更新日:2026年02月12日
円形脱毛症になったらどのような治療をするのかと不安に感じている方もいるかもしれません。円形脱毛症の治療方法は、進行度合いや原因によって異なります。一般的には、ステロイド局所注射療法や局所免疫療法、ステロイド外用療法、内服薬による治療などが行われます。この記事では、それぞれの治療内容や症状の進行度で分類される5つのタイプについて解説するので、円形脱毛症にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
円形脱毛症(Alopecia Areata)とは、その名のとおり頭髪の一部が円形や楕円形に脱毛してしまう疾患です。俗称として「10円ハゲ」と呼ばれることもあります。ここでは、円形脱毛症の発症の原因や、発症した際にどこに相談すれば良いのかを詳しく解説します。
円形脱毛症は自己免疫性疾患の一種です。自己免疫性疾患とは、自身の免疫に関わる抗体が、自身の細胞を異物だと誤って認識し自身の細胞を攻撃してしまう疾患のことです。これにより毛髪の成長が妨げられ、円形または楕円形の脱毛斑が現れます。円形脱毛症は、頭皮だけでなく、眉毛やまつげ、ひげなど、体のあらゆる部位の毛髪に影響を及ぼす可能性があります。
円形脱毛症は伝染する病気ではなく、命に関わる疾患でもありません。しかし、外見の変化により精神的な負担を感じる方も多く、適切な治療と心理的なサポートが必要となるでしょう。
円形脱毛症の原因となる自己免疫疾患は、遺伝による影響や、疲労などの肉体的要因、ストレスなどの精神的要因が引き金になり発症することが多くあります。ただ、発症に関わる要因は多く、根本的な原因が明らかにならないことも多いのが特徴です。
また、円形脱毛症はアトピー性疾患との合併率が高く、特定の遺伝子が発症に関与する可能性について研究が進められています。
ほかにも、甲状腺疾患やリウマチなど、ほかの自己免疫疾患を持つ人は円形脱毛症を発症するリスクが高いとされています。
円形脱毛症の原因については「円形脱毛症が止まらない理由とは?治療法や治る前兆を解説」でも解説しているので、気になる方はあわせてチェックしてみてください。
円形脱毛症の疑いがある場合、まずは皮膚科を受診しましょう。医師の診断のもと、適切な治療を進めることで進行や悪化を抑制し、早期回復しやすくなります。
皮膚科での一般的な診察の流れは以下のとおりです。
これらの情報から患者一人ひとりにあわせた適切な治療計画が立てられます。円形脱毛症の治療は長期にわたることが多いため、不安な点はその都度医師に相談しながら、継続的に通院することが大切です。
円形脱毛症の治療については「円形脱毛症で病院に行くべき?治療法と病院の選び方を解説します」の記事でも解説しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
円形脱毛症は、脱毛の範囲や進行状況によって5つのタイプに分類されます。以下の表に、円形脱毛症の5つのタイプとそれぞれの特徴、治療の難易度をまとめました。
| タイプ | 症状の特徴 | 治療の難易度 |
|---|---|---|
| 単発型 | 五百円玉以内のサイズの脱毛斑が1~2ヶ所発生する | 低い |
| 多発型 | 複数の脱毛斑が離れた場所に発生する | 中程度 |
| 蛇行型 | 複数の脱毛斑が融合して帯状になる | 高い |
| 全頭型 | 頭部のほぼ全体が脱毛する | 高い |
| 汎発型 | 全身のあらゆる部位の毛が脱毛する | 高い |

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
単発型は比較的治療の難易度が低く、数ヶ月で自然に回復することもあります。脱毛範囲が広がるにつれ、治療の難易度も高くなり、多発型では完治までに半年~2年、蛇行型では数年かかると考えられています。
いずれのタイプであっても、早期に適切な治療を始めることが回復への近道です。できる限り早めに皮膚科を受診することをおすすめします。
多発型については「円形脱毛症の多発型は完治できる?原因と治療法を詳しく解説」の記事でも解説しています。
円形脱毛症の治療法には、塗り薬や飲み薬、注射、光線療法など、さまざまな選択肢があります。ここでは、皮膚科で一般的に行われる6つの治療法について解説します。
ステロイド局所注射療法では、ステロイド薬を直接患部に注射することで、免疫反応を局所的に抑制し、毛髪の再生を促します。
ステロイド局所注射療法のメリットは、薬剤が必要な部位に直接届くため、効果が現れやすい点です。比較的限局した脱毛斑に用いられる治療方法とされています。
副作用として注射部位の痛みや萎縮、血管拡張が報告されており、治療には十分な注意が必要です。また、症状が広範囲の場合は多くの注射回数と注射量を必要とするため、その場合はほかの治療方法が選択される場合もあります。
局所免疫療法は、症状が出ている箇所にスクアリン酸ジブチルエステルやジフェニルシクロプロペノンなどの薬を塗る治療法です。人工的にアレルギー反応を起こすことで、免疫反応を誘導し、毛髪の再生を促します。主に、脱毛巣が頭部全体の25〜49%の多発型や全頭型、汎発型の方に用いられる治療法です。
局所免疫療法は、ステロイド外用療法との併用は行わず、発毛が認められても3〜4週間に1度、治療薬の塗布の継続が必要です。また、治療薬による皮膚炎やじんましんなどの症状が強い場合は局所免疫療法を中止し、抗ヒスタミン薬やステロイドの軟膏で治療を行います。
副作用として、かゆみや腫れ、色素脱失、じんましんなどの反応が起こることがあります。また、保険適用外の治療法であるため、治療費が比較的高額になる点も考慮することが必要です。
ステロイド外用療法では、ステロイド含有の軟膏やローションを脱毛部位に直接塗布することで、免疫反応を局所的に抑え、毛髪の再生を促します。脱毛が生じている箇所へはもちろん、今後脱毛が生じる可能性のある箇所や痒み・違和感などの脱毛前駆症状がある箇所への使用も可能です。
ステロイド外用療法のメリットは、自宅で簡単に継続できる点です。医師の処方に従って1日1~2回、脱毛部位に薬剤を塗布します。痛みを伴わないため、注射が苦手な方にも向いています。
ただし、副作用として毛嚢炎や、長期使用による皮膚の萎縮や血管拡張などが報告されているため、長期間使用することは推奨されません。
かつらの使用も、円形脱毛症の治療方法の1つです。紫外線や頭皮への刺激の軽減などの観点から推奨されており、治療中のQOLの改善にも効果があると考えられています。髪の毛が抜けると人目を気にしたり鏡に映る自分の姿に不安やストレスを感じる方もいるかもしれませんが、外見のケアとして、かつら・ウィッグは有効な手段の1つです。
ただし、かつら・ウィッグは、医療用であっても健康保険は適用されません。一部の地方自治体では、補助金や助成金の対象となっていることもあるため、お住まいの自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
円形脱毛症の治療で処方されるのは、主に以下の薬です。
JAK(ヤヌスキナーゼ)とは、炎症や免疫機能に関する反応が起こる際に必要な酵素の一種です。JAK阻害薬は、JAKを阻害することで、自身の細胞を自己抗体が攻撃することを防ぎ、円形脱毛症の症状を抑えます。
対象となるのは、頭部全体の50%以上の毛髪が脱毛し、6ヶ月以上発毛が見られない重症円形脱毛症の方です。
ステロイド内服薬は、免疫反応を抑制したり発毛を促進させたりする効果があります。対象となるのは、脱毛範囲が広く急速に症状が悪化している成人の方です。
抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬は、アトピー素因がある方に有効です。基本的に、単発型や多発型の方において、アトピー性皮膚炎といったほかの疾患の治療と併用して使用されます。
いずれの内服薬も、それぞれ副作用のリスクがあります。医師の指示どおりに服用し、何かあればすぐに医師に相談しましょう。
光線療法(紫外線療法)は、特殊な波長の紫外線を脱毛部位に照射することで、局所の免疫反応を調整し、毛髪の再生を促す治療法です。主にナローバンドUVBとエキシマライトがあり、いずれも保険適用となります。
ナローバンドUVBは、311〜313ナノメートルの紫外線を照射することで、過剰に反応する免疫機能を抑制する方法です。アトピー素因のある円形脱毛症の方に特に効果的とされています。
エキシマライトは、ナローバンドUVBより治療効果が高い308ナノメートルの紫外線を、より狭い範囲に集中的に照射できるのが特徴です。そのため、患部をピンポイントに狙って治療できます。
光線療法の治療スケジュールは通常、週1~2回の頻度で、数ヶ月間継続して行います。治療回数には個人差がありますが、およそ20~30回の治療で効果が見られるようです。
この治療法のメリットとしては、薬剤を使用しないため薬物療法特有の副作用がない点や、ほかの治療法と併用しやすい点が挙げられます。
円形脱毛症の治療方法については「円形脱毛症を早く治す方法とは?治療内容やセルフケアを解説」の記事でも解説しているので、こちらもあわせてチェックしてみてください。
円形脱毛症は、症状のタイプや進行度によって治療方法が異なります。ある日突然発見した脱毛斑に不安を感じる方が多いですが、まずは皮膚科を受診して正確な診断を受けることが大切です。円形脱毛症は自己免疫疾患であり、完全な原因解明には至っていませんが、早期治療により回復の可能性は高まります。
円形脱毛症の治療方法としては、ステロイド外用療法や局所注射療法、局所免疫療法、JAK阻害薬などの内服治療、光線療法などが挙げられます。
円形脱毛症は治療法の選択肢が多く、症状や進行度によって最適な治療が異なります。また、治療に対する反応は個人差が大きいため、医師と相談しながら自分に合った治療計画を立て、根気強く治療を続けましょう。