更新日:2025年10月30日
おでこがM字型に後退し、「生まれつき?」「もう手遅れ?」と気になっている方もいるかもしれません。「M字はげ」は、多くの場合は男性型脱毛症(AGA)が原因となります。AGAは適切な治療により進行を抑制することが可能です。
本記事では、M字はげの原因や生まれつきの場合との見分け方、対処法について解説します。
M字はげとは、おでこの生え際の後退によってM字型に脱毛する状態を指します。その進行には先天的要因と後天的要因が関わっており、多くの場合はAGA(男性型脱毛症)が原因です。
初期段階では額の角が薄くなり、進行すると薄毛の範囲が広がります。治療を行わないと改善が難しくなるため、早めの対策が重要です。
以下では、M字はげの基準や目安、起こりやすい年代について見ていきます。
M字はげの明確な基準はありませんが、目安としておでこの左右の生え際の後退が指2本分(約2cm)以上ある場合、該当する可能性があります。また、おでこの生え際の髪が細く弱くなったり抜け毛が増えたりする場合も、後天的なM字はげが進行しているサインといえるでしょう。
自分で判断する際は、過去の写真と比較し、おでこの生え際が後退しているかを確認するとよいでしょう。もともとおでこの生え際がM字型の人もいるため、現在の形ではなく変化に着目することが大切です。
M字はげは、どの年代でも発症する可能性があります。日本人男性の場合、20代から薄毛が気になり始めるケースも少なくありません。
M字はげの前兆として、おでこの生え際の後退や髪の毛が細くなるといった変化が見られます。これらの兆候がある場合は、早めの対策が重要です。進行を防ぐために、適切なヘアケアを行うとともに医師への相談を検討しましょう。若いうちから予防に取り組むことで、将来の薄毛リスクを軽減できます。
おでこがM字型にはげる原因として、以下の4つが挙げられます。
それぞれについて見ていきましょう。
AGA(男性型脱毛症)は、男性に発症する進行性の脱毛症です。AGAは主に男性ホルモンの影響で発症する疾患で、遺伝や生活習慣などの要因も関与していると考えられています。
通常、髪は一定の成長期間を経て自然に生え変わりますが、AGAが進行すると成長が不十分なまま抜け落ち、髪が細くなってボリュームが減ります。
AGAは、自然に治ることはありません。ただし、適切な治療によって進行を抑制することは可能です。内服薬や外用薬の使用により、抜け毛の進行を防ぎながら発毛を促せます。おでこの生え際がM字型になりAGAが疑われる場合は、医師に相談してみましょう。
牽引性脱毛症は、髪を強く引っ張ることで生じる脱毛症です。頭皮に負担がかかることで毛根が弱まり、抜け毛が増える原因になります。特にオールバックやポニーテールなどの髪型を続けると、生え際に負担がかかりおでこのM字部分の薄毛を引き起こしやすくなります。
また、ヘルメットや帽子を長時間かぶる習慣も発症の一因となるため注意が必要です。
牽引性脱毛症は、髪型や分け目を変えることで改善するケースが多く、髪の負担を減らすことで自然に回復する可能性があります。ただし、AGAと併発している場合もあるため、症状が続く場合は医師に相談するのがおすすめです。
生活習慣の乱れは、おでこのM字はげを進行させる要因の一つです。不規則な生活が続くとホルモンバランスが乱れ、薄毛のリスクが高まります。睡眠不足は血行不良を引き起こし、毛根に十分な栄養が届きづらくなるため注意が必要です。また、睡眠の質が低下すると成長ホルモンの分泌が減少し、髪の健康維持が難しくなります。
偏った食事により栄養不足になると、髪の成長に必要な栄養素が不足し、健康な髪が育ちづらくなります。
M字はげを防ぎ、健康な髪を維持するためには十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
生まれつきおでこがM字型になっている場合、脱毛症とは異なり放置しても進行することはほとんどありません。ただし、もともとM字の形をしていることで、薄毛の進行によりM字はげが目立ちやすくなることもあります。
見た目が気になる場合は、髪型を工夫してみましょう。それでも気になるようであれば、自毛植毛などの方法で改善を図れます。
M字はげと生まれつきのおでこの生え際は、いくつかのポイントで見分けられます。進行度合いや遺伝の可能性、抜け毛の量などを確認し、適切に判断しましょう。
左右の生え際の後退が指2本分(約2cm)未満である場合は、もともとの髪の生え方である可能性が高いでしょう。一方、その距離が指2本分(約2cm)以上ある場合は、M字はげの可能性があります。
一般的なM字型のはげの場合、額の両サイドから髪が徐々に後退し、散髪で刈り上げたような形になっていきます。過去の写真と今の髪型を見比べて明らかに後退している場合は、M字はげの可能性があるでしょう。
M字型の生え際が遺伝によるものかは、家族の生え際を確認することである程度判断できます。
両親や祖父母、兄弟におでこの生え際がゆるやかなカーブを描く「富士額」の人がいる場合、遺伝的にM字型の生え際を受け継いでいる可能性があります。
一方、家族にM字はげの人がいる場合は、薄毛になりやすい体質が遺伝している可能性も考えられるため、将来的な進行に注意が必要です。
抜け毛の増加は、薄毛が進んでいる兆候かもしれません。髪は毎日自然に抜け落ち、その本数が1日50~100本程度であれば問題ないでしょう。
一方、枕や床に落ちる髪が増えたと感じる場合や、シャワー後の排水溝に抜け毛が目立つ場合は、薄毛が進行している可能性もあります。
特に、短く細い毛が多く抜ける場合は、M字はげが進行しているかもしれません。抜け毛の増加を感じたら、早めの対策をおすすめします。
M字型の生え際が薄毛によるものか、それとも生まれつきのものかを見極めるには、生え際の毛の状態をチェックすることが大切です。
もともとM字型の人は、生え際の毛が他の部分と変わらず太く、十分な長さを保っています。このような状態であれば、薄毛の可能性は低いでしょう。
一方で、M字型の薄毛が進行している場合には生え際の毛が細くなり、成長が不十分になります。
鏡でおでこの生え際の毛を確認し、以前から変化していないか定期的にチェックしましょう。
M字はげは多くの場合、AGA(男性型脱毛症)の初期症状として現れます。前頭部から後退し始め、放置するとおでこだけでなく頭部全体へと薄毛が広がります。
初期段階で適切な治療を始めれば、改善を図りやすいでしょう。しかし、放置すると生え際全体が後退し、やがて頭頂部にまで薄毛が進行します。
薄毛が進行すると、治療期間が長くなり、費用の負担も増えるでしょう。将来的な薄毛のリスクを軽減するためには、早期の対策が重要です。気になる場合は、できるだけ早く医師に相談することをおすすめします。
おでこのM字型の薄毛は、生活習慣の見直しや頭皮マッサージ、ヘアスタイルの変更で改善する場合があります。ただし、AGAの可能性も考慮し、クリニックの受診も検討しましょう。治療を行うことでより効果的な改善が期待できます。
ここでは、それぞれの対処法について紹介します。
おでこのM字型の薄毛が気になる場合、生活習慣の改善が有効な対策の一つです。
まず、十分な睡眠時間を確保しましょう。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の成長を促進し、健康な毛髪を維持するために欠かせません。また、十分な睡眠によってストレスや疲れを軽減することにより、血行やホルモンバランスを整える効果も期待できます。
栄養バランスのとれた食事も心がけましょう。ファストフードやインスタント食品はできる限り避け、肉や魚、大豆、野菜、果物などをバランスよく食事に取り入れることが大切です。
また、適度な運動を習慣化すると血行が改善され、毛髪の健康にもよい影響を与えます。軽い有酸素運動は、ストレス解消やホルモンバランスの調整にも役立つでしょう。
おでこのM字型の薄毛が気になる場合、頭皮マッサージも効果的です。血行が促進され、髪の成長を助ける効果が期待できます。
マッサージ方法としては、頭部の前頭筋・側頭筋・後頭筋を意識し、手のひらや指の腹を使って頭皮全体を動かすようにほぐしましょう。加えて、頭部のツボを意識して押すことで、より効果的に血流を促せます。
マッサージは毎日行うことが大切です。寝る前の習慣として取り入れたりシャンプー時に行ったりすることで、無理なく続けやすくなるでしょう。
牽引性脱毛症の場合、ヘアスタイルを変えて髪や毛根への負担を減らすことで、症状の改善が期待できます。
オールバックやきつく結ぶ髪型は避け、同じ分け目にならない髪型に変えてみましょう。
ヘアスタイルを変えても改善しない場合はAGAの可能性も考えられるため、医師に相談するのがおすすめです。
薄毛治療は、皮膚科やAGA専門クリニックで受けられます。
AGAは人によって薄毛の部位や進行度が異なります。個々の状態を踏まえた適切な治療を行うことで、自己流の対策や自己判断での市販薬の使用に比べて早く効果を実感できる可能性が高いでしょう。医師に相談しながら治療を受けられるため、不明点や不安を解消しながら治療を進められます。
M字はげの主な治療方法は、以下のとおりです。
ここでは、それぞれについて解説します。
M字はげの治療には、AGA内服薬の服用が有効です。
AGAの内服薬であるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を阻害し、薄毛の進行を抑制します。DHTは、男性ホルモンのテストステロンと、5αリダクターゼという酵素が結びつくことで生成されます。
ただし、女性型脱毛症には使用すべきではないとされています。また、AGA内服薬は医師の処方が必要な医療用医薬品です。個人輸入サイトなどで販売されていることがありますが、有効性・安全性に問題があるおそれがあるため、必ず医師の診察を受けて処方された薬を服用しましょう。
外用薬のミノキシジルは、M字はげの改善に効果が期待できます。
ミノキシジルは、血管拡張作用により血流を促進し、毛母細胞の働きを活発にすることで発毛を促すのが特徴です。市販の発毛剤にも含まれている成分ですが、副作用のリスクも考慮し、医師の診察を受けたうえで使用することを推奨します。
自毛植毛は、後頭部や側頭部から健康な毛髪を採取し、薄毛が進行している箇所へ移植する治療法です。毛包ごと移植するため、成功すれば自然な成長を期待できます。
一度移植された髪は、通常の毛髪と同じように成長し続け、髪を切った後も再び生えてきます。自毛植毛は、AGAによる薄毛の根本的な改善を図れる治療法といえるでしょう。
メソセラピーは、頭皮に有効成分を注入し、髪の成長を促す治療法です。AGAの初期段階で治療を開始することにより、薄毛の進行を抑えやすくなります。
注入された成分は毛根に直接作用し、血流を促進して髪の成長をサポートします。ただし、毛包がなくなっている場合には効果が期待できないため、薄毛の進行度に応じた選択が重要です。
毛根再生注射は、自己修復力を活用して細くなった毛を太くする治療法です。後頭部の元気な毛根から「毛包幹細胞」と、そこから作られる「毛母細胞」を取り出し、薄毛部分に注入することで毛根の修復と再生を促します。
オンラインクリニックを利用することで、M字はげの治療を手軽に始められます。外出せずにスマートフォンやパソコンを使って受診できるため、通院の負担がかかりません。
近くにAGAクリニックがない人や、忙しくて通院時間を確保しにくい人にとって、大きな利点となるでしょう。また、予約制で基本的に待ち時間が発生せず、対面診療よりも料金を抑えられることがあるため、コスト面でもメリットがあります。
おでこの生え際が後退するM字はげは、早期の対策が鍵です。M字はげは、AGAや生活習慣の乱れ、牽引性脱毛症など、さまざまな原因により起こります。AGAの場合、初期段階ではおでこの生え際の一部が後退しているように見えますが、放置すると頭頂部まで薄毛が進行し、治療の負担が大きくなるため注意しましょう。
生活習慣の見直しや頭皮マッサージ、ヘアスタイルの変更など自分でできる対策もありますが、根本的な改善を目指すのであれば、クリニックの受診がおすすめです。AGAの場合、AGA治療薬や毛根再生注射、自毛植毛などが治療法として挙げられます。
オンラインクリニックであればスマートフォンやパソコンを使って手軽に相談でき、自宅で治療を進められます。
レバクリでは、AGAのオンライン診療を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)