更新日:2024年10月29日
着床出血は性行為のあといつごろ起こる?生理との違いやその他の症状を解説
- 着床出血とは、妊娠初期に起こる少量の出血のこと
- 着床出血は性行為のあと1~2週間で起こり、期間は1〜2日程度と短い
- 妊娠初期は着床出血以外にも、おりものの変化や微熱などの症状が出ることがある
- 妊娠の確認には生理予定日から1週間後に妊娠検査薬を使い、最終的には病院で受診する
妊娠を望んでいる方にとって「着床出血は性行為後のいつごろ起こるか」は気になるところでしょう。着床出血が起こるのは性行為から1〜2週間後で、妊娠していても着床出血が起こらない場合もあります。
本記事では、着床出血の時期や、着床出血以外の妊娠初期の症状などを解説します。妊娠を確認する手順も紹介するため、ぜひ参考にしてください。
着床出血とは?
着床出血とは、受精卵の着床時に起こる少量の出血のことです。ここでは、着床出血の概要や生理との違いをみていきましょう。
妊娠初期に起こる出血のこと
着床出血とは、妊娠初期に起こる少量の出血のことです。着床とは、性行為後に精子と卵子が受精してできた受精卵が、1週間〜10日程度で子宮内膜(子宮の表面)にたどりつくことです。順調に受精卵が育てば、着床後10日程度で妊娠が確認できるでしょう。
着床出血は、受精卵の着床で子宮内膜の血管を傷つけてしまうことで起こります。性行為後、約1〜2週間でみられますが、妊娠すると必ず起こるわけではありません。
着床出血と生理の違い
妊娠すると、最後の生理が始まった日が「妊娠0週0日」として数えられます。ここから判断して、排卵は妊娠2週ごろ、着床は妊娠3週ごろになることがわかります。着床から少し経過した後の出血のため、着床出血は妊娠4週ごろです。
これは、生理予定日とほぼ同じ時期にあたります。そのため、いつもの生理による出血なのか、着床出血なのかがわかりにくいでしょう。また、妊娠初期と生理中・生理前後に出る不快な症状もよく似ています。
どちらも腹痛や頭痛、吐き気、眠気・だるさ、イライラといった症状が出ることが多いでしょう。生理か着床出血かどうかは、出血の色や量、期間、腹痛の症状の程度で見分けられます。
着床出血の色には個人差があり、ピンクや鮮血色の場合もあれば、茶色っぽい場合もあります。これに対し、生理の場合は赤や暗赤色が多いでしょう。
出血の量は、着床出血の場合、生理よりも少量であることが多く、期間も1〜2日程度と短いのが特徴です。少ないといっても個人差はあり、ナプキンの使用が必要なケースもあります。
着床出血と生理では腹痛の症状も異なります。着床出血ではなんとなくお腹が痛い、腰が重いといった症状があり、生理痛のような激しい痛みはほとんどないといってよいでしょう。
着床出血は性行為後いつごろ起こる?
着床出血が性行為後いつごろ起こり、どのくらい続くのかをみていきましょう。
性行為後1~2週間で起こる
着床出血は、性行為後、約1~2週間で起こります。排卵日前後に性行為をした場合、受精が起こるのはおよそ72時間以内で、子宮内膜に着床が始まるのは受精から約5〜6日後です。着床が完了するのは、受精から12日前後です。
着床出血が起こるのは着床開始から着床完了までの間が目安となり、性行為から1〜2週間後と考えてよいでしょう。
着床出血が続く期間
生理との比較でも説明したように、着床出血が続く期間は1〜2日程度と短く、長くても4日程度です。着床出血は受精卵が子宮内膜に着床する際、血管が傷つくことによって起こります。
この過程は比較的短時間で完了するため、着床出血も短い期間で止まることが通常です。量が多く、3日以上続く場合は生理の可能性が高いでしょう。
ただし、着床出血は体質や受精卵の着床状況などによって影響を受け、場合によっては1週間程度続くこともあります。
また、着床出血は必ず起こるわけではなく、妊娠した女性の20〜30%程度です。着床出血がなくても妊娠している可能性はあるため、生理予定日1週間後以降に妊娠検査薬を試してみるとよいでしょう。
着床出血以外の妊娠初期の症状
着床して妊娠している場合、着床出血以外にもさまざまな妊娠初期の兆候が現れます。
主に次の4つです。
- おりものが変化する
- 微熱が続く
- 強い眠気がある
- 生理痛に似た腹痛・違和感がある
着床出血以外の妊娠初期の症状についてみていきましょう。
おりものが変化する
おりものの量に変化が現れたら、妊娠している可能性があります。おりものはホルモンの影響で量や形状が変わり、妊娠するとエストロゲンの分泌が増えて、おりものの量も増加する傾向があります。
妊娠初期のおりものの色は透明から乳白色になり、サラサラと水っぽい状態です。酸っぱいにおいがすることもあるでしょう。
ただし、おりものの変化には個人差があり、量が変わらなかったり減ったりする場合もあります。
微熱が続く
女性の体温は月経の周期によって低温期と高温期に分かれ、妊娠初期は高温期が続きます。妊娠を維持しようとするホルモンの影響を受けるためです。体が熱っぽく感じることがあり、37度近い微熱が続くこともあるでしょう。
風邪との違いは、のどの痛みや鼻水といった風邪の諸症状がないかどうかです。微熱が続く症状は、妊娠中期になると落ち着きます。
強い眠気がある
妊娠初期の症状として、強い眠気が挙げられます。妊娠初期に眠気が続くのは、プロゲステロンという女性ホルモンが増えることが原因です。
プロゲステロンには妊娠を継続させるために体温を上げる働きがあり、妊娠中の身体を休ませようとする作用もあります。そのため、強い眠気が起こります。
眠気が続いたとしても、カフェインの多い飲料・食品を摂るのは避けましょう。妊娠中にカフェインを多量に摂ると、胎児に影響が出る可能性があります。
生理痛に似た腹痛・違和感がある
妊娠すると、子宮は収縮を繰り返しながら大きくなるため、生理痛に似た痛みや違和感が生じることがあります。また、妊娠中は胃腸の動きが弱まることで腹部の膨満感が起こりやすく、痛みや違和感となって現れることもあるでしょう。
いずれの症状も、強い痛みや出血を伴うことがある場合は、すぐに病院で受診し、医師に相談してください。
その他の症状
妊娠初期には、他にもさまざまな症状が起こります。胃のむかつきや吐き気、めまい・ふらつきなどです。
胃のむかつきや吐き気はストレスが原因で起こりやすく、プロゲステロンが影響するケースもあります。プロゲステロンには子宮収縮を抑える作用があり、子宮付近の消化器官の筋肉にも影響して消化器系の働きが弱まってしまうためです。
めまいやふらつきは、ホルモンバランスの変化で自律神経が乱れることで起こりやすく、脱水や貧血などによっても起こります。
また、妊娠初期はにおいに敏感になることも多く、においのきついものが食べられない、特定のにおいで気分が悪くなるといった症状が起こりやすいでしょう。
妊娠を確認する手順
着床出血があったときは、妊娠を確認するために基礎体温を測りましょう。さらに、妊娠検査薬でチェックし、妊娠の可能性があるときは病院で受診してください。
基礎体温を測る
妊娠すると、基礎体温が高い状態が継続します。生理の開始予定日から1週間経過しても高温期が続いている場合は、妊娠の可能性が高いといえるでしょう。
妊娠に気づくのが遅れるとさまざまなリスクがあるため、妊娠の可能性を伴う性交渉を行う場合には、基礎体温を記録して低温期・高温期の状態を確認できるようにするとよいでしょう。
妊娠検査薬でチェックする
生理予定日から1週間経過したら、妊娠検査薬を使って妊娠をチェックできます。市販の妊娠検査薬を購入し、確認してください。検査は尿をかけるだけで完了します。
妊娠検査薬では、妊娠しているときだけに著しく多くなるホルモンが、規定値を超えて検出されているかを判断します。
妊娠したかどうかを早く知りたいからと早い時期に検査しても、正確な検査結果は得られません。正しい検査結果が出る生理予定日の1週間後まで待ちましょう。
妊娠検査薬の使用により妊娠の可能性がわかり、病院の早期受診につながります。
病院で受診する
妊娠検査薬で妊娠の判定が出たら、早めに婦人科で受診しましょう。
なお、妊娠検査薬で陰性だったとしても、使い方や使用したタイミングによって誤判定が出ている可能性もあります。着床出血やその他の初期症状がみられる場合、予定日がきても生理がこないといった場合には、産婦人科の受診をおすすめします。
妊娠初期に注意したいこと
妊娠初期は流産のリスクがあるため、妊娠していることがわかったら次の点に注意が必要です。
- 飲酒や喫煙をしない
- カフェインの摂取を控える
- 市販薬を内服せず、薬を服用したいときは医師に相談する
- 風邪やさまざまな感染症に注意する
- 激しい運動を控える
胎児に影響する可能性のあるアルコールやタバコ、カフェインなどは控えましょう。市販薬は独断で服用せず、妊娠前から継続的に服用している薬があれば、妊娠がわかった時点で必ずかかりつけの医師に相談してください。
妊娠すると免疫力が下がり、風邪や感染症にかかりやすくなります。自身がつらい症状に悩まされるだけでなく、胎児に影響することもあるため、十分注意しましょう。
また、妊娠初期は体調が安定していないため、激しい運動は控えてください。
着床出血や生理以外で出血する場合も
着床出血や生理以外で出血が起こることがあり、「不正出血」といいます。不正出血は、妊娠初期のほか妊娠していない場合も起こることがあり、それぞれ考えられる症状・疾患は異なります。
着床出血や生理以外で出血するケースについて、みていきましょう。
妊娠初期で考えられる症状
妊娠初期で着床出血以外に出血がある場合、子宮外妊娠や切迫流産などの症状が考えられます。
子宮外妊娠とは、子宮内膜に着床するはずの受精卵が、子宮内膜以外で着床することです。子宮外妊娠では、妊娠の継続・出産はできません。
切迫流産とは、出血があり、出血量が多く腹痛を伴うほど、流産に進行する可能性が高い状態を指します。
妊娠22週未満の妊婦が痛みや出血で受診した場合につく診断名であり、「流産を念頭において治療にあたる人」という意味です。「切迫流産」と診断されても少量の出血の場合、正常妊娠への回復は可能とされています。
妊娠していない場合に考えられる症状
妊娠していない場合で、生理時以外に出血するケースには、排卵期出血、子宮頸管ポリープ、子宮がんといった原因が考えられます。
排卵期出血は排卵の数日前から起こり、高温期が来ると止まるのが特徴です。基本的には問題ありませんが、出血量が多いときや痛みが強い場合には、子宮内膜ポリープや子宮内膜症などが疑われます。
子宮頸管ポリープは、子宮の入り口に、キノコ状の腫瘍ができる疾患です。ポリープの多くは良性であるとされています。
子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。子宮頸がんは主にヒトパピローマウイルスに感染して発症します。子宮体がんの一因には、女性ホルモンのバランスが関係しているとされています。子宮頸がんと子宮体がんのどちらも、最初の出血は少量です。
妊娠や生理以外で出血する場合は子宮がんの可能性も考え、早めに病院で受診するようにしてください。
まとめ
着床出血が起こるのは、性行為から1〜2週間後です。生理の時期と重なることが多く、出血の色や期間、腹痛の症状などで見分けられます。妊娠した場合、着床出血以外にも初期症状としておりものが変化する、微熱が続くといった症状が出ることがあります。
着床出血があったら基礎体温を測り、妊娠検査薬を使うなどして妊娠しているかをチェックしましょう。最終的に妊娠を確定させるためには、病院の受診が必要です。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました