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更新日:2024年07月11日

ピル服用後の下痢や嘔吐の対処法とは?副作用が起きにくいピルの種類も紹介

この記事のまとめ
  • ピル服用中に下痢や嘔吐が起こるのは、ピルの体内への吸収やホルモンバランスの変化が原因
  • ピル服用後2時間以内に下痢や嘔吐が起きたら、追加で1錠飲む
  • ピル服用後24時間以上下痢や嘔吐が続く場合、ピルの服用を中止し医師に相談する
  • ピル服用後3ヶ月経っても下痢や嘔吐が治らない場合、薬剤変更を検討する
  • 下痢や嘔吐以外のピルの副作用には、不正出血、下腹部痛、頭痛、むくみなどがある

ピルの服用後、まれに下痢や嘔吐が起きることがあります。服用直後の下痢や嘔吐は、ピルの効果が下がってしまうので注意が必要です。

この記事では、ピル服用後に下痢や嘔吐が起きる理由や対処法について詳しく解説します。また、ピル服用後にみられる一般的な副作用やピルの種類についても紹介します。ピルの副作用について知りたい方は参考にしてみてください。

ピル服用中に下痢や嘔吐が起こる理由

ピルの服用で起こる下痢は、ホルモンバランスが変化することで起こります。とくに飲み始めはまだ薬に体が慣れていないため、下痢っぽくなったり軟便になったりすることがあります。

また、嘔吐は、ピルによって起こる女性ホルモンの分泌量の増加が原因で起こります。ピルを服用すると、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの量やバランスが変化し吐き気や嘔吐を引き起こします。

下痢も嘔吐も、服用後2時間以内に起こる場合は、ピルが体内に吸収されず効果が発揮されなくなるため注意が必要です。

関連記事:低用量ピルを服用したら吐き気がひどい!対処法や注意点とは?

ピル服用中に下痢や嘔吐が起こったときの対処法

ピルの服用中に下痢や嘔吐が起きた場合、服用からどのくらい経っているかによって対応が異なります。状況別に対応をまとめました。

服用後2時間以内に下痢や嘔吐が起こったとき

服用後2時間以内に下痢や嘔吐が起きると、ピルが完全に吸収されず、効果がきちんと発揮されなくなります。そのため、下痢や嘔吐が起こってしまった場合は、翌日の分を1錠追加で飲みましょう。翌日は翌々日の分を飲むというように、服用を継続します。特に避妊目的でピルを服用している場合には、7日間連続して服用することで避妊効果が得られるため、7日間継続して飲むことが重要です。ちなみに、軟便程度であれば問題ないため、追加でピルを飲むことはしなくても大丈夫です。

下痢や嘔吐が2時間後以降であっても、服用後に毎回下痢や嘔吐が起きてしまうという人は、ピルの吸収が悪く十分な避妊効果が得られていない可能性もあります。下痢や嘔吐をせずに服用できるようになるまでは、他の避妊方法を検討することをおすすめします。

服用後24時間以上下痢や嘔吐が続くとき

服用後の数時間でなく、24時間ずっと下痢や嘔吐が続く場合は、ピルの服用を中止し医師に相談しましょう。体質的にピルが合っていない、胃腸炎などほかの消化器疾患が原因になっている、といったことが考えられます。

服用開始から3ヶ月以上経っても下痢や嘔吐がおさまらないとき

ピル服用後の下痢や嘔吐の副作用は、通常2〜3ヶ月程度で落ち着くとされています。3ヶ月以上経っても下痢や嘔吐が起きる場合、ピルが自分の体に合っていない可能性があります。医師に相談し薬剤の変更を検討しましょう。

吐き気程度であれば、吐き気止めを併用することでピルを継続しやすくなることもあります。服用する吐き気止めは市販薬でも問題ありませんし、クリニックでピルと一緒に処方してもらうのも一つの方法です。

下痢や嘔吐以外のピルの副作用について

ピル服用中には、下痢や嘔吐以外にも副作用がみられることがあります。ピルの一般的な副作用の原因と対策について解説します。

不正出血や下腹部痛

不正出血の副作用は、ピルに含まれる卵胞ホルモン・黄体ホルモンが体内に取り込まれ、子宮内膜が剥がれ落ちることで起こります。日本産科婦人科学会のガイドラインによると、不正出血はピル服用患者の20%に起こるといわれ、比較的よくみられる副作用です。

不正出血が少量であれば、ピルの服用を継続して様子を見ましょう。鮮血が出る場合や出血量が多い場合、なかなか治らないといった場合には、医師へ相談してください。

また、ピルの服用で生じるホルモンバランスの変化により、下腹部痛が起こることもあります。下腹部痛もピルの副作用としてよく知られているものです。1〜3ヶ月程度で落ち着くことがほとんどですが、あまりにも下腹部痛がひどいようであれば、医師に相談し、痛み止めの服用を検討しましょう。

日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

頭痛や吐き気

頭痛や吐き気は、下腹部痛同様ホルモンバランスの変化によって起こるとされています。1〜3ヶ月程度で治まることが多いですが、生活に支障が出るほどの痛みや吐き気が生じる場合、痛み止めや吐き気止めの使用も検討しましょう。

吐き気が強く嘔吐してしまう場合は、注意が必要です。前述のとおり、服用後2時間以内に嘔吐してしまう場合、ピルの成分が正常に吸収されない可能性があります。

むくみ

ピルによって女性ホルモンの量が増えると、むくみが出やすくなります。ピルを飲むと太るといわれるのは、むくみによって体重が増えることがあるためです。むくみの副作用も1〜3ヶ月で落ち着くことが多いですが、気になる場合はむくみケアをするのも効果的です。自分でできるむくみケアとして、以下のものがあります。

  • 塩分を控える
  • 湯船に浸かる
  • 運動する
  • 着圧ソックスを履く

セルフケアでもむくみが改善せず、生活に支障が出る場合には医師に相談しましょう。

気分の落ち込み

ピルによってホルモンバランスが変化すると、一時的に気分が落ち込むことがあります。ピルを継続すると、ホルモンバランスは落ち着いてくるので、気分の落ち込みも改善してきます。

もともとPMSで気分が落ち込みやすい人は、ピルの服用を継続しホルモンバランスが安定すると、気分が落ち込みにくくなることもあります。

血栓症

ピルを服用すると、血栓症のリスクがわずかに上がることがわかっています。ガイドラインによると、ピルを服用していない方の血栓症リスクは1万人に1〜5人ですが、ピルを服用すると1万人に3〜9人に上がるとしています。

血栓症は血液のかたまりである血栓が血流の悪化や障害を引き起こすものです。肥満や喫煙、高血圧の人は血栓症のリスクが高まるので、より一層の注意が必要です。

日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

副作用がつらいならピルの種類変更を検討しよう

副作用が強く出てしまったり、3ヶ月以上経っても副作用が軽減されなかったりする場合、ピルが体に合っていない可能性があります。

ピルは、製品によって効果や副作用が異なります。服用するピルの種類を変更することで副作用を軽減できることもあるので、処方してもらうピルの変更に関して医師に相談するのも一つの方法です。

月経困難症の緩和や避妊を目的に使われるピルは、低用量ピルと呼ばれ、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2つが配合されたものです。このうち、配合される黄体ホルモンの種類によってピルは4つに分類されます。

  • 第一世代(ノルエチステロン)
  • 第二世代(レボノルゲストレル)
  • 第三世代(デソゲストレル)
  • 第四世代(ドロスピレノン)

それぞれの特徴と代表的な薬剤名をまとめました。

ピルの分類特徴代表的な薬剤名
第一世代日本で最初に承認されたピルで、月経困難症の改善に優れる。
ニキビや肌荒れにも効果があるため美容目的でも使われる。
不正出血の副作用が他の世代に比べて多い。
・シンフェーズ
・フルウェルLD
・ルナベルULD
第二世代避妊目的で処方されることが多い。
配合するホルモン量が少ないため、不正出血の副作用が第一世代と比べて少ない。
・トリキュラー
・アンジュ
・ジェミーナ
・ラベルフィーユ
第三世代男性ホルモンの作用を抑制する効果が高く、ニキビや多毛症の改善に効果が期待できる。
第二世代のピルより卵胞ホルモンの配合量が少ないため、頭痛や胸の張りといった副作用が起こりにくい。
・マーベロン
・ファボワール
第四世代超低用量ピルとも呼ばれ、副作用が起こりにくく、授乳中や35歳以上の人でも服用できる。
月経困難症やPMSの改善に使われ、避妊目的での処方は受けられない。
・ヤーズ
・ヤーズフレックス

ピルは、避妊だけでなく、PMSや月経困難症の改善などさまざまな目的で使われる薬剤です。自分が得たい効果のあるピルを把握し、医師と相談しながら自分に合ったピルを選ぶと良いでしょう。

まとめ

ピル服用後の2時間以内の下痢や嘔吐は、ピルの効果を低減させてしまうリスクがあります。服用後2時間以内に下痢や嘔吐が起きたら、追加で1錠服用しましょう。また、長期間副作用が続く場合には、早めに医師へ相談し、ピルの種類を変えることも検討してください。忙しくなかなかクリニックへ行けないという人には、オンライン診療がおすすめです。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました