レバクリ

更新日:2024年10月29日

ピルは市販で購入できる?緊急避妊薬の市販化検討についても解説

この記事のまとめ
  • ピルは市販されておらず、婦人科やオンライン診療で診察を受けて購入する
  • ピルが市販されていないのは、正しい服用ルールを知らずに飲むことを避けるため
  • 偽物や粗悪品が紛れている可能性があるため、通販サイトではピルを購入しない
  • アフターピルを医師の処方箋なしで薬局で販売する、試験的な取り組みが実施された
  • アフターピルは有効時間内に服用することが大切

ピルを服用したいと考えており、市販薬としてドラッグストアなどで販売しているのか知りたいという方もいるでしょう。結論として、ピルは市販薬としては購入できません。ピルは、医師の処方が必要な医療用医薬品に分類されているためです。

この記事では、ピルを市販で購入できない理由やピルを購入する方法、アフターピルを服用する際の注意点などを解説します。

ピルは市販薬として購入できない

ピルは、市販薬を販売している国内のドラッグストアなどでは購入できません。医師の処方が必要な「医療用医薬品」に分類されているためです。処方してもらうには、医療機関で受診する必要があります。

ピルとは

そもそもピルとは、女性ホルモンの作用を利用して妊娠を防ぐ薬です。「排卵の抑制」「受精卵の着床の阻止」「精子の子宮内への侵入の阻止」といった働きがあります。

避妊のほかにも、女性の悩みの種となる生理周期をコントロールしたり、辛い生理痛を軽減したりする効果も期待できるため、避妊以外の目的で服用しているケースも少なくありません。

ピルが生理周期のコントロールに有効なのは、配合された女性ホルモンによって、生理不順の原因であるホルモンバランスの乱れが改善されるためです。

また、ピルに配合される女性ホルモンが子宮内膜の増殖を抑え、生理痛の原因となるプロスタグランジンの過剰な生成を防ぐことにより、生理痛の軽減効果があります。

ピルが市販されていない理由

ピルが市販されていないのは、安全性を確保するためです。市販されて気軽に購入できるようになると、正しい用量・用法を把握せずに服用する人が増えたり、誤った使用法が広まったり、副作用のリスクが高い人がピルを服用したりすることが懸念されます。

ピルを購入する方法

ピルを購入するためには、対面診療またはオンライン診療のいずれかで受診します。通販サイトでの購入は、安全性や有効性が確保されていないためやめましょう。それぞれの内容について解説します。

対面診療で受診する

対面診療とは、医師と患者が直接会って診察を行うことです。実際に産婦人科や婦人科を訪れ、医師の診察を受けます。必要に応じて体に異常がないかを検査で確認できるため、安心感を得やすい方法といえるでしょう。

オンライン診療で受診する

オンライン診療でも、ピルを処方してもらうことが可能です。オンライン診療は、スマートフォンやパソコンなどを使い、ビデオ通話や電話で医師の診察を受ける診療方法を指します。

通院時間や待ち時間が発生しないため、病院に行く時間が取れない方におすすめです。また、診察する医師以外と顔を合わせなくてよい、院内感染のリスクがないといったことも利点といえるでしょう。

オンライン診療でピルを受け取る方法は、以下のように2種類あります。

  • 配送されたピルを自宅で受け取る
  • 薬局でピルを受け取る

薬局の場合、自宅に処方箋が届いて近所の薬局に持って行く場合もあれば、指定した薬局に処方箋がFAXなどで送られて受け取るケースもあります。

通販サイトでは購入しない

通販サイトでピルを購入するのはやめましょう。通販サイトや個人輸入のサイトでピルが販売されていますが、これらのサイトで販売されているピルには、偽物や粗悪品が紛れている可能性があります。偽薬や粗悪品であった場合、避妊などの効果は得られないでしょう。

また、海外のピルは日本の法律に基づく安全性をクリアしていない場合があり、リスクを伴います。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」においても、個人輸入の医薬品などへの注意喚起が行われています。ピルの効果を得るため、また自分の健康を守るためにも、必ず医師による診察・処方を受けることが大切です。

参照元:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」

【基礎知識】ピルの種類

ピルは、卵胞ホルモンの含有量によって、以下のように分類されています。

  • 超低用量ピル
  • 低用量ピル
  • 中用量ピル
  • アフターピル

それぞれのピルの特徴をみていきましょう。

超低用量ピル

超低用量ピルとは、卵胞ホルモン量が0.03ミリグラムより少ないものを指し、月経困難症や子宮内膜症の治療目的で使用されることが一般的です。配合されているホルモン量が少ないため、吐き気や頭痛、下痢などの副作用が出にくいというメリットがあります。

超低用量ピルは、「LEP」(Low dose Estrogen Progestin)に該当する薬で、保険適用となります。LEPは、国内では避妊を目的とした処方は行われていません。

低用量ピル

低用量ピルは、卵胞ホルモン量が0.05ミリグラムより少ないピルのことです。用量・用法を守って内服すれば、99.7%という高い避妊効果が期待できるほか、月経困難症や過多月経などの改善効果が期待できます。そのほか、生理周期の乱れや肌荒れの改善効果も期待できます。

中用量ピル

中用量ピルは、1錠あたりの卵胞ホルモン配合量が0.05ミリグラム以上で、生理の日をずらすのに適しているほか、アフターピルとしても用いられる薬です。

緊急避妊を目的として使う場合は、72時間以内に服用すれば80%以上の避妊効果が期待できます。また、月経困難症や過多月経、生理不順の治療にも使われます。

服用を開始して間もないころは、吐き気や頭痛などの副作用が出やすいことに注意が必要です。ただし、体が慣れることで次第におさまるため、日常生活に支障がなければそのまま飲み続けて問題ありません。

アフターピル

アフターピルは黄体ホルモンを主成分としており、緊急避妊薬として用いられます。妊娠の可能性のある性行為の後、72時間以内にアフターピルを服用することで避妊効果を得られます。性行為から時間が経つにつれ避妊効果が低下するため、なるべく早く服用することが大切です。

アフターピルは市販化される?

2023年11月から2024年3月にかけて、アフターピルを医師の処方箋なしで薬局で販売する、試験的な取り組みが行われました。この取り組みが実施されたのは、緊急避妊薬を調剤したことのある薬局を中心として、原則として以下の条件を満たした全国145の薬局です。

  • オンライン診療に基づく緊急避妊薬の調剤に関する研修を修了した薬剤師が販売する
  • 夜間および土日祝日に対応できる
  • プライバシー確保が可能な個室などの販売施設を保有する
  • 近隣の産婦人科医やワンストップ支援センターとの連携体制を構築できる

アフターピルの試験的な販売は、市販化の可能性を検証することが目的であり、日本もアフターピルの市販化に向けて動き始めたことを示唆しています。

しかし、実際に市販化されるかは2024年8月時点で未定です。そのため、アフターピルを服用したい場合は、産婦人科や婦人科の病院に行くか、オンライン診療を受けて処方してもらう必要があります。

アフターピルの市販化で想定される影響

アフターピルを市販化することで、意図しない妊娠を減らせるでしょう。

アフターピルの避妊効果は、基本的に性交以後72時間以内の服用によって得られます。現状では、アフターピルを入手するには医師の処方が必要であるため、72時間以内に通院しなければなりません。しかし、人によっては推奨される時間内での通院が困難な場合もあるでしょう。

そのため、市販薬としてドラッグストアなどで入手できるようになれば、意図しない妊娠を減らせる可能性があります。

海外での市販状況

日本では処方箋がないと購入できないアフターピルですが、厚生労働省の「緊急避妊薬に関する海外実態調査 結果概要」によると、海外ではアメリカやドイツ、フィンランドをはじめとした約90の国と地域でアフターピルを処方箋なしで購入することが可能です。

ただし、ドイツやイギリス、フィンランドでは販売の際に薬剤師の関与が必要であり、イギリスでは薬局での購入は16歳以上という年齢制限が設けられています。

参照元:厚生労働省「緊急避妊薬に関する海外実態調査 結果概要

アフターピルを服用する際の注意点

アフターピルを服用する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 有効時間内に服用する
  • 本人以外は処方してもらえない
  • 低用量ピルはアフターピルの代わりにはならない

それぞれの内容について解説します。

有効時間内に服用する

アフターピルは、必ず有効時間内に服用しましょう。基本的には、72時間を過ぎてしまうと、避妊効果が大幅に下がります。ただし、72時間を過ぎてしまっても多少は効果を期待できるとされるため、服用すべきかどうかを医師に相談してみてください。

なお、日本では認可されていないアフターピルの中には、性行為後120時間まで高い避妊効果を期待できるものもあります。たとえば「エラワン」は日本では未認可ですが、FDA(アメリカ食品医薬品局)では認可されており、日本においても病院やオンライン診療で処方してもらえる場合があります。

本人以外は処方してもらえない

アフターピルの処方を希望する場合、必ず本人が受診しなければなりません。婦人科や産婦人科の受診、オンライン診療の受診のいずれの場合でも、親や友人、パートナーなどが代理で診療を受けることは認められないため注意しましょう。

低用量ピルはアフターピルの代わりにはならない

低用量ピルをアフターピルの代わりに服用しても、緊急避妊の効果は期待できません。

低用量ピルは、継続して飲むことで避妊効果が得られる薬です。一方で、アフターピルは1錠飲めば避妊効果が期待できることが特徴であり、避妊に失敗してから低用量ピルを単発で1錠服用しただけでは、アフターピルと同様の効果は得られないことを知っておきましょう。

まとめ

ピルは、市販薬を販売している国内のドラッグストアなどでは購入できません。医師の処方箋が必要な医療用医薬品に分類されているため、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。

通販サイトや個人輸入サイトでの購入は、安全性や有効性が確保されていないためやめましょう。これらのサイトで販売されているピルには、偽物や粗悪品が紛れている可能性があります。偽薬や粗悪品であった場合、避妊などの効果は得られないほか、健康被害を受けるリスクがあります。

ピルを処方してもらうために、婦人科で受診するのは面倒だと思う方もいるでしょう。婦人科への通院を負担に感じる方におすすめなのが、オンライン診療での受診です。

オンライン診療であれば、通院時間や待ち時間が発生しません。また、診察する医師以外と顔を合わせなくてよい、院内感染のリスクがないといったことも利点です。

レバクリでは、オンライン診療によるピルの処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました