更新日:2024年10月29日
ピルで胸が大きくなるって本当?バストアップへの影響や副作用を解説
- ピルとは卵胞ホルモンと黄体ホルモンが主成分の経口避妊薬のこと
- ピルを服用すると胸が張り大きくなったと感じる場合がある
- バストアップ目的でのピルの服用はおすすめしない
- ピルとバストアップサプリとの併用は避けたほうがよい
- ピルを服用すると生理不順の改善やPMS・生理痛の緩和を図れる
ピルを飲むと胸が大きくなると聞き、その話が本当であるのか知りたいと考えている方もいるでしょう。ピルを服用すると胸が張ることがあるため、大きくなったと感じる場合があります。しかし、飲むのをやめると元の大きさに戻り、副作用があることから、バストアップ目的で処方してもらうことはおすすめしません。
この記事では、ピルを飲むと胸が大きくなると感じる理由やピルを服用するメリット・副作用について解説します。
ピルとは
ピルとは経口避妊薬のことで、その名の通り避妊のために女性が服用する薬です。ピルの主成分は女性の卵巣で作られる卵胞ホルモンと黄体ホルモンで、これらのホルモンの作用を利用して妊娠を防ぎます。
そのほか、生理日をコントロールしたり、PMS(月経前症候群)の改善を目的として処方されたりすることもあります。ピルを入手するためには、医師の処方が必要です。
ピルで胸が大きくなる?
ここでは、ピルで胸が大きくなると感じる理由や、バストアップを目的としたピルの服用はおすすめできないこと、バストアップサプリとの併用の可否について解説します。
ピルで胸が大きくなると感じる理由
ピルを服用すると胸が張ることがあるため、胸が大きくなったと感じるかもしれません。胸が張るのは、ピルの主成分である卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって、血中の女性ホルモンのバランスを一定に保てるためです。血中の女性ホルモン値が一定に保たれている状態は、妊娠中の状態に近く、胸が大きくなったり、張りが出てきたりするのを感じやすくなります。
胸が大きくなったと感じるのは、ピルの服用を始めてからおおよそ2〜3ヵ月後の、体内のホルモン量が安定し始めた頃だとされています。なお、ピルが処方される主な目的は避妊であり、正式に胸が大きくなる効果がうたわれているわけではありません。
胸を大きくするためのピル服用はおすすめできない
胸を大きくするためにピルを服用することは、おすすめできません。ピルは、避妊やPMSの改善などを目的として内服する薬です。ピルの服用で胸が大きくなると感じることはあるものの、服用をやめるとバストアップは持続しない可能性が高く、副作用も存在します。
バストアップサプリとの併用は避ける
ピルとバストアップサプリとの併用は、避けたほうがよいでしょう。バストアップサプリには、大豆イソフラボンなど、女性ホルモンとよく似た働きをする成分が入っています。
ピルの服用によって体内に十分な女性ホルモンがある状態で、さらにバストアップサプリを摂取すると、ホルモンバランスが崩れてしまいかねません。その結果、生理痛がひどくなってしまうなどの弊害が起きる可能性があります。
バストアップサプリ以外にも、ピルとの併用に注意が必要なサプリメントや薬があります。すでにピルを服用中で、サプリや別の薬の服用を検討している場合、併用して問題ないかピルを処方してもらった医師に確認しましょう。
ピルを服用するメリット
ピルは、主に避妊を目的として処方される薬です。ピルを服用することで得られるメリットとして、以下の例が挙げられます。
- 生理不順が改善する
- PMSや生理痛が緩和する
- 肌荒れが起きにくい
それぞれのメリットについて確認しましょう。
生理不順が改善する
ピルを正しく服用すれば、生理不順が改善します。生理不順と一口に言っても、「生理周期が長すぎる、もしくは短すぎる」「生理周期がバラバラで一定しない」などのタイプがあります。
いずれのタイプにおいても、ホルモンバランスの乱れが原因であることが多いとされています。ピルには女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれているため、服用することでホルモンバランスの乱れを改善できます。
ピルには休薬期間があり、その間に卵巣が活動し始めて排卵が起こるため、正しく服用することで次第に生理周期が整っていくでしょう。
PMSや生理痛が緩和する
ピルを服用することで、PMSや生理痛を緩和する効果が期待できます。
PMSとは、生理が開始する3〜10日ほど前から身体面や精神面にあらわれる不調のことです。PMSは生理が始まるタイミングで症状が和らいだり消えたりすることが特徴で、「月経前症候群」とも呼ばれます。生理開始の2週間ほど前から調子を崩す人もいれば、生理2~3日前に症状が出る人もいるなど、PMSを発症する期間は人によってさまざまです。
PMSは、生理前に女性ホルモンの量が急激に変化することで、自律神経が乱れて発症するとされています。ピルで排卵を抑制することにより、女性ホルモンの分泌量の変動が少なくなるため、PMSが緩和されます。
子宮内膜の厚みが関係して起こる生理痛も、ピルの作用によって子宮内膜の厚みが減ることにより、生理の経血量が減少し、緩和すると考えられます。
肌荒れが起きにくい
肌荒れが起きにくくなることも、ピルを服用することで得られるメリットです。
肌荒れやニキビの原因としては、男性ホルモンの過剰分泌などのホルモンバランスの乱れが考えられます。ニキビについては、ピルを服用することで男性ホルモンの生成が抑制され、ニキビの原因となる皮脂の過剰分泌を防止できるでしょう。
ピルの副作用
ピルの副作用として挙げられる主な症状は、以下のとおりです。
- めまい・頭痛
- 不正出血
- 吐き気・下痢
- むくみ
- 血栓症
それぞれの副作用について解説します。
めまい・頭痛
ピルを飲み始めると、軽い偏頭痛が続いたり、めまいが起こったりすることがあります。
これらの原因として考えられるのが、ピルの服用によるホルモンバランスの変化です。これらの副作用は、ピルを初めて飲むときに生じやすいですが、2〜3ヵ月程度で落ち着くでしょう。
めまいや頭痛が軽い場合は、ピルの服用を続けて問題ないと考えられます。症状がひどい場合は、血栓症などを発症している可能性があるため、早めに病院を受診してください。
不正出血
不正出血は、ピルの副作用として多くみられる症状です。とくに飲み始めてから1〜3ヵ月程度、まだ体がピルに慣れていない期間に出やすい副作用とされています。出血が続く期間は個人差があるものの、人によっては2週間以上、少量の出血が続く場合もあるようです。
ピルの服用中に起こる不正出血も、ホルモンバランスが不安定になっているために起こると考えられています。ホルモンバランスが不安定になり、子宮内膜が剥がれやすくなって不正出血が起こるようです。継続してピルを服用することで体が慣れ、症状が落ち着くことがほとんどのため、まずは3ヵ月程度服用しましょう。
ただし、出血量が多かったり、長期間続いたりする場合は、ほかの病気が原因の場合もあります。心配なときは、ピルを処方してもらった医師に相談するようにしましょう。
吐き気・下痢
吐き気や下痢などの症状も、ピルの副作用としてあらわれることがあります。
ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれており、体内のホルモンの変動を認識した脳が「妊娠した」と勘違いし、悪阻(つわり)に似た吐き気の症状が出ることがあります。吐き気の症状が強いときは、就寝前にピルを服用すると、寝ている間に副作用のピークが過ぎて吐き気を感じにくくなるでしょう。
また、ピルの副作用として下痢の症状が起こることもあります。ピルの服用後3時間以内に下痢の症状があらわれた場合は、ピルの成分が体内に十分に吸収されずに排出されてしまい、ピルの効果が減少してしまう可能性があります。
むくみ
足のむくみも、ピルの副作用の1つです。ピルに含まれている黄体ホルモンには、体内に水分を溜め込む働きがあり、それによってむくみが起こると考えられます。通常は、水分をこまめに取り、ストレッチやマッサージを行うことで回復するでしょう。
ピルの服用開始後、2〜3ヵ月で症状が改善するケースが多いですが、その時期になっても改善しない場合は、医師に相談してピルの種類を変えてもらいましょう。ピルの種類が変わることで、むくみの症状がなくなる可能性があります。
足のむくみとともに、強い頭痛や吐き気、視野狭窄などの症状を自覚した場合、血栓症を発症している可能性があるためすぐに医師の診察を受けましょう。
血栓症
ピルの副作用のうち、とくに注意しなければならないのが血栓症です。血栓症とは、血の塊である血栓が、突然血管につまる病気のことです。血栓が脳の動脈に詰まると脳梗塞、心臓の動脈に詰まると心筋梗塞を引き起こし、いずれも命の危険に関わります。
ピルに配合されている卵胞ホルモンは、肝臓に作用して血液凝固因子の合成を促進させる働きを持っており、血栓ができるのはそれが原因とされています。ピルの副作用として血栓症を発症する確率は極めて低いですが、血栓症のリスクが高いとされる喫煙者・糖尿病罹患者・高血圧患者・肥満者などは、注意が必要です。
ピルの服用方法
ピルは錠剤の薬で、1日1錠を毎日同じ時刻に服用します。 食前・食後といった決まりはないため、自分の生活習慣の中で、できるだけ飲み忘れないタイミングを選ぶとよいでしょう。
ピルには21錠シートと28錠シートの2つのタイプがあり、服用方法が異なります。ただし、ピルを初めて飲む場合、原則として生理初日から飲み始める点は同じです。
21錠タイプ
1シートが21錠のピルで構成されているタイプです。生理が始まった日から服用すると、避妊効果は飲み始めた日から得られます。
1シート目のすべてのピルを飲み終えたら7日間の休薬期間を設け、2シート目を飲み始めましょう。
次のシートを飲み始めるタイミングが遅れると避妊に失敗することがあるため、休薬期間は決まったとおり7日間となるようにしてください。
28錠タイプ
21錠のピルを毎日決まった時間に1錠服用し、最後の7日間はホルモンの成分が入っていないプラセボ(偽薬)を服用します。
プラセボがシートに入っているのは、内服を続けながら自然と休薬期間を設けられるようにするためです。プラセボには有効成分が入っていないため、飲み忘れても問題ありません。ただし、プラセボを飲み忘れた場合、その分の1錠を破棄しないと休薬期間が長くなってしまうため、忘れずに破棄しましょう。
まとめ
ピルを飲むと、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの作用によって胸が張り、胸が大きくなったと感じる場合があります。ただし、飲むのをやめると元の大きさに戻り、副作用もあることから、バストアップ目的でピルを処方してもらうのは避けたほうがよいでしょう。また、ピルとバストアップサプリとの併用はおすすめしません。
バストアップ目的での服用は推奨されないものの、ピルにはPMS・生理痛の緩和や生理不順・肌荒れの改善といったメリットが多くあります。ピルには頭痛や不正出血、血栓症などの副作用があるため、メリットと副作用を理解したうえで上手に活用し、生活の質を向上させましょう。
レバクリでは、オンライン診療によるピルの処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました