更新日:2024年06月11日
低用量ピルの飲み方は?服用時の注意点や飲み忘れたときの対応も解説
- 低用量ピルの飲み方は、Day1スタート、Sundayスタート、クイックスタートの3つがある
- 低用量ピルには21錠シートと28錠シートがあり、効果は同じである
- 低用量ピルには休薬期間があり、休薬期間後の飲み忘れを防止しやすいのは28錠シートである
- 低用量ピルは、正しく服用すると避妊効果は99.7%になる
- ピルを飲み忘れないために、アラームやカレンダーを活用するのも一つの方法
低用量ピルの服用を検討している方の中には、飲み方が数種類あることを知り、どの方法で飲めば良いか迷っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、低用量ピルを初めて服用するときの飲み方とシート別の飲み方を解説します。また、ピルを飲むときの注意点や飲み忘れてしまったときの対処法についてもお伝えします。
低用量ピルを初めて服用するときの飲み方
低用量ピルを初めて服用するときの飲み方は、3種類あります。
- 生理初日から服用する
- 生理開始後の最初にくる日曜日に服用する
- 生理に関係なくすぐに服用する
それぞれ解説します。
生理初日から服用する
低用量ピルを生理初日から服用する方法は、Day1スタートと呼ばれています。
生理が始まると卵胞の成長が開始され、5日を目安にエストロゲンの分泌が上昇して排卵の準備をします。卵胞が成長している状態では、ピルを服用しても排卵が確認されたと報告されています。
生理初日からピルを服用すると、ピルに含まれるエストロゲンやプロゲステロンにより、脳がエストロゲンの分泌を減少させるため排卵が起こらなくなります。
また、Day1スタートでは、服用した日から避妊効果が期待できます。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)」
生理開始後の最初にくる日曜日に服用する
低用量ピルを生理が始まってから最初の日曜日に服用する方法は、Sundayスタートと呼ばれています。
日曜日に服用を始めると、低用量ピルを服用してから起こる消退出血が週末には起こりません。消退出血とは、生理のような出血のことです。週末の休みを気兼ねなく過ごしたいと考えている方におすすめの飲み方です。
もし、日曜日に生理が始まった場合はその日から低用量ピルの服用を始めましょう。
生理に関係なくすぐに服用する
低用量ピルを生理に関係なくすぐに服用するのは、クイックスタートと呼ばれる方法です。
クイックスタートでピルの服用を始め、効果を得るためには注意点があります。前回の生理から一度も性行為をしていない、もしくは性行為をしていても避妊を正しく行っていることです。
クイックスタートでは、低用量ピルを毎日服用して8日目から避妊効果が得られます。また、低用量ピルを服用して1シート目の時期に、月経以外が原因で性器から出血する不正出血が増加する可能性がある点には注意してください。
低用量ピルのシートに合わせた飲み方
低用量ピルには、21錠シートと28錠シートがあります。それぞれの飲み方を解説します。
21錠シート
21錠シートの場合は、3週間毎日決まった時間に低用量ピルを1錠服用し、1週間はピルを服用しない休薬期間を設けます。休薬期間中に、消退出血が生じます。休薬期間が終わったら、2シート目のピルを服用します。
21錠シートの休薬期間中は薬を服用しないため、2シート目のピルの服用を忘れてしまう可能性があります。ピルを服用している方のうち、飲み忘れの経験がある女性は、ある調査では81%と報告されており、多くの方が飲み忘れの経験をしていることがわかります。
もし、2シート目の服用を忘れてしまうと、ピルを7日間連続で服用するまでは避妊効果がなくなってしまいます。
休薬期間や次に飲み始める日を忘れないようにするために、スマートフォンで通知を設定したり家のカレンダーに書いたりするのも一つの方法です。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」
28錠シート
28錠シートは、3週間連続して低用量ピルを1錠ずつ服用し、1週間はプラセボ薬を毎日1錠服用します。プラセボ薬とは有効成分を含まない錠剤のことで、28錠シートで1相性のピルでは、ピルとプラセボ薬の錠剤の色が違います。1相性とは、1シート内で、ピル1錠ごとのホルモンの配合量がすべて同じピルのことです。
28錠シートでは、プラセボ薬を服用している期間に消退出血が起こります。消退出血は、新しいシートを飲み始める際にも続いている場合がありますが、消退出血が続いている状態で新しいシートを飲み始めても問題ありません。
28錠シートは薬を飲まない期間がないため、ピルの服用を忘れてしまうリスクを軽減できるメリットがあります。
ピルの服用が初めてで飲み忘れが不安な方は、28錠シートから始めて服用する習慣を身につけると良いでしょう。
低用量ピルを飲むときの注意点
低用量ピルを飲むときの注意点は下記の2つです。
- 毎日決めた時間に飲む
- 副作用が出現する可能性がある
1つずつ解説します。
毎日決めた時間に飲む
低用量ピルは毎日決めた時間に飲む必要があります。毎日決まった時間に飲む理由は、ホルモンバランスを一定に保つためです。飲む時間がずれると、ホルモンバランスが一定に保てず、避妊効果の軽減や不正出血などの副作用が起こるリスクが高くなります。
毎日決めた時間にピルを服用すると、避妊率は99.7%と報告されています。時間がずれてしまったり、服用を忘れたりしたときには、避妊率は92%まで減少してしまいます。
ピルを初めて服用する際には、自分の飲みやすい時間を決めておきましょう。朝起きてすぐや寝る前など、自分の生活リズムに合わせて服用すると忘れにくくなります。また、服用を決めた時間にアラームをセットしておくなど、ピルの服用を忘れない工夫をすることも大切です。
参考:井上 真智子, 臨床医学の現在(プライマリ・ケア レビュー) 避妊, 日本プライマリ・ケア連合学会誌 36 (2), 2013, 119-123
副作用が出現する可能性がある
低用量ピルを服用すると、下記のような副作用が出る場合があります。
- 吐き気・嘔吐
- 乳房痛
- 頭痛
- 食欲不振
- 不正出血
- 気分変調
- 血栓症
特に低用量ピルの飲み始めには副作用が起こりやすいとされており、3ヶ月ほどピルの服用を続けると副作用の症状が軽減されるとされています。
ピルを3ヶ月続けて服用しても副作用が改善しなかったり、3ヶ月続けられないと感じたりしたときには医師に相談し、変更可能なピルの種類や対処法を教えてもらうと良いでしょう。
また、血栓症に該当する副作用の症状が出た際は、注意が必要です。血栓症の症状には下記のものがあります。
- 頭痛
- 激しい腹痛
- 激しい胸の痛み
- 息苦しさ
- 視野が狭くなる
- 失神
- けいれん
- ふくらはぎの痛み
- 足の片方だけ腫れたりむくんだりしている
ピルを飲むと血栓ができるのは、エストロゲンにより血液が固まりやすくなる凝固因子の合成が促進されるからです。固まった血液は血栓と呼ばれ、血流に乗って心臓や脳・肺などの細い血管に詰まってしまうことがあります。血管が詰まってしまうと、血液中の酸素が行き渡らなくなり、脳梗塞や心筋梗塞・肺塞栓などの健康を脅かす疾患を発症するおそれがあります。
ピルを服用している方が血栓症を発症する確率は、1万人中3~9人と報告されており、稀な症状ではあります。万が一血栓症の症状を感じた場合は、かかりつけの医師に相談、もしくは救急車を呼んですぐに対応してもらいましょう。
参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」
低用量ピルを飲み忘れてしまったときの対応
低用量ピルを飲み忘れてしまったときの対応は、飲み忘れが発覚したタイミングによって異なります。
- 1日分飲み忘れてしまったとき
- 2日分飲み忘れてしまったとき
- 3日分飲み忘れてしまったとき
それぞれ解説します。
1日分飲み忘れてしまったとき
直前の低用量ピルの服用から24時間以上48時間未満経過している場合は、低用量ピルをすぐに1錠服用します。その後は、いつも飲んでいる時間にピルを服用しましょう。
ピルを1日分飲み忘れてしまった場合は、緊急避妊は必要ないとされています。しかし、飲み忘れてしまったピルが、シートの始めや最後の場合では妊娠する可能性があります。この時期に飲み忘れ、避妊を行っていなかった場合に避妊を希望する場合は、アフターピルの服用を検討しましょう。アフターピルは緊急避妊薬とも呼ばれ、性交後72時間以内に服用することで、妊娠を回避できる可能性が高まります。
2日分飲み忘れてしまったとき
低用量ピルを2日分飲み忘れてしまったときは、飲み忘れに気付いた時点で前日分の1錠を服用しましょう。当日分のピルは、通常どおりいつもの時間に服用します。
2日分飲み忘れたからといって、1日に3錠飲むのはやめましょう。1日に3錠飲んでしまうと、ピルの成分の血中濃度が高くなるため、嘔吐や吐き気などの副作用が生じやすくなってしまいます。
2日分飲み忘れてしまった場合は、7日間連続して服用するまでは避妊効果を得られないため、コンドームなどの避妊方法を選択するか、性行為そのものを控えましょう。
また、第何週に2日分飲み忘れたかによって、妊娠の確率を下げるための対応が変わります。下記の表を参照してください。
飲み忘れたタイミング | 対応方法 |
---|---|
第1週に飲み忘れた場合 | 休薬期間または第1週に性行為を行った場合、アフターピルの服用を検討する |
第2週に飲み忘れた場合 | 直前7日間に連続して正しく服用できている場合、アフターピルは必要ない |
第3週に飲み忘れた場合 | 休薬期間を設けず、現在のシートの薬を終了したらすぐに次のシートの服用を始める |
3日分飲み忘れてしまったとき
低用量ピルを3日分飲み忘れてしまったときは、現在服用しているシートは破棄します。
3日分ピルを飲み忘れた場合は避妊効果は期待できないため、次の生理が来るまではほかの避妊方法で避妊することになります。服用を中断してから生理がきたときは、新しいシートの1錠目から服用を再開しましょう。
まとめ
低用量ピルを初めて飲む場合は、生理初日に服用するDay1スタート、生理が始まって最初の日曜日に服用するSundayスタート、生理に関係なく服用するクイックスタートの3種類の飲み方があります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合っている服用スタイルでピルを飲みましょう。生活の中で決まった時間に飲めるように、アラームやカレンダーを活用して忘れないようにしてください。
ピルの服用を始めるためには、クリニックでの受診が必要です。クリニックが近くにない方や通院時間を省きたい方は、オンライン診療での受診を検討してはいかがでしょうか。
オンライン診療は自宅で受診でき、クリニックに通う時間と手間を省けます。クリニックに通っていることを周りに知られたくない方も、安心して受診できるでしょう。ピルの服用を検討している方は、ぜひオンライン診療を活用してみてください。
レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました