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更新日:2025年01月21日

生理前は本当に妊娠しにくい?排卵の仕組みや避妊方法を解説

この記事のまとめ
  • 妊娠しにくい日はあっても、絶対に妊娠しない日はない
  • 生理周期は、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分かれる
  • 生理前が妊娠しにくいといわれるのは、排卵後に卵子の寿命が尽きるから
  • 妊娠しやすい排卵日は、ある程度予測できる
  • 望まない妊娠を防ぐには、「妊娠しにくい日」で判断せずに避妊することが大切

生理前は、妊娠しにくい「安全日」といわれることがありますが、絶対に妊娠しない日は存在しません。望まない妊娠を防ぐには、避妊することが大切です。

本記事では、生理前が妊娠しにくいといわれる理由や生理のメカニズムを解説します。また、排卵日の予測方法や避妊方法も紹介するので、参考にしてください。

妊娠における「安全日」と「危険日」とは

女性は、性交渉により精子と卵子が受精し子宮内膜に着床すると妊娠します。

女性の中には、排卵日の予測をもとに妊娠しにくい日を「安全日」、妊娠しやすい日を「危険日」と捉えて避妊の有無を決める人もいるようです。しかし、妊娠しにくい日はあったとしても、「絶対に妊娠しない日」はありません。また、正確な排卵日を予測することは難しく、体調やストレス、疲労などにより前後2週間ほどズレることもあります。

精子には、3〜7日ほどの寿命があります。そのため、排卵日が少しズレると、卵子は生き残った精子と受精することがあります。間違った認識のもと避妊せずに性交すると、思わぬ妊娠を招く可能性があるでしょう。

生理と生理周期とは

ここでは、「安全日」と「危険日」を考えるうえで欠かせない生理と生理周期について解説します。

生理とは

生理とは、排卵された卵子と子宮内膜が剥がれ落ち、排出される現象のことです。一般的に、卵子は1ヶ月に1個のペースで排出されます。排卵された卵子と精子が受精し、着床すれば妊娠です。受精・着床に至らなければ、生理が起こります。

生理に大きく影響しているのが、2種類の女性ホルモンです。生理が終わってから排卵までに多く分泌されるのが卵胞ホルモン(エストロゲン)で、子宮内膜を厚くする働きがあります。排卵後から生理開始までに多く分泌されるのが黄体ホルモン(プロゲステロン)で、受精卵を子宮内膜に着床しやすくする働きがあります。

女性は、生理周期を通してさまざまな身体的症状を感じます。これは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンによるものです。卵胞ホルモンと黄体ホルモンは異なる働きがあり、それぞれの例は以下のとおりです。

卵胞ホルモン(エストロゲン)の働き黄体ホルモン(プロゲステロン)の働き
・子宮内膜を厚くし妊娠の準備をする
・丸みのある女性らしい身体をつくる
・乳房や性器の発達を促す
・骨・血管・関節の健康を保つ
・認知機能を維持する
・肌や粘膜を潤す
・受精卵が着床しやすいよう子宮内膜を成熟させる
・妊娠を助ける
・体温を上昇させる
・食欲を増す
・水分をため込む
・腸の働きを抑える
・眠気を催す

生理周期において、2種類の女性ホルモンが心身に影響を与えます。

生理周期とは

生理周期とは、生理初日から次の生理日までのサイクルのことです。通常、25〜38日を1周期として、次の4つの段階に分類されます。

  • 月経期
  • 卵胞期
  • 排卵期
  • 黄体期

それぞれの段階の特徴について解説します。

生理が起こる月経期

月経期は、その名のとおり生理が起こっている時期です。子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに排出されます。

月経期は、胎内環境を作るうえで欠かせない卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌が少ないため、妊娠しにくい時期といえるでしょう。個人差はありますが、月経期は3〜7日ほどです。

妊娠しやすい卵胞期

卵胞期は、新たな卵子を育てている時期です。卵巣からの卵胞ホルモンの分泌が、徐々に増えます。卵胞ホルモンの影響で、心身ともに安定する時期でもあります。卵胞期は、平均で13〜14日ほどです。

妊娠率の高い排卵期

排卵期は、成熟した卵子が卵胞から排出される時期です。生理周期の中では、最も妊娠率が高い時期といえるでしょう。通常、排卵期は16〜32時間続きます。

妊娠しにくい黄体期

黄体期は、妊娠に備えて子宮内膜が厚くなる時期です。排卵した卵子の寿命は、12〜24時間ほどです。この間に精子と受精しないと、月経期に移行して生理が始まります。

生理前の黄体期は、比較的妊娠しにくい時期です。しかし、着床しやすい環境が整っているため、排卵日がズレて卵子と精子が受精すると、妊娠する可能性があります。

生理前が妊娠しにくいといわれる理由

生理前が妊娠しにくいといわれるのは、排卵後に卵子の寿命が尽きるからです。通常、排卵された卵子は、24時間以内に受精しなければ死んでしまいます。

こうした理由から、生理前の1週間は、妊娠しにくい「安全日」と思われています。しかし、生理前の1週間は絶対に妊娠しないとは言い切れません。ストレスや体調により排卵日がズレることはよくあります。自分で排卵日を予測し、妊娠しにくいとされる日に性交したとしても、避妊しなければ妊娠する可能性があることを覚えておきましょう。

危険日(排卵日)の予測の仕方

絶対に妊娠しない日はありませんが、妊娠しやすい排卵日である「危険日」を予測する方法はあります。

代表的な方法は、次の4つです。

  • オギノ式
  • 基礎体温の測定
  • 排卵日予測検査薬の使用
  • おりものの状態の確認

それぞれの方法を解説します。

オギノ式

オギノ式とは、産婦人科医である荻野久作氏が考案した排卵日の予測方法です。オギノ式では、生理周期の日数から14日を引いた日を排卵日の目安としています。ただし、正確に排卵日を予測するのは難しいため、ズレを考慮し、算出された日の前後2〜3日を含めた5日間を排卵日と定義づけています。

生理周期が30日の場合、排卵日の目安は次のとおりです。

30日ー14日=16日

この計算式で算出された16日の前後2〜3日を含め、生理開始日から14〜18日目までが排卵予定日と予測します。

ただし、生理周期が安定していない方には、オギノ式は向いていません。オギノ式を活用できるのは、生理周期がほぼ安定しており、自分の生理周期やタイミングを把握している方です。

基礎体温の測定

基礎体温の測定により、排卵日を予測できます。基礎体温とは、体の動きが一番安静な状態にあるときの体温のことです。一般的に、朝目覚めた直後、寝たままの状態で測った体温のことをいいます。基礎体温は、専用の体温計(基礎体温計)を使って、舌下で測ります。

月経期と卵胞期の基礎体温は低い傾向があり、排卵を境に、高温の黄体期に入るのが通常です。排卵は、低温期から高温期に入るタイミングで起こります。基礎体温をきちんと測っておけば、排卵の時期を予測できます。

排卵日予測検査薬の使用

排卵日予測検査薬とは、最も妊娠しやすい日の1日前がわかる検査薬のことです。尿検査キットを使って、排卵を引き起こす黄体形成ホルモンの濃度上昇を調べて予測します。

普段から微量の黄体形成ホルモンは分泌されていますが、大量に分泌されるタイミングがあり、これを「LHピーク」といいます。このLHピークから、24〜36時間以内に排卵が起こるとされています。排卵日予測検査薬は、LHピークを判定することが可能です。

おりものの状態の確認

おりのものの状態から、排卵予定日をある程度予測できます。排卵期のおりものは、卵白のように強い粘性を持っているのが特徴です。3日以上、粘り気のあるおりものが普段よりも多く分泌されると、排卵が近いといわれています。

ただし、おりものの状態には個人差があります。排卵日前、全員が同じようなおりものを分泌するわけではありません。おりものの状態から排卵日を予測する際は、あくまでも目安と考え、ほかの方法と併用するとよいでしょう。

妊娠を防ぐ4つの避妊方法

「安全日」や「危険日」をもとに避妊の有無を決めることは避け、望まない妊娠を避けるために正しい避妊方法を知っておくことが大切です。避妊方法には、次の4つが挙げられます。

  • コンドーム
  • IUD(子宮内避妊具・避妊リング)
  • IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)
  • OC(低用量ピル)

避妊方法の中には、男性だけでなく、女性自らができることもあります。正しく避妊すれば、100%近い確率で妊娠を防げます。

コンドーム

コンドームは薄いゴム製の袋で、精子が子宮内に入るのを防ぐ避妊具です。簡単に手に入るコンドームは、利用しやすい避妊方法です。正しく使えば、避妊率は85%ほどといわれています。

コンドームは、性器同士が直接触れるのを防ぐため、避妊具としてだけでなく性感染症の予防にも有効です。コンドームを装着するのは男性側であるため、利用にあたっては男性の理解が求められるでしょう。

IUD(子宮内避妊具・避妊リング)

IUD(子宮内避妊具・避妊リング)とは、ポリエチレンなどでできた小さな器具のことです。IUDを挿入することで、卵子と精子の受精を防いだり着床を阻害したりできます。

IUDは女性自らができる避妊方法で、避妊率は95%ほどです。装着後は定期検診のみで、性行為のたびに避妊を考える必要がなくなる点がメリットでしょう。数年にわたって、避妊効果を得られます。

IUDを取れば妊娠することが可能なため、ライフプランに合わせて利用するのもおすすめです。

IUS(子宮内黄体ホルモン放出システム)

IUSとは、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムのことです。一度の装着で、最長で5年ほどの避妊効果を期待できます。

IUSは飲み薬ではなく局所的に作用するため、全身への影響を減らせる点がメリットです。避妊目的だけでなく、月経困難症や過多月経の治療にも利用されています。

OC(低用量ピル)

OC(低用量ピル)は、適切に服用すれば99.7%の確率で避妊が可能です。

OC(低用量ピル)は、服用し始めて間もないころは、吐き気や頭痛、むくみなどの副作用が起こる場合があります。副作用は体がホルモンバランスの変化に慣れるまでの一時的なもので、通常、1~3ヶ月程度服用を継続すると消失します。

OC(低用量ピル)は市販されておらず、病院で処方してもらう必要があります。忙しくて病院に行けない方は、オンライン診療を利用するのも一つの方法です。

避妊に失敗したときはアフターピルを活用する

避妊に失敗したときに活用できるのが、アフターピルです。妊娠は、排卵・受精・着床の3つの段階を経て成立しますが、アフタービルは、排卵と受精のタイミングに働きかけて妊娠を防ぎます。

服用が早ければ早いほど避妊効果が高いため、不安な性行為があったら、できる限り早く服用するのがおすすめです。アフターピルには、72時間タイプと120時間タイプの2種類があります。

アフターピルは、市販薬として販売されておらず、医療機関で処方してもらう必要があります。特別な検査は必要なく、簡単な問診のみで処方してもらえます。心配であれば、その場で服用することも可能です。

まとめ

生理前は妊娠しにくい傾向がありますが、絶対に妊娠しないわけではありません。自分で「安全日」や「危険日」と判断し、避妊せず性行為を行うと、望まない妊娠につながる可能性があるため注意が必要です。

ただし、妊娠しやすい排卵日を予測することはできます。オギノ式や基礎体温の測定、排卵日予測検査薬の使用などが有効です。また、望まない妊娠を防ぐためにはコンドームやIUD(子宮内避妊具・避妊リング)、OC(低用量ピル)などの使用が効果的でしょう。

OC(低用量ピル)は市販されておらず、病院での処方が必要です。レバクリではピルのオンライン診療を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。診察料は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました