更新日:2024年07月11日
低用量ピルを服用したら吐き気がひどい!対処法や注意点とは?
- 低用量ピルによる吐き気は、ほとんどの場合2~3ヶ月で治まる
- ピルの服用時に吐き気が起こる理由は、ホルモンバランスが一時的に崩れるからである
- ピルによる吐き気がひどい場合には、吐き気止めを飲んだり楽な姿勢をとったりして対処しよう
- 吐いてしまった場合の、服薬時間を確認し、十分な水分補給を行う
- 副作用がある一方で、ピルにはPMSの緩和や肌荒れ・ニキビ改善などのメリットもある
低用量ピルの服用を始めて、「このつらい吐き気はいつ治るの?」「飲むのをやめたほうがいい?」と感じている方もいるでしょう。低用量ピルによる吐き気は2~3ヶ月で治まることがほとんどなので、安心してそのまま服用を続けてください。
この記事では、ピルを飲むと吐き気が起こる理由や吐き気がひどいときの対処法を解説します。万が一吐いてしまったときの注意点や、ピルを服用するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ピルを飲むと吐き気が起こる理由
ピルによって吐き気が起こる理由は、医学的にははっきりとわかっていません。しかし、ピルの作用により体内のホルモンバランスが一時的に変化することで、妊娠中のつわりのような吐き気が起こると考えられています。
そのため、ピルを飲み続けて体内のホルモンバランスが次第に整ってくると、2~3ヶ月で症状が落ち着いてくることがほとんどです。
日本産科婦人科学会の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」では、吐き気と嘔吐の発生頻度は1.2〜29.2%であり、他の副作用に比べて多いことが報告されています。吐き気は、低用量ピルの副作用の中で比較的多く起こる症状です。症状が軽い場合は、3ヶ月ほど様子をみましょう。
参照元:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」
ピルによる吐き気がひどいときの対処法
数ヶ月で治まるとわかっていても、吐き気はつらいものです。
ここでは、ピルの副作用による吐き気がひどいときの対処法をご紹介します。
吐き気止めを飲む
吐き気がつらいと感じたときは、吐き気止めを飲みましょう。
低用量ピルと吐き気止めは、基本的に併用しても問題ないとされています。 吐き気止めは、クリニックで医師に処方してもらうか、ドラッグストアや薬局で市販薬を購入しましょう。
医師に処方してもらう場合は、ピルと同じタイミングで処方してもらうのがおすすめです。 自分で市販薬を購入する際も、念のため事前に医師に相談しておくのが安心です。
楽な姿勢をとる
吐き気を感じたときは、楽な姿勢をとり、安静に過ごしましょう。
前かがみの姿勢をとると腹部が圧迫されてしまうため、上体を起こすか、仰向けの姿勢がおすすめです。椅子の背もたれの角度を調節したり、背中にクッションを挟んだりして、呼吸のしやすい体勢をとりましょう。
吐き気が強く、すぐに嘔吐してしまいそうな場合は、仰向けの姿勢は避けてください。吐いたものが気管に入ることを防ぐためです。
また、締め付けの強い服装によっても吐き気がひどくなる可能性があります。お腹を締め付けないゆったりとした衣類を着用し、できるだけ体に負担をかけないようにしましょう。
ピルの種類を変える
ピルが身体に合っていないことで吐き気が起きている可能性がある場合、医師に相談して、ピルの種類を変更してもらいましょう。
低用量ピルにはさまざまな種類があり、含まれているホルモンの量がそれぞれ異なるため、種類を変えることで症状が改善することがあります。
服用時間を工夫する
低用量ピルは、服用する時間が毎日一定であれば、飲む時間帯は自分で決めることができます。もし、日中の服用で吐き気が生じている場合は、服用時間を寝る前に変えてみることをおすすめします。
低用量ピルの成分が身体に完全に吸収されるまでは、服用してから2時間ほどかかります。成分が吸収され始めた際に、副作用が出ることが多いです。
ピルを寝る前に服用することで、寝ている間に副作用のピークを迎えることになるため、吐き気が気にならなくなる可能性があります。
関連記事:低用量ピルの飲み方は?服用時の注意点や飲み忘れたときの対応も解説
医療機関を受診する
吐き気がひどい、長引くといった場合は、ピルの服用をやめて医師に相談しましょう。
吐き気が長期間続く場合は、ピルではなく消化器系の病気などが原因のことがあります。ほかにも、吐き気以外に、頭痛やけいれん、意識障害がある場合は、脳静脈血栓症の可能性もあります。重大な病気につながるおそれがあるため、症状が気になる場合は速やかに病院・クリニックを受診することをおすすめします。
低用量ピル服用後に吐いてしまったときの注意点
吐き気がなかなか治まらず、実際に吐いてしまった場合には、状況に応じて適切な対応を行う必要があります。
ここでは、低用量ピルを服用した後に吐いてしまったときの注意点を2つご紹介します。
服薬時間を確認する
吐いてしまった場合の対応は、服薬からどれくらい経過しているかによって変わります。そのため、まず初めに服薬時間を確認してください。
低用量ピルを服用して2時間以内に嘔吐した場合は、速やかにもう1錠追加で服用してください。
2時間以内に吐いてしまったときは、低用量ピルの成分が体内に吸収されていない可能性が高いためです。
また、24時間以上嘔吐が続く場合は、低用量ピルの成分が吸収されていないか、吸収が不完全である場合があるため、一旦服用を中止してください。嘔吐が止まった後は、ピルを飲み忘れた場合と同様の飲み方をします。
1日服用できなかった場合 | 症状が落ち着き次第、服用できなかった分のピルをなるべく早く服用する |
---|---|
2日以上服用できなかった場合 | 服用できなかった錠剤のうち直近の1錠をなるべく早く服用する |
上記の通り服用した後は、残りの錠剤を予定通り服用するようにしましょう。
また、2日以上服用できなかった場合は、避妊効果が十分に得られない可能性があるので、7日間連続して服用できるまで、性交の際はコンドームを使用するようにしてください。
参照元:公益社団法人 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン」
十分な水分補給をする
吐いてしまった後は、しっかりと水分補給をすることを心がけましょう。嘔吐によって身体が水分不足になると、血栓症のリスクが増加することがあります。
低用量ピルに含まれるエストロゲンには血液を固める作用があるため、発症は稀ですが、副作用で血栓症になることがあります。
血栓は、血流が滞ることでできやすくなるため、吐いてしまった場合は血行をよくするために水分をしっかりとりましょう。
参照元:日本生殖内分泌学会「わが国における女性ホルモン剤使用に関連する血栓塞栓症の現状」
低用量ピルを服用するメリット
低用量ピルには、吐き気をはじめとした複数の副作用がある一方で、服用するメリットも多数あります。
代表的なメリットである避妊効果以外にも、下記のメリットがあります。
PMSの緩和
低用量ピルを服用することによりPMSの症状を緩和できます。
PMS(月経前症候群)とは、生理3~10日前に起こる頭痛やイライラ、眠気などの精神的、身体的症状を指します。
PMSの原因は、黄体期の後半に女性ホルモンが急激に低下することで、脳内のホルモンや神経伝達物質になんらかの影響を与えていることだと考えられています。
低用量ピルには、この女性ホルモンの変動を抑える作用があるため、PMSの症状緩和につながるのです。
肌荒れ・ニキビの改善
生理前の肌荒れやニキビは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が盛んになることで起こります。
低用量ピルを飲むと、黄体ホルモンを抑えてホルモンバランスを整えることができるため、肌荒れやニキビの改善が期待できます。
関連記事:生理前にニキビはできやすい?原因や対策、改善方法などを詳しく解説
生理不順の改善
低用量ピルの服用によってホルモンバランスが整うことで、生理不順を改善することができます。
低用量ピルの実薬を飲んでいる間は生理が起こりませんが、7日間の偽薬・休薬期間に入ると生理に似た出血が起こります。このときの出血は「消退出血」とよばれ、生理のメカニズムとは異なり、血中のエストロゲンとプロゲステロンの減少によって、子宮内膜が剥がれ落ちることで起きます。消退出血は、生理と同じように5日前後続きますが、生理よりも出血の量が少ないのが特徴です。
出血が起こる周期が安定するため、「生理が来ない…」「次がいつ来るかわからない」という不安から解放され、旅行やイベントなどのスケジュールも組みやすくなります。
まとめ
低用量ピルによる吐き気は2~3ヶ月で落ち着いてくることがほとんどのため、安心して服用を続けてください。吐き気を感じた場合は、吐き気止めを飲むなどして速やかに対処しましょう。吐いてしまった場合は、ピルを服用してからの時間の確認と十分な水分補給に気をつけましょう。
低用量ピルには吐き気をはじめとする副作用がある一方で、PMSの緩和や生理不順の改善などのメリットもあります。服用するべきか迷われている方は、ぜひ一度医師への相談を検討してみてください。通院する時間がない、対面では相談しにくいという方にはオンライン診療がおすすめです。
レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました