更新日:2024年07月24日
ルナベル配合錠ULDは月経困難症の治療に効果的!避妊効果についても解説
- ルナベル配合錠ULDはLEP製剤の超低用量ピルに分類される
- ルナベル配合錠ULDは月経困難症や子宮内膜症の治療目的で処方される
- ルナベル配合錠ULDには副作用も存在する
- ルナベル配合錠ULDは婦人科またはオンラインクリニックで入手できる
月経痛や生理不順など、月経に関する悩みは女性の多くが抱えているもの。その中でも、月経困難症や子宮内膜症は日常生活に支障をきたすほど痛みがひどくなるため、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
月経困難症や子宮内膜症に悩んでいる方は、超低用量ピルのルナベル配合錠ULDの服用を検討してみましょう。ルナベル配合錠ULDは、排卵を抑制する作用により、月経困難症などの症状を改善する効果が期待できます。
この記事では、ルナベル配合錠ULDの特徴や効果、副作用などについて解説します。また、ルナベル配合錠LDなど、よく比較されるほかの製剤との違いについても解説しています。月経困難症や子宮内膜症の症状に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ルナベル配合錠ULDとは
はじめに、ルナベル配合錠ULDとはどのような特徴を持つ製剤であるのか、処方目的や保険適用について解説します。
治療目的で処方されるLEP製剤
ルナベル配合錠ULDは、LEP製剤と呼ばれるタイプの超低用量ピルです。LEP製剤とは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤のことで、月経困難症や子宮内膜症などの症状の改善を目的として処方されます。エストロゲンとプロゲスチンは、女性の体内で自然に分泌される女性ホルモンです。エストロゲンは卵胞ホルモンの一種で、プロゲスチンは黄体ホルモンの一種です。
ピルは大きく分けて、LEP製剤と、避妊を目的として使用されるOC(経口避妊薬)の2種類に分類されます。ルナベル配合錠ULDは、エチニルエストラジオール(卵胞ホルモン)の配合量を抑えることで、副作用のリスクを低減しながら月経困難症や子宮内膜症を緩和する効果が期待できます。
保険適用で購入できる
ルナベル配合錠ULDをはじめとするLEP製剤は、保険適用での購入が可能です。医師の診察を受け、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として処方を受けることで、保険適用されます。
保険適用されるためには、病院やクリニックの対面診療で医師の診断を受ける必要があります。
ルナベル配合錠ULDの処方目的
ここからは、ルナベル配合錠ULDの処方の目的と、避妊目的での処方について解説します。
月経困難症や子宮内膜症の治療
ルナベル配合錠ULDは、月経困難症の治療薬として認可されています。月経困難症の症状がある場合に、医師の判断により処方されます。排卵を抑制する作用により、子宮内膜が厚くなるのを防ぎ、月経時の下腹部痛や腰痛、イライラ、気分の落ち込みなどの症状を改善する効果が期待できます。
また、子宮内膜症の治療にも用いられます。子宮内膜症とは、子宮内膜が子宮以外の場所に発生する病気です。子宮内膜症の症状には、月経痛や過多月経、性交痛などがあります。ルナベル配合錠ULDの継続した服用により、これらの症状が緩和されるでしょう。
避妊目的では処方されない
ルナベル配合錠ULDは、避妊薬としての効果は実証されていないため、避妊目的では処方されません。そのため、ルナベル配合錠ULDを避妊薬として使用しないようにしましょう。
避妊を目的としてピルを服用したい場合は、LEP製剤ではなく、OC(経口避妊薬)を処方してもらう必要があります。避妊を目的とするOC(経口避妊薬)は、保険は適用されません。
ルナベル配合錠ULDとほかの製剤との違い
ルナベル配合錠ULDと同じLEP製剤には、主に以下の薬剤があります。
- ルナベル配合錠LD
- フリウェル
- ヤーズ・ヤーズフレックス
ここからは、よく比較されるこれらの薬剤との違いについて解説します。
ルナベル配合錠LDとの違い
ルナベルには、ルナベル配合錠ULDとルナベル配合錠LDの2種類があります。どちらもLEP製剤に分類され、月経困難症などの治療を目的として処方される薬剤です。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
薬剤名 | ピルの種類 | 卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)の含有量 | 処方目的 |
---|---|---|---|
ルナベル配合錠ULD | 超低用量ピル | 0.020mg | 月経困難症などの治療 |
ルナベル配合錠LD | 低用量ピル | 0.035mg | 月経困難症などの治療 |
ルナベル配合錠ULDとルナベル配合錠LDは、配合されている有効成分や作用は同じですが、卵胞ホルモンであるエチニルエストラジオールの含有量が異なります。含有量によって、ルナベル配合錠LDは低用量ピルに分類され、ルナベル配合錠ULDは超低用量ピルに該当します。
卵胞ホルモンの含有量が多いほど、血栓症のリスクが高まると考えられています。反対に、卵胞ホルモンの含有量が少ないと、不正出血が起こるリスクが高まるとされています。
そのため、吐き気や頭痛などの副作用を抑えたい方や、血栓症リスクがある方はルナベル配合錠ULDが適しているでしょう。不正出血の副作用が心配な方は、ルナベル配合錠LDを選択すると良いでしょう。
フリウェルとの違い
フリウェルは、ルナベルのジェネリック医薬品です。ルナベル配合錠にULDとLDがあるように、フリウェルにもフリウェル配合錠ULDと、フリウェル配合錠LDの2種類があります。
それぞれのエチニルエストラジオールの含有量はルナベルと同等で、ルナベルと同じ効果が期待できます。フリウェルは後発薬のジェネリック医薬品のため、ルナベル配合錠ULDより安価に購入できる点が特徴です。
ヤーズ・ヤーズフレックスとの違い
ヤーズとヤーズフレックスは、どちらも月経困難症などの治療目的で処方されるLEP製剤です。ルナベル配合錠ULDと同様に避妊目的では使用できません。
ヤーズ・ヤーズフレックスと、ルナベル配合錠ULDの違いは以下のとおりです。
薬剤名 | ピルの種類 | 黄体ホルモンの種類 | 特徴 |
---|---|---|---|
ルナベル配合錠ULD | 超低用量ピル | ルエチステロン | 血栓症のリスクがヤーズより低いとされる |
ヤーズ | 超低用量ピル | ドロスピレノン | ニキビ改善の副効用が期待できる |
ヤーズフレックス | 超低用量ピル | ドロスピレノン | 最長120日までの連続服用が可能 |
ヤーズ・ヤーズフレックスとルナベル配合錠ULDは、配合されている黄体ホルモンの種類が異なります。
ヤーズとヤーズフレックスに含まれるドロスピレノンは、第4世代と呼ばれるタイプの黄体ホルモンの種類です。一般的にドロスピレノンは、第1世代の黄体ホルモンであるルエチステロンより、血栓症リスクが高いとされています。
ルナベル配合錠ULDの副作用
ルナベル配合錠ULDは超低用量ピルのため、副作用のリスクが少ないとされています。しかし、全く副作用が起きないというわけではないため注意が必要です。ここからは、ルナベル配合錠ULDの副作用について解説します。
マイナートラブル
ルナベル配合錠ULDの主な副作用は、以下のとおりです。
- 吐き気、嘔吐
- 頭痛
- 乳房の張り、痛み
- 不正出血
- めまい
- 気分の落ち込み、不安感
これらの副作用はマイナートラブルと呼ばれ、一般的に軽度な症状で、ピルの服用を続けるうちに改善するとされています。2~3か月継続して服用しても改善されない場合は、医師に相談しましょう。
血栓症
ルナベル配合錠ULDには、わずかですが血栓症のリスクがあります。血栓症とは、血液が固まり、血管を塞いでしまう病気です。血栓症が起こると、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気につながる可能性があります。
以下に該当する方は、ルナベル配合錠ULDの服用ができない場合があります。
- 35歳以上の喫煙者
- 家族に血栓症の既往歴がある方
- 肥満の方
- 心臓病や脳血管障害の既往歴がある方
- 高血・糖尿病・脂質異常症の方
- 前兆を伴う片頭痛がある方
ルナベル配合錠ULDを服用する際には、上記のリスク要因があるかどうかを医師に必ず確認しましょう。
ルナベル配合錠ULDの服用方法
ルナベル配合錠ULDは、1シート21錠入りです。1日1錠ずつ、21日間連続して服用します。その後、7日間の休薬期間を挟んで同じサイクルを繰り返します。
具体的な服用方法は以下のとおりです。
- 生理初日~5日以内に服用を開始
- 毎日同じ時間に、1日1錠ずつ21日間連続して服用
- 21日間の服用を終えたら、7日間の休薬期間に入る
- 休薬期間中に出血が起こる
- 休薬期間を終えたら、出血の有無にかかわらず次のサイクルを開始する
ルナベル配合錠ULDは、毎日同じ時間に服用することが重要です。アプリのリマインダー機能などを利用して、飲み忘れのないように工夫しましょう。
ルナベル配合錠ULDを飲み忘れた場合の対処法
ルナベル配合錠ULDを飲み忘れた場合は、飲み忘れの日数により対処法が異なります。飲み忘れた際は以下を参考に対処してください。
1日分飲み忘れた場合
1日分飲み忘れた場合、気づいた時点ですぐに飲み忘れた分を服用し、その後は通常通りの時間で服用を継続します。すなわち、飲み忘れた前日分を含め1日2錠を服用します。
2日分飲み忘れた場合
2日分飲み忘れた場合は、気づいた時点で前日分の1錠のみをすぐに服用し、その後は通常通りの時間で服用を継続します。1日に服用できるのは飲み忘れた分を含め2錠までです。2錠より多く服用するのはやめましょう。
ルナベル配合錠ULDを飲み忘れると、ホルモンバランスが乱れて出血が起こる場合があります。もし出血が起こったとしても、そのまま服用を継続します。
ルナベル配合錠ULDを購入する方法
ルナベル配合錠ULDを購入する方法は、以下の2つです。
- 対面診療を受けて保険適用で購入する
- オンラインクリニックで購入する
それぞれの方法の購入の流れを解説します。
対面診療で保険適用で購入する
ルナベル配合錠ULDは、婦人科や産婦人科の病院・クリニックで処方が受けられます。対面で医師の診察を受け、月経困難症や子宮内膜症の症状があると診断された場合に、保険適用での購入が可能です。
対面診療でルナベル配合錠ULDを購入する手順は、以下のとおりです。
- 医療機関の婦人科や産婦人科で受診する
- 医師に月経困難症・子宮内膜症の症状があることを告げる
- 医師の診察を受ける
- 医師からルナベル配合錠ULDの処方を受ける
- 院内または薬局でルナベル配合錠ULDを購入する
治療目的で処方を受ける場合、薬代や検査料は保険適用となりますが、初診料や処方箋発行料などが別途発生します。
オンラインクリニックで購入する
オンライン診療は基本的に保険適用されませんが、診察料や処方箋発行料が無料のクリニックが多く、薬代も安価な場合があります。費用に関しては、受診前にオンラインクリニックと対面診療を比較検討してみるのも良いでしょう。
オンラインクリニックでルナベル配合錠ULDを購入する際の手順は、以下のとおりです。
- オンライン診療のWebサイトから診察予約をする
- スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話などで医師の診察を受ける
- 医師からルナベル配合錠ULDの処方を受ける
- 配送された薬を受け取る
オンラインクリニックは、通院の時間・手間がかからないメリットがあります。
自分の症状の程度やニーズにあわせて、最適な方法を選択しましょう。
まとめ
この記事では、ルナベル配合錠ULDの特徴や処方目的、副作用などについて解説しました。ルナベル配合錠ULDは、卵胞ホルモン(エチニルエストラジオール)と黄体ホルモン(ルエチステロン)の2つのホルモンを含んだ、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤です。
ルナベル配合錠ULDは、超低用量ピルに分類され、月経困難症や子宮内膜症の治療を目的として処方されます。わずかながら副作用のリスクがあるため、医師の診察を受けたうえで服用をはじめることが大切です。
ルナベル配合錠ULDの服用は、月経困難症や子宮内膜症に悩む女性にとって、有効な選択肢の1つです。QOL(生活の質)を高める手段として、ぜひルナベル配合錠ULDの服用について医師に相談してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました