更新日:2025年12月23日
「睡眠と髪の毛の関係は?」「寝不足だと髪は細くなる?」と気になっている方もいるかもしれません。質の高い睡眠は成長ホルモンの分泌を促進し、健康な髪が育ちやすくなります。しかし、睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌低下や血行不良などを招き、休止期脱毛症のリスクを高める可能性があるため、注意が必要です。
本記事では、睡眠不足が髪に与える影響について解説します。また、髪の健康を守るために就寝前や起床後に取り入れたい習慣も紹介します。
睡眠不足が続くと、髪や頭皮の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。髪のハリやコシが失われて抜けやすくなったり、頭皮のベタつきが気になったりするのは、睡眠不足による影響かもしれません。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、髪の成長と深く関係しています。質のよい睡眠を確保することは、健やかな髪を育て、ハリやコシを保つうえで欠かせないポイントです。ここからは、睡眠不足が髪に与える影響について解説します。
睡眠不足は、さまざまな要因を通じて抜け毛の増加につながります。まず、髪の成長に関わる成長ホルモンの分泌が減少し、毛母細胞の働きが弱まる点に注意が必要です。成長ホルモンは深い眠りの間に多く分泌されるため、睡眠が浅かったり時間が不足したりすると分泌量が減り、髪の成長が滞ります。
また、睡眠不足による自律神経の乱れによって交感神経が優位になると、血管が収縮し頭皮への栄養や酸素の供給が妨げられ、髪が細くなりやすくなります。加えて、睡眠不足によりストレスホルモンの「コルチゾール」が増加すると、毛母細胞の働きが抑制され、抜け毛のリスクが高まる点にも注意しなければなりません。
もう1つの要因は、睡眠不足によるエネルギー代謝の低下です。生命維持に必要な器官へのエネルギー供給が優先された結果、髪や頭皮へのエネルギー供給の優先度が下がり、健康な髪が育ちづらくなる可能性があります。このように睡眠不足は、成長ホルモンや血流、代謝に影響を与え、髪に悪影響を与えます。
睡眠不足が続くと、髪のハリやコシが失われる原因になります。これは、睡眠不足によって髪の成長を支えるホルモンの分泌や栄養供給が妨げられ、髪の質が低下するためです。
まず、深い眠りの間に分泌される成長ホルモンは、毛母細胞の分裂を促します。毛母細胞の分裂は、髪の成長に欠かせません。睡眠時間が不足すると、成長ホルモンの分泌量が減少し、毛母細胞の活動が低下すると、髪が成長しづらくなります。
さらに、睡眠不足が続いて交感神経が優位になり血管が収縮すると、血流悪化を招きやすく、頭皮に十分な栄養が行き渡らなくなるため、健康な髪が育ちにくくなります。
こうした睡眠不足によるホルモンバランスの乱れや血行不良は、髪表面のキューティクルにも影響を及ぼし、髪の内部の水分や栄養が失われやすくなり、乾燥やパサつきを招く原因になるでしょう。
睡眠不足が原因で、頭皮がベタつくこともあります。睡眠不足は、頭皮の皮脂バランスを乱す要因の1つです。睡眠中に多く分泌される成長ホルモンは頭皮のターンオーバーを促進しますが、睡眠不足では成長ホルモンの分泌が減少し、ターンオーバーが乱れてバリア機能が低下し、頭皮が乾燥しやすくなります。
乾燥を補おうと皮脂が過剰に分泌されると、頭皮や髪がベタつきやすくなります。また、過剰な皮脂による毛穴詰まりは、頭皮環境を悪化させることもあるため注意が必要です。
良質な睡眠は、髪の健康を保つうえで欠かせません。質のよい睡眠をとるためには、就寝前に心と体がリラックスできる環境づくりが必要です。眠る直前まで緊張状態が続いていると、交感神経が優位になって眠りが浅くなり、成長ホルモンの分泌が妨げられます。
深い眠りにつけるよう寝室の照明や室温などを調整し、リラックスできる空間を作りましょう。ここでは、良質な睡眠で抜け毛を防ぐための就寝前のポイントについて解説します。
良質な睡眠をとるには、就寝の1〜2時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控えることが望ましいとされています。これらの機器が発するブルーライトは、自然な眠りを促すホルモン「メラトニン」の分泌を妨げるためです。
夜間にブルーライトを浴びると、脳が昼間であると錯覚し、体内時計が乱れて寝つきが悪くなったり眠りが浅くなったりします。メラトニンには体温を調整して眠りへ導く働きがあるほか、睡眠中の成長ホルモンの分泌を促す役割もあり、分泌が妨げられると髪の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
どうしても寝る前に操作が必要な場合は、ブルーライトカット機能を活用するなど、使い方を工夫しましょう。
入浴のタイミングと温度も、良質な睡眠を得るために重要です。就寝の1〜2時間前に、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるのが理想とされています。
就寝前にぬるめのお湯に浸かると、副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態になります。リラックス効果によって眠りやすい状態が作られるため、良質な睡眠をとるために実践してみましょう。
反対に、熱すぎるお湯は交感神経を刺激して興奮状態を引き起こすため、寝つきが悪くなる原因になります。
なお、髪が濡れたままで寝ると、頭皮が蒸れて細菌が繁殖する原因となります。頭皮トラブルを防ぐためにも、髪はしっかり乾かしてから布団に入りましょう。
良質な睡眠を得るためには、就寝前にリラックスできる環境を整えることが大切です。心身の緊張が解けると、自然に眠りへと移行しやすくなります。
まずは、寝室の環境を整えましょう。照明を落とし過ごしやすい室温を保つことで、副交感神経が働きやすくなります。静かで落ち着いた雰囲気が、深い眠りをサポートします。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
寝具選びも、見直したい要素のひとつです。体に合った枕を使うことで血行が改善され、頭皮に必要な栄養が届きやすくなります。枕カバーはこまめに洗濯し、常に清潔な状態にしましょう。
就寝前の軽いストレッチもおすすめです。短時間の簡単な運動で体の緊張をほぐすと、寝つきが良くなります。ただし、激しい運動は逆効果になるため控えましょう。
朝の過ごし方が夜の睡眠の質を左右し、髪の健康にも影響します。起床後は、体内時計のリセットを意識しましょう。できる限り毎日決まった時間に起床し朝日を浴びることで、夜の自然な眠りを促せます。
ここでは、すっきりとした目覚めと夜の快眠につながる、起床後のポイントを紹介します。
できる限り毎日決まった時間に起きることは、髪の健康を保つうえで重要です。体内リズムが整うと、成長ホルモンの分泌も活発になります。
朝起きたら日光を浴びることも、睡眠の質を高めるために有効です。日光を浴びると体内時計がリセットされ、セロトニンの分泌が促されます。セロトニンは、夜になるとメラトニンへと変わり、自然な眠気をもたらします。
良質な睡眠をとるには、毎日朝食をとることも大切です。朝食によって体内時計が整うと、夜には自然な眠りにつながります。加えて、朝食をとることで睡眠を助けるホルモンの材料となる栄養素の摂取も可能です。
自然な睡眠を促すホルモンのメラトニンは、セロトニンから生成されます。セロトニンを作るには、卵や大豆製品などに多く含まれるトリプトファンや赤身魚やバナナなどに多く含まれるビタミンB6が必要です。朝食では、こうした栄養素を意識してとりましょう。
睡眠不足は、髪や頭皮の健康に大きな影響を及ぼします。睡眠時の成長ホルモンの分泌や血液循環は、髪の成長と質を保つうえで欠かせません。
睡眠の質を高めるには、就寝前にスマートフォンやパソコンの使用を控え、入浴の時間を見直すことが大切です。
また、規則正しい生活リズムを心掛け、起床後に日光を浴びたり朝食をとったりすることで、夜の快眠が得られやすくなります。毎日の習慣を少しずつ整え、健やかな髪を育てましょう。