更新日:2025年10月30日
「ヘアスプレーを使うとはげる?」「ヘアスプレーは頭皮に悪い?」と気になっている方もいるかもしれません。ヘアスプレーの使用によってはげる可能性は、低いとされています。しかし、洗い流さずに寝てしまうなど、使い方によっては頭皮環境の悪化を招き、薄毛の原因となりかねません。
本記事では、ヘアスプレーを使うとはげるのか解説するほか、ヘアスプレーを使う際の注意点、整髪料を使いつつ行える薄毛対策などを紹介します。ヘアスプレーの使用による薄毛への影響を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
結論からいうと、ヘアスプレーの使用ではげる可能性は低いとされています。ヘアスプレーの原料は水やエタノール、合成界面活性剤、香料、防腐剤などで、薄毛や抜け毛の直接の原因となる成分は含まれていません。
ただし、ヘアスプレーの使い方によっては頭皮や頭髪にダメージを与え、薄毛や抜け毛につながる可能性がある点に注意しましょう。
ヘアスプレーの使用によりはげる可能性は低いものの、薄毛につながることがある理由として以下の3点が挙げられます。
以下の項で、それぞれについて見ていきましょう。
ヘアスプレーの成分は、水・エタノール・合成界面活性剤・香料・防腐剤などです。合成界面活性剤は石油や植物性油脂などから作られ、化粧品や薬品、食品などに幅広く利用されています。化粧水などが肌に浸透していくのは、界面活性剤の効果によるものです。
合成界面活性剤には、肌の油分を奪ったりたんぱく質を分解したりする性質があります。頭皮や頭髪についたままになっていると、油分が失われて肌が荒れたり、髪のたんぱく質が失われて毛が細くなったりする恐れがあります。
香料にも注意が必要です。アレルギー反応が起こる場合もあり、肌がかぶれると抜け毛を引き起こしかねません。防腐剤も同じようにアレルギー反応を起こし、肌荒れやかぶれなどの原因になることがあります。
ヘアスプレーやジェル、ワックスなどセット力の強い整髪料は、洗い流すのに時間がかかることがあります。しっかり落とすことは大切であるものの、そのために髪を洗い過ぎると、頭皮に必要な皮脂まで落としてしまうでしょう。
頭皮から皮脂が奪われると、頭皮の乾燥を招きます。頭皮が乾燥すると、身体は皮脂を出そうとするため、頭皮の皮脂分泌が過剰になりかねません。それによって毛穴が詰まり、抜け毛や薄毛につながる可能性があります。
ヘアスプレーでセットした髪は、強く固められます。しかし、髪は長時間引っ張られた状態で頭皮にも長い時間圧力がかかるため、それが原因で抜け毛が起こる可能性があります。
外部からの力がかかり続けることで起こる抜け毛を「牽引性脱毛症」と呼びます。負荷のかかりやすい、前髪の生え際で起こることが多いのが特徴です。
ヘアスプレーを利用して立てた髪型にすること以外では、カチューシャで一部の髪を引っ張ったり、後ろできつくしばる「ひっつめ髪」にしたりすることも、牽引性脱毛症の原因となることがあります。
ヘアスプレーの使用中に気をつけたい脱毛症には、以下の3つが挙げられます。
粃糠性脱毛症と脂漏性脱毛症は、ヘアスプレーの使用で頭皮環境が悪化した場合に起こることの多い症状です。AGA(男性型脱毛症)はヘアスプレーが直接の原因となるわけではありませんが、頭皮環境が悪くなると薄毛の症状が悪化しかねません。
以下の項で、それぞれの脱毛症について説明します。
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略語で、遺伝や男性ホルモンが関係する脱毛症です。
主に頭頂部や前頭部で抜け毛が発生するのが、AGAの特徴です。見た目によって、おでこの左右の生え際が後退する「M字型」や頭頂部が薄くなる「O字型」などに分類されます。
AGAの発症に大きく関わっているのが、遺伝です。父親、あるいは母方の祖父がAGAの場合は発症しやすいとされています。
男性ホルモンの一種である、ジヒドロテストステロン(DHT)の影響も関係しています。
DHTの分泌量が増えると男性ホルモン受容体と結合し、「脱毛因子」が生成されます。それにより毛髪の成長が抑制され、AGAの発症につながります。
ヘアスプレーの使用は、AGA発症の直接の原因となるわけではありません。ただし、ヘアスプレーの使い方や使用後の状態がよくない場合、頭皮環境が悪化して薄毛の範囲が広がるなどの悪影響が起こることが考えられます。
AGAの治療法は、内服薬や外用薬の使用が一般的です。
粃糠性脱毛症は、頭髪が薄くなるだけでなく、白く細かいフケが大量に発生することが特徴です。乾いた粉のようなフケが、頭全体に発生します。
皮脂や汚れ、フケなどが毛穴に詰まり、頭皮に炎症が起きることが主な原因です。ヘアスプレーを大量に使うと、汚れやフケなどが毛穴に付着しやすくなります。ヘアスプレーを使ったことで頭皮環境が悪化すると、発症の可能性が高まります。
フケが発生する原因と考えられているものは、以下のとおりです。
フケが大量に発生すると、頭髪の成長が阻害されます。髪のハリやコシが失われ、生えてきたとしても細く、ボリューム感の乏しいものとなるのが特徴です。この状態で放置すると、やがて髪の毛が抜け落ちます。
粃糠性脱毛症の治療には、炎症を抑えるステロイド剤や皮脂の分泌を抑える外用薬を使うのが一般的です。かゆみが強い場合には、抗ヒスタミン剤を用いることもあります。フケが気になり頭をゴシゴシ洗うと、かえって悪化するおそれがあるため注意が必要です。
脂漏性皮膚炎から派生する脱毛症が、脂漏性脱毛症です。脂漏性皮膚炎は、皮脂が過剰に分泌されて頭皮のべたつきが生じる病気です。皮脂が毛穴に詰まることで、炎症や湿疹などを引き起こします。
頭皮で脂漏性皮膚炎が起こると、毛穴の詰まりなどにより頭皮環境が悪化し、抜け毛につながることがあります。これが脂漏性脱毛症です。ヘアスプレーの使用が頭皮環境の悪化を助長することもあります。ヘアスプレーをしっかり落とそうとするあまり、髪を洗い過ぎると皮脂の分泌が過剰になり、逆効果になる場合があるため注意してください。
脂漏性皮膚炎は頭皮のほか、わきや顔など、皮脂の分泌がさかんな部位で起こります。紫外線が強く、汗をかきやすい夏の時期に症状が悪化するケースが多くなります。
脂漏性脱毛症の治療には、原因に応じてステロイド剤や抗真菌薬を使うのが一般的です。マラセチアという皮膚に常在するカビの増殖が原因の場合には、抗真菌薬を使います。
脂漏性脱毛症を改善するには、頭皮を清潔に保つことが重要です。ただし、粃糠性脱毛症の場合と同様に、ゴシゴシと洗い過ぎるのは禁物です。頭皮を傷めてしまい、かえって症状が悪化する可能性があります。
ヘアスプレーやワックスなどの整髪料が、直接的にはげる原因になるわけではありません。しかし、使い方を間違えると薄毛や抜け毛を助長する可能性があります。この項では、ヘアスプレーやワックスなどのセット力の強い整髪料を使う際の注意点を紹介します。
ヘアスプレーの使い方として重要なのは、頭皮につかないようにすることです。これはワックスやジェルなど、他の整髪料でも同じです。
整髪料が頭皮につくと、毛穴が詰まる原因となります。それだけでなく、頭皮のべたつきやかゆみ、炎症などを引き起こしかねません。
ヘアスプレーをつける際には、地肌につかないよう、髪の根元には噴きかけないことが大切です。なるべく頭皮から1cm以内には整髪料をつけないよう心がけましょう。
ヘアスプレーの場合、注意していても液剤が頭皮までかかることがあります。髪の根元を手で覆ってスプレーがかからないようにしたり、ティッシュに噴射してから髪につけたりするなどの対応策も一案です。
ヘアスプレーを使ったら、その日のうちに洗い流しましょう。ヘアスプレーに限らず、整髪料をつけたまま寝ると頭髪についた液剤が頭皮に付着しやすくなります。
1日洗わずにいると、皮脂や汚れ、整髪料が毛穴に詰まり、頭皮環境が悪くなりやすいでしょう。固く整えた髪のまま寝ると、寝返りを打ったときに強く引っ張られ、抜け毛の原因となる可能性もあります。
整髪料をきれいに洗い落とすためには、ぬるま湯で予洗いするのがポイントです。ヘアスプレーなどの油分でシャンプーが泡立たない場合は、コンディショナーをつけてヘアスプレーとなじませたうえで、一回流します。それからシャンプーすると、泡立ちやすくなるでしょう。
ヘアスプレーの使い過ぎにも気をつけましょう。多く使うほど、頭皮につく可能性も高まります。
また、ヘアスプレーを長期的に使い続けていると、髪が常に引っ張られて頭皮に負担がかかります。頭皮を守るためにも、整髪料の使用量は必要最小限にし、使わない日を設けるなどの対策をとることもおすすめです。
ヘアスプレーを使いつつ、薄毛対策を行うことは可能です。ここではヘアスプレーを使っていてもできる薄毛対策について解説するので、できることから始めてみましょう。
「フケが出る」「しみる」などの自覚症状がある場合は、整髪料の種類を見直すのが一案です。自分の頭皮に合っていないと感じたら、違う整髪料に切り替えてみましょう。「低刺激性」「オーガニック」「敏感肌用」など、さまざまな商品が販売されています。
あわせて、ヘアケアのやり方を見直すのもおすすめです。爪を立てて髪を洗っていたりすすぎ残しがあったりすると、頭皮環境は悪化します。頭皮に優しいヘアケアを行うことが、薄毛の進行を防ぐために大切です。
頭皮環境を良好に保つには、生活習慣を改善することも大切です。
寝る直前までスマートフォンを見ていると、睡眠の質を下げかねません。就寝前はリラックスして過ごし睡眠の質を上げるとともに、睡眠時間を十分に取ることも重要です。
食生活に関しては、脂肪分の多い食事をしていると皮脂の分泌が多くなり、頭皮環境が悪化するおそれがあります。栄養バランスのよい食事をとることを心掛けつつ、毛髪を作るたんぱく質や新陳代謝を促進するビタミンB群などを積極的に摂るとよいでしょう。
また、髪の主成分となるケラチンの合成には、亜鉛が重要な役割を担っています。カキや豚レバーなどに豊富に含まれているため、意識して食べるとよいでしょう。サプリメントの利用も一つの手段です。
ヘアケアに頭皮マッサージを取り入れると、頭皮環境の改善に役立ちます。
洗髪時などに行う頭皮のマッサージは、指の腹で優しく行うのがコツです。頭皮マッサージを行うことで、血流促進のほかストレス解消も図れます。
AGAや脂漏性脱毛症などの病気は、クリニックでの治療が有効です。AGAに関しては、皮膚科のほかAGA専門のクリニックで相談する方法もあります。
オンライン診療に対応しているクリニックであれば、自宅で診察から薬の処方まで完結するため便利です。自宅の近くに皮膚科やAGA専門のクリニックがないといった方でも、気軽に受診できるメリットがあります。
とくにAGAは進行性で、放置すると脱毛が進むことが懸念されます。悩んでいるなら、オンラインクリニックで相談してみてはいかがでしょうか。
ヘアスプレーが直接的にはげる原因となることはありませんが、使い方によっては薄毛・抜け毛を招く可能性があります。整髪料の成分が頭皮につくと、べたつきや炎症などを起こしやすくなるため注意が必要です。
ヘアスプレーなどの整髪料は、使ったらその日のうちに洗い流しましょう。また、整髪料の種類や生活習慣の見直しによって、頭皮環境が改善する場合があります。
クリニックを受診すれば、医師に相談して原因に合わせた治療を受けられます。多忙な方や医療機関に行くのはハードルが高いと感じている方は、オンラインクリニックの利用が便利です。
レバクリでは、AGA治療薬のオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)