更新日:2024年07月24日
ピル服用中の妊娠確率は?飲み忘れた場合の妊娠確率も解説
- ピルを正しく服用した場合の妊娠確率は約0.3%だが、飲み忘れがあった場合は約8%まで上がる
- ピル以外の避妊法による妊娠確率は、コンドームが約2%、膣外射精が4%、緊急避妊薬が5.1%
- 1日分ピルを飲み忘れた場合は気づいた時点で前日分を服用し、その後は通常どおり服用する
- ピルを2日連続で飲み忘れた場合は飲み忘れに気付いた時点で前日分の1錠を服用し、当日分のピルは通常どおりいつもの時間に服用する。
- 避妊目的でピルを服用する際は、7日間避妊効果を得られない場合があることや性感染症を予防できない点に注意する
代表的な避妊方法としてピルの服用が挙げられますが、どれぐらい避妊効果があるのか気になる方は多いのではないでしょうか。「避妊したくてピルを飲んでいるけど、妊娠する可能性はあるの?」「ピルを飲んでいたらコンドームをしなくていいの?」などの疑問を持ったことのある方もいるでしょう。
この記事では、ピル服用中の妊娠確率や他の避妊法との比較、ピルを飲み忘れた場合の対処法などを説明するので、ぜひ参考にしてください。
ピル服用中の妊娠確率は?
避妊法別の妊娠確率を調査したデータによると、ピルを正しく服用した場合の妊娠確率は約0.3%であり、避妊効果が非常に高いことが分かります。
ただし、これは毎日飲み忘れず服用した場合のデータであり、飲み忘れなどがあるとピル本来の効果を発揮しない可能性があります。
また、ピルを服用している場合でも妊娠確率は0%にはならず、膣内射精をすれば妊娠する可能性があるので、コンドームを使用するなど別の避妊法を組み合わせるのがお勧めです。
参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)」
他の避妊法との比較
ピル以外の一般的な避妊法としてはコンドームの使用が挙げられ、前述した資料によるとコンドームを正しく使用した場合は妊娠確率は約2%とされています。
正しく使用できていれば高い避妊効果を期待できますが、使い方が間違っていたり、コンドームの破損や劣化、また使用中に外れてしまうといったトラブルがあったりすると、避妊効果が大きく低下するリスクがあるので注意が必要です。
そのほか、女性避妊手術をした場合が約0.5%、殺精子剤を使用した場合が約18%なので、他の避妊法と比べてもピルの避妊効果は高いことがわかります。
参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)」
ピルを飲み忘れた場合の妊娠確率は?
ピルは、毎日1錠なるべく同じ時間に服用することで避妊効果を得られます。
何時に服用しても問題ありませんが、飲み忘れがあると避妊効果が落ちると言われています。実際に、同資料によると、ピルの飲み忘れがあった場合の妊娠確率は約8%まで上がるのです。
飲み忘れたタイミングや錠剤の数によっては妊娠確率が変動し、飲み忘れが続くと確率はどんどん上がる可能性があるので注意が必要です。
また、ピルを飲んだ直後に下痢や嘔吐などがあると、体内からピルの成分が排出されてしまう可能性があり、本来の効果を得られないことがあります。ピルと一緒に避妊効果を妨げる薬やサプリメントなどを服用した場合も、本来の効果が発揮されない可能性があるので注意しましょう。
参考:日本産婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)」
ピルを飲み忘れた場合の対処法
ピルを飲み忘れてしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。ここからは、ピルを1日分飲み忘れた場合と2日連続で飲み忘れた場合の対処法をそれぞれ解説します。
ピルを1日分飲み忘れた場合
1日分のピルを飲み忘れた場合は、翌日気付いた時点ですぐに飲み忘れた分を服用しましょう。つまり、飲み忘れに気付いた日は1日2錠服用することになります。その翌日以降は、通常どおり残りの錠剤を毎日服用すれば問題ありません。
ただし、休薬期間の前後に飲み忘れがあった場合は要注意です。
ピルには7日間の休薬期間がありますが、仮に休薬期間の前後1日分を飲み忘れて、8日間連続で服用しなかった場合、排卵が起こってしまう可能性があります。
基本的に1日飲み忘れて性行為を行った場合でもアフターピル(緊急避妊薬)の服用は必要ありませんが、妊娠の可能性を少しでも減らしたい場合は服用を検討しても良いでしょう。
ピルを2日連続で飲み忘れた場合
低用量ピルを2日分飲み忘れてしまったときは、飲み忘れに気付いた時点で前日分の1錠を服用しまし、当日分のピルは、通常どおりいつもの時間に服用しましょう。
2日分飲み忘れたからといって、1日に3錠飲むのは避けてください。1日に3錠飲んでしまうと、ピルの成分の血中濃度が高くなり、嘔吐や吐き気などの副作用が生じやすくなるためです。
また、服用再開から7日経過するまでは避妊効果が落ちる可能性があるため、性交渉を避けるか、性交渉を行う際は、必ずコンドームを使用するなどほかの避妊法を行いましょう。
避妊目的でピルを服用する際、飲み忘れ以外の注意点
避妊目的でピルを服用する際は、飲み忘れ以外にも以下の2点に注意する必要があります。
- ピルの飲み始めは避妊効果が得られないことがある
- ピルは性感染症の予防にはならない
それぞれの注意点について見ていきましょう。
ピルの飲み始めは避妊効果が得られないことがある
1つ目の注意点は、ピルの飲み始めは避妊効果を得られない場合があることです。
基本的に、生理初日からピルを服用し始めた場合は、服用した当日から避妊効果を得られます。しかし、それ以外のタイミングで服用を始めた場合、7日間は避妊効果を得られない可能性があります。
生理初日以外のタイミングでピルの服用を開始する場合は、最低でも7日間連続でピルを服用することで、8日目以降から避妊効果が発揮されます。8日目までは妊娠する可能性が高いので、性交渉を避けるか、性交渉を行う際はコンドームを使用するなどして他の避妊法を行いましょう。
ピルを飲み始めた日から避妊効果を得たい方は、生理初日から服用を開始することをお勧めします。
ピルは性感染症の予防にはならない
ピルを服用しても性感染症は予防できず、厚生労働省はピルとコンドームとの併用を推奨しています。
避妊に関しては、ピルはコンドームより高い効果を発揮しますが、性感染症の予防にはコンドームの使用がおすすめです。
また、先述したとおりピルの避妊効果は100%ではないため、コンドームを併用することでより高い避妊効果を得られるでしょう。
参考:厚生労働省「低用量経口避妊薬の承認及び再審査期間の指定の審議に際して当審議会に意見を求められた件について(回答)」
まとめ
ほかの避妊法と比べて、ピル服用による妊娠確率は非常に低く、高い避妊効果を発揮します。
ただし、飲み忘れがあったり、飲み始めるタイミングがずれたりすると妊娠する可能性が高まります。必ず用法・用量を守り、万が一飲み忘れた場合は正しく対処し、性行為により妊娠の可能性がありそうな場合はアフターピルの服用を検討しても良いでしょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました