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更新日:2024年10月29日

ピルの種類を一覧で解説!違いや服用するメリット

この記事のまとめ
  • ピルはエストロゲン含有量によって、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、アフターピルに分かれる
  • 低用量ピルに含まれるホルモン量が一定だと1相性ピル、3段階に分かれていると3相性ピルとよばれる
  • 低用量ピルは黄体ホルモンの種類によって、第一世代、第二世代、第三世代、第四世代に分類される
  • 低用量ピルは、月経困難症や子宮内膜症などの治療が目的だと保険適用になる
  • ピルを服用するメリットには、避妊や肌荒れ改善、卵巣がんや子宮体がんリスクの低下などがある

ピルにどんな種類があるのかと気になる方はいると思います。ピルはホルモンの配合量によって、超低用量ピル、低用量ピル、中用量ピル、アフターピルに分かれます。中でも、一般的に処方される低用量ピルは、「相性(そうせい)」と「世代」によってさらに分類されます。

この記事では、低用量ピルの種類について詳しく解説します。世代と相性による分類や保険適用になるピルについて、ピルを服用するメリットなども紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

ピルとは

ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンを配合した錠剤です。

ピルは、含まれるエストロゲンの量によって下記に分類されます。

ピルの種類エストロゲン配合量目的
超低用量ピル20μg月経困難症治療、子宮内膜症治療
低用量ピル50μg未満避妊、生理痛改善、PMS改善
中用量ピル50μg月経困難症治療、子宮内膜症治療、月経移動
アフターピル含まれていない緊急避妊

現在の日本では、低用量ピルの使用が一般的であり、「ピル」というとほとんどの場合が低用量ピルのことを指します。

参照元: 公益社団法人 日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤ガイドライン(案)」

医療社団法人 予防会「低用量ピルの効能と副作用について知っておこう。

低用量ピルの種類

低用量ピルは相性(そうせい)と世代によって分類されています。 下記は、それぞれの分類によって低用量ピルをまとめた表です。

1相性ピル3相性ピル
第一世代ルナベルLD/ULD
フリウェルLD/ULD
シンフェーズ
第二世代トリキュラー
ラベルフィーユ
アンジュ
第三世代マーベロン
ファボワール
ジェミーナ
第四世代ヤーズ
ヤーズフレックス

それぞれの分類について、下記で詳しく説明していきます。

相性による分類

低用量ピルは、28日を1周期として、1日1回一定の時間に服用します。

このうち21日間は、ホルモンが配合された「実薬」とよばれる薬を飲みます。その実薬に含まれるホルモンの配合量によって「1相性ピル」と「3相性ピル」に分類されます。

1相性ピル

21錠のピルに含まれているホルモンの量が一定のものを1相性ピルといいます。ホルモンの変動がないため、体調に変化が起きにくいとされています。

低用量ピルは、基本的に1周期ごとに薬が1枚のシートになっており、シートの決められた順番に従って飲んでいきます。1相性ピルは、ホルモンの量がすべて同じのため、万が一飲む順番を間違えてしまっても問題ありません。

主な1相性ピルには、マーベロン、ファボワール、ヤーズがあります。

3相性ピル

3相性ピルとは、ホルモンの量が3段階に分かれているピルのことをいいます。錠剤の色によってホルモン量が分かれているのが特徴で、適切な効果を得るためにはシートの順番通りに飲むことが大切です。

3相性ピルは、自然な女性ホルモンの変化に近いため、副作用が出にくく、安心して服用できます。

主要な3相性ピルとしては、トリキュラーやラベルフィーユ、アンジュなどが挙げられます。

世代による分類

低用量ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)には、それぞれ種類があります。

そのうち、低用量ピルには共通してエチニルエストラジオールという卵胞ホルモンが使用されています。

対して、黄体ホルモンに関しては低用量ピルの種類によって使用されるホルモンが異なり、その黄体ホルモンの種類に応じて第一世代、第二世代、第三世代、第四世代に分類されます。

第一世代のピル

第一世代のピルには、ノルエチステロンとよばれる黄体ホルモンが使用されています。

第一世代のピルは、最初に承認された低用量ピルで、子宮内膜の増殖を抑制する働きが強く、月経困難症や子宮内膜症の治療効果が高いという特徴があります。

ただし、他の世代のピルと比べると、副作用が起こりやすい傾向にあります。

第一世代のピルには、シンフェーズ、ルナベルLD/ULD、フリウェルLD/ULDなどがあります。

第二世代のピル

第二世代のピルには、黄体ホルモンとしてノルゲストレルが使われています。

第一世代に比べて、第二世代のピルはエストロゲン含有量が少ないことが特徴です。ホルモン量を抑えているため、副作用が比較的少ないとされています。

また、第二世代のピルはすべて3相性ピルに分類され、ホルモンの変化が自然に近い状態で起こります。そのため、不正出血が起こりにくく、生理周期が安定しやすい特徴があります。

第二世代のピルは、トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ、ジェミーナなどです。

第三世代のピル

第三世代のピルに使われている黄体ホルモンは、デソゲストレルです。

第三世代のピルはすべてが1相性で構成されています。

デソゲストレルが男性ホルモンを活性化させる作用(アンドロゲン作用)を抑制するため、肌荒れやニキビの改善が期待できます。

具体的には、マーベロンやファボワールなどが第三世代のピルに該当します。

第四世代のピル

第四世代のピルには、ドロスピレノンとよばれる黄体ホルモンが使用されています。

エストロゲンの含有量が少ない「超低用量ピル」が第四世代のピルにあたり、ヤーズ、ヤーズフレックスなどが該当します。

超低用量ピルは、主に子宮内膜症や月経困難症の治療目的で処方されるため、保険が適用されます。避妊に関しては、日本では臨床実験が実施されておらず、効果が正式に認められていません。

保険適用になるピルとは

低用量ピルには保険適用になるものとならないものがあります。

月経困難症や子宮内膜症などの症状がみられ、医師が「治療目的で低用量ピルの服用が必要」と判断した場合は保険適用になります。

治療目的のピルは「LEP(low dose estrogen-progestin)」と呼ばれています。具体的には、下記の治療薬が該当します。

  • ルナベル
  • フリウェル
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス
  • ジェミーナ
  • ドロエチ

一方、避妊目的のピルは「OC(oral contraceptive)」と呼ばれています。OCに当てはまるピルの種類は、下記のとおりです。

  • シンフェーズ
  • トリキュラー
  • アンジュ
  • ラベルフィーユ
  • ファボワール
  • マーベロン

月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)なども症状によっては保険適用となることがありますので、医師に相談してみることがおすすめです。

また、保険診療のほうが自由診療より安いイメージがあるかと思いますが、保険診療にはピル代以外にも初診、再診、検査、処方箋、薬剤情報提供などの費用が別途かかります。

一方、自由診療の場合、簡単な問診と説明のみでピルを処方してもらえることが多いので、結果的に保険診療と自由診療は同じくらいの費用になることがあります。

低用量ピルを服用するメリット

ここまでピルの種類別の特徴について述べてきました。

では、そもそも低用量ピルを服用することでどんなメリットがあるかを以下にてご説明します。

避妊

低用量ピルを正しく服用することで、99.7%の避妊効果があります。

低用量ピルを服用すると、脳下垂体から卵巣への命令が止まり、排卵が抑制されます。さらに、ピルは頸管粘液の量を少なくし、子宮内に精子が入りにくくするため、コンドームより高い避妊効果が期待できます。

肌荒れ改善

低用量ピルを飲んで、ニキビや肌荒れが改善されることがあります。

生理前になると、プロゲステロンの分泌が盛んになり、皮脂が過剰に分泌されることでニキビや肌荒れが起こりやすくなります。

ピルを飲むと、ホルモンバランスが整い、プロゲステロンの分泌を抑制できるので、ニキビや肌荒れの悪化を抑えることができます。

卵巣がんや子宮体がんのリスク低下

日本産科婦人科学会編の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)」によると、低用量ピルを服用することで、卵巣がんや子宮体がんのリスクが減ると報告されています。

卵巣がんは、排卵によって卵巣に負担がかかることにより発症します。低用量ピルを飲むと、排卵が抑制され、排卵回数を抑えることができるため、リスク低下に繋がると考えられています。

また、低用量ピルを服用することで子宮内膜が常に薄い状態になるため、長期的に服用すると子宮体がんの発症リスクを低下することができるとされていま

参照元:日本産科婦人科学会編の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(改訂版)

ピルの入手方法

最後に、ピルの入手方法について解説します。

ピルは、婦人科やオンライン診療サービスを受診し、医師から処方してもらうことができます。

通販サイトなどで個人輸入のピルを購入をする方法もありますが、偽物が含まれていたり、本来の成分と異なっていたりする可能性があります。

必ず専門の医師への相談のうえ、自分にあったピルを処方してもらうことをおすすめします。

婦人科で処方してもらう

自分で婦人科を受診して医師の診察を受け、ピルを処方してもらう方法です。

通院の手間がかかるというデメリットがある一方、診察のその日に薬局に行くことができれば、ピルがすぐに手に入るというメリットがあります。

オンライン診療で処方してもらう

直接婦人科を受診する以外に、オンライン診療サービスを利用し、ピルを処方してもらう方法もあります。

オンライン診療サービスでは、ビデオ通話や電話で診察を受け、医師にピルを処方してもらえます。購入した薬は、自宅など任意の場所への配送が可能です。

オンライン診療の場合、自宅で診察を受けられるため、通院時間や待ち時間がかからないという手軽さがあります。また、誰かに会うリスクもないため、一目を気にしないで受診することができます。

まとめ

低用量ピルは、相性と世代によってさまざまな種類に分類することができます。それぞれの低用量ピルの特徴は異なりますが、いずれも避妊や肌荒れ改善などの効果が期待できます。さまざまな特徴を持つピルがある中で、自分に合うピルがどれなのかを理解した上で治療を開始するためにも、医師に相談した上でピルを処方してもらいましょう。婦人科に行く時間がない方や婦人科に行くことを周囲にあまり知られたくない方には、オンライン診療がおすすめです。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました