更新日:2024年10月29日
避妊のためにピルを購入したいと考えているけれど、ピルが市販されておらず、どこで買えばいいのかわからないという人もいるでしょう。ピルは医療用医薬品に該当するため、基本的にドラッグストアなどで市販されていません。
本記事では、ピルの購入場所や服用効果のほか、ピルを安全に使用するうえで知っておきたい副作用の情報などを解説します。ピルの効果などを正しく理解して、適切に避妊を行えるようにしましょう。
ピル(低用量ピル、中用量ピル)やアフターピル(緊急避妊薬)は、ともに基本的にドラッグストアなどで市販されていません。ピルは医療用医薬品に該当し、日本で購入する際には医師の診察を受けたうえで処方箋が必要なためです。
ただし、アフターピルに関しては、望まない妊娠を避けるための手段として72時間以内の服用が必要なことから、医師の診察なしで購入できるよう厚生労働省で検討が進められており、2023年から一部の薬局で処方箋なしの試験販売がスタートしています。
アフターピルは、服用までの時間が早いほど避妊に成功する確率が高まるとされるものです。仮にアフターピルの市販化が広く進めば、より多くの望まない妊娠を防ぐことが可能になると期待されています。
参考:公益社団法人 日本薬剤師会「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)」
アフターピルは、2023年より一部の薬局(全国で145薬局)で処方箋なしの試験販売がスタートしています。これは、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が、処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できる仕組みを検討するための調査研究の一環です。取り扱う薬局は、公益社団法人 日本薬剤師会「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)」にて確認できます。
ただし、誰でも購入可能なわけではないことに注意が必要です。購入には、以下のような条件が発生します。
一方で以下のような方は販売対象外です。
条件や必要な身分証明書などを把握したうえで、対象の薬局へ行くようにしましょう。
参考:公益社団法人 日本薬剤師会「緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)」
試験販売はごく一部のものであり、アフターピルに限られます。日本でピルを購入する一般的な方法は、病院やオンライン診療による処方の2つです。
それぞれ診療の流れや費用が異なるため、自分にあった方法を選ぶ必要があります。
1つめが、医療機関で処方してもらう方法です。医療機関では、医師が服用目的や症状などに適したピルを直接処方してくれます。もし、その場で検査が必要になってもすぐ対応できることがメリットです。
また、ピルの使用方法や飲み忘れた際の対処法、服用後の気になる点などについても相談できるため、初めてピルを服用する方におすすめの方法といえます。近くに病院がない場合や予約が取りづらい点は、デメリットです。
なお、アフターピルの対面診療が可能な医療機関は、厚生労働省のサイトで確認できます。各医療機関の対応可能時間帯も公開されているため、それを参考に医療機関に行きましょう。
2つめが、オンライン診察で処方してもらう方法です。オンライン診察であれば、通院の必要がなく、パソコンやスマホを介して都合の良い時間、場所で診療が受けられます。なかには年中無休のクリニックもあるため、土日祝日で医療機関に行けないときにも便利です。
また、アフターピルについては、産婦人科医または厚生労働省が指定する研修を修了した医師からのみ診療可能です。ただし、アフターピルの処方は1錠のみで、薬局にて薬剤師の前で内服する必要があります。
日本では、ピルの市販が禁止されています。しかし、インターネット上では日本では未承認の海外製のピルやアフターピルが販売されているのが実情です。
インターネット上でのピルの購入は、危険性を含んでいます。また、厚生労働省も「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」にて海外から個人輸入する薬に対して注意喚起しており、必要な場合は医療機関を介して購入するようにしましょう。
インターネット経由でピルを購入することが危険な理由には、以下のようなものが挙げられます。
インターネット上で個人輸入したピルのすべてが、衛生的な環境下で製造されたものである保障はありません。また、粗悪品や偽造品が紛れている可能性もあります。そのため、飲んでみないと身体にどういった影響を及ぼすのかも不明です。厚生労働省によると、個人輸入された医薬品等の使用による健康被害の事例も報告されています。
また、使用後に万が一健康被害が起きてしまった場合、副作用に対応できないという問題もあるため注意が必要です。海外通販で購入した医薬品に関しては、副作用が起きた場合も自己責任となります。さらに、日本未承認の薬であった場合、医師に相談しても対応が困難なケースもあるでしょう。
そのほか、手元に届くまで約1週間以上かかるため必要なタイミングで使用できなかったり、個人情報流出の恐れがあったりと、大きなリスクが生じる可能性も考慮しておく必要があります。
ピルを購入する場合は医師の診察を受け、体調にあったピルを服用するようにしてください。
ここでは、ピルを服用することで得られる効果について解説します。ピルには避妊効果だけでなく、PMS症状や生理痛を緩和する効果が期待できるほか、月経移動にも利用できます。
まず、避妊効果が挙げられます。なかでも低用量ピルは女性自身がとれる避妊効果の高い避妊方法の1つです。正しく服用した場合の避妊率は、日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)(p.5)」 によると約99.7%の効果が期待できると報告されています。
避妊効果については、基本的に月経開始日〜5日目以内に服用を開始することで、その日から避妊効果が得られるといわれています。また、飲み忘れないかぎり服用期間は避妊効果が持続するのが特徴です。
参考:日本産科婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)(p.5)」
低用量ピルは排卵を押さえるため、低用量ピルを使用することでPMS症状や生理痛などの女性ホルモンによって引き起こされる症状の緩和が期待できます。そのほか期待できる効果として挙げられるのは、以下のようなものです。
さらに、ピルは卵巣がんや子宮がんなどのリスクを低減するといわれています。
低用量ピルや中用量ピルを服用することで、生理を早めたり遅らせたりと生理日を移動させることが可能です。
生理を早める際には、低用量ピルあるいは中用量ピルを使用します。一方で生理を遅らせる場合には、ホルモン含有量の多い中用量ピルを使うことで生理の周期をコントロールできます。しかし、服用当初は吐き気や頭痛などの副作用が出るリスクも高まるため、注意しましょう。副作用がつらい場合は、痛み止めや吐き気止めの併用も可能です。
最後に、ピルを使用するうえで理解しておきたいピル服用における副作用を紹介します。主な副作用は、以下のようなものです。
ピルの副作用は、一定期間(2〜3ヶ月程度)飲み続けることで解消されることが多いため、まずは3ヶ月間継続してみましょう。もし、副作用がひどかったり、2〜3ヶ月以上経過しても副作用が治まらなかったりする場合は、ピルを処方してくれた医師に相談しましょう。
医療用医薬品に該当するピルやアフターピルは、ドラッグストアなどでは購入できません。医師の診察を受けたうえで、処方を受ける必要があります。また、アフターピルは処方箋なしの販売が一部薬局でスタートしていますが、購入には注意点があるため、本記事で解説した注意点を把握したうえで薬局に行きましょう。
レバクリでは、ピルのオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました