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更新日:2024年07月11日

低用量ピルの効果とは?ピルの種類や服用する際のポイントも解説

この記事のまとめ
  • 低用量ピルの効果は、避妊のほか生理痛の軽減、PMS・PMDDの症状軽減、生理不順の改善など
  • 低用量ピルの副作用は、吐き気・嘔吐や乳房の痛み、頭痛、不正出血、血栓症など
  • ほとんどの副作用は、低用量ピルの服用を3ヶ月ほど継続すると改善する
  • 低用量ピルの服用により血栓症の症状が出現した場合は、すぐに医師に相談する
  • 低用量ピルは1相性と3相性があり、どちらが良いかは人によって異なる

低用量ピルの服用を検討しているものの、「どのような効果を得られるのかが分からない」「副作用がつらそう」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。低用量ピルの効果は、避妊のほかにも、月経困難症による生理痛やPMS・PMDDの軽減などがあります。

本記事では、低用量ピルの効果や種類について解説します。また、低用量ピルを服用する際の注意点や飲み忘れたときの対処法についてもお伝えします。

低用量ピルとは

低用量ピルは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれた薬です。エストロゲンとプロゲステロンは生理に関わる女性ホルモンであり、低用量ピルを服用することで、排卵や子宮内膜が厚くなる働きを抑制できます。

低用量ピルを継続して服用すると避妊効果が得られるほか、ホルモンバランスの安定により生理痛やPMSを改善する効果が期待できます。

低用量ピルの効果

低用量ピルの主な効果は、下記のとおりです。

  • 避妊
  • 月経困難症による生理痛の軽減
  • PMS・PMDDの症状の軽減
  • 子宮内膜症の軽減
  • 生理不順の改善
  • がんのリスク軽減
  • 肌荒れ・ニキビ改善

1つずつ解説します。

避妊

低用量ピルを服用すると、エストロゲンやプロゲステロンの分泌が抑えられます。その結果、排卵や子宮内膜の増殖が抑制されるため、避妊効果が期待できます。また、子宮頸管粘液の量を減少させて、精子の通過量を少なくします。

生理が始まった1日目から低用量ピルを服用する場合、服用を開始した日から避妊効果が得られます。もし、生理が始まって5日以内に低用量ピルを開始した場合は、7日間継続して服用すると避妊効果が期待できます。7日間連続して服用するまでは妊娠する可能性があるため、性行為の際にコンドームなどの避妊方法を使用しましょう。低用量ピルを理想的に服用できると避妊効果は99.7%と報告されています。

参考:日本プライマリ・ケア連合学会誌「避妊

月経困難症による生理痛の軽減

低用量ピルは、月経困難症による生理痛の軽減が期待できます。

月経困難症は、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の過剰な分泌や、子宮内膜症・子宮筋腫などの疾患により、下腹部痛や頭痛、疲労感などを誘発する疾患です。生理痛は、増殖した子宮内膜が剥がれ、出血が起きたときに血液を排出する際に、プロスタグランジンが分泌されて起こります。

低用量ピルを内服すると、十分にエストロゲンやプロゲステロンがあると脳が判断して分泌が抑制され、子宮内膜の増殖が抑制されます。

子宮内膜が薄い状態であれば、剥がれ落ちる際の出血量が少なくなり、プロスタグランジンの分泌が減少するため、痛みの軽減が可能です。

PMS・PMDDの症状の軽減

低用量ピルを服用すると、ホルモンバランスが安定するため、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の症状軽減が期待できます。

PMSやPMDDの原因は、はっきりと分かっていません。しかし、プロゲステロンが脳の神経に作用することで、頭痛やイライラ、不眠、疲労感などの症状が現れる可能性があるとされています。

生理が起こる前には、プロゲステロンの分泌量が上昇しています。ピルを服用するとプロゲステロンが一定に保たれるため、PMSやPMDDの軽減に期待できるでしょう。

関連記事:PMS改善にはピルが効果的?効果や値段、処方を受ける方法についても解説

子宮内膜症の軽減

低用量ピルを服用すると、女性ホルモンにより排卵が抑制されて出血量が減少するため、子宮内膜症の軽減に期待できます。

子宮内膜症は、子宮以外の場所で子宮内膜もしくは子宮内膜に似た組織が発生する疾患です。主な発生部位は、卵巣、ダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)、卵管、膀胱と子宮の間などがあります。また、卵巣に子宮内膜が形成され、月経の際にすべて剥がれ落ちず古い血液が残った状態を、チョコレートのう胞と呼びます。

子宮内膜症は、痛みを引き起こし、進行すると不妊の原因になります。低用量ピルを服用すると、子宮内膜症の痛みが軽減できます。チョコレートのう胞の縮小も期待できる効果です。

ただし、子宮内膜症によって不妊となっている場合、ピルを服用して子宮内膜症の症状を軽減できても、妊娠しやすさそのものが改善するわけではない点に注意してください。

生理不順の改善

生理は通常25~38日の間隔を空けて来ます。しかし、ストレスなどによりホルモンバランスが乱れていたり、ホルモン分泌の異常があったりすると生理不順が起こります。

低用量ピルを服用すると、ホルモンバランスが安定するため、生理周期が整う効果が期待できます。

関連記事:生理不順はピルの服用で改善が期待できる!生理不順の原因についても解説

卵巣がん・子宮体がん・大腸がんのリスク軽減

低用量ピルは卵巣がん・子宮体がん・大腸がんのリスクを軽減します。1つずつ解説します。

卵巣がん

低用量ピルの服用により排卵が抑制されることで、卵巣上皮が傷ついたり、ゴナドトロピンという物質による刺激が減ったりするため、卵巣がんの発症リスクを軽減できると考えられています。

子宮体がん

低用量ピルに含まれるプロゲステロンにより子宮内膜の増殖を抑制するため、子宮体がんのリスク軽減効果が期待できます。

また、低用量ピルを服用している期間だけでなく、服用中止後も子宮体がんの発生リスクが減少するとされています。

大腸がん

エストロゲンの投与により大腸がんのリスク軽減が可能と過去の研究より報告されており、正確な機序は不明ですが、低用量ピルの服用によっても大腸がんのリスクを軽減できるとされています。

低用量ピルを服用すると、エストロゲンによるビタミンD受容体の増加やビタミンDを介した発がん抑制作用、大腸粘膜を刺激する胆汁酸の産生を低下させる作用により、発症リスクの軽減につながるとされています。

ただし、低用量ピルを服用しても、確実に大腸がんを予防できるわけではない点には注意してください。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)

肌荒れ・ニキビ改善

低用量ピルの服用により、肌荒れやニキビの改善効果が期待できます。

ニキビは、男性ホルモンのテストステロンが作用して皮脂の産生を起こしたり、ストレスなどによりホルモンバランスが不安定になったりしてできます。

低用量ピルは、卵巣や副腎からのテストステロンの産生を抑制したり、テストステロンの活性を抑える性ホルモン結合グロブリンを増加させたりするため、ニキビ改善作用に期待できます。

ただし、低用量ピルの肌荒れ・ニキビ改善効果は副効用であり、ニキビ改善の第一選択肢ではない点に注意しましょう。

関連記事:ピルでニキビが改善する?効果がいつから出るか、悪化する原因も解説

低用量ピルの種類

国内で取り扱っている低用量ピルの種類は、下記のとおりです。

  • 1相性
  • 3相性

相性とは、ピルに含まれるエストロゲンやプロゲステロンの配合量を表す言葉です。頭の数は、1シート内において、同じ配合量のピルが何種類あるかを示しています。それぞれ解説します。

1相性

1相性は、シートの錠剤すべてのピルに含まれる女性ホルモンの成分量が同じで、ホルモンバランスが一定に保たれるメリットがあります。

1相性のピルは、マーベロンやファボワール、ルナベル、ヤーズです。

3相性

3相性は、生理周期における卵胞期・排卵期・黄体期に合わせたホルモン量で配合された薬剤です。実際の生理周期に近い女性ホルモンのバランスで1週間ごとに配合量が変わっています。3相性の低用量ピルの場合、薬剤に含まれているホルモンの量に合わせて錠剤の色が異なっています。

3相性の主な薬剤は、シンフェーズやトリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユです。

低用量ピルを服用する際の注意点

低用量ピルを服用する際の注意点は5つあります。

  • 副作用がある
  • 性感染症は予防できない
  • 決まった時間に服用する必要がある
  • 低用量ピルを服用できない方がいる
  • 子宮頸がんの発症リスクをやや増加させる

1つずつ見ていきましょう。

副作用がある

低用量ピルを服用した際の副作用として、下記の例が挙げられます。

  • 吐き気・嘔吐
  • 乳房の痛み
  • 頭痛
  • 食欲不振
  • 不正出血
  • むくみ
  • 気分変動
  • 血栓症

ほとんどの副作用は、低用量ピルの服用を始めてから3ヶ月以内に起こり、3ヶ月ほど服用を継続すると消失します。3ヶ月ほど服用を継続しても改善しない場合は、低用量ピルの種類を変更すると改善する可能性があるため、医師に相談してみましょう。

副作用の症状のなかで、血栓症には注意が必要です。血栓症はごく稀にしか起こりませんが、症状として、突然の激しい頭痛や胸痛、腹痛、足の痛み、呼吸困難などがあり、服用開始から3~4ヶ月以内の発症率が比較的高くなっています。

血栓症は、日常生活に支障をきたす可能性があるため、少しでも異変を感じたらクリニックに相談したり、#7119(救急安心センター事業)に電話をかけて相談したりしましょう。

低用量ピルを服用している期間は、半年に1回ほどの頻度で定期的に検査を受け、血栓症や身体の異常の早期発見に努める姿勢が大切です。

性感染症は予防できない

低用量ピルを服用しても性感染症の予防はできません。性感染症を予防するためには、性行為の際にコンドームを使用するのが効果的です。

決まった時間に服用する必要がある

低用量ピルは決まった時間に服用することで血液内のホルモン濃度が安定し、効果が期待できます。そのため、服用する時間がずれた場合は、十分に効果を発揮できない可能性があります。

また、1日分飲み忘れてしまった場合は気付いた時点で飲み忘れた分を服用すれば避妊効果が得られますが、2日分飲み忘れた場合は、7日間服用するまでは避妊効果が期待できなくなる点に注意してください。

低用量ピルを服用できない方がいる

35歳以上の喫煙者(1日15本以上)や重度の高血圧症を発症している人などは低用量ピルを服用できません。

低用量ピルを服用できない方の例は、下記のとおりです。

  • 妊娠している
  • 35歳以上かつ1日15本以上タバコを吸っている
  • 脳血管障害などの血管に関する疾患がある
  • 重度の高血圧症・肝障害にかかっている
  • 血管病変を伴う糖尿病にかかっている
  • 肺高血圧症や心房細動を合併する心臓弁膜症にかかっている
  • 視界にギザギザの光などが現れる片頭痛がある

上記の状態でなくても、低用量ピルの服用を慎重に検討する必要のある方もいます。処方を受ける際は、自身の持病や心身の状態をきちんと伝えましょう。

子宮頸がんの発症リスクをやや増加させる

低用量ピルを服用すると、子宮頸がんの発生リスクがやや高くなる点に注意しましょう。

子宮頸がんは、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関係しており、主な感染経路は性行為です。

子宮頸がんを予防するためには、性行為の際にコンドームを使用することが重要になります。また、子宮頸がんの発症リスクを高めるとされている喫煙をやめたり、定期的に子宮頸がん検診を受けたりし、予防に努めることが大切です。

低用量ピルの服用を止めると子宮頸がんのリスクは減少し、服用をやめて10年以上経過すると、リスクは服用していない方と同等まで減少するとされています。

低用量ピルを飲み忘れたときの対処法

低用量ピルを1日分飲み忘れたときは、気づいた時点で飲み忘れた錠剤を服用し、当日分はいつもの時間に飲みます。

2日以上飲み忘れたときは、気づいた時点で飲み忘れた低用量ピルの直近の1錠を服用しましょう。当日分の錠剤はいつもの時間どおりに服用します。

3日以上飲み忘れた場合、1日3錠以上服用することは止めましょう。女性ホルモンの血中濃度が上昇して副作用の症状が強く表れる可能性があります。

まとめ

低用量ピルを服用すると、避妊や月経困難症・生理痛、PMS・PMDDの軽減、生理不順の改善などの効果が期待できます。

低用量ピルには吐き気や不正出血などの副作用がありますが、3ヶ月程度服用を継続すると改善する場合がほとんどです。副作用が改善しない場合は、低用量ピルの種類の変更を医師に相談してみましょう。

生理痛やPMSなど長期的に悩んでいた症状が、低用量ピルを服用することで改善するかもしれません。低用量ピルの服用を始めたい方は、クリニックで受診して医師に相談してみてください。

クリニックに行く時間がないという方は、オンライン診療の利用がおすすめです。オンライン診療は、予約した時間に自宅などで診察を受けられるほか、24時間対応のオンライン診療もあるため、自分の好きなタイミングで受診できます。手軽に受診したい方は、オンライン診療の利用を検討してみると良いでしょう。

レバクリでは、低用量・超低用量ピル、中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました