更新日:2024年10月29日
40代以降もピルを飲み続けて大丈夫?メリットやリスク、代替療法を解説
- 40代のピル服用は血栓症の発症リスクが高い
- 40代になってピルをやめる場合、避妊目的ならIUDやIUSを使う方法がある
- 40代でピルをやめる場合、治療目的なら黄体ホルモン製剤や漢方薬を飲むのも一つの方法
PMSや生理痛緩和のためにピルを飲んでおり、40代になっても服用できるのか心配という方もいるでしょう。40代以降のピル服用は血栓症のリスクが高まるため、基本的には40歳になるまでとされています。
本記事では、40代がピルの服用を控えたほうが良い理由やピルをやめる場合の代替療法について解説します。
ピルは40代になっても飲んでいい?
ピルは閉経まで服用できるとされている一方、40代以上はリスクがあり、服用は推奨されていません。40歳を過ぎた患者に対し、医師はピルの処方についてリスクを見極め、慎重に判断することになります。
ここでは、何歳までピルを服用できるかについて解説します。
40代以降のピル服用はリスクが高い
ピルを服用できるのは基本的に40歳になるまでとされています。40代以降はピルの服用によって血栓症のリスクが高まるためです。
血栓症のリスクが高まるのは、ピルに含まれている女性ホルモンのエストロゲンに血液を固まりやすくする作用があるためだとされています。
特に、次のような心血管疾患のリスクを高める要素がある場合は、注意が必要です。
- 妊娠高血圧の既往歴
- 連続して流産(習慣流産)した経験
- 肥満(BMI30以上)
- 脂質異常症
- 高脂血症
- 糖尿病
- 血栓症の家族歴
上記のいずれかに該当する方は、40代以降のピルの服用は難しいと考えられるでしょう。
喫煙している場合は35歳まで
1日に15本以上喫煙している場合、35歳までしかピルを服用できません。喫煙により、血栓症のリスクが高くなるためです。タバコに含まれるニコチンが血管を収縮させることが、血栓症のリスクを高める原因とされています。
年齢やタバコの本数にかかわらず、喫煙者に対するピルの処方は慎重になり、服用できない可能性があります。
ピルの服用を開始したい場合、喫煙している方は必ず医師に伝えるようにしましょう。
40代以降もピルを服用するメリットとリスク
40代以降もピルを服用することで、避妊や月経困難症の改善といった効果を得られる点はメリットです。しかし、血栓症をはじめとするさまざまな疾患を発症するリスクがあります。
ここでは、40代以降にピルを服用するメリットとリスクをみていきましょう。
40代になってもピルを服用するメリット
40代以降もピルの服用を続けるメリットは、避妊効果や生理周期の安定、月経困難症の改善などがあげられます。
日本人の平均閉経年齢は50歳前後とされており、40代になってもしばらくは生理に関するさまざまな症状に悩む可能性があります。そのため、ピルの服用により不快な症状を抑えられるのはメリットです。
ピルの服用により、更年期障害の軽減や骨粗鬆症の予防といった効果も期待できるとされています。
40代になってもピルを服用するリスク
ピルの服用により、血栓症のリスクが高まります。血栓症とは、なんらかの原因で血管の中に血のかたまり(血栓)ができ、それによって血管がつまる病気です。血管がつまると、脳梗塞や心筋梗塞などを発症する危険性があります。
ピルの長期服用により、子宮頸がんにかかるリスクもわずかながら上がるとされています。
40代になってピルをやめる場合の代替療法
40代になってピルの服用をやめる場合、避妊や生理痛緩和など、これまでピルの服用で得られていたメリットがなくなってしまいます。避妊や生理痛などへの不安がある場合、ピルの代替療法を始めるのも一つの方法です。
ここでは、40代になってピルの服用をやめる場合の代替療法を目的別に紹介します。
避妊目的の場合
避妊目的でピルを服用していた場合、40代以降のピル以外の主な避妊方法は次のとおりです。
- コンドーム
- 子宮内避妊器具(IUD)
- 子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)
コンドームはピルより避妊失敗率が高いとされているものの、避妊以外に性感染症の予防効果があります。ドラッグストアやコンビニエンスストアなど身近な場所で購入できる点もメリットです。
子宮内避妊器具(IUD)や子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)は、子宮内に装着する器具です。婦人科のクリニックで装着でき、3〜5年ほど避妊効果を得られます。
治療目的の場合
月経困難症やPMSなどの治療でピルを飲んでいた場合、40代以降は複数の代替療法があります。
ここでは、主な代替療法として黄体ホルモン製剤や漢方薬・サプリメント、子宮内避妊システム(IUS)を紹介します。
黄体ホルモン製剤
ピルには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類の女性ホルモンが配合されています。一方、黄体ホルモン製剤は血栓症の原因となるエストロゲンが含まれていないため、血栓症のリスクがありません。そのため、ピルの代替薬として40代以降も服用できます。
黄体ホルモン製剤には排卵を抑えて月経を起こさないようにする作用があり、生理痛やPMSなどのつらい症状を改善できます。
漢方薬やサプリメント
月経困難症やPMSの緩和が期待できるとされている漢方薬・サプリメントを飲むのも一つの方法です。
生理痛に用いられる漢方薬には当帰芍薬散や加味逍遙散、桂枝茯苓丸などがあり、PMSには半夏厚朴湯や抑肝散加陳皮半夏、五苓散などが用いられます。
漢方薬はドラッグストアで購入できますが、自分の体質や目的に合うもの飲めるよう、漢方外来で処方してもらうのも一つの方法です。
そのほか、月経困難症やPMSの症状緩和に役立つ栄養素のサプリメントや、エストロゲンに似た働きをする栄養素のサプリメントを摂取する方法もあります。ただし、サプリメントは食事で摂り切れない栄養素を補うためのものであるため、まずはバランスのとれた食事を心掛けることが大切です。
子宮内避妊システム(IUS)
子宮内避妊システム(IUS)は、避妊だけでなく治療目的でも使われます。黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出させるシステムで、一度の装着で最長5年間、効果を持続させることが可能です。
子宮の内膜に直接作用して月経時の出血量を減少させるほか、痛みを引き起こすプロスタグランジンの産生を抑え、月経痛を緩和します。
まとめ
40代以降のピルの服用は血栓症のリスクがあるため、医師の判断に従って服用するか決めましょう。特に血栓症の発症リスクが高い要素があるときは、40代以降のピルの服用は難しいと考えられます。
ピルには避妊効果や月経困難症の改善などのメリットがありますが、40歳になって服用をやめる場合、代替療法で同じような効果を得ることが可能です。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました