更新日:2024年10月29日
生理前に気持ち悪い・吐き気がするのはPMSの症状かも?治療法を解説
- 生理前の気持ち悪い症状は、PMSや妊娠の初期症状、ピルの副作用が考えられる
- 生理前のPMSの症状は、気持ち悪い以外にも眠気や頭痛、イライラなどがある
- 生理前にPMSで気持ち悪い場合、ピルの服用で改善が期待できる
「生理前の気持ち悪い症状がつらい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。生理前に気持ち悪くなるのは、原因としてPMSや妊娠などが考えられます。PMSによって生理前に気持ち悪い場合、ピルの服用で改善が可能です。本記事では、生理前に気持ち悪いときの対処法について解説します。
生理前に気持ち悪いのはなぜ?
生理前に気持ち悪くなるのには、理由があります。ここでは、生理前の気持ち悪い症状について、主な原因を解説します。
PMSの症状が出ている
生理前に気持ち悪いのは、PMS(月経前症候群)である可能性があります。PMSとは、生理の3〜10日ほど前に起こるさまざまな精神的・身体的な不調のことです。PMSの身体的症状には、気持ち悪くなる症状も含まれます。
PMSの原因ははっきりとは解明されていませんが、女性ホルモンの変動が関わるとされています。生理の3〜10日ほど前は、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)のバランスが乱れやすくなっています。
毎月生理前になると気持ち悪くなる場合、PMSの可能性があるでしょう。
妊娠初期の症状が出ている
生理前に気持ち悪いのは、妊娠初期の可能性もあります。妊娠とPMSを見分ける方法は、基礎体温です。妊娠した場合は生理予定日になっても基礎体温は下がりません。妊娠していない場合は生理予定日になると基礎体温が下がるため、基礎体温をつけていればどちらの症状かが判断しやすくなります。
また、妊娠しているかどうかは、生理予定日から1週間経過したあとに妊娠検査薬で確認できます。
ピルの副作用が出ている
ピルを服用している場合、副作用で気持ち悪くなることがあります。特に飲み始めてから1〜3か月はホルモンバランスが安定しないため、吐き気やむくみ、眠気といった副作用が出やすいといわれています。
ピルの副作用で気持ち悪くなるのは、含まれているエストロゲンとプロゲステロンの働きにより、脳が「妊娠した」と勘違いして、妊娠初期のつわりに似た症状が出てしまうためです。
しかし、このような副作用は飲み続けるうちに治ることが多く、症状は改善していきます。3か月ほど飲み続けても気持ち悪さが治らない場合は、医師に相談するとよいでしょう。
生理前に起こるPMSの症状
生理前に気持ち悪い原因がPMSである場合、気持ち悪さ以外の症状が出ることもあります。
主な症状をみていきましょう。
吐き気
生理前に起こるPMSの症状として、吐き気が挙げられます。気持ち悪いときは、吐き気を伴うことも多いでしょう。
吐き気は、プロスタグランジンという物質が過剰に分泌されることで起こります。プロスタグランジンとは、生理前に子宮内膜から分泌され、子宮の筋肉を収縮させて生理痛を引き起こす物質です。子宮の収縮以外にも胃や腸を収縮させる作用があり、その作用で吐き気が起こります。
眠気やだるさ
PMSでは、眠気やだるさが表れることもあります。生理前に、黄体ホルモンのプロゲステロンが増加することが原因です。
プロゲステロンには、体温を上げる作用があります。そのため、本来なら徐々に体温が下がる夜になっても高温の状態が続き、ぐっすり眠れないなど睡眠のリズムが乱れやすくなるのです。
夜間の睡眠の乱れは日中に影響し、眠気やだるさとなって表れることがあります。
37度以上の微熱
PMSの症状で、37度以上の微熱が出ることもあります。これは黄体ホルモンのプロゲステロンが増加することにより、体温が上がるためです。
正常な排卵が行われている場合、基礎体温は低温期と高温期のサイクルが一定のリズムで繰り返されます。生理が始まると体温が下がり、約2週間低温期が続きます。排卵すると体温は上昇し、次の生理まで約2週間高温期が続くというサイクルです。
高温期の体温は37度以上になることもあり、生理前は微熱が続くケースもあるでしょう。
頭痛や腹痛
生理前は、頭痛も起こりやすくなります。生理前の黄体期には、卵胞ホルモンであるエストロゲンが減少するためです。エストロゲンの分泌量が減るとセロトニンという脳内物質も減少し、血管拡張作用によって頭痛が起こりやすくなります。
また、生理前には、生理中のような腹痛も起こることがあります。これは、子宮の収縮を起こすプロスタグランジンが子宮内膜で多く生成されるためです。プロスタグランジンには痛みや炎症を引き起こす作用があり、腹痛が起こりやすくなります。
イライラ・気分の落ち込み
PMSは精神的な症状もあり、生理前にイライラや気分の落ち込みなどが起こることがあります。エストロゲンとプロゲステロンの分泌量が変動し、ホルモンバランスが乱れることが原因と考えられています。
また、生理前にエストロゲンの分泌量が減少すると、精神を安定させる働きのある脳内物質のセロトニンも減るとされており、これがPMSの精神的症状と関係しているとも考えられています。
生理前の精神的症状が重い場合、PMSではなくPMDD(月経前不快気分障害)と呼ばれる状態に該当する可能性があるでしょう。
生理前のPMSで気持ち悪い場合の対処法
妊娠やピルの副作用ではなく、PMSの症状で気持ち悪い場合、以下のような対処法があります。
- 体を温める
- 気分転換・リラックスを心がける
- 漢方薬を飲む
- クリニックでピルを処方してもらう
それぞれみていきましょう。
体を温める
PMSで気持ち悪い原因の一つとして考えられるのは、急増したプロゲステロンの作用により胃腸の動きが悪くなるためです。そのため、胃腸の動きを促すことで改善を図れます。
胃腸の動きを促すためには、体を温めることが効果的です。体を温めると、副交感神経の働きが活発になります。副交感神経の働きが活発になると消化液の分泌が促進され、胃腸の動きが改善されます。普段から体を冷やさないようにしておくことも、PMSの予防につながるでしょう。
気分転換・リラックスを心がける
PMSの症状改善には、気分転換も効果的です。
生理前はほとんどPMSの症状がない人がいる一方で、会社を休まなければならないほど重い症状になる人もいます。個人差が大きいのは、PMSが起こる原因がホルモンバランスだけでなく、ストレスや本人の性格なども関わっているためです。
気分転換やリラックスを心がけることでストレスが解消され、PMSの症状改善につながりやすいでしょう。
漢方薬を飲む
症状が軽度であれば、漢方薬で改善を図るのも一つの方法です。市販の漢方薬を購入する際、どれを選べばよいか分からないときは、店頭の薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。
なお、PMSが原因の気持ち悪さや吐き気は、女性ホルモンの作用によるものです。市販薬には食べ過ぎやストレスが原因の吐き気に効く胃腸薬がありますが、原因が異なるため、基本的にPMSの症状には使用できない点に注意しましょう。
クリニックでピルを処方してもらう
PMSの原因とされているのはホルモンバランスの乱れであり、その治療にはピルを用いるのが一般的です。ピルには女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、一定期間服用することで、生理によるホルモンバランスの乱れを改善できます。
ピルは避妊薬のイメージがある方もいるかもしれませんが、PMSや月経困難症、過多月経などの治療にも用いられています。医師の指導のもと正しく服用すれば、PMSの症状改善の効果が期待できるでしょう。
ピルは、女性ホルモンの配合量によって中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルの3種類に分けられます。PMSの改善には、ホルモン量が最も少ない超低用量ピルが処方されるのが一般的です。PMSの改善に処方される超低用量ピルはいくつかの種類があり、症状や体質に合わせ、適したものを医師が処方します。
セルフケアを行ってもPMSの気持ち悪さが治らない場合は、一度クリニックで相談してみるとよいでしょう。
PMSの治療に便利なオンライン診療
PMSの治療でピルを服用したくても、「産婦人科に行くことに抵抗がある」「通院する時間がない」といった方もいるのではないでしょうか。
オンライン診療であれば、気軽に診察やピルの処方を受けられます。オンライン診療は、自宅にいながらスマートフォンなどのデバイスを使い、ビデオ通話や電話で診察を受けられるサービスです。予約から医療費の支払いまで自宅で完結できるため、便利なサービスとして注目されています。
オンライン診療では、ピルの処方も可能です。デバイスを通して医師とリアルタイムにコミュニケーションでき、処方された薬は自宅や近所の調剤薬局で受け取れます。
まとめ
生理前に気持ち悪いとき、PMSまたは妊娠の可能性があります。ピルを飲み始めた人の場合は、副作用で気持ち悪くなっている可能性があるでしょう。
PMSの症状で気持ち悪い場合、体を温めるなどの方法で対処してみましょう。それでも症状が治らないときは、ピルを服用するのも一つの方法です。ピルを医師の指導のもと正しく服用することで、改善が期待できます。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました