更新日:2024年04月23日
生理はなぜ起こる?メカニズムや生理痛の仕組みについて詳しく解説
- 生理は、排卵時に卵子が受精せず、不要になった子宮内膜が剥がれて排出されることで起こる
- 生理周期は、卵胞期・排卵期・黄体期・生理期(月経)の4つに分けられる
- 個人差があるが、正常な生理の周期は25日~38日程度で、生理の期間は3日~7日程度である
- 1ヵ月に数回生理がある、生理の周期が39日以上になるといった場合は異常がある可能性がある
- 生理痛は、プロスタグランジンという物質が血液中に入り、子宮を収縮するために生じる
女性の体に約1ヵ月に一度、一定周期で訪れる生理。しかし、「生理ってなぜ起こるの?」「生理の仕組みについて詳しく知らない」という方は意外と多いのではないでしょうか。
この記事では、生理のメカニズムについて解説します。生理周期の中で起こる身体の変化や、生理痛の仕組み、正常な生理と異常な生理についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
生理が起こるメカニズム
女性の体は、約1ヵ月に一度排卵(卵巣から卵子が排出されること)します。排卵の時期になると、妊娠に備えて子宮内膜が厚くなり、精子の受け入れ態勢を整えます。
しかし、排卵時に卵子が受精せず妊娠に至らなかった場合、準備した子宮内膜は不要になるため、剥がれ落ちて血液とともに子宮口から体外に排出されます。このときに排出されるのが、生理の経血です。
なお、排卵時に卵子が受精し、妊娠した場合は子宮内膜が維持されるので生理は来なくなります。
生理周期に基づく体の変化
個人差はありますが、生理周期は約1ヵ月です。生理周期は大きく卵胞期・排卵期・黄体期・生理期(月経)の4つに分けられ、体調に変化が起こります。
生理の周期には、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンが大きく影響しており、脳の視床下部という部分が女性ホルモンを分泌するよう卵巣に指令を出しています。
ここからは、それぞれの周期において、女性の体に何が起こるのか、どのような状態になっているのかを詳しく解説します。
卵胞期
卵巣の中には卵子のもととなる原始卵胞があります。
ホルモン分泌の司令塔である脳の視床下部からGnRHというホルモンが分泌されると、脳の直下にある脳下垂体から卵胞刺激ホルモンという性腺刺激ホルモンが分泌されます。
この卵胞刺激ホルモン(FSH)によって原始卵胞が成熟卵胞に生育し、成熟卵胞からエストロゲンが分泌されるのです。この時期を、卵胞期と呼びます。
卵胞期では、美容に関わるエストロゲンの分泌が増えることから、肌や髪の毛にツヤが出ます。また、気持ちがポジティブになりやすく、心身ともに生き生きする時期でもあるのです。
排卵期
エストロゲンがある程度増えると、脳下垂体から黄体形成ホルモン(LH)という性腺刺激ホルモンが分泌され、卵胞から卵子が排出されます。この時期を、排卵期と呼びます。
この時期、女性の体では、おりものの量が増えたり、排卵出血と呼ばれる生理のような比較的少量の出血や、排卵痛と呼ばれる生理痛に似たような痛みが起こったりすることがあります。
黄体期
排卵後は卵胞が黄体という組織に変化し、プロゲステロンの分泌が急激に増えるため、排卵期までに厚くなった子宮内膜が維持され、さらに厚くなります。
しかし、受精せず妊娠に至らなかった場合は、黄体の機能が衰えて女性ホルモンの分泌が急激に減少します。この時期を、黄体期と呼びます。
黄体期では、プロゲステロンの影響が体に強く現れます。体温の上昇やむくみ、便秘などの症状が出て、精神的にも不安定になりイライラするなど、心身ともに不調になりがちな時期です。
また、プロゲステロンの影響で、皮脂の分泌が増えて顔が脂っぽくなるため、ニキビなどの肌トラブルが生じることもあるでしょう。
生理期(月経)
生理期は、女性ホルモンの分泌が減少し、不要な子宮内膜が剥がれ落ちて、血液とともに子宮口から排出されます。
体温を上げる作用のあるプロゲステロンの分泌が少なくなることから、体温が低下して血行が悪くなり、頭痛や胃痛、身体のだるさなどの症状が現れやすくなります。
また、生理中は、本来脳へ行くはずの血液が子宮に集まり、脳への血液の供給量が減少するため、貧血を起こしやすくなるのも生理期の特徴です。
生理痛が起こる仕組み
生理になると、多くの人が生理痛に悩まされます。生理痛特有の腹部が締め付けられるような痛みは、プロスタグランジンという物質が原因で起こります。
生理時に不要な子宮内膜を排出する際、子宮を収縮させて押し出すためにプロスタグランジンという物質が生成されます。このプロスタグランジンが血液中に入り、子宮や腸を過剰に収縮することで、生理痛独特の痛みが生じるのです。
また、生理中に体が冷えると、血液の循環が悪くなるためプロスタグランジンが骨盤内で滞り、生理痛が強くなります。カイロを貼ったりひざ掛けをかけたりして、下腹部や腰を冷やさないようにするのが大切です。
人によっては我慢できないぐらい痛むことがあるので、生理痛に効く痛み止めを服用したり、産婦人科で相談したりすることをおすすめします。
正常な生理と異常な生理の見分け方
生理周期や生理期間の長さ、経血量などは個人差があります。しかし、ある程度正常と言える範囲が決まっており、範囲を超える場合は何らかの異常がある可能性があります。
ここからは、正常な生理の目安と異常な生理の目安について、それぞれ詳しく解説します。
正常な生理の目安
個人差はありますが、正常な生理の周期は25日~38日程度です。体調不良やストレスなどによって2日~5日ずれることはありますが、それぐらいであれば許容範囲でしょう。また、生理期間は3日~7日程度で、20~140mⅼ程度出血するのが正常です。
生理痛に関しても、痛み止めを服用して問題なく日常生活を送れる程度であれば、特に問題ないと言えます。
異常な生理の目安
先述した正常な生理の目安の範囲を超える場合、異常の可能性があります。たとえば、生理周期が短く1ヵ月に数回も生理が来る頻発月経が挙げられます。頻発月経がみられた場合、生理ではなく不正出血(生理時以外の性器からの出血)をしている可能性もあるので、産婦人科で診察を受けましょう。
また、生理周期が正常より長く、前の生理から次の生理が始まるまで39日以上空く状態を稀発月経といい、この場合も注意が必要です。稀発月経は、主に月経から排卵するまでに日数がかかることが原因とされています。日数がかかっても一定周期で生理がくるのであれば、そこまで心配する必要はありません。しかし、稀に無排卵のケースがあり不妊症などの原因にもなり得ます。
気になった際は、産婦人科で排卵の有無を調べてみることをお勧めします。
その他にも、生理期間が8日以上続いたり、3日以内に終わったりするケースがあります。その場合、ホルモンバランスの崩れだけが原因ではなく、何らかの病気が潜んでいる可能性も考えられるため、一度産婦人科に相談することをお勧めします。
まとめ
生理は、女性ホルモンの働きによって生じるものであり、約1ヵ月の中でホルモンバランスが大きく変化するため体に様々な変化が起こります。生理のメカニズムを理解することで、現在自分の体に何が起きているのかを理解できるでしょう。
また、生理不順や生理痛が酷い場合は低用量ピルの服用をおすすめします。低用量ピルには、女性ホルモンのバランスを整えたり、子宮内膜の増殖を抑えたりする作用があるため、生理不順や生理痛などが改善されるでしょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました