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更新日:2025年01月21日

生理前におりものが増える原因は?妊娠初期との違いも解説

この記事のまとめ
  • おりものとは子宮や膣から出る分泌物のことで、生理直前には量が増える傾向がある
  • おりものには自浄作用で身体を守る働きや受精をサポートして妊娠を促す役割がある
  • おりものは女性ホルモンの影響を受けるため、生理周期に応じて量や形状が変化する
  • 妊娠初期のおりものは生理前よりも多く、サラッとして粘り気が少ない
  • おりものは10代から増え始め、閉経が近づくにつれて減っていく

生理前のおりものの量が増えてにおいが強いと感じ、その原因が気になっている方もいるかもしれません。

生理直前におりものの量が増え、においが強くなることは一般的であるため、とくに心配する必要はありません。妊娠初期のおりものも量が増えますが、サラッとして粘り気が少ない点が生理直前との違いです。

この記事では、生理前のおりもの特徴や生理周期におけるおりものの変化、受診したほうが良いおりものの特徴などについて解説します。

おりものの役割

おりものとは、子宮や膣から出る分泌物のことです。おりものの量は女性ホルモンと密接な関係があり、生理直前には量が増える傾向があります。

ここでは、おりものが担う役割について見ていきましょう。

自浄作用により体を守る

おりものは、自浄作用によって膣や子宮を守る役割を果たします。膣の中を酸性にし、適度に潤すことで雑菌が膣の中に入るのを防ぎ、清潔な状態に保ちます。また、古い細胞や不要な老廃物を体外に排出するのも、おりものの役割です。

受精をサポートして妊娠を促す

おりものには、受精をサポートして妊娠を促す役割もあります。具体的には、精子が膣から子宮を通過し、卵子までたどり着くまで潤滑油のような働きを担います。排卵から生理前にかけておりものの量が増えるのは、受精をサポートするためです。

生理前に増える?生理周期におけるおりものの変化

おりものは女性ホルモンである卵胞ホルモンと黄体ホルモンの影響を受けるため、生理周期に応じて量や質が変化します。 それぞれの時期における、おりものの特徴を確認しましょう。

【生理直前】量が増えてにおいが強くなる

生理直前は、おりものの量が増えてにおいが強くなりやすい時期です。この時期のおりものは、下着に付着すると、黄色っぽく見えることもあります。酸っぱいにおいがするのは、膣の中が酸性に保たれているためです。

【卵胞期前半】少量でサラッとしている

卵胞期とは、生理後1週間程度の期間を指します。卵胞期前半のおりものは、少量でサラッとしています。生理で残った経血が混じると、茶色っぽく見える場合もあるでしょう。

【卵胞期後半~排卵期】量が増えて粘り気が出る

おりものは、卵胞期の後半から排卵期にかけて量が増え、少し糸を引くような粘り気が出てきます。色は透明で、においはあまり感じないでしょう。

【黄体期】量が減り白く濁る

黄体期は、排卵後から生理までの期間を指します。PMS(月経前症候群)の症状が出やすい時期でもあります。

おりものの量は徐々に少なくなり、色は透明からやや白っぽい色に変化するでしょう。粘り気がさらに強くドロッとした状態になり、においも少し強くなります。

生理直前と妊娠初期のおりものの違い

生理直前と妊娠初期は、いずれも女性ホルモンの影響を受けて、おりものの量が増えます。しかし、妊娠初期のほうが生理前よりも多くなる傾向があるほか、おりものの状態に違いがあることを知っておきましょう。おりものの量や粘り気、色・においに関するそれぞれの違いを解説します。

量:妊娠初期のほうが増える

生理直前も妊娠初期も、分泌されるおりものの量は増えるものの、女性ホルモンが増加する妊娠初期のほうが増える傾向があります。

排卵後から生理までの黄体期は、女性ホルモンが増え続けるわけではありません。黄体期の前半は黄体ホルモンの分泌が減るため、おりものの量は減ります。ただし、黄体期の後半から生理直前には再び量が増えていきます。

粘り気:生理直前のほうが出やすい

生理直前のおりもののほうが、妊娠初期よりも粘り気が出やすくなります。妊娠初期のおりものはサラッとして、粘り気が少ないことが特徴です。生理直前と妊娠初期では粘り気に違いがあるため、注目するとよいでしょう。

色・におい:違いが少ない

色やにおいについては、生理直前と妊娠初期のおりものに大きな違いはありません。生理直前のおりものは、生理の経血が混じってピンク色に見えることがあります。妊娠初期についても、着床によって子宮内膜が傷つき、少量の出血がおりものに混ざってピンク色になるケースがあります。

なお、酸っぱいにおいが強くなることも、生理直前と妊娠初期に共通したおりものの状態といえるでしょう。

年代別のおりものの変化

おりものは女性ホルモンによって量や状態が変化し、女性ホルモンの量が増え始める10代から増加し、閉経が近づくにつれて減っていくことが一般的です。ここでは、年代別のおりものの変化を見ていきましょう。

初潮~10代

初潮から10代にかけては女性ホルモンの分泌量が増え、初潮を境に次第におりものの量が増えていきます。この時期は女性ホルモンの分泌がまだ安定していないことから、おりものの量が突然増えることもあります。

20~30代前半

20~30代前半は卵巣機能が活発になり、妊娠・出産に必要な身体の環境が整う時期です。20代半ば頃からエストロゲンの分泌が増え、30代半ばでピークを迎えます。それに伴いおりものの量も多くなり、分泌周期も安定する傾向があります。

30代後半

30代前半におりものの量がピークとなった後、徐々に減り始める時期です。ただし、おりものの量が減少し始めていることは、まだ自覚しづらい程度の変化でしょう。

40代

40代になると女性ホルモンの分泌が減少し、特にエストロゲンは40代後半で急激に減少します。そのため、生理周期が乱れやすくなり、おりものの量も減ります。

閉経後

閉経後はエストロゲンがほとんど分泌されなくなり、おりものの量も急激に減少します。閉経後しばらくするとおりものが出なくなるため、膣の中が乾くことにより自浄作用が弱まり、炎症を起こしやすくなることに注意が必要です。

炎症を起こすと、黄褐色のおりものが出ることもあります。

受診したほうが良いおりものの特徴

おりものは、生理周期や年齢によって量・形状が変化します。そのため、「量が少し増えた」「粘り気が出てきた」などの変化であれば、心配する必要はないでしょう。しかし、おりものが以下のような状態の場合、受診したほうが良いと考えられます。

  • 白くてカッテージチーズのようにポロポロしている
  • 黄緑色で腐敗したようなにおいがする
  • 黄緑色で細かい泡が混じる
  • 水っぽくて量が多い
  • 血が混じったように茶色がかっている

それぞれの内容について解説します。

白くてカッテージチーズのようにポロポロしている

おりものが白くてカッテージチーズのようにポロポロしている場合、カンジダ膣炎の可能性があります。おりものの形状の変化のほかに、陰部のかゆみを伴うこともあるでしょう。

カンジダ膣炎は、膣内にカビの一種であるカンジダ・アルビカンスという真菌が繁殖して起こる膣炎です。

カンジダ・アルビカンスは普段から身体の中に存在しますが、身体の抵抗力が落ちた・抗生物質の使用により腟の自浄作用が落ちた・妊娠によりホルモンバランスが崩れたといったことがきっかけで増殖し、カンジダ膣炎を発症します。膣内を洗浄したうえで、抗真菌薬の腟剤による治療を行うことが多いとされています。

黄緑色で腐敗したようなにおいがする

黄緑色で腐敗したようなにおいがするおりものの場合、クラミジア感染症の可能性があります。おりものの変化のほか、陰部のかゆみや性交痛・排便痛などの症状が出ることもあります。

クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという病原体が原因の性感染症で、日本国内の性感染症のうち症例の多い病気です。パートナーも感染している可能性があるため、2人とも検査を受けるのがおすすめです。

また、おりものが黄緑色になり悪臭がする場合、淋菌感染症(淋病)に罹患している可能性もあります。淋菌感染症は淋菌の感染によって引き起こされます。感染が長期間におよぶと子宮頸管炎や卵管炎などを起こし、不妊症の原因になるおそれがあります。

黄緑色で細かい泡が混じる

おりものが黄緑色に変色し、細かい泡が混じっている場合、トリコモナス膣炎の可能性があります。トリコモナス膣炎はトリコモナス原虫が腟内に寄生して起こる性感染症で、まれに風呂場や便座、タオルなどなどから感染するケースも見られます。

治療せずに放置すると炎症が卵管まで進み、不妊症や早産・流産を引き起こす場合もあることに注意しましょう。

水っぽくて量が多い

子宮筋腫があると、おりものが水っぽく量が多いことがあります。子宮筋腫とは、子宮筋層にできる良性の腫瘍を指し、40歳以上の女性の半数程度にあるといわれています。

筋腫の場所によっては、子宮の内膜がただれてしまい水のような分泌物が排出されることが、おりものが水っぽくなる原因です。

筋腫が大きくなると不正出血や月経過多を引き起こし、おりものに血が混じってピンク色や茶色になることがあります。

なお、水っぽいおりものが出る原因としては、子宮筋腫以外にも子宮内膜ポリープや卵管がん、卵管水腫などが考えられます。

血が混じったように茶色がかっている

茶色がかったおりものは、血液が混じっていると考えられ、生理前や生理後のおりものの場合はあまり心配する必要はありません。

ただし、生理前後以外のタイミングで茶色のおりものが続く場合は、不正出血の可能性が高いと考えられます。不正出血の原因はさまざまで、子宮筋腫や子宮内膜ポリープといった良性の疾患のほか、子宮頸がんや子宮体がんなどのなんらかの病気が潜んでいることも考えられます。

生理前のおりものの状態が気になったらクリニックに相談を

おりものは、生理周期によって量や形状が変化します。そのため、たとえば生理直前におりものの量が増えたり、排卵期近くに粘度が高くなったりといった変化が見られたとしても、とくに心配する必要はないでしょう。

ただし、量や色、においなどに関して、明らかに普段と違う場合は放置せず、クリニックで受診しましょう。感染症や子宮頸がんなど、治療が必要な疾患の初期症状の可能性があるためです。

クリニックで医師に相談したいけれど、忙しくて通院できないという方もいるでしょう。そのような場合、オンライン診療で医師に相談するのも一つの方法です。オンライン診療であれば、通院時間なしで受診できます。

また、対面診療の場合は、予約をしていても待ち時間が発生することが多いでしょう。しかし、オンライン診療では基本的に予約時間になると診察が始まるため、スムーズに受診できることもメリットです。

まとめ

おりものは子宮や膣から出る分泌物のことで、自浄作用によって身体を雑菌から守ったり、精子が卵子にたどり着くための潤滑油の役割を担ったりします。

おりものは女性ホルモンと密接な関係があり、生理直前には量が増えたり酸っぱいにおいが強くなったりすることが特徴です。酸っぱいにおいがするのは、膣の中が酸性のためで、異常があるわけではありません。

おりものは生理周期や年齢によって、分泌される量や形状が変化します。そのため、常に一定の状態ではなく、多少の変化があっても気にする必要はないでしょう。

ただし、おりものの形状やにおいなどが明らかに普段と違うときは、そのままにせず受診しましょう。

とくに、おりものが「白くてカッテージチーズのようにポロポロしている」「黄緑色で腐敗したにおいがする」「黄緑色で細かい泡が混じる」「血が混じったように茶色がかっている」といった場合は、注意が必要です。感染症や子宮頸がんなど、なんらかの病気のサインである可能性があります。

生理周期によるおりものの変化や妊娠初期のおりものとの違いを押さえ、気になる状態のときは早めに医療機関に行ったりオンライン診療を利用したりして受診しましょう。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました