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更新日:2024年04月24日

PMSとは?症状や判断基準、改善のためのセルフケア、治療法について紹介

この記事のまとめ
  • PMSとは、月経前に現れる身体的・精神的な不調のこと
  • PMSは、ホルモンバランスの急激な変動で起こる
  • PMSを緩和するセルフケアには、ストレス発散や適度な運動、バランスの良い食事などがある
  • PMSが重い場合は、ピルの服用を検討するのも一つの方法

生理前に訪れる、さまざまな不調に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。生理前のイライラや気分の落ち込み、肌荒れ、むくみは、PMSの症状である可能性が高いです。

この記事では、PMSの原因や具体的な症状、PMSの判断基準などを詳しく解説しています。合わせて、PMSを緩和するためのセルフケアも紹介します。ぜひPMSの理解を深めて、PMSと上手に付き合えるようになりましょう。

PMSとは

PMSは「Premenstrual Syndrome(月経前症候群)」の略で、月経前に発症する身体的・精神的な不調を指します。ここでは、PMSの原因や発症期間、具体的な症状などを解説していきます。

PMSの原因

PMSの原因は完全には解明されていませんが、女性ホルモンの急激な変動が関係しているとされています。

月経の周期のうち、排卵を終え子宮内膜が成熟する黄体期に入ると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。しかし、黄体期の後半にはエストロゲンとプロゲステロンが急激に減少していきます。

この急激な女性ホルモンの変動が、神経伝達物質や脳内のホルモンに影響を及ぼし、さまざまなPMS症状を引き起こすと考えられています。

また、ストレスや生活習慣の乱れなども、PMSの症状を重くする要因になるといわれています。

PMSが起こる期間

PMSの症状は、月経の3~10日ほど前から始まります。症状のピークは人により異なりますが、月経の2日前から直前が最もつらいと感じる方が多いようです。症状は月経開始とともに減少し、やがて消えていくのが特徴です。

参考:株式会社エムティーアイ「94.5%の女性が抱えるPMS(月経前症候群)に関する意識調査

PMSの症状

PMSの症状は多岐にわたります。ここでは、身体的・精神的な症状に分けて具体的に紹介します。

身体的な症状

PMSにより起こる身体的な症状の例は、以下のとおりです。

  • 胸が張り、痛みが出る
  • 疲れやすくなる
  • にきびができやすくなる
  • 眠くなる
  • むくみがひどくなる
  • 頭痛が起こる

ほかにも、PMSで起こる身体的な症状は多くあります。周りにはなかなか理解してもらえない、PMSによる体の不調に悩んでいる方もいるでしょう。

精神的な症状

PMSにより起こる精神的な症状として、以下の例が挙げられます。

  • 周囲にやつあたりする
  • 攻撃的になる
  • 憂鬱な気分になる
  • 自己評価が下がる
  • 仕事のパフォーマンスが下がる
  • 情緒不安定になり突然泣きたくなる

PMSによる精神的な不調は、自分でコントロールすることが難しいものです。「恋人と別れ話になるほど喧嘩をしてしまった」「家族にやつあたりした」など、対人関係に支障をきたした経験を持つ方もいるのではないでしょうか。

PMSの判断基準

産婦人科診療ガイドラインでは、PMSの判断基準には米国産婦人科学会の月経前症候群診断基準を用いるとされています。米国産婦人科学会の月経前症候群診断基準の症状は、下記のとおりです。

  • 身体的症状

  • 乳房緊満感・腫脹

  • 腹部膨満感

  • 頭痛

  • 関節痛・筋肉痛

  • 体重増加

  • 四肢の腫脹・浮腫

  • 情緒的症状

  • 抑うつ

  • 怒りの爆発

  • 易刺激性、いらだち

  • 不安

  • 混乱

  • 社会的引きこもり

これらの症状が、下記の要件で見られた場合に、PMSと診断されます。

  • 過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経前5日間に、上記の情緒的および身体的 症状のうち少なくとも1つが存在する
  • 月経開始後4日以内に症状が解消し、少なくとも13日目まで再発しない
  • いかなる薬物療法、ホルモン摂取、薬物やアルコール使用がなくとも存在する
  • その後の2周期にわたり繰り返し起こる
  • 社会的、学問的または経済的行動・能力に、明確な障害を示す

日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2020

PMSとPMDDとの違い

PMSの中でも、特に精神面の不調が著しい状態をPMDD(月経前不快気分障害)と呼びます。

PMSとPMDDはどちらも月経前に発症し、月経開始とともに軽減されていきます。しかし、PMDDはPMSよりも深刻で、日常生活に著しい支障をきたす点で違いがあります。

PMDDでは、下記のような症状が現れます。

  • 抑うつ症状、絶望感、自己否定感
  • 怒りの感情が続く
  • 感情のコントロールが難しくなる
  • 食欲が明らかに変化する

PMDDに該当すると思われる方は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。

PMSを緩和するためにできるセルフケア

セルフケアを実践することで、PMSの症状を軽減し生活の質の向上が目指せます。これから紹介するセルフケアを日頃から心がけ、月経前を少しでも快適に過ごしましょう。

記録をつけて症状を把握する

PMSの症状は人によってさまざまです。症状の程度も月ごとに異なります。そのため、まずは自分の症状を記録して、どのような症状があるのか、いつから始まるのか、どのくらいの期間続くのかなどを把握しましょう。

記録により症状を把握することで、PMSの予測が容易になり、対策を講じる準備ができます。また、医療機関で受診する際にも、症状の記録があると診断や治療に役立ちます。

ストレス軽減に努める

ストレスは、PMSの症状を悪化させる原因の一つです。仕事や人間関係など、日常生活の中でストレスを溜めないように心がけましょう。趣味や好きなことをする、音楽を聴く、マッサージを受けるなど、自分なりのストレス解消法を見つけて、リラックスできる時間をつくりましょう。

適度な運動をする

適度な運動は、PMSの症状の軽減に効果的です。運動すると、自律神経やホルモンバランスを整えたりストレスを解消したりでき、PMSの症状の軽減につながる可能性があります。

具体的には、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動が効果的です。有酸素運動は心拍数を上げて、血行を促進します。自律神経やホルモンバランスも整えられ、ストレスの軽減にも役立ちます。 ただし、激しい運動は、むくみや疲労感を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

バランスの良い食事を摂る

栄養バランスの良い食事の摂取により、栄養不足を防ぎ、ホルモンバランスを整えられます。以下のような食生活は、ホルモンバランスが乱れやすいとされているため、注意しましょう。

  • 食事を抜く
  • 特定のものしか食べない
  • 野菜が不足している
  • 間食が多い

なお、ビタミンB群やカルシウムは、PMSの症状を緩和する効果があるとされています。日ごろからカツオやマグロなどのビタミンB6を多く含む魚や、カルシウムが豊富な牛乳や大豆製品などを積極的に摂取しましょう。

カフェイン・飲酒・喫煙を控える

カフェイン、アルコール、タバコはPMSの症状を悪化させる可能性があるため控えましょう。適量のカフェインやアルコールの摂取は問題ないケースもありますが、過度に摂取している方は注意が必要です。

カフェインの摂取を抑えるには、ハーブティーや麦茶などのノンカフェインの飲料や、デカフェと呼ばれるカフェインが含まれていないコーヒーを選ぶと良いでしょう。

アルコールを摂取すると、体内で分解するためにブドウ糖が消費され、低血糖状態を引き起こします。低血糖はPMS症状を悪化させ、情緒的な不安定さを増幅するため、控えた方が良いでしょう。

喫煙は血行不良を引き起こし、自律神経を乱します。PMSの症状に悩まされている方は、喫煙は控えましょう。

関連記事:「PMS改善にはピルが効果的?効果や値段、処方を受ける方法についても解説

薬によるPMSの治療方法

PMSの症状が重い場合や、セルフケアで改善しない場合は、医療機関で受診し薬による治療を検討しましょう。ここからは、薬によるPMSの治療法を3つ解説します。

対症療法

対症療法とは、PMSの症状を緩和するために、症状の種類や程度に合わせて薬を服用する治療法です。

たとえば、頭痛には鎮痛薬、腹痛には鎮痙薬、イライラには抗うつ薬などが用いられます。鎮痙薬は、子宮の収縮を抑えて腹痛や下痢などの症状を緩和する薬です。抗うつ薬は、イライラや不安などの症状を緩和する薬です。

対症療法では症状を短時間で緩和できるため、日常生活に支障をきたしているPMSの症状をすぐに改善したい場合に有効です。一方で、対症療法は単独の症状を改善するための治療法のため、PMSの根本治療はできない点がデメリットといえます。

漢方療法

漢方療法は、PMSの症状を緩和する効果があるとされています。漢方には「気・血・水」という考え方があり、気は生命力、血は体の中に流れる赤い液体、水は体内にある血以外の液体を表します。これらの調和が健康を維持すると考えられ、PMSは気・血・水のバランスが乱れている状態とされています。

問診や診察の結果をもとに、体質と気・血・水のどこに問題があるかを考慮して漢方薬が処方されます。漢方療法は、効果が現れるまでの期間に個人差がありますが、継続して服用することで症状が緩和される可能性があります。

経口避妊薬(ピル)の服用

経口避妊薬(ピル)の服用は、PMSの症状の緩和に有効とされる治療法です。一般的に避妊薬のイメージのあるピルですが、PMSや生理周期の改善を目的として服用されることも多くあります。

ピルに配合されているエストロゲンとプロゲステロンが、女性ホルモンの急激な分泌量の変動を抑制することで、PMS症状を緩和します。そのほか、ピルの服用には以下のメリットもあります。

  • 月経周期が安定する
  • 月経量が抑えられる
  • 避妊効果が得られる
  • 服用をやめれば排卵が回復するため、その後の妊娠には影響を及ぼさない

ピルは、女性ホルモンの急激な増減を抑え、PMSの症状の根本的な原因にアプローチできる治療薬です。効果が高いとされる反面、服用開始後に副作用として吐き気や頭痛、不正出血などが出ることがあります。ピルを服用するには、医療機関で受診し医師の診察のもとで処方してもらう必要があります。

まとめ

本記事では、PMSの原因や、身体的・精神的な症状などを解説しました。PMSと上手く付き合うには、ライフスタイルの改善も必要です。バランスの良い食事や適度な運動を心がけ、リラックスできる時間を持ちましょう。

PMSの症状がひどい場合は、我慢せずに医療機関で受診しましょう。医療機関では適切な診断のうえ、症状に合った治療を提案してもらえます。PMSは正しく対処すれば、改善が目指せる症状です。ぜひできることから始めてみてください。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会