更新日:2024年10月29日
茶色い不正出血の原因とは?考えられる病気やピルとの関係性を解説
- 不正出血はホルモンバランスの乱れや病気が原因で生じる
- 茶色の不正出血は生理前後や排卵期に起こることがある
- 茶色の不正出血を伴う病気には子宮がんや子宮頸管ポリープなどがある
- 毎月不正出血がある、不正出血が続くといった場合は早めに婦人科で受診する
不正出血とは、生理周期以外に起こる性器からの出血のことです。ホルモンバランスの乱れや病気が原因で引き起こされます。ほとんど気にする必要のない軽いものから深刻な病気まで、原因はさまざまです。
ここでは、茶色い不正出血・おりものが生じる原因や、茶色の不正出血を伴う病気について解説します。不正出血が生じた場合の対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不正出血とは
不正出血(不正性器出血)とは、生理周期以外に起こる性器からの出血です。この場合の性器とは、内性器と外性器のことを指します。女性の内性器は子宮や卵巣、卵管、膣などで、外性器は外陰部と膣の一部です。
生理周期以外で内性器や外性器から出血すると、不正出血となります。不正出血の原因によって、以下の2つに分類されます。
- 機能性出血
- 器質性出血
機能性出血は、主にホルモンバランスの乱れが原因です。ホルモンバランスが乱れがちな思春期や更年期によくみられます。
一方、器質性出血は、病気が原因で生じます。考えられる病気は、子宮筋腫や子宮内膜症、膣炎、子宮腟部びらん、子宮頸がん、子宮体がんなどです。
出血の色や量だけで出血した箇所や原因を特定することは困難です。不正出血がある場合は、速やかに婦人科で受診しましょう。
不正出血が茶色くなる原因
不正出血が茶色くなる原因は、血液が体内で酸化して茶色に変色するためです。
出血したばかりの血液が排出される場合、通常、鮮やかな赤色をしています。ただし、ごく少量の場合は、黄色く見えることもあります。
出血してから体外に排出されるまで時間がかかった血液の場合、茶色くなる可能性が高いでしょう。
茶色い不正出血・茶色いおりものの原因
ここでは、茶色い不正出血や茶色いおりものの原因を解説します。不正出血は10代・20代と若い年齢層から更年期世代まで、幅広い年齢層で見られる症状です。それほど心配する必要がないものもありますが、きちんと理解しておくことが大切です。
生理前後の出血
生理前後に不正出血がある場合は、子宮内膜が剥がれ落ちたものである可能性が高いでしょう。
生理中、子宮内膜は剥がれて体外へ排出されますが、生理が始まる前から少しずつ剥がれ始めており、少量の経血や茶色いおりものが出ることがあります。
生理前に不正出血があっても、通常の生理が始まるようであれば、それほど心配はいりません。しかし、出血が長く続く場合は病気の恐れもあるため、婦人科で診てもらいましょう。
排卵期出血
排卵期出血も、茶色い不正出血の原因のひとつです。排卵期出血は、排卵時期におけるホルモンバランスの急激な変化によって生じます。性成熟期(10代後半~40代前半)の女性によくみられる症状です。
排卵期出血は、生理と生理の間に起こることから「中間期出血」とも呼ばれます。少量で短期間の場合は、健康上の大きな問題を心配する必要はないでしょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れも、茶色い不正出血やおりものの原因となります。ストレスや環境の変化、加齢によって、脳下垂体や卵巣などから分泌されるホルモンの分泌量が乱れることで引き起こされます。
妊娠による着床出血
妊娠による着床出血も、不正出血や茶色いおりものの原因です。着床出血とは、受精卵が着床したときに起こる少量の出血のことで、生理が始まる頃に起こります。
着床出血の場合、腹痛を伴うことがあります。腹痛があったり、生理予定日を1週間過ぎても生理がこなかったりする場合は、妊娠検査薬で調べるか病院で診てもらいましょう。
茶色の不正出血を伴う病気
茶色の不正出血を伴う主な病気は、以下のとおりです。
- 子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)
- 子宮頸管ポリープ
- 性感染症
- 子宮筋腫
ここでは、それぞれの病気の特徴を解説します。
子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)
子宮がんとは悪性腫瘍のひとつで、発症する部位によって子宮頸がんと子宮体がんに分けられます。
子宮頸がんとは、子宮の入口付近から頸管に発症するがんで、ヒトパピローマウイルスの感染が大きな要因です。性交の経験がある女性であれば、誰でも発症する可能性があります。比較的、若い年齢層にも起こりうる病気で、早期発見・早期治療が欠かせません。
一方、子宮体がんは、子宮体部の子宮内膜で発症するがんです。閉経後の女性に多くみられる病気で、不正出血や血性のおりものなどの症状を伴います。閉経したにもかかわらず不正出血がある場合は、早めに婦人科で診てもらいましょう。
子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープは、子宮の入口にできる良性のポリープです。わずかな刺激でも出血しやすく、性交や激しい運動などで引き起こされます。
深刻な病気に進行することはほとんどありませんが、不正出血が頻繁に起こる場合は、切除して良性・悪性を確認する検査を行うと安心です。
性感染症
性感染症も、不正出血や茶色のおりものの原因です。代表的な性感染症には、以下のようなものが挙げられます。
- クラミジア
- 淋病
- 梅毒
- 性器ヘルペス
- 細菌性腟症
これらの性感染症にかかると、おりものが増えたり、かゆみや痛みが生じたりします。通常、薬の服用で改善が見込めます。
症状がなくなった場合でも再発することがあるため、気になる症状が再び出たときは婦人科で診てもらうことが大切です。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋層にできる良性の腫瘍です。筋腫の大きさや発症する部位によって症状が異なります。代表的な症状は、不正出血や月経過多などです。月経量が多く、生理が長引くため、貧血になる場合もあります。
不正出血がみられたときの対処法
不正出血は、症状だけで原因を特定するのは困難です。不正出血がある場合は、婦人科で診てもらいましょう。以下の項目を受診の目安にしてみてください。
- 毎月不正出血がある
- 不正出血が続いている
- 1年以上、子宮がんの検査を受けていない
- 下腹部痛やおりものの異常を伴う
- 閉経後の不正出血
上記以外にも「普段と違う」と感じる症状がある場合は、早めに婦人科で診てもらいましょう。
ピルと茶色い不正出血の関係性
低用量ピルやジエノゲスト(ディナゲスト)を服用している場合、不正出血が生じることがあります。これは、服用によって一時的にホルモンバランスが乱れたために生じるものです。2〜3か月ほど服用を続けると落ち着くため、様子をみましょう。
ただし、服用を継続しても不正出血が続く、飲み忘れがないのに不正出血があるといった場合は、何らかの病気が原因となっていることも考えられます。このようなときは、婦人科で相談しましょう。
まとめ
不正出血は、ホルモンバランスの乱れや病気が原因で引き起こされます。不正出血が茶色くなるのは、出血した血液が体内で酸化するからです。不正出血は、症状だけで原因を特定するのは困難なため、早めに婦人科で受診するとよいでしょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました