です。
アタマジラミ自体は、ウイルス感染症を媒介しません。ただし、強いかゆみからかきむしることにより、とびひ(皮膚に細菌が感染することで、水ぶくれや厚いかさぶたができる皮膚の病気)などの皮膚感染を引き起こすこともあるため注意が必要です。
頭皮のかゆみは原因により対処法が異なるため、自己判断が難しい場合は皮膚科を受診しましょう。ここでは、シャンプー方法の見直しや頭皮マッサージ、外用薬の使用などの対処法を紹介します。
乾燥が原因で「かゆい」「痛痒い」と感じている場合、強い洗浄力を持つシャンプーの使用は避けましょう。過剰な洗浄により、必要な皮脂まで取り除かれて乾燥が悪化するおそれがあります。そのような場合には、マイルドな洗浄力を持つアミノ酸系シャンプーが適しているでしょう。
さらに、シャンプーを使う際の洗い方にも注意が必要です。髪と頭皮をぬるめのお湯でしっかりと濡らし、シャンプーをよく泡立ててから優しく洗いましょう。シャワーで流す際は、泡が残らないように十分にすすぎます。
それでも頭皮が荒れている場合には、薬用成分が配合されたシャンプーを使用することも検討してみましょう。
頭皮のかゆみを和らげるには、頭皮マッサージが効果的です。マッサージによって血行が促進され、頭皮環境の改善が期待できます。
マッサージを行う際は指の腹を使い、爪を立てたり強くこすったりせず、優しく地肌を押さえるようにしましょう。
指圧は生え際から頭頂部に向けて行い、指先で頭皮を軽くつまみあげるようにマッサージします。また、両手のひらで頭を包み込むようにして、円を描くように地肌をもみほぐす方法も効果的です。
頭皮のかゆみがあるときは、市販の外用薬を活用するのも有効な方法です。頭皮には髪の毛があるため、軟膏やクリームよりもローションタイプが使いやすく、有効成分が患部に届きやすくなります。
使用する際は、製品の説明書をよく読み、用法・用量を守ることが大切です。頭皮のかゆみが続く場合や症状が重い場合は、自己判断で薬を使い続けず、早めに医師に相談しましょう。
頭皮のかゆみが続く場合や、市販薬を数日使用しても改善しないときは、皮膚科を受診しましょう。自己判断での対処では、かゆみの原因が特定できず、症状が悪化するおそれもあります。
皮膚科では、症状に応じて適切な治療が行われます。炎症を抑えるためのステロイド外用薬や、マラセチア菌に対処する抗真菌薬の処方が一般的です。
細菌感染が疑われる場合には、抗生剤が使われることもあります。また、脂漏性湿疹が疑われる場合は、抗真菌剤入りのシャンプーが処方されるケースもあります。
頭皮湿疹の種類によって治療法が異なるため、「痛痒い」と感じているときは早めに受診して適切な治療を行い、症状の悪化を防ぎましょう。
頭皮のかゆみは、薄毛の原因になることがあります。頭皮のかゆみにより頭をかきむしると、頭皮にダメージが加わって頭皮環境が悪化するおそれがあります。その結果、健康な髪が育ちにくくなり、抜け毛が増える可能性もあるため注意が必要です。
なお、頭皮の痛痒い状態が治ったものの薄毛が気になる場合は、AGA(男性型脱毛症)の可能性が考えられます。AGAは進行性の脱毛症で、進行を防ぐためには治療が必要です。
AGAの治療には、オンライン診療が便利です。通院に抵抗がある方や忙しい方も自宅で診察を受けられ、処方された治療薬も自宅などで受け取れるため、手軽に薄毛治療を始められます。
頭皮のかゆみはさまざまな原因によって引き起こされ、放置すると薄毛につながる可能性があります。シャンプーの方法や生活習慣を見直し、頭皮マッサージなどで頭皮環境を整えることが大切です。
かゆみや痛痒い状態が続く場合は、自己判断せずに早めに皮膚科で相談しましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)