更新日:2024年10月29日
ピルを避妊目的と言いづらいときはどうする?対処法やピルの避妊効果を解説
- 男性医師に避妊目的でピルを服用したいと言いづらい場合、女性医師が診察するクリニックを選ぶ
- 避妊目的でピルを服用したいと言いづらいときは、オンライン診療を利用するのも一つの手
- ピルの服用により、避妊以外にも生理痛緩和や生理不順の改善などの効果を得られる
- 避妊目的のピルは保険適用外で、1ヶ月あたり2,500~3,500円程度が相場
「避妊目的でピルを処方してほしいけれど、言いづらい…」と、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。医師とはいえ、初対面の人に避妊の話はしづらいものです。また、クリニックの窓口で受診理由の記載を求められることもあります。
本記事では、ピル服用が避妊目的だと言いづらいときの対策を紹介します。また、ピルの避妊効果や避妊以外の効果もまとめました。避妊目的でピルを服用したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
避妊目的でピルを処方してもらうのは言いづらい!
女性が自分の意思で自分の身体をコントロールするためにも、避妊は大切なことだといえます。しかし、「避妊目的でピルを処方してほしいとは言いづらい」と、クリニックに行くことをためらう人もいるかもしれません。
また、避妊についてパートナーや友人とは話せても、初対面の人には言いづらいと感じる人もいるでしょう。クリニックに行くと、受付時の問診票で受診理由を記載することもあるため、「避妊のため」と記載した用紙を受付スタッフに見られる可能性があります。
クリニックの医師が男性の場合、避妊について初対面の異性に話すことに抵抗を感じ、受診をためらうケースもあるでしょう。
避妊目的でピルを服用するのは効果がある?
そもそもピルは避妊に効果があるのか、気になっている方もいるかもしれません。
避妊目的として処方されたピルを正しく服用すれば、99%以上の効果があるとされています。ピルを服用し忘れたり飲み合わせの悪い薬と併用したりすると効果が減る恐れがあるため、医師の指示に従って正しく服用することが大切です。
ピルで避妊が可能になる仕組み
ピルを服用することで、体内でさまざまな変化が起こります。特に次の3つの変化は、避妊につながります。
- 排卵が抑制される
- 受精卵が着床しにくくなる
- 精子が子宮内に入りにくくなる
ピルによってそれぞれの変化が引き起こされる仕組みを見ていきましょう。
排卵が抑制される
月経周期は通常25~38日のサイクルとなっており、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期の4つの期間に分けられます。卵胞期にはエストロゲンとプロゲステロンの2つの女性ホルモンの分泌量が増えて排卵を促し、妊娠しやすい状況になります。
ピルは、エストロゲンとプロゲステロンが含まれている薬剤です。ピルを服用し続けると、脳は体内に十分な量の女性ホルモンがあると判断し、排卵を促さなくなります。
排卵が起こらないときは、妊娠はしません。そのため、ピルの服用により避妊効果を得られます。
なお、ピルにより排卵を抑制できるのは、服用期間中です。服用を止めると、月経周期に合わせて排卵が起こるようになるため、将来の妊娠に影響が及ぶことはありません。
受精卵が着床しにくくなる
受精卵が着床するには、子宮内膜が十分に厚くなっている必要があります。ピルを服用すると子宮内膜が厚くならないため、万が一排卵した場合でも受精卵の着床が起こりにくくなります。
精子が子宮内に入りにくくなる
子宮の入口では、「頸管粘液(けいかんねんえき)」と呼ばれる粘液が分泌されています。通常は粘性が高い液体ですが、排卵期になると粘性が低下し、さらさらとした液体になります。頸管粘液の粘性が高いときは、精子は子宮内に入りにくくなりますが、粘性が低くなると子宮内に入りやすくなり、場合によっては受精する可能性があるでしょう。
ピルを服用すると、頸管粘液は粘性が高い状態で維持されます。精子が子宮内に入りにくくなることで受精・着床を防ぎ、結果として妊娠しにくくなります。
避妊目的でのピル服用を言いづらいときの対策
ピルは避妊効果が期待できるため、クリニックを受診し、避妊目的でピルを処方してもらうことが可能です。しかし、「避妊目的でピルを処方してほしい」とは言いづらいと感じる方もいるでしょう。言いづらさを感じたときは、次の対策を検討してみてください。
- 女性医師が診察するクリニックを選ぶ
- レディースクリニックで相談する
- オンライン診療を利用する
それぞれの対策について見ていきましょう。
女性医師が診察するクリニックを選ぶ
異性に避妊について話すのが難しいと感じる場合は、女性医師が診察するクリニックを選んでみてはいかがでしょうか。
ただし、医師が複数いるクリニックでは男性医師が担当する可能性もあるため、受付時に「女性医師を希望します」と伝えてみるのも一つの方法です。また、クリニックのWebサイトなどで、女性医師のみであることを確認してから受診するのもよいでしょう。
レディースクリニックで相談する
レディースクリニックとは、婦人科や産科など、女性特有の病気や症状、身体の悩みについて相談できる医療機関のことです。受診する際は、避妊目的のピルの処方に対応しているか、念のため確認してから行くようにしましょう。
ピルの処方に対応しているレディースクリニックなら、避妊関連の悩みで来院している方も多いため、「言いづらい」と感じることなく相談できるのではないでしょうか。ただし、レディースクリニックの医師は女性だけとは限らず、男性医師が診察する可能性もあります。女性医師に相談したい場合は、受診前にWebサイトなどで医師の情報もチェックしておきましょう。
オンライン診療を利用する
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどを使って医師の診察を受けるサービスのことです。クリニックに行って医師と直接会うわけではないため、「避妊目的であることを言いづらい…」という人も相談しやすくなります。
オンライン診療は、以下の流れで利用することが一般的です。
1.予約する 2.受診する 3.ピルを受け取る 4.ピルの服用を開始する
診察がオンラインで完結することやピルを郵送で受け取ることが、クリニックに行って受診する場合と異なります。ここでは、ピルのオンライン診療の手順を見ていきましょう。
1.予約する
まずは、パソコンやスマートフォンでオンライン診療の予約を取ります。クリニックによっては、予約時に専用アプリのダウンロードが必要な場合があります。
希望の日時で予約したら、診察日までにWeb上で問診票を記入しましょう。問診票では、ピルの服用歴や今までにかかった病気、薬剤に対するアレルギーなどを記入します。予約時に問診票の記入が必要なクリニックもありますが、診察日までに記入するクリニックの場合は、期日に余裕を持って回答しましょう。
2.受診する
予約日時になったら、ビデオ通話アプリや予約時にダウンロードしたアプリを使ってオンライン診療を受けます。クリニックに直接行く場合と異なり、オンライン診療では基本的に予約時間になると診察が始まるため、待ち時間の負担を減らせるのがメリットです。
オンライン診療は事前に記入した問診票をもとに診察するため、何度も避妊について確認されたり、診察時間が予定より大幅に長くなったりするケースは少ないと考えられます。
ピルのオンライン診療は、最短15分程度で完了します。ただし、初診の場合は2回目以降に比べて時間がかかることがあるため、時間に余裕を持って診察を受けられるよう、スケジュールを調整しておきましょう。
ピルの種類や服用方法について疑問点があるときは、診察時に医師に質問しましょう。質問が複数ある場合は、事前にメモを作成しておくと安心です。
3.ピルを受け取る
処方されるピルの種類が決まって診察が終わったら、支払い手続きに進みます。
オンライン診療の代金はクレジットカード払いが一般的ですが、代金引換に対応しているサービスもあります。支払い方法のほか、配送方法や送料の有無はオンライン診療サービスによって異なるため、事前に確認してから診察を受けましょう。
なお、オンライン診療サービスによっては、配達されたピルを自宅以外の場所で受け取れることもあります。プライバシー保護のために梱包や宛名ラベルなどは工夫されていることが多いですが、不安な場合は、駅の宅配ボックスやコンビニなど自宅以外の場所でも受け取れるか確認しておきましょう。
4.ピルの服用を開始する
ピルを受け取ったら、服用方法を確認して服用を開始します。ピルは毎日決まった時間に服用することが大切なため、飲み忘れを防ぐためにアラームを設定するなどの対策をとりましょう。
なお、ピルの服用を開始することで下痢や嘔吐などの副作用が出る場合があります。ピルの副作用は基本的に1~3ヶ月ほど経つと落ち着きますが、辛いときはクリニックに相談するようにしてください。
避妊目的のピルに期待できるその他の効果
ピルを服用することで、避妊以外にもさまざまな効果が期待できます。避妊以外の効果として、以下の例が挙げられます。
- 生理痛・生理不順の改善
- 月経前症候群(PMS)の緩和
- 月経困難症の改善
- 生理日の移動
避妊以外のそれぞれの効果について見ていきましょう。
生理痛・生理不順の改善
ピルを服用すると、女性ホルモンの一種であるプロスタグランジンの分泌が抑制されます。プロスタグランジンは子宮収縮を促進するホルモンのため、分泌が抑制されることで、子宮が収縮しにくくなります。
生理痛は子宮収縮などによって起こる現象です。生理痛が深刻な場合、ピルを服用することで症状緩和が期待できます。
また、主にホルモンバランスの乱れによって起こる生理不順は、ピルの服用によりホルモンバランスを整えることで、改善を図れます。
月経前症候群(PMS)の緩和
月経前症候群(PMS)とは、月経前に起こる便秘や肌荒れ、むくみなどの不調のことです。生理前に体調不良になったり、イライラや激しい落ち込みなどの精神面での不調が生じたりするときは、月経前症候群の可能性があります。
ピルの服用により女性ホルモンのバランスが安定すると、月経前症候群は緩和されやすくなります。月経前症候群の症状に悩んでいる方は、婦人科でピルの服用について相談してみてはいかがでしょうか。
月経困難症の改善
月経困難症とは、月経によって生じる病的症状です。下腹部痛や腰痛、頭痛、吐き気、だるさ、下痢、イライラなどの症状が生じ、日常生活に支障をきたします。
月経困難症も、ピルの服用により症状の改善が期待できます。子宮内膜の増殖を抑えることで下腹部や腰の痛みが軽減し、月経量が減って生理期間中も過ごしやすくなると考えられます。月経時につらい思いをしている方も、我慢せずに婦人科で相談してみましょう。
生理日の移動
ピルの服用により、生理日を早めたり遅めたりできます。ピルの服用による生理日の移動は、早める場合・遅くする場合のどちらも最長で2週間ほどとされています。
ピルで生理を早めたい場合、前月の生理開始日から5日目までにピルの服用を開始します。10日~14日ほど服用し、飲むのをやめると2~5日ほどで生理がきます。
ピルで生理を遅らせたい場合、生理予定日の5日~7日前からピルの服用を開始します。服用している間は生理が始まらず、飲むのをやめると2~5日ほどで生理がくるでしょう。
ピルの服用を開始するタイミングが遅く、服用期間が短いと月経移動がうまくいかない場合があるため、仕事や試験、旅行などで生理日の移動を考えている場合は早めに受診しましょう。
避妊目的のピルに関するQ&A
避妊目的でピルの服用を検討している方が気になることを、Q&A方式でまとめました。ぜひ参考にして、疑問解消に役立ててください。
Q.ピルは診察なしで処方してもらえる?
クリニックでピルを初めて処方してもらうときは、診察が必要です。個人輸入でもピルを入手できることがありますが、偽物や粗悪品が送られてくるリスクがあるためやめましょう。また、ピルは年齢や病歴、健康状態によっては服用できないケースがあるため、服用が問題ないか医師に判断してもらうことが大切です。
オンライン診療では、初回で診察を受けると数ヶ月分をまとめて定期配送してもらえます。毎月診察を受けなくてもよいため、忙しい方も負担が少ないでしょう。長期間の服用を検討している場合、配送頻度や1ヶ月あたりのピルの金額を確認しておきましょう。
Q.避妊目的のピルは保険適用?値段はどのくらい?
避妊目的のピルは、原則として保険適用外です。避妊目的のピルの値段は医療機関やピルの種類によっても異なりますが、自費診療でひと月あたり2,500~3,500円ほどとされていますす。
Q.ピルは毎日服用する必要がある?
避妊目的でピルを服用する場合、休薬期間を除き毎日服用します。避妊効果を得られるよう、医師の指示に従って正しく服用するようにしてください。
一般的にピルを服用しない時間が48時間以上になると、避妊効果が下がるといわれています。ピルを飲み忘れないよう、服用する時間にアラームを設定するなどの対策をとりましょう。
Q.ピルを服用すれば避妊しなくてもいい?
ピルを服用しても、すぐに避妊効果が得られるとは限りません。一般的に、飲み始めてから1~2週間は、ピル以外の方法でも避妊するほうがよいとされています。
また、ピルの避妊効果は高いとされていますが、100%避妊できるわけではないため、コンドームの使用などピル以外の方法も併用すると安心です。
Q.そもそも避妊目的だけでピルを処方してもらえる?
避妊目的だけであっても、ピルを処方してもらえます。自分の身体を自分で守るためにも、妊娠したくないときはピルの服用を検討してみましょう。
Q.避妊目的と言わずにピルを処方してもらってもよい?
「避妊目的とは言いづらい…」と思ったとしても、嘘の理由を伝えるのはやめましょう。
目的によって適したピルの種類が異なり、避妊目的とはっきり伝えることで、適切なピルを処方してもらえます。ピルの服用により高い避妊効果を得るために、言いづらいと感じたとしても避妊目的である旨を伝えるようにしてください。
Q.ピルにはどんな種類がある?
ピルは、超低用量ピル・低用量ピル・中用量ピル・アフターピルの4種類に分けられます。種類によって期待できる効果が異なるため、受診時に服用目的や希望をはっきり伝えましょう。
ピルの種類 | 主な目的や期待できる効果 |
---|---|
超低用量ピル | 月経困難症の改善 |
低用量ピル | 避妊、生理痛の軽減、月経前症候群の改善 |
中用量ピル | 避妊、月経移動 |
アフターピル | 緊急時の避妊 |
まとめ
ピルを正しく服用することで、避妊効果を得られます。「ピルを服用したいけれど、避妊目的であることが言いづらい…」と感じるときは、女性医師が診察するクリニックやオンライン診療サービスでの受診を検討してみてはいかがでしょうか。
レバクリでは、婦人科のオンライン診療を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料です。ぜひご予約ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました