更新日：2024年10月29日
低用量ピルを服用し、頭痛が起きて心配という方もいるでしょう。ピルを服用すると、ホルモンバランスが変化し、頭痛が起きる場合があります。
本記事では、低用量ピルの服用中に起こる頭痛の理由や注意すべき片頭痛の種類、頭痛の症状が出た場合の対処法などを解説しているので、ぜひ参考にしてください。
人によっては、ピルの服用により頭痛が起きる方がいます。ピル服用中に頭痛が起きる主な理由には、次の3つが挙げられます。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
ピルの服用で頭痛が起きる理由として、ホルモンバランスの変化が挙げられます。ピルの主成分は女性ホルモンのエストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）のため、服用を開始することで体内のホルモンバランスが変化します。
ホルモンバランスの変化は、頭痛・むくみ・眠気・吐き気などの症状を引き起こします。特にピルを服用し始めたばかりの頃は、身体が慣れておらず、症状が起こりやすくなるでしょう。
ピルの服用を開始してから2〜3ヶ月ほど経つと、頭痛や吐き気などは落ち着くことが多いため、症状が軽い場合は服用を続けて様子をみましょう。
エストロゲンの減少は、頭痛のなかでも特に片頭痛を起こす要因です。
ピルにはエストロゲンが含まれているため、服用すると脳がエストロゲンを分泌しなくてよいと判断し、分泌量が減少します。エストロゲンが減少すると、それに伴ってセロトニンの分泌量も減ります。セロトニンは、血管収縮をコントロールする働きがある神経伝達物質です。セロトニンの分泌量が減ると片頭痛が起こりやすくなります。
ピルの服用により、ホルモンバランスが整って片頭痛が改善する方もいれば、症状がひどくなる方もいるようです。ピルの服用を続けることで症状の改善を期待できますが、片頭痛がつらい場合は医師に相談しましょう。
ピルの服用中に頭痛が生じるのは、血栓症が原因の可能性もあります。ピルを服用すると、血栓症のリスクがわずかに上がる可能性があります。血栓症とは、血管のなかに栓ができることで血管が詰まってしまう疾患のことで、血栓のできる場所により動脈血栓症と静脈血栓症に分けられます。
血栓症のリスクを高める要因は、ピルの成分であるエストロゲンです。エストロゲンには、血液を固まりやすくする作用があります。ピルの服用による血栓症の発症リスクは低いとされていますが、下記のいずれかに当てはまる方は注意が必要です。
上記のいずれかに該当する方は、血栓症になるリスクが高く、ピルを服用できないケースが多いと考えられます。
もともと片頭痛持ちだと、ピルを服用できない場合があるため注意しましょう。片頭痛がある方は、片頭痛がない女性よりも、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高いといわれています。血栓症のリスクがあるピルを服用すると、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高まる恐れがあります。
日本産科婦人科学会の「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン（改訂版） 」によると、前兆を伴わない片頭痛がある方は、ピルの服用にあたり慎重な判断を要するとされています。ここでの「前兆」とは、キラキラした光やギザギザした光が見える視覚的な症状のことを指します。
また、前兆を伴う頭痛がある場合、ピルの服用が禁忌とされています。もともと片頭痛の症状がある方は、ピルの服用を開始する前に必ず医師に申告しましょう。
参考：日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン（改訂版） 」
ここでは、ピル服用中の頭痛に対する対処法を2つご紹介します。頭痛の症状を和らげるために、ぜひ実践してみてください。
ピル服用中に頭痛が生じ、日常生活に支障をきたしている場合は、医師に相談しましょう。状況に応じてピルの種類を変更したり、頭痛薬を処方してもらえたりするでしょう。
市販の頭痛薬を購入して服用する方法もありますが、薬によってはピルの効果に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。たとえばアセトアミノフェンが含まれる頭痛薬とピルを併用すると、ピルの作用を強めたりアセトアミノフェンの効果を弱めたりする恐れがあります。
市販の頭痛薬を購入する場合、薬剤師にピルとの併用が問題ないか確認することが大切です。
頭痛の原因には、疲れやストレス、睡眠不足、目の使いすぎ、肩こりなどがあります。ピルの服用が原因の場合もありますが、たまたまほかの要因と重なって起きているケースもあるでしょう。
頭痛が続くときは、どのようなときに頭痛が起きるのかを詳しく記録しておくと、原因や予防・対策方法を考えやすくなります。そのうえで、下記のセルフケアを実践し、頭痛の症状改善を図りましょう。
セルフケアは継続的に行い、実践しても頭痛が改善されない場合は医師に相談しましょう。
ピルは、含まれるエストロゲンの量によって、次のように高用量・中用量・低用量・超低用量の4つに分類されます。「μg」は、100万分の1gを表す単位です。
避妊目的で使用されるのは、主に低用量ピルです。超低用量ピルは、月経困難症や子宮内膜症などの治療目的で処方されます。
低用量ピルや超低用量ピルにはそれぞれ複数の種類があり、主な効果や起こりやすい副作用が異なるため、医師に相談して自分の頭痛の状況や身体にあったピルを服用しましょう。
ピルの服用でホルモンバランスの変化が起こると、頭痛を引き起こすことがあります。まれに血栓症を引き起こすケースもあるため、注意が必要です。また、もともと片頭痛持ちの方は、ピルの服用については慎重な判断が求められます。
ピルを服用し頭痛がひどくなった場合や、頭痛が長期間続く場合は、医師に相談したほうがよいでしょう。
ピルの服用を開始したい場合は、医師の診察・処方が必要です。レバクリでは、ピルのオンライン診療を行っており、場所や時間を気にせず診察が受けられます。診察料は無料のため、ピルを服用したい方はお気軽にご利用ください。
この記事の監修：
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
＜所属学会＞ 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました
