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更新日:2024/04/19

ピル服用中のコンドームは必要ない?避妊失敗の原因や併用の必要性を解説

この記事のまとめ
  • ピルの避妊効果は100%ではない
  • ピルを服用していても性感染症を防げない
  • ピルを服用中でも、飲み忘れなどにより妊娠する可能性がある
  • 膣外射精や安全日の性行為であっても妊娠するリスクがある
  • 緊急時にはアフターピルの服用が有効

ピルを服用している方の中には「ピルを飲んでいるなら、コンドームは必要ない?」と疑問を持つ方もいるでしょう。ピルを正しく服用すれば高い避妊率が得られますが、それでもコンドームは付けるのが望ましいです。

この記事では、ピル服用中のコンドームの必要性について解説します。合わせて、ピルを服用中でも妊娠する原因や、避妊率を上げるためのポイントなども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ピルとコンドームの併用が必要な理由

ピルは、高い確率で妊娠を防ぐ効果があるとされています。しかし、ピルの服用だけでは妊娠を防げない可能性があるほか、感染症を防ぐ目的のため、ピルとコンドームの併用が望ましいです。

ピルの避妊率は100%ではない

ピルは、正しく服用することで高い避妊効果が得られるとされています。しかし、実際には飲み忘れや吐き戻しなどの原因により、避妊効果が低下することがあります。

日本産科婦人科学会では、様々な避妊方法における1年間の避妊率を算出しており、低用量ピルの避妊率は正しく服用した場合で99.7%としています。しかし、飲み忘れなどが発生すると避妊率は92%まで下がります。つまり、ときどき飲み忘れのあるような場合において、1年間で100人中8人が妊娠する計算となるのです。

ピルの高い効果は、適切な使用と定期的な服用が前提となります。ピルの服用を忘れたり、正しく服用しなかったりすると、妊娠の確率が高まる可能性があります。ピルとコンドームを併用すれば、妊娠のリスクを減らせるでしょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)

ピルは感染症を防げない

ピルは、排卵を抑制することで妊娠を防ぐ避妊方法で、性感染症を防ぐ効果はありません。性感染症には、クラミジアや淋菌、HIV、梅毒などさまざまな種類があります。性感染症に感染すると、治療が必要になるだけでなく、不妊症や子宮頸がんなどの発症につながることがあります。

性感染症を防ぐためには、コンドームを正しく使用することが不可欠です。ピルとコンドームの併用により、妊娠と性感染症のリスクの両方に対処できるため、より安全に性行為に臨めるでしょう。

ピル服用中でも妊娠する原因

ピルは、毎日欠かさず同じ時間に服用することで、避妊効果を最大限に発揮します。飲み忘れや休薬期間の長さ、服用開始のタイミング、吸収不良、薬の飲み合わせなどが原因で、避妊効果が低下し、妊娠する場合もあります。

ここからは、ピルを服用中でも妊娠する原因をそれぞれ解説します。

ピルの飲み忘れ

ピルの効果を得るためには、毎日同じ時間に服用することが大切です。飲み忘れた時間が長い場合は、避妊効果が低下する可能性があります。

ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つの女性ホルモンを配合した薬です。これらのホルモンが体内に作用することで、排卵を抑制し、妊娠を防ぎます。しかし、飲み忘れがあると、排卵が再開し、妊娠する可能性が高くなります。

ピル1錠の飲み忘れであれば、気がついた時点ですぐに飲み忘れた分を服用しましょう。そのあと予定通り服用を再開すれば、ほとんどの場合、避妊効果は維持できるとされています。しかし、2日以上の飲み忘れは、1錠の飲み忘れのときよりも避妊効果が弱まります。

また、ピルの休薬期間の前後に飲み忘れが発生すると、避妊効果が下がるといわれています。

ピルは21日間連続して服用したあとに、7日間の休薬期間を設けます。休薬期間の前後で飲み忘れてしまい、休薬期間が7日以上続いた場合は注意が必要です。飲み忘れた場合、体が妊娠しやすい状態になっているため、服用を再開してから7日連続で服用するまでの間は、特にコンドームの併用が大切になるでしょう。

ピルの服用開始が月経開始5日以降

ピルの服用をはじめるタイミングにより、妊娠の可能性が生じます。ピルを初めて服用する場合は、月経開始から5日以内に飲む必要があります。5日以内に飲み始めた場合は、すぐに避妊効果が得られるとされています。

しかし、月経開始5日以降に服用を開始すると、排卵が起こる可能性があるため、すぐには十分な避妊効果を得られません。月経開始5日以降に飲み始めた場合、服用開始後7日間はコンドームなどのほかの避妊方法の併用が特に必要です。

ピルの吸収不良

下痢や嘔吐などが続くと、ピルが体内に吸収されずに避妊効果が低下する場合があります。ピルは主に腸から吸収されます。激しい下痢や嘔吐などによって腸の働きが悪くなると、ピルが吸収不良となり、避妊効果が低下する可能性があります。

もしピルを服用後2時間以内に吐き戻したり、下痢をしたりした場合は、1錠を追加で服用しましょう。

ピルと飲み合わせの悪い薬の併用

ピルには、飲み合わせの悪い薬が存在するため、併用には注意が必要です。

以下は、併用により避妊効果が低下するとされる主な薬です。

  • 抗生物質(ペニシリン系、テトラサイクリン系)
  • 抗てんかん薬(バルビツール酸系、ヒダントイン系)
  • 精神刺激薬(モダフィニル)
  • 抗結核薬(リファンピシン、リファブチン)
  • 抗HIV薬(HIVプロテアーゼ阻害薬、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬)

ほかにも、併用することでピルの効果や副作用が強まる薬があるため、すでに服用している薬がある場合は、必ず医師に相談しましょう。

ピルの避妊率を上げるためのポイント

ここからは、ピルの飲み忘れなどを防ぎ、避妊率を上げるために注意すべきポイントを紹介します。

習慣化して飲み忘れを防ぐ

飲み忘れによる妊娠を避けるためには、ピルの服用を習慣化することが大切です。ピルは、1日1錠ずつ決まった時間に服用する必要があります。飲み忘れを防ぐためには、目覚まし時計をセットしたり、スマートフォンのアプリやアラーム機能などを活用したりするのがおすすめです。

また、洗面所や玄関など毎日必ず通る場所にピルを置く、洗顔や歯磨きなどの行動とセットにするなどして、飲み忘れを防ぎましょう。

28錠タイプのピルを服用する

避妊効果を維持するためには、飲み忘れのリスク軽減のため、28錠タイプを服用するのも一つの方法です。 ピルのシートは2種類あり、1シートが21錠と28錠のタイプがあります。

21錠タイプのピルは、21日間服用のあと7日間の休薬期間を設け、次のシートを飲み始めます。28錠タイプのピルは休薬期間がなく、毎日1錠ずつ服用し続けます。休薬期間にあたる7日間は、ホルモン成分の配合されていないプラセボ(偽薬)を服用します。

28錠タイプを服用すれば、自らで休薬期間をカウントする必要がないため、休薬期間前後の飲み忘れを防ぎやすくなります。

個人輸入のピルを使用しない

個人輸入のピルは、避妊効果が得られない場合があるため使用を避けましょう。個人輸入で入手したピルは偽薬であるケースがあり、品質や安全性が確保されていない可能性があります。

有効成分が配合されていなかったり、不純物が含まれていたりすると十分な避妊効果が得られません。妊娠の確率が上がるばかりか、副作用が強く出るなど健康被害につながる恐れもあります。ピルで避妊効果を得るためには、医師の診察を受けてピルを処方してもらいましょう。

妊娠の確率を高めてしまう誤った行為

望まない妊娠を避けるためには、避妊についての正しい知識が必要です。ここからは、妊娠の確率を高めてしまう、誤った行為や認識について解説します。正しい知識と適切な避妊方法を用いて、自分の体を守りましょう。

膣外射精(外出し)

いわゆる外出しと呼ばれる膣外射精は、避妊方法には該当しません。男性の性器は射精前にも粘液が分泌されており、その中にはカウパー腺液が含まれます。いわゆるガマン汁と呼ばれるカウパー腺液には、精子が微量に混在することがあります。

ガマン汁は男性自身でコントロールできないため、無自覚のまま膣内に射精しているのと同じとなります。このため、膣外射精は避妊方法としては効果が低く、妊娠を確実に防ぐことはできません。

誤ったコンドームの使用

日本産科婦人科学会によると、コンドームを正しく使用した場合の避妊率は98%とされています。しかし、破損や脱落してしまうなどの一般的な使用の場合、避妊率は85%まで下がります。誤ったコンドームの使用例は、以下が挙げられます。

  • 爪などで穴を開けてしまう
  • 射精の直前にだけ装着する
  • サイズの合わないコンドームを装着する
  • 保存状態が悪く劣化したコンドームを使用する
  • 使用期限の切れたコンドームを使用する

これらの要因を避けたコンドームの正しい使用が、避妊効果を高めるためには重要です。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン

安全日・生理中の性交

「安全日や生理中であれば、避妊しなくても妊娠しない」という認識は誤りです。一般的に安全日とは、排卵期が過ぎたあとの、妊娠しにくいと考えられる時期を指します。

しかし、月経周期は人により異なり、正確な安全日を計算するのは容易ではありません。安全と思われる日でも、排卵が不規則に起こることがあるため、妊娠する可能性はゼロではありません。

また、生理中の性行為は妊娠しにくいとされていますが、不規則な排卵や精子が子宮内で生き続けることにより、妊娠する可能性があります。

さらに、生理中は腟内が傷つきやすく、免疫機能も低下する時期です。生理中の性行為は、性感染症のリスクが高まるという観点でも控えましょう。

緊急時はアフターピルを服用する

避妊に失敗してしまった緊急時には、アフターピルを服用しましょう。アフターピルとは、望まない妊娠を防ぐために使用する緊急避妊薬です。アフターピルの種類により性行為後72時間または120時間以内に服用することで、高い確率で避妊できるとされています。

アフターピルは市販されておらず、医療機関で医師の診察を受ける必要があります。服用が早ければ早いほど避妊効果が高まるため、すみやかに産婦人科や婦人科で受診しましょう。土日や夜間など医療機関が診療を行っていないときや、対面診療に抵抗がある場合は、オンラインクリニックを活用するのも一つの選択肢です。

まとめ

本記事では、ピルとコンドームの併用の必要性について解説しました。ピルには高い避妊効果があるとされていますが、100%避妊できるわけではありません。ピルとコンドームを併用すれば、避妊率を高められます。

あわせて、コンドームを使用することで、性感染症の感染予防が可能です。同時に、性感染症によって引き起こされる不妊症や子宮頸がんなどのリスクを低減できます。望まない妊娠や性感染症を避けるためには、ピルとコンドームを併用することが大切です。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会