更新日：2024年05月21日
低用量ピルには種類がたくさんあって、どれを選べばよいかわからない方もいらっしゃるでしょう。それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った低用量ピルを服用することが大切です。
本記事では、低用量ピルの一種であるマーベロンをご紹介します。ニキビや肌荒れに効くとされるマーベロンの効果や、マーベロン21とマーベロン28の飲み方についても紹介します。低用量ピルの服用を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
マーベロンは低用量ピルの一種です。
低用量ピルとは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2種類の女性ホルモンが配合された薬です。
経口避妊薬やOC（Oral Contraceptives）と呼ばれることもあります。服用し続けることで、避妊や生理痛軽減などの効果が期待できます。
マーベロンは、低用量ピルの中でも第三世代1相性のピルに分類されます。
第三世代のピルには、黄体ホルモンに「デソゲストレル」が使用されていて、ニキビや肌荒れの原因となる男性ホルモンの作用が抑えられているのが特徴です。
また、マーベロンは1相性ピルにあたり、1錠に含まれているホルモンの量がすべて同じです。1シートに入っている実薬の全てが同じホルモン含有量のため、万が一順番を間違えて飲んでしまっても、問題ありません。
マーベロンには、1シート21錠タイプの「マーベロン21」と28錠タイプの「マーベロン28」があります。
基本的にピルを服用する際には、実薬を21錠飲んだ後、ピルを飲まない期間（休薬期間）を7日間とる必要があります。休薬期間を設けることで、卵巣や子宮の本来の状態に整えることができます。
マーベロン21とマーベロン28の違いは、この休薬期間の取り方にあります。マーベロン21は21錠の実薬を飲んだ後、自分で7日間の休薬期間を設ける必要があります。
一方、マーベロン28は21日間の実薬期間を終えたら、ホルモンが含まれていない錠剤（偽薬）を7日分飲みます。休薬する代わりに偽薬を服用するため、薬を飲まない期間が生じません。飲み忘れが心配な方は、マーベロン28を服用するのがおすすめです。
マーベロンをはじめとした低用量ピルを飲むと、下記のような効果が期待できます。
低用量ピルには排卵を抑制する作用があるため、正しく服用することで99.7％の避妊効果が得られます。
ただし、排卵を抑制する効果が出るのは低用量ピルを7日間連続して服用した後になります。避妊効果が得られるのもそれ以降になるため、ピルの飲み始めは性交を控えるかコンドームを併用するようにしましょう。（※）
※参照元：日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン（改訂版）」
前述した通り、マーベロンに含まれている黄体ホルモンのデソゲストレルには男性ホルモンを抑える作用があるため、ニキビ・肌荒れの改善が期待できます。生理前のニキビは、男性ホルモンの過剰分泌による毛穴詰まりが原因として考えられているからです。
また、低用量ピルを服用すると、ホルモンバランスが整うため、生理前のホルモンバランスの変動によるニキビや肌荒れも改善することができます。
低用量ピルを飲むと、PMS（月経前症候群）を改善する効果もあります。
PMSとは、生理前の3～10日間に、胸の張りや痛み、頭痛、イライラといった精神的・身体的症状が出ることです。生理の開始とともに、症状が軽減したり消失したりするのが特徴です。
PMSの原因ははっきりとわかっていませんが、黄体期の後半に女性ホルモンが急激に低下することだと考えられています。
そのため、低用量ピルの服用によって、体内のホルモンバランスが安定することで、PMSの症状改善が期待できます。
参照元：公益社団法人 日本産科婦人科学会「月経前症候群（premenstrual syndrome : PMS）」
マーベロン21とマーベロン28のそれぞれの飲み方を以下でご紹介します。
シートに記されている順番に沿って飲んでいく点は共通しますが、実薬を服用する期間を終えた後の飲み方に違いがあります。
マーベロン21は、1日1錠を毎日一定の時間に計21日間連続して服用し、その後7日間の休薬期間を設けます。休薬期間を終えたら、新しいシートの錠剤を服用しましょう。
偽薬がないため、次のシートをいつから飲み始めるかを記録するなどして飲み忘れを防ぐことが大切です。
マーベロン28は、1日1錠を一定の時間に28日間連続して服用します。この期間には、7日分の偽薬を飲む期間が含まれています。
1シートを飲み切ったら、消退出血の有無にかかわらず、新しいシートの錠剤を服用しましょう。
参照元：京都大学化学研究所バイオインフォマティクスセンター GenomeNet「医療用医薬品 : マーベロン」
マーベロンをはじめとする低用量ピルを服用する場合、下記のような副作用が出ることがあります。
上記の症状は2～3ヶ月飲み続けることで治まることがほとんどなので、副作用が起こった場合でも安心して服用を継続してください。
頭痛や吐き気が起きた場合は、低用量ピルと併用して頭痛薬や吐き気止めを使用することも可能です。心配な方は、医師に相談してピルを処方されるときに同時に処方してもらいましょう。市販薬を使用する場合は、ピル処方時に医師に飲み合わせの確認をするのがおすすめです。
マーベロンの副作用で体重が増えることはありません。
低用量経口避妊薬のガイドラインでは、マーベロンを含む低用量ピルには体重増加との因果関係がないことが明らかにされています。
ただ、低用量ピルに含まれる成分には、食欲増進作用や保水作用があります。それによって、食べ過ぎたり、むくみが生じたりすることで、太ったと感じることがあるのです。
低用量ピルによる食欲増進作用や保水作用は、ピルを服用してから1～3ヶ月ほどで落ち着くことがほとんどなので安心してください。
体重の増加が気になる方は、服用を開始してしばらくは、バランスの良い食事をとったり適度な運動をしたりすることを心がけるのがおすすめです。
参照元：公益社団法人 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン（案）」
マーベロンをはじめとした低用量ピルは、基本的に保険適用になりません。
2024年2月現在、日本では、医師が月経困難症や子宮内膜症などの治療目的と判断してピルを処方する場合は、保険適用となります。しかし、避妊が目的の処方の場合、妊娠は病気と見なされないため、保険適用外となります。
また、保険適用のほうが3割負担だから安いと思われる方もいらっしゃいますが、保険適用の場合、薬代自体は安いものの、検査代や診察にかかる費用を合算すると結果的に同じぐらいの料金になる場合もあります。
マーベロンのジェネリック医薬品（後発医薬品）には「ファボワール」があります。
ジェネリック医薬品とは、新薬（先発医薬品）の特許が切れた後に開発されたものを指します。新薬と同じ成分を含むため効果は同じですが、新薬と比べて価格が低いことが特徴です。
ほかにも、マーベロンのジェネリック医薬品には「ノベロン」や「マイラン」がありますが、いずれも国内未承認です。
ちなみに、国内未承認のピルを含む低用量ピルは、海外医薬品の個人輸入代行サイト・通販サイトでも販売されています。しかし、そもそもピルの個人輸入は厚生労働省から注意喚起が出ています。国内で承認されていないピルを服用すると、手術が必要になるほどの出血が起きたり、重大な感染症にかかったりする可能性があるので注意しましょう。
参照元：厚生労働省「個人輸入される経口妊娠中絶薬（いわゆる経口中絶薬）について」
マーベロンをはじめとするピルを入手するには、医師の診察が必要となります。
診察は、対面でもオンラインでも可能です。以下で詳しく解説します。
婦人科を受診して、医師から対面でピルを処方してもらいます。ピルは院内で受け取るか薬局に行って受け取るかの2パターンがあります。
通院に手間がかかるのがデメリットですが、ピルを診察当日に受け取ることができるのがメリットです。
オンライン診療では、電話やビデオ通話で医師の診察を受け、ピルを処方してもらいます。ピルは郵送で届くため、自分でクリニックや薬局まで取りに行く必要がありません。
時間や場所に縛られずに診療を受けることができるため、通院する時間がない方や婦人科に通っていることを周りに知られたくない方におすすめです。
マーベロンは低用量ピルの一種で、避妊以外にニキビや肌荒れ改善にも効果的です。マーベロンにはマーベロン21とマーベロン28の2種類があり、偽薬の有無に違いがあります。飲み忘れが心配な方は、マーベロン28を選ぶのがおすすめです。
マーベロンをはじめとした低用量ピルは、婦人科での対面診療だけでなくオンライン診療でも処方してもらうことができます。
低用量ピルを服用したくても病院に行く時間がない方、婦人科に通っていることを周囲に知られたくない方はオンラインで医師の診察を受けてみるのはいかがでしょうか。
レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修：
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
＜所属学会＞ 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました
