更新日:2024年10月29日
ピルを飲む時間はずれても大丈夫?ずれたときの対処法や防止策を紹介
- ピルを飲み忘れたり時間がずれたりした場合、不正出血や効果の減少につながる恐れがある
- ピルの服用時間が24時間以内のずれの場合、気づいた時点で1錠服用し、次の分はいつもの時間に飲む
- ピルの服用のずれが24時間以上48時間の場合、気づいた時点で前日分と当日分を服用する
- ピルの服用が48時間以上ずれたときは服用を中止する
- ピルの飲み忘れを防ぐ方法はアラームを設定する、ルーティーンとセットにするなど
「ピルを飲む時間はずれても大丈夫だろうか」と不安になる方もいるのではないでしょうか。ピルは飲む時間がずれると効果を得られないこともあるため、注意が必要です。
本記事では、ピルの服用がずれた場合に起こることやずれたときの対処法、飲み忘れを防ぐ方法について解説します。
ピルは毎日決まった時間に飲むことが大切
「ピルは飲むタイミングが決まっているのだろうか?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
ピルの服用で避妊効果や生理痛・PMSの軽減などの効果を得るためには、毎日決まったタイミングで1錠を飲み続けることが必要です。
飲み忘れてタイミングがずれると、効果を得られない可能性があります。そのため、ピルを飲む時間がずれないよう工夫することが大切です。
ピルの服用時間がずれるとどうなる?
ピルを飲む時間がずれた場合、不正出血が起こったり、避妊効果に影響したりする可能性があります。
ここでは、ピルの服用時間がずれた場合に起こりうることをみていきましょう。
不正出血が起こりやすい
ピルを服用する時間が毎日ずれてバラバラの場合、生理のとき以外に出血する不正出血が起こる可能性があります。
ピルは毎日決まった時間に服用することでホルモンバランスを整え、さまざまな効果を得られる薬です。しかし、ピルを服用するタイミングが毎日ずれていると、ホルモンバランスが乱れて不正出血を引き起こすことがあるでしょう。
ピルを飲み始めて1〜3か月程度はホルモンバランスが安定していないため、不正出血が起こる場合があります。通常であればそれほど心配する必要はありませんが、3か月以上不正出血が続く場合、ピルの服用時間のずれが原因の可能性があるでしょう。
避妊効果に影響する
ピルを飲む時間が12時間以上ずれると、避妊効果が下がる可能性があります。飲み忘れに気づいたとき、すぐに服用しましょう。翌日からはこれまでと同様、決まった時間に飲むようにしてください。
24時間以上時間がずれて、1回分もしくは2回分飲み忘れた場合も、気づいた時点で1錠を服用し、当日分はいつもの決まった時間に服用しましょう。飲み忘れてから連続して7日間ピルを服用するまでは避妊効果を得られない可能性があるため、その間は性行為を控えるか、他の避妊法で対策することをおすすめします。
12時間以内のずれであれば避妊効果にあまり影響はないため、翌日からは時間を守って服用してください。
ピルの正しい飲み方
ピルは1シート21錠タイプと28錠タイプの2種類があります。どちらも効果は同じですが、飲み方が異なります。
ピルの服用を開始するタイミングは、一般的に生理開始日です。それ以外のタイミングは効果を得られる時期が異なるため、必ず医師の指導のもと服用を開始してください。
ここでは、ピルの正しい飲み方をみていきましょう。
21錠タイプの場合
21錠タイプは、1つのシートに3週間分・21錠のピルが入っています。これを1日1錠、決まったタイミングで飲み、1シート・3週間分のピルを飲み終わったら7日間休薬します。その後、新しいシートを飲み始めるという手順です。
ピルの服用を休む期間に、「消退出血」という生理のような出血が起こります。血中の女性ホルモンが減少することで子宮内膜が剥がれ落ち、少量の出血が起こる現象です。
28錠タイプの場合
28錠タイプは、1つのシートに4週間分・28錠が入っています。28錠のうち7錠は、女性ホルモンが含まれていない偽薬(プラセボ)です。
実際にピルを服用するのは21錠タイプと同じく21日間で、偽薬を飲んでいる7日間は21錠タイプと同じく休薬期間になります。そのため、偽薬を飲んでいる期間に消退出血が起こるでしょう。
偽薬があるのは毎日錠剤を飲む習慣をつけ、休薬期間のあとにピルを飲み忘れるのを防ぐためです。そのため、偽薬を飲み忘れること自体はピルの効果に影響がありません。
ピルを飲む時間がずれたときの対処法
ピルを飲む時間がずれたときの対処法は、ずれた時間ごとに異なります。
時間別の対処法をみていきましょう。
12時間以内のずれ
12時間以内のずれは誤差の範囲内であり、気づいた時点ですぐに服用すれば、基本的に問題ありません。翌日以降は、前日までの服用時間に戻して飲み続けることで、ピルの効果がなくなるリスクは避けられるでしょう。
たとえば、毎日朝の9時にピルを服用している場合、夜の9時までに気づけばすぐに服用し、翌日はまた朝の9時に服用します。
12時間以上24時間以内のずれ
12時間以上24時間以内に飲み忘れに気づいた場合、まず、飲み忘れた分をすぐに服用します。その次に飲むピルは、いつもの時間に飲むようにしてください。
24時間以内のずれであれば、ただちに効果がなくなることはないため、服用をやめる必要はありません。
たとえば、毎日朝の9時にピルを服用している場合、飲み忘れて翌日の朝9時までに気づいたときはすぐに服用し、次の分は朝の9時に服用してください。
24時間以上のずれ
前回の服用から24時間以上ずれてしまった場合、気づいた時点で前日分と当日分を服用しましょう。
24時間以上ずれた場合は避妊効果が得られない可能性があるため、避妊具を使用するか、性行為はしないようにしましょう。
たとえば、毎日朝の9時にピルを服用している場合で、翌日の朝9時以降に飲み忘れに気づいたときは、前日の飲み忘れた分と、朝9時に飲む分の2錠を服用します。翌日からはいつものとおり朝の9時に服用してください。
48時間以上ずれたときは服用を中止する
48時間以上飲み忘れてしまった場合は、服用を中止します。朝の9時にピルを服用している人であれば、翌々日の朝9時以降に気づいた場合です。次の生理が始まったタイミングで、新しいシートのピルを飲み始めてください。
避妊目的で服用している場合、性行為は控えるか避妊具を使いましょう。避妊具なしで性行為をした場合は、緊急避妊薬(アフターピル)の服用も選択肢の一つです。
ピルの飲み忘れ・時間のずれを防ぐ方法
ピルの飲み忘れや時間のずれを防ぐためには、対策をとることが大切です。
ここでは、ピルの飲み忘れを防ぐ方法を4つ紹介します。
アラームやリマインダーを設定する
ピルを飲む時間をスマートフォンなどのアラーム機能やリマインダー機能で設定することで、飲み忘れを防げます。
薬の服用時間になるとアラームでお知らせするアプリもあるため、利用してみるとよいでしょう。アプリは服用時間になるとお知らせするほか、服薬状況のチェックやお薬手帳、健康管理など、さまざまな機能が搭載されています。
毎日のルーティンとセットにする
ピルの服用を毎日のルーティンとセットにすると、飲み忘れを防止できます。起床後や就寝前など、毎日決まった時間に行う行動とピルの服用をセットにしてみましょう。
たとえば、朝食のテーブルに置いて食べたあとに飲む、ベットサイドに置いて就寝前に飲むといった方法です。服用を習慣化でき、飲み忘れを防止できるでしょう。
目につく場所に置く
ピルを目につく場所に置くことも、飲み忘れを防ぐ一つの方法です。ピルを目につく場所に置いておけば、目に入るたびにピルの服用を意識でき、飲み忘れを防止できます。
カバンの中や見えない容器に入れるのではなく、フタのないトレイに置いたり透明の容器に入れたりするとよいでしょう。
服用の記録をつける
服用の記録をつけることも、飲み忘れの防止につながります。記録をつけていれば、あとから飲んだかどうか不安になっても、すぐに確認できるでしょう。
先述したアプリにも、カレンダーに服用状況を記録する機能を搭載しているものがあります。記録をつけることを習慣化できれば、飲み忘れの防止につながるでしょう。
ピルの服用時間のずれや飲み忘れについては医師に相談する
ピルを服用する時間がずれたり飲み忘れたりした場合、自己判断で対応せず、医師に相談することをおすすめします。
インターネットで情報を得ることも可能ですが、自分の状況に必ずあてはまるとは限りません。
「病院が遠くて行くのが大変」「病院で長く待つのは避けたい」という場合は、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。オンライン診療であれば自宅で受診でき、基本的に待ち時間がないため空き時間を利用して医師に相談できます。
まとめ
ピルを飲む時間がずれると、期待する効果を得られない可能性があります。12時間以内のずれであれば、気づいた時点ですぐに服用すれば問題ないでしょう。しかし、1日以上飲み忘れてしまったときは避妊効果を得られない可能性があります。
ピルの飲み忘れや時間のずれを防ぐには、アラームを設定したり、毎日のルーティンとセットにしたりするなど工夫しましょう。
「ピルの服用について相談したいことがある」という方は、オンライン診療がおすすめです。
レバクリのオンライン診療では、場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察を受けられます。処方された薬は、自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料のため、ぜひ利用してみてください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました