更新日:2025年10月30日
側頭部がはげてきた・薄くなってきたことで「AGAではないか?」と気になっている方もいるかもしれません。側頭部のはげ・薄毛はAGAである可能性は低く、ストレスや眼精疲労などの原因が考えられるほか、蛇行性脱毛症といった疾患の可能性もあります。
本記事では、側頭部のはげ・薄毛の原因や対策について解説します。
側頭部の髪が薄くなってくると、「もしかしたらAGAかもしれない」と不安になることもあるかもしれません。
ここでは、側頭部がはげていると感じる場合にAGAの可能性があるのかについて、解説します。
側頭部がはげていると感じる場合、AGA(Androgenetic Alopecia)の可能性は低いと考えられます。AGAとは、主に成人男性に見られる進行性の脱毛症で、遺伝や男性ホルモンの影響を受けて徐々に髪が薄くなるのが特徴です。
AGAの主な原因はジヒドロテストステロン(DHT)で、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで生成されるホルモンです。DHTは毛根に作用し、毛周期(ヘアサイクル)を乱すことで脱毛を促進します。
5αリダクターゼは、特に生え際や頭頂部に多く存在し、側頭部にはほとんど存在しません。そのため、側頭部のはげはAGAとの関連性が低いと考えられています。
AGAの発症に関与する5αリダクターゼは、生え際や頭頂部付近に多く存在しています。
一方で、側頭部には5αリダクターゼの分布が少ないため、ジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けにくいと考えられています。AGAを発症していたとしても、側頭部の髪は残るケースが多いでしょう。
そのため、側頭部が薄くなってきた場合、原因はAGAではない可能性があります。ストレスや栄養不足、生活習慣の乱れ、皮膚疾患などほかの原因の可能性があるでしょう。
側頭部のはげ・薄毛は、ストレスや眼精疲労などの原因が考えられます。どのような原因があるのか確認し、早めに対処しましょう。
ここでは、側頭部のはげ・薄毛の主な原因について解説します。
側頭部のはげは、ストレスが原因となっている可能性があります。過度なストレスが続くと自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位になって血管が収縮し、全身の血行が悪くなります。血行が悪くなることで頭皮への栄養や酸素の供給が滞り、毛母細胞の働きが低下するため、髪の成長が妨げられて薄毛や脱毛につながるおそれがあるでしょう。
また、ストレスは円形脱毛症の発症誘因のひとつともされています。円形脱毛症は、自己免疫反応などにより突然円形に髪が抜け落ちる疾患で、精神的な負荷や強い緊張状態をきっかけに発症するケースも少なくありません。側頭部が円形にはげている場合は、円形脱毛症の可能性があるため、早めに皮膚科を受診しましょう。
眼精疲労が側頭部のはげ・薄毛の原因となることがあります。たとえばスマートフォンやパソコンの画面を長時間にわたって見続けた場合、目の周囲の筋肉が緊張しやすくなり、顔から頭部にかけての血流が悪化します。
血流が悪くなると、頭皮まで十分な酸素や栄養が届けられなくなり、髪の成長を担う毛母細胞の働きが低下する可能性があるでしょう。その結果、特に側頭部などの髪が細くなったり抜け毛が増えたりする可能性があります。
眼精疲労だけが側頭部のはげ・薄毛の直接的な原因とは限りませんが、頭皮環境の悪化を引き起こす要因のひとつとして注意が必要です。目の疲れを感じたときは、定期的に目を休めたり、蒸しタオルなどで目元を温めて血行を促進したりするケアを心がけるとよいでしょう。
肩こりが原因で、側頭部の薄毛につながる可能性もあります。肩や首の筋肉が緊張すると血行が悪化し、頭皮まで十分な酸素や栄養が行き渡らなくなるためです。血行不良になると髪の成長サイクルが乱れ、抜け毛が増えることもあるでしょう。
特に、長時間にわたって同じ姿勢で作業を続けるデスクワークや、パソコン・スマートフォンの使用頻度が多い人は、肩こりを起こしやすくなります。その結果、頭皮の血流も低下し、側頭部をはじめとした髪の健康に影響を及ぼす可能性があります。
慢性的な肩こりがある場合、それが薄毛の一因となっている可能性もあるため、こまめに肩や首をストレッチしたり入浴時にしっかり温めたりするなど、日常的にコリを和らげることが大切です。
側頭部のはげ・薄毛は、なんらかの病気が原因である可能性もあります。
ここでは、側頭部の薄毛に関連する可能性のある疾患とその症状について解説します。
甲状腺機能の異常が、側頭部のはげ・薄毛につながることがあります。甲状腺とは、のどぼとけのすぐ下にあり、体の代謝をコントロールする甲状腺ホルモンを分泌している臓器です。甲状腺ホルモンは、体温の調整やエネルギーの代謝、細胞の活動を維持するうえで欠かせない重要な役割を担っています。
しかし、甲状腺の機能に異常が生じてホルモンの分泌量が多すぎたり少なすぎたりすると、代謝のバランスが崩れてしまいます。その影響は髪の成長にもおよび、毛周期が乱れることで、抜け毛や薄毛の症状が出る場合もあるでしょう。特に、側頭部に薄毛が見られることもあり、注意が必要です。
甲状腺機能に異常が起こるのは女性に多いとされていますが、男性も発症する可能性はあります。側頭部の薄毛に明確な原因が見当たらない場合は、内分泌系の疾患として甲状腺機能の異常も一度疑ってみましょう。必要に応じて、内科や内分泌科の医療機関での検査をおすすめします。
蛇行性脱毛症によって、側頭部がはげていると感じることもあります。蛇行性脱毛症とは、髪の生え際に沿って帯状に脱毛が生じる円形脱毛症の一種です。その脱毛の形状が、まるで蛇がくねくねと進んでいるように見えることから、この名称がつけられています。
脱毛の範囲は比較的広く、左右対称に症状が現れる傾向があります。特にこめかみや耳の上など、側頭部に症状が現れやすいでしょう。
また、単発型や多発型の円形脱毛症が慢性化・重症化することで蛇行型へと進行するケースもあるため、早期の対処が大切です。脱毛が長期間にわたる、広範囲に及ぶといった場合は、皮膚科で診察を受けましょう。
牽引性脱毛症が原因で、側頭部がはげていると感じることもあります。牽引性脱毛症とは、髪を結ぶなど、髪の毛を長時間にわたって引っ張るような髪型が原因で起こる脱毛症の一種です。髪の根元に強いテンション(引っ張り)がかかるスタイルを続けていると、頭皮に慢性的な負担がかかり、血流が悪くなってしまいます。
このような状態が続くと、頭皮の毛根に十分な栄養が届かなくなり、髪の成長サイクルが乱れて抜け毛や薄毛といった症状が現れやすくなります。牽引性脱毛症の場合、特に髪を結んでいる部分の生え際や側頭部などが影響を受けやすいでしょう。
脂漏性皮膚炎が原因で、側頭部のはげ・薄毛が起こる可能性もあります。脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が過剰になることで頭皮や顔などに炎症が起こる皮膚疾患のひとつです。特に頭皮や鼻の周辺に、赤み・かゆみなどの症状が見られやすく、フケが多くなるのも特徴です。
こうした症状が慢性的に続くと、頭皮環境が悪化し、髪の成長が妨げられて抜け毛が増え、薄毛へとつながることがあります。
脂漏性皮膚炎による脱毛は、疾患の治療により改善が見込めます。頭皮環境の異変を感じたら、早めに皮膚科で相談して適切なケアを行いましょう。
側頭部のはげ・薄毛は、何が原因であるかを明確にして、適切な対策をとることが大切です。
ここでは、原因ごとの対策を解説します。
側頭部のはげがストレスによるものである場合は、適度な運動やリラックスできる時間を取り入れて、日々のストレスを解消しましょう。
運動はウォーキングや軽いジョギング、ヨガ、ストレッチなど、手軽にできるものがおすすめです。また、アロマを取り入れた入浴や、好きな音楽を聴く、深呼吸を意識するといったリラックス法も効果的です。自分に合った方法でストレスを上手にコントロールすることが、薄毛対策につながります。
また、ストレスによって頭皮の血行が悪くなっていると感じたら、頭皮マッサージを行うのもよいでしょう。
マッサージは指の腹を使い、こめかみや頭頂部を中心にやさしく円を描くようにもみほぐすことがポイントです。入浴中やシャンプーのときなど、1日5分程度でも継続して行えば、血行が促進されて頭皮環境が整いやすくなります。
眼精疲労や肩こりが薄毛の原因と考えられる場合には、早めに改善しましょう。眼精疲労は、パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることで起こりやすくなります。目の筋肉が緊張し、血流が悪化するためです。目の疲れが蓄積すると自律神経のバランスが乱れ、頭皮の血行不良を引き起こして髪に十分な栄養が届かなくなる可能性があります。
目が疲れたと感じるときは、蒸しタオルやアイマスクで目元を温めるとよいでしょう。血行が促進され、眼精疲労の緩和が期待できます。仕事の合間などに、意識的に目を休めることも大切です。
一方、肩こりの主な原因としては、長時間のデスクワークや、同じ姿勢を長く続けることがあげられます。肩こりが慢性化すると首や頭皮周辺の血行も悪くなり、髪の成長を妨げる可能性があるでしょう。
対策としては、こまめに姿勢を変える、定期的に休憩をとる、肩や首をゆっくりと回すストレッチを取り入れるといったことを習慣にするとよいでしょう。日常生活の中で、意識的に実践してみてください。
対策をしても側頭部の状態が変わらない場合、病気の可能性もあります。原因がわからないまま自己判断で対処するのではなく、皮膚科などの医療機関を早めに受診し、診断を受けることが大切です。早期に治療を開始すれば、症状の進行を防ぎ、回復を早められるでしょう。
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側頭部のはげ・薄毛はAGAである可能性は低く、主にストレスや眼精疲労、肩こりといった原因が考えられます。それらの要因に心当たりがない場合は、病気の可能性もあるため、早めに病院を受診することをおすすめします。早期に適切な治療を始めることで、症状の進行を防ぐことが可能です。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)