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更新日:2024年06月11日

ピルをやめるタイミングは?やめると起こる症状や注意点についても解説

この記事のまとめ
  • ピルをやめるタイミングは、副作用が強い、妊娠を希望している、妊娠した、40歳を迎えたときなど
  • ピルをやめると、85%以上の確率で3ヶ月以内に排卵が再開する
  • ピルを長期的に服用していても、ピルをやめた後2年以内に88.3%の方が妊娠できている
  • 月経困難症やPMS改善の目的でピルを服用している場合は、やめると症状が再び起こる可能性がある
  • ピルをやめるときは、シートをすべて服用してから終了する

ピルを服用していて、「そろそろやめたいけれどタイミングがわからない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ピルはやめるべき適切なタイミングがあるため、自己判断でピルをやめるのは避け、まずは医師に相談すると良いでしょう。

本記事では、ピルをやめるタイミングやピルの服用をやめるとどうなるのかについて解説します。また、ピルをやめるときの注意点についてもお伝えします。

ピルをやめるタイミングとは

ピルをやめるタイミングは下記の4つです。

  • ピルの副作用が強いと感じている
  • 妊娠を希望している
  • 妊娠した
  • 40歳を迎えた

1つずつ解説します。

ピルの副作用が強いと感じている

ピルの副作用が強いと感じているときは、ピルをやめるタイミングの1つです。ピルを服用すると不正出血などの副作用が起こる場合があります。

副作用を理由にピルの服用を中止した人のうち、多かった症状は不正出血が12%、吐き気が7%、体重増加・気分変調が5%、乳房緊満・頭痛が4%と報告されています。また、副作用を理由に服用をやめている方は46%とされています。

しかし、ピルによる副作用は服用を3ヶ月ほど継続すると減少もしくは消失します。長期間出血が続く場合は、処方されたピルが合っていない、もしくはピルが原因ではない可能性もあります。そのため、副作用が辛いと感じている場合は、服用をやめるべきかどうか医師に相談すると良いでしょう。

ただし、副作用として血栓症の症状が出たときはピルを中止する必要があります。血栓症の症状には、下記のものがあります。

  • 激しい頭痛
  • 激しい胸の痛み
  • 息苦しさ
  • ふくらはぎの痛み
  • 片足(血栓が生じている足)だけ熱感や腫れ、皮膚の赤みが生じる
  • 視野が狭くなる
  • うまく喋れない

血栓症は、脳梗塞などの発生リスクを高め、日常生活に支障をきたす可能性があります。上記の症状を感じたらすぐにかかりつけの医師に相談しましょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

妊娠を希望している

妊娠を希望している場合は、ピルの服用をやめるタイミングとなります。低用量ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、服用していると排卵が抑制されます。排卵が起こらなければ、妊娠しません。

なお、ピルを長期的に服用していても、妊娠のしやすさには影響がないとされています。低用量ピルのガイドラインによると、妊娠希望者はピルの服用をやめて1年以内に79.4%、2年以内に88.3%が妊娠したと報告されています。また、別の研究でも、ピルを5年以上服用していた人のうち、89.5%の方が服用中止後1年以内に妊娠したと報告されています。

このように、長期的にピルを服用していても妊娠には影響しないため、妊娠できるかどうか不安になる必要はありません。

参考: 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」 Oxford Academic「Prolonged use of oral contraception before a planned pregnancy is associated with a decreased risk of delayed conception

妊娠した

低用量ピルは、妊婦に対する安全性が確立されていないため、妊娠したときはピルの服用をやめましょう。

ピルを服用していても、毎日決まった時間に服用できていなかったり、飲み忘れがあったりすると、理想的に服用できたときと比較して、避妊効果が7.7%減少してしまい妊娠する可能性があります。状況によっては、妊娠に気づく前にピルを服用してしまうこともあるでしょう。

もし、妊娠初期にピルを服用してしまったとしても、胎児に影響があった例はないとされているため安心してください。

参考:井上 真智子, 臨床医学の現在(プライマリ・ケア レビュー) 避妊, 日本プライマリ・ケア連合学会誌 36 (2), 2013, 119-123

40歳を迎えた

40歳を迎えて低用量ピルを飲んだ場合は、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や深部静脈血栓症などを起こす可能性が高くなります。

さまざまな疾患の発症リスクが高くなるため、40歳を迎えた方はピルの慎重投与の対象となり医師と相談する必要があります。医師の判断によってはピルの服用を継続できない場合があります。

また、40歳を迎えて下記の疾患を有している方は服用できません。

  • 肥満(BMIが30以上)
  • 高血圧
  • 高脂血症
  • 血管性病変のない糖尿病
  • 妊娠高血圧症の既往歴がある

1日15本以上喫煙している方は、35歳でピルを服用できなくなる点にも気をつけましょう。

喫煙していると、ニコチンにより交感神経が刺激されます。交感神経が刺激されると、血管の収縮や血圧の上昇、心拍数の増加を引き起こし、血管に負担がかかります。負担がかかる状態が続くと動脈硬化を起こして血栓が形成されやすくなるのです。

関連記事:ピルは何歳まで飲むことができる?40歳以上でも服用できる条件や注意事項

ピルの服用をやめるとどうなる?

ピルの服用を中断すると起こる変化は、下記のとおりです。

  • 3~4ヶ月以内に月経が始まる
  • 月経困難症やPMSなどの再発リスクがある
  • 肌荒れのリスクがある
  • 抜け毛が増える可能性がある

それぞれ解説します。

3~4ヶ月以内に月経が始まる

低用量ピルの服用をやめると、3~4ヶ月以内に月経が始まります。ガイドラインによると、ピルの薬の種類によって、下記の表のように月経が来る確率が異なるため、参考にしてください。

ピルの種類1ヶ月以内に排卵が回復する確率3ヶ月以内に排卵が回復する確率
1相性21.6%~36.4%91.1%~99.5%
2相性6.1%85.4%
3相性18.9%~49.3%94.3%~99.4%

相性とは、ピルに含まれているエストロゲンやプロゲステロンの成分量です。

1相性は、錠剤シートのピルに含まれるエストロゲンなどの成分量がすべて同じです。2相性は、錠剤シートに2種類のピルがあり、生理周期のうち卵胞期と黄体期それぞれに合わせたホルモンバランスで配合されています。3相性は、3種類のピルが錠剤シートに入っており、卵胞期、排卵期、黄体期に合わせたホルモン量で配合されています。

2相性や3相性は、途中でピルに含まれる成分量が変わるため、成分量に合わせて錠剤の色が分けられています。

どのピルにおいても、3ヶ月以内に85%以上は排卵が回復します。ただし、もともと生理周期が安定していない場合は、月経が来るタイミングがずれる可能性がある点には注意してください。生理不順が続く場合は、クリニックで受診しましょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

月経困難症やPMSなどの再燃リスクがある

月経困難症やPMS、子宮内膜症の症状を緩和する目的でピルを服用していた場合は、症状が再発する可能性があります。

生理による痛みを軽減するために、痛み止めの服用を検討したり、下腹部や腰の周囲を温めて血行を良くしたりするなど、ピルの服用以外の対策方法も知っておきましょう。

肌荒れのリスクがある

ピルの服用をやめるとホルモンバランスが乱れやすくなるため、ニキビなどの肌荒れを起こす可能性があります。ピルを服用している間は、エストロゲンとプロゲステロンのホルモンバランスが一定に保たれている状態にあり、副効用としてにきびを改善する効果があるとされています。

しかし、月経が再開すると、エストロゲンとプロゲステロンのバランスが乱れ、プロゲステロンの多くなる黄体期には、皮脂増加などにより肌荒れを起こしやすくなります。

ニキビを予防するためには、下記の方法が有効です。

  • 栄養バランスの良い食事をとる
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスをためない
  • 食物繊維や水分を十分にとって便秘を予防する
  • お酒は飲み過ぎない
  • 清潔な寝具を使用する
  • 肌を保湿して乾燥を予防する

生活習慣を見直して、取り組めるものから始めましょう。

抜け毛が増える可能性がある

ピルに含まれるエストロゲンは髪の成長を促すとされていますが、ピルの服用をやめることでエストロゲンが少なくなると、一時的に抜け毛が増える可能性があります。

一時的に抜け毛が増える状態で有名なものでは、出産後の脱毛症があります。出産後もエストロゲンの急激な低下により、ヘアサイクルの休止期に入るため一時的に髪が薄くなります。ヘアサイクルとは、髪の毛が生えて抜け落ちるまでの周期のことで、休止期はヘアサイクルのうち髪の毛の成長が止まる時期を指します。

髪の休止期は3ヶ月程度であるため、個人差はありますが半年~1年程度で元に戻るといわれています。

ピルをやめるときの注意点

ピルをやめるときの注意点は、以下の3つです。

  • 服用しているピルのシートが終了してからやめる
  • 自己判断は控え、医師に相談する
  • やめたり服用したりを繰り返さない

1つずつ解説します。

服用しているピルのシートが終了してからやめる

ピルをやめるときは、服用しているピルのシートが終了してからやめましょう。

ピルは、エストロゲンやプロゲステロンのバランスを安定させるように配合されています。途中でやめてしまうと、ホルモンのバランスが乱れて生理が遅れたり、本来の効果が発揮できなかったりする可能性があります。

自己判断は控え、医師に相談する

副作用がつらいときなど、自分で判断してピルの服用をやめないようにしてください。中断してしまうと、ピルの効果が得られなかったり、ホルモンバランスが乱れたりする可能性があるからです。

また、月経困難症やPMSなどの避妊目的以外で服用している方は、やめてしまうと症状が再発する可能性があります。

症状が改善しない場合は、ピルの種類を変更すると副作用を改善できる可能性があります。自己判断は控えて医師に相談してみましょう。

やめたり服用したりを繰り返さない

低用量ピルの中断・再開を繰り返すと、血栓症の発生確率が高くなると報告されています。

また、ピルの服用から4ヶ月以内は血栓症の発生率が高くなるため、ピルの中断と再開を繰り返すと血栓症の発生率が上がってしまいます。中断の期間がなく、ピルを別の種類に変更したときは、血栓症の発生リスクが上がることはないため安心してください。

ピルの服用をやめたものの再開したいときは、医師に相談し、3ヶ月以上の間隔を空けてから再開しましょう。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

まとめ

ピルをやめるタイミングは、副作用が強いと感じている、妊娠を希望している、妊娠したときなどです。

ピルを長期的に服用していても妊娠のしやすさに影響はありません。ピルの服用をやめたあと、多くの方は月経が再開し、2年以内に88%の方が妊娠しています。

しかし、ピルをやめると、月経困難症やPMSの症状が再発したり、ニキビや抜け毛が増えたりするリスクがあります。医師と相談して鎮痛剤を利用したり血行を良くしたりして、少しでも症状がやわらぐように対策しましょう。

ピルをやめたときに起こる症状やピルをやめるタイミングについては、医師に相談し理解しておくことが大切です。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました