更新日:2024年07月11日
ピルの服用で眠気はなぜ起こる?原因と対処法を解説
- ピルの眠気の原因は黄体ホルモンの作用
- ピルの種類の違いにより眠気の起こりやすさは異なる
- ピルによる眠気の解消時期は1~3か月
- 眠気が3か月以上改善しない場合は、ピルの種類の変更を検討する
「ピルを飲むと眠気がひどくて、仕事や勉強に集中できない」「眠気で家事や育児に支障をきたしている」など、ピルの眠気で悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ピルは、避妊効果が高いだけでなく、生理痛や生理不順の改善、肌荒れの予防など、さまざまなメリットがあります。一方で、眠気などの副作用が現れることもあります。
この記事では、ピルの副作用による眠気の原因と対処法を詳しく解説します。ピルの眠気で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
ピルの服用で眠気が起こる理由
ピルの服用による眠気に悩まされている方もいるでしょう。ピルの服用で眠気が起こる理由は、主に以下の2つがあります。
- 黄体ホルモンの影響
- 個々の体質
ここからは、それぞれの理由について解説します。
黄体ホルモンの影響
ピルの主な成分である黄体ホルモンは、女性の体内で排卵後に分泌されるホルモンです。黄体ホルモンには、子宮内膜を厚くして受精卵の着床を促す働きや、子宮の収縮を抑える働きがあります。
黄体ホルモンが体内で分解されると、睡眠の促進に関与する物質であるアロプロゲステロンが発生します。そのため、ピルを服用することで黄体ホルモンの量が増えると、アロプロゲステロンの量も増え、眠気を引き起こす可能性が高くなります。
また、ピルを服用しはじめて間もないころは、体内のホルモンバランスが変化するため、自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりして、日中の眠気を引き起こします。
個々の体質
ピルの副作用の程度や症状には、個人差があります。眠気もその1つで、黄体ホルモンの影響を受けやすい体質の人ほど、眠気が強く現れる傾向があります。
また、もともと眠気を感じやすい人や睡眠不足の人、ストレスを抱えている人は、ピルを服用することで眠気がさらに強く現れる可能性があります。
ピルの種類による眠気の副作用の違い
ピルには、黄体ホルモン(プロゲステロン)と卵胞ホルモン(エストロゲン)が含まれています。黄体ホルモンの量が多いほど、眠気の副作用が出やすくなる傾向があります。ここからは、ピルの種類による眠気の副作用の違いについて解説します。
超低用量ピル
超低用量ピルは、黄体ホルモンの含有量が少ないため、眠気の副作用が起こりにくいとされています。ただし、個々の体質によっても異なるため、必ずしも眠気が起こらないわけではありません。
関連記事:超低用量ピルとは?低用量ピルとの違いや主な種類・服用の注意点を解説
低用量ピル
低用量ピルは、黄体ホルモンの含有量が中程度で、中用量ピルの次に眠気の副作用が現れやすいピルです。特に、ピルの服用を開始して間もない頃は、体内のホルモンバランスが変化するため、眠気が強く現れることがあります。
関連記事:低用量ピルとは?効果や種類、服用方法、副作用を詳しく解説
中用量ピル
中用量ピルには、黄体ホルモンが超低用量ピルや低用量ピルよりも多く含まれているため、眠気の副作用が起こりやすいといわれています。中用量ピルは、吐き気や頭痛などの副作用も起こりやすいため、注意が必要です。
関連記事:中用量ピルとは?低用量ピルとの違いや処方目的・服用方法を解説
アフターピル
アフターピルには、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが配合されています。そのため、眠気の副作用が起こる可能性があります。
アフターピルは、緊急避妊薬として性行為をしてから72時間以内に服用するものです。低用量ピルのように継続的に服用することはないため、眠気が起きても一時的なものと考えて良いでしょう。
ピルによる眠気の解消時期
ピルによる眠気の副作用は、個人差がありますが、一般的には服用を開始してから1〜3か月程度で解消されます。
ピルの飲み始めの時期は、ホルモンバランスが一時的に変化するため、眠気をはじめとする副作用が現れやすくなります。時間が経つにつれてホルモンバランスが整い、眠気の副作用が軽減していきます。
ただし、個人差があり、1〜3か月以上経っても眠気が続く人もいます。また、ピルの種類や配合成分によっても、眠気の副作用の解消時期は異なります。
ピルの服用による眠気の対処法
ピルの副作用による眠気を軽減する対処法として、以下の3つが挙げられます。
- 睡眠の質を高める
- 昼寝や仮眠の時間をとる
- ピルを寝る前に服用する
ここからは、それぞれの対処法について解説します。
睡眠の質を高める
毎日の睡眠の質を高めることで、眠気の症状を軽減できる可能性があります。睡眠の質を向上するには、以下のことに注意しましょう。
- 規則正しい生活を心がけ、毎日同じ時間に就寝、起床する
- 寝る前のカフェイン・アルコールの摂取を控える
- 寝る前にリラックスできる入浴やストレッチをする
- 室温と湿度を整えるなど、眠りやすい環境を整える
十分な睡眠時間を確保することも重要です。成人女性の1日の睡眠時間は、7~8時間程度が目安です。
昼寝や仮眠の時間をとる
日中に眠気が強く現れる場合は、昼寝や仮眠の時間をとることで、症状を軽減できる可能性があります。可能であれば、ランチタイムなどに昼寝や仮眠を取り入れてみましょう。
ただし、昼寝や仮眠は、20分以内に留めましょう。長時間の昼寝や仮眠は、夜の睡眠の質を低下させる可能性があるためです。
ピルを寝る前に服用する
ピルは毎日同じ時間に服用する必要がありますが、食前・食後といった飲むタイミングは指定されないため、寝る前の服用でも問題ありません。寝る前の服用であれば、寝ている間に眠気の副作用のピークが過ぎるというメリットがあります。
3か月以上服用しても眠気が改善しない場合
3か月以上服用しても眠気が改善しない場合は、以下のような対処法を検討してみましょう。
- 世代の違うピルに変更する
- 超低用量ピルへ変更する
いずれも自己判断で行うのではなく、必ず医師に相談しましょう。医師に相談することで、個々の症状や体質をもとに、最適な対処法をアドバイスしてもらえるでしょう。
世代の違うピルに変更する
同じピルでも、違う世代のピルに変更することで、眠気が改善する可能性があります。
ピルの世代は、開発された時期によって、第1世代・第2世代・第3世代・第4世代に分けられます。世代により黄体ホルモンの種類が異なるため、違う世代のピルに変更することで、副作用が軽減される可能性があります。
ただし、種類の変更により眠気の副作用が軽減されるかは、個人差や体質によっても異なるため、必ずしもすべての人に当てはまるとは限りません。
超低用量ピルに変更する
低用量ピルを服用している場合、超低用量ピルへの変更は、眠気の副作用を改善するために有効な方法です。超低用量ピルは、黄体ホルモンの含有量が少ないため、眠気の副作用が起こりにくいとされています。3か月以上服用しても眠気が改善しない場合は、超低用量ピルへの変更を検討しましょう。
ただし、超低用量ピルは、低用量ピルよりも避妊効果が低いため、注意が必要です。また、超低用量ピルでも眠気が改善しない場合は、他の種類のピルへの変更や、避妊方法の変更を検討する必要があります。
まとめ
この記事では、ピルの服用で眠気が起こる原因と、対処法を解説しました。ピルの服用で眠気が起こる原因は、黄体ホルモンの影響によるものと考えられています。
黄体ホルモンには、眠気を誘発する作用があるため、ピルに配合されている黄体ホルモンの量が多いほど、眠気の副作用が起こるリスクが高くなります。
眠気の副作用は、服用を続けることで改善されることが多いですが、3か月以上経っても改善しない場合は、ピルの種類を変えるなどの対策が必要です。
ピルによる眠気の副作用が日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医師に相談することをおすすめします。
レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。